扶桑化学工業
【東証プライム:4368】「化学」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)基本方針
当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。
社是
「限りなき進歩と創造」
経営信条
一. 信用を重んじ確実を旨とする
一. 技術を通じて国家社会に貢献し
一. 社業の繁栄によって従業員の豊かさを築く
そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済および日本経済は、米国の関税政策による影響、地政学リスクの顕在化、為替動向、継続的なインフレの余波など、景気の先行きが一層不透明になると見ています。
このような状況のもと、当社グループは、海外事業展開を推進するとともに、安全操業、安定生産を継続し、研究開発、品質保証、販売の体制強化、新規製造設備の着実な立ち上げによる供給力の強化に取り組みます。
2025年度の売上高は、半導体市場の成長に伴う当社製品の需要増加を見込み、増収の計画です。営業利益は、円高の進行、原料・エネルギー価格の高止まり、新規設備の稼働開始に伴う減価償却費等の費用増加により、減益を見込んでいます。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少に加え、円高の進行に伴う為替差損の計上を見込み、それぞれ減益となる見込みです。
〇連結業績計画および当期実績比較
(単位:百万円)
| 2024年度実績 | 2025年度計画 | 増減額 |
売上高 | 69,501 | 72,700 | 3,198 |
営業利益 | 16,230 | 14,000 | △2,230 |
経常利益 | 16,561 | 13,800 | △2,761 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 11,622 | 9,400 | △2,222 |
償却前営業利益 | 24,539 | 25,500 | 960 |
〇ライフサイエンス事業連結業績計画
(単位:百万円)
| 2024年度実績 | 2025年度計画 | 増減額 |
売上高 | 36,287 | 35,850 | △437 |
営業利益 | 5,289 | 5,400 | 110 |
償却前営業利益 | 6,859 | 7,100 | 240 |
〇電子材料および機能性化学品事業連結業績計画
(単位:百万円)
| 2024年度実績 | 2025年度計画 | 増減額 |
売上高 | 33,213 | 36,850 | 3,636 |
営業利益 | 13,171 | 11,100 | △2,071 |
償却前営業利益 | 19,692 | 20,700 | 1,007 |
<中期経営計画>
当社は、2021年5月7日に2025年度を最終年度とする中期経営計画 “FUSO VISION 2025”を発表し、2023年5月11日に、最終年度(2025年度)の経営目標を変更いたしました。
当連結会計年度においては、ライフサイエンス事業で販売数量が増加し、電子材料事業で半導体市況の回復の影響を受けたことで、前連結会計年度と比較して売上高が17.9%増加、営業利益が46.4%増加するなど、大きな成長を遂げました。
中期経営計画の最終年度である2025年度の計画は、前述のとおり、当連結会計年度(2024年度)と比較して、売上高の増加は見込まれるものの、大型設備投資による償却費の増加が予想されるため、営業利益は減益となる見込みです。2025年度の計画と中期計画最終年度の比較は下記のとおりです。
(単位:百万円)
| FUSO VISION 2025年度目標 | 2025年度計画 | 増減額 |
売上高 | 85,000 | 72,700 | △12,300 |
営業利益 | 19,000 | 14,000 | △5,000 |
償却前営業利益 | 30,000 | 25,500 | △4,500 |
2025年度の計画は、市況の影響もあり、中期経営計画を下回る見込みですが、当社は経営方針として掲げた「既存事業における拡大する需要の取り込みと着実な対応」「新規事業・分野への投資・挑戦」「持続的成長を支える経営基盤の強化(SDGsへの取り組み)」に沿って、引き続き施策を実行してまいります。
中期経営計画の詳細および、中期経営計画の見直しに関する詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://fusokk.co.jp/fusovision2025)をご参照ください。
1.中期経営計画の概要
名称 :中期経営計画“FUSO VISION 2025”
サブテーマ:社会課題の解決に貢献するFUSOであるために
期間 :2021年度~2025年度(5ヶ年の中期計画)
経営目標 :売上高850億円、営業利益190億円、償却前営業利益300億円
経営方針 :①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応
②新規事業・分野への投資・挑戦
③持続的成長を支える経営基盤の強化(SDGsへの取組み)
2.目指す企業像
「限りなき進歩と創造」の先にあるもの、当社グループが目指す企業像としては、その特定の分野で輝く数多くの金メダル製品と様々な価値観・アイデアを持つ社員がそれぞれの持ち場で活き活きと働き、社会に貢献し続けられる体力のある企業、そのような未来を思い描き下記の通り設定しました。
・グローバルニッチトップを追求する FUSO
・人々の暮らしの豊かさの向上・持続的な未来に貢献し続ける FUSO
・現状に満足することなくInnovationに挑戦し続ける FUSO
・既存事業に続く成長性ある第3の柱構築で倒れない強い企業である FUSO
<対処すべき課題>
当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。
(ライフサイエンス事業)
国内市場では、食品用途の販売は引き続き堅調であり、工業用途や日用品用途での販売も回復傾向にあります。海外市場では、欧州向けのリンゴ酸や米国での有機酸でシェアが回復したほか、中国を始めとするアジア地域を含め総じて堅調に推移しましたが、海外メーカーとの競争は一層の厳しさを増しています。
2025年度はライフサイエンス事業部に国際部を新設して海外子会社5社を管轄することになりました。これにより販売管理や製品の一括管理を実現させ、ライフサイエンス事業利益を最大化できるよう各社との連携を図ります。新規開発品につきましても現地製造、技術サポートを進め、海外での拡販を目指すとともに、既存品についても国内外で生産体制の見直しを図り、効率的な事業運営を進めます。また鹿島事業所内に完成した高純度有機酸“アプリシャス”の拡販に努め、早期の安定生産、新規顧客の獲得に努めてまいります。
販売面では、営業担当者を増員するとともに、重点推進分野を絞り込んだチーム編成をおこないます。製品開発や海外業務の経験者をバランスよく配置し、それぞれの専門性や国際的な視点を最大限に活用できるよう営業体制を充実させ、これまで取り組んできたFFA(※)の販売数量拡大をグローバル市場で取り組みます。オンラインデジタルマーケティングにも力を入れ、商品開発に携わる方々に当社製品の認知を広げるとともに、タイムリーな情報発信・フォローを行うことで、売上増加を図ります。
今後も、果実酸総合メーカーとしてこれまで蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウ、およびグローバルなネットワークを最大限に活用し、市場のニーズにいち早く応えることで、さらなる売上および利益の拡大に尽力します。
※果実酸の特徴を活用したビジネス
(電子材料および機能性化学品事業)
半導体市場は、在庫調整が一巡し、AI用途を中心に需要が回復しました。半導体の高性能化は、トランジスタ素子を形成する前工程を中心に進展していましたが、近年ではアドバンストパッケージ(※)に代表される後工程が主流となっています。さらに、中国市場では旺盛な設備投資に牽引される形で半導体市場の拡大が進みました。このような背景を踏まえ、各社の需要に応えることで、2024年度の出荷数量は大幅に増加しました。
この需要回復と新たに創出される需要の増加に対応するため、2023年4月に完成した鹿島事業所の新設備は、2024年度末にはフル稼働状態となりました。また、2024年10月に完成した京都事業所の新設備も稼働を開始しました。さらに、2025年7月には鹿島事業所でさらなる追加設備の完成を予定しています。これにより、生産能力は2022年度比で1.5倍以上に強化される見込みです。設備増設による生産能力増強に加えて、高濃度・高効率生産品目の拡充を進め、設備面および製品面の両側面から供給能力を強化しました。
サプライチェーンリスクへの対応としては、主要原材料の調達国の分散化や複数購買化を検討・実施しており、原材料調達リスクの低減を継続的に進めています。一方で、米中半導体摩擦やトランプ政権の相互関税の影響など、半導体産業を取り巻く世界情勢には依然として先行き不透明感があります。これらの課題に対しては、情報収集を続けながら必要な対策を講じていく方針です。
研究開発では、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では、微細化や高集積化が一層進展しており、それらのニーズに対応すべく、様々な大きさや硬さ、表面修飾を施した粒子などの製品開発を続けています。また、半導体研磨用途以外にも、高速通信社会や化粧品用途などに貢献できる特徴的な材料の研究開発を進めています。
※複数のICチップを効率的に組み合わせることで、通信速度や電力効率を向上させる技術
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。
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