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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針と経営環境

 Society5.0時代に入る中、2020年以降、新型コロナウイルスによる感染症が世界に蔓延、デジタル化のスピードが急加速しています。当社が主に企業向けに事業を展開するHR-tech関連市場においては、人的資本情報開示、企業のDX推進、テレワークの浸透、従業員データの倫理的活用、雇用主・組織の透明性、生成AIをはじめとする新しい技術の導入など様々な変化が短期間で進んでおり、バイアスを排除した個人の能力評価データの活用範囲や、データを軸とした組織開発・人的資本経営支援の裾野は一層拡大していると認識しています。また教育現場向けに事業を展開するEd-tech関連市場においては、文部科学省主管のGIGAスクール構想によって教育のオンライン化に向けた環境整備が前倒しで進み、生徒の資質・能力(コンピテンシー)に基づいて再整理された新学習指導要領が2022年度の高校での実施を以て全ての学校種別に展開され、学力以外の評価による大学入学選抜の増加などもあり、生徒の非認知能力の評価・育成のためのサービスの必要性が急速に高まったと考えております。

 よりマクロな視点では、資本主義が構造的に抱える貧富の格差拡大、人的資本アップデートや労働市場改革の遅れなどの問題が深刻化し、急増する社会課題をDXで解決し、イノベーションを成し遂げる「人」への需要が急拡大しています。日本では、2022年6月公表の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告において、有価証券報告書及び有価証券届出書の記載事項の改正内容に「人的資本、多様性に関する開示」が取り入れられ、企業は2023年3月期決算から対応が義務付けられることになりました。今後も、企業による人的資本に関する投資や情報開示が、今後さらに加速することが予想されます。

 時代の変化に対応するための人材供給が不足している背景には、学校教育と企業の人材育成が分断されていることに起因する能力のミスマッチがボトルネックとして存在していると考えます。戦後の日本は「モノ」を中心とした経済成長を目指し、欧米を模範とした画一的教育や企業内でのみ通用する人材育成をもとに急成長を遂げ、結果として教育と企業などでの人材育成が分断されました。しかし成長後、欧米という目指すべき答えがなくなり、自ら世界の価値基準を構築する必要性とデジタル化の急速な拡大により、持続可能な社会を構築する人材を育成するために、個人に焦点をあて、その生涯にわたる学習と成長を促進・支援する仕組みが必要になっています。

 また、人材評価に関するデータ蓄積が不十分であり、かつAIの活用も緩やかであったことも、「人の生涯成長」支援が遅れていた理由です。日本はこれまで、知識やスキル、結果としての学歴に重きをおいてきました。そのため、人の一面的な能力データが断片的に存在するのみで、共感力や影響力行使などの対人関係性やコミュニティ形成力といった非認知能力も含めた多様な能力データが生涯にわたって蓄積されてきませんでした。結果として、AIによる解析も不十分となり、エビデンスベースの教育や人材政策がなされず、部分最適な教育と人材育成にとどまったのです。

 日本は従来、自然を敬い、地域コミュニティや人的資本の成長に価値を置く素晴らしい文化を持ちます。この普遍的な価値を有する世界に誇る日本の文化に立ち返り、Society5.0時代の変化に対応することが改めて求められており、持続的な社会を目指す「人的資本の成長~人の生涯成長~」に焦点をあてた新産業が創出される環境が整いはじめたことが、企業、学校法人、自治体、政府とまさに産官学連携で当社が事業を拡大してきた背景にあります。当社は、SDGsで掲げられる17の目標のうち特に、「4. 質の高い教育をみんなに」、「5. ジェンダー平等を実現しよう」、「8. 働きがいも経済成長も」、「10. 人や国の不平等をなくそう」の達成に寄与することを目指しています。

 「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる。」のビジョンの下、当社は個人の成長を支援し、新産業の根幹を構成するプラットフォームを提供しています。GROW360やAi GROWに代表される人の多面的能力データの常時取得により、小学生から企業役員に至るまでシームレスに能力成長を評価し、個別化された教育や人材研修、人的資本経営支援、また企業間での人材紹介まで、持続可能な社会に向けたコミュニティ構築のための幅広いサービス提供が可能です。

 当社ではすでに、Society5.0時代の社会課題の解決を支援する評価・教育モデルをもち、93万人を超えるユーザーの累計利用実績(2023年3月末時点)を持ちます。個々人の能力データ構築とAIの支援による人材育成・教育において、経済産業省の「未来の教室」など国・自治体の事業、多くの大手企業の導入実績があるデータ・コンサルティング事業、210を超える小中高校から利用者数に応じて報酬を得るサブスクリプション型のビジネスモデルを成立させています(2023年3月末時点)。また、GAFAに代表されるプラットフォーマーがデータを独占する形ではなく、個人が主体となってデータを制御する新しいプラットフォームサービスを構築し、慶應義塾大学に加え大手企業やスーパーシティに名乗りを上げる自治体など12団体の参画による3年間の実証事業(2020年度開始)を無事終了いたしました。

 最後に、パートナー企業とともに海外でのビジネス再開も目指しています。すでにアブダビ政府やアジア開発銀行、そして世界的なグローバル企業との取引実績や、ハーバード・ビジネス・スクールのケース教材に取り上げられた実績があり、海外での知名度もあります。当社の人材評価サービスから得られる非認知能力に関するデータを用いれば、日本の教育関連企業の海外進出をエビデンスでサポートすることも可能です。国際機関、企業、アカデミアなどとの実証領域の順次拡大を積み重ね、特にアジア・中東等への顧客網の拡大を目指してまいります。

(2)目標とする経営指標

 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、売上高、営業利益の成長性を重視しております。

 HR事業においては、売上高を「顧客企業数」×「顧客あたりの売上」と捉え、高い売上高成長率の継続に向けて、「顧客数の最大化」と、「複数階層・全社利用や複数のサービスの提供による顧客あたり売上の増大」に積極的に取り組んでまいります。

 教育事業においては、売上高を「採用学校数」×「顧客あたりの売上」と捉え、売上高と営業利益の両方で高い成長率を継続するべく、特に「採用学校数の積み上げ」と、「複数のサービスの提供による学校あたり売上の増大」に積極的に取り組んでまいります。

 プラットフォーム/Web3事業は、事業の立ち上げ期であり、短期的には計画どおりに事業を進めることを最優先に取り組んでまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 分断なき持続的社会の実現に向けて、最新テクノロジーと蓄積された93万人を超える登録者の評価・教育データを利用し、幼少期から成人期までシームレスに多面的な能力評価・育成支援、企業から教育現場への資金を流すための土壌が生まれています。テクノロジーと評価・教育データを駆使したシステムにより「成長した人」は、Society5.0時代の持続的社会の実現に向けてコミュニティを形成し、さらに同様のコミュニティ同士が結合することで、持続可能な社会を構築することが期待されます。

 当社は「人を幸せにする評価・教育で、幸せを作る人、をつくる。」というビジョンの下、このシームレスな人の成長を支援し、新産業の根幹を構成しうるプラットフォームの提供を行ってまいります。

 GROW360やAi GROWに代表される人の多面的能力データの常時取得に加え、ブロックチェーンのトレーサビリティ機能を利用し個人が自らの情報を主体的に安全にコントロールできるようにし、トークンを媒介とした個人の成長データ流通をもとに、持続可能な社会に向けて適切にインセンティブ設計が行える社会の実現を目指してまいります。

 また、AIを活用した能力評価と教育エンジンを搭載し、かつ個人が主体的に安全に情報をコントロールするプラットフォームの提供を通じて、幼少期から社会人までシームレスに能力成長を評価し、AIで個別化された教育や人材研修・配置、また企業間での人材紹介まで、持続可能な社会に向けたコミュニティの構築に努めてまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社では、社会基盤たるプラットフォーマーへの変容を実現するために取り組むべき課題を下記のとおり認識しております。これら経営課題を克服するためにも、資金調達能力の拡大による自己資本の充実、社会的信用度・知名度の向上、内部管理体制の整備・充実による経営管理体制の充実・強化等が重要と考えております。

① 優秀な人材の確保・育成

 当社が、今後更なる業容拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が重要な課題となります。この課題に対応するため、リモートワークの導入、福利厚生制度の充実等により、優秀な人材の確保・定着を図るとともに、入社後の社内における研修、各種勉強会の開催等により、人材の育成を進めてまいります。

② 組織体制の強化

 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図り、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。

③ 積極的なサービス開発

 当社は、評価・教育という軸で多面的に個々人の成長をサポートすることを生業としております。環境変化の激しいSociety5.0時代において人材育成を支援するには、常に新しいサービスを開発し、市場に提供する必要があります。そのために、既存サービスのアップデートに加え、時機を捉えた新サービス開発に努めてまいります。

④ 技術力の強化

 当社の事業領域であるインターネット及びAI関連市場につきましては、技術革新のスピードが極めて速いという特徴があり、競争力のあるサービスを提供するためには、その新技術に速やかに対応していく必要があります。高度な技術を持つエンジニア、データサイエンティスト等の人材の確保、先端技術への投資・モニタリング等を通じて、技術力の強化に取り組んでまいります。

⑤ 財務基盤の強化

 当社は継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上では、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えておりますこのため一定の内部留保の確保や費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで財務基盤の強化を図ってまいります

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