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【東証グロース:4265】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針と経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、Society5.0時代の到来と生成AIをはじめとする急速なデジタル化により、中長期的な追い風を受けています。特に日本のみならず世界規模で、企業が求める人材と実際に提供される人的資本とのミスマッチが社会的課題として顕在化しています。しかし、この課題に効果的な解決策を講じることが困難な理由は、多くの国や自治体、企業、教育機関がこの問題を定量的に捉える仕組みを有していないためです。
このような背景のもと、日本では2023年3月期より有価証券報告書への人的資本情報の開示が義務付けられ、企業による人的資本の定量化と投資やその情報開示は今後ますます加速することが予想されています。また、教育分野においても、文部科学省が推進する学校におけるDXの加速化や生成AIの急速な進捗に伴い、社会で求められる能力の変化を背景に、新たな教育環境構築の機運が高まっています。
当社グループは、こうした社会課題を解決するため、これまで人的資本を「GROW」という独自システムにより多面的に定量化し、小学生から企業経営層までをシームレスに繋ぐ「人的資本システム」を構築してきています。2025年3月末時点で120万人を超える累計ユーザーを持つ企業向けGROW360や学校向けAi GROWなどを中心に、個人の成長を定量的に把握し、個別最適化された教育・研修プログラムの提供や、企業内の人材マッチング、人的資本経営の支援サービスを展開しています。
中長期的には、日本を起点に海外への展開を進め、当社グループが構築する人的資本システムを世界標準とすることを目指しています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指す中で、売上高成長率及び営業利益率を重視しており、具体的には、売上高成長率30%台、営業利益率25%以上を経営目標として掲げております。
また、海外売上比率の向上なども重視し、収益構造の強化に取り組んでまいります。HR領域でGROW360を継続利用いただく大手上場企業数を100社、教育領域でAiGROW利用学校数を1,000校、グループ海外売上比率を20%、といった目標数値を2028年3月期までに実現することを目指します。
また、「誰しもが公平な評価を受け、平等な教育機会を得ることができ、自らの評価・教育の履歴を社会で活かし、活躍の機会を生み出すことができる。」世界を目指しています。そのために国内外の産官学連携を強化しつつ、多様な質の高い教育へのアクセス率や就業率向上を目指しています。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、人的資本課題を解決するGROWシステムを基盤とし、段階的な成長戦略を描いています。
第1段階として、2026年3月期は日本国内での基盤強化を目指します。企業と学校の人的資本課題をGROWを中心に解決し売上を着実に伸ばしコスト構造を大幅に見直し、黒字化を目指します。
GROW360やAi GROWに代表される人の多面的能力データの常時取得していくことに加え、ブロックチェーンのトレーサビリティ機能を利用し個人が自らの情報を主体的に安全にコントロールできるようにし、トークンを媒介とした個人の成長データの流通をもとに、持続可能な社会に向けて適切にインセンティブ設計を行える社会の実現を目指しています。
また、AIを活用した能力評価と教育エンジンを搭載し、かつ個人が主体的に安全に情報をコントロールするプラットフォームの提供を通じて、幼少期から社会人までシームレスに能力成長を評価し、AIで個別化された教育や人材研修・配置、また企業間での人材紹介まで、持続可能な社会に向けたコミュニティの構築に努めてまいります。
これらの戦略を推進するために、当社グループは、強力な参入障壁となるビッグデータ資産(約1.7億レコード)、独自開発のアルゴリズム・知的財産(特許取得済み6件・出願済み12件)、ネットワーク効果等を活用し競争優位性を高めています。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、社会基盤たるプラットフォーマーへの変容を実現するために取り組むべき課題を下記のとおり認識しております。これら経営課題を克服するためにも、社会的信用度・知名度の向上、内部管理体制の整備・充実による経営管理体制の充実・強化等が重要と考えております。
① 優秀な人材の確保・育成
当社グループは、事業領域の拡大に伴い高度化する人材ニーズに応えるため、採用・育成・活用を一体で推進する統合タレント戦略を採っています。外部採用については、専門性が不可欠なポジションに的を絞ることで採用単価の上昇を抑えつつ、即戦力を確保します。その一方で、既存社員のポテンシャルを最大限に引き出すことを成長エンジンと位置づけ、European Skills, Competences, Qualifications and Occupations(ESCO)を基盤としたスキルマップに自社独自のジョブレベルを重ね、全社員のスキルと期待水準のギャップを可視化しました。可視化したギャップに対しては、OJT・研修を組み合わせたリスキリング投資を短期集中で実行し、計画的な配置転換と連動させて組織全体のスキル底上げを図っています。さらに、柔軟な働き方を支えるリモートワーク制度や福利厚生を活用し、エンゲージメントと生産性を高めながら、中長期的には採用依存度の低減と総人件費の最適化を実現し、企業価値の持続的向上につなげてまいります。
② 組織体制の強化
当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図り、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。
③ 積極的なサービス開発
当社グループは、評価・教育という軸で多面的に個々人の成長をサポートすることを生業としております。
生成AIをはじめとする先端テクノロジーの台頭により、人材育成の手法とスピードは刻々と進化しています。こうした変化を好機と捉え、当社は既存サービスの機能拡充を継続するとともに、最新技術を取り込んだ新サービスを適時・迅速に開発し、市場へ提供してまいります。
④ テクノロジーの強化
AI、そしてWeb3領域の技術革新は加速度的に進展しており、競争優位を維持するには迅速かつ柔軟な対応が不可欠です。当社は、イ.高度人材の計画的採用・育成 ロ.生成 AI・ブロックチェーン/Web3・セキュアデータ基盤など先端技術への継続投資と外部連携 を二本柱に、革新的なサービスを安定的に供給できる技術体制を整備します。これにより、AIとWeb3を融合させた新たな顧客価値の創出を継続し、企業価値のさらなる向上につなげてまいります。
⑤ 財務基盤の強化
当社グループは、成長と同時に継続的な事業の拡大を図るため、内部留保にとどまらず、金融機関との関係性に加え、戦略的パートナーの拡大を通じ、財務基盤の強化を図ってまいります。
⑥ 海外展開
当社グループは、国際機関やグローバル企業との連携のもと、グローバルサウスを中心に実証的な取り組みを既に進めており、一定の成果を上げています。今後は、これらの知見を活かしつつ、事業展開の地域をさらに拡大し、また海外の知見を利用した新しい事業可能性も探り、中長期的な成長機会を見据えたグローバル戦略を強化します。
具体的には、徹底した市場調査により各地域のニーズや制度・商習慣を正確に把握し、競合他社との優位性を見極めたうえで、最適な事業モデルを構築します。また、現地の信頼できるパートナー企業や専門家との関係を強化し、持続可能な協業体制の構築を図ります。
さらに、既にプロジェクト単位で確保しているグローバルな視点を持つ人材や社内の専門人材を効果的に活用しながら、製品やサービスのローカライズ、各国の法規制への対応を適切に行い、現地に根ざした展開を推進します。スキルマップや人材データを活用し、事業内容や地域ニーズに応じた適切な人材配置を行うことで、人的リソースの最適化を図ります。加えて、製品やサービスのローカライズと各国の法規制遵守を徹底し、現地市場に適したサービス提供体制を整備します。
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