企業兼大株主三菱製紙東証プライム:3864】「パルプ・紙 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

<研究開発方針>

 研究開発本部では、2024年度を最終年とする中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の事業戦略に沿った3つの研究開発方針を掲げて研究開発に取り組んでまいりました。成長事業である機能商品事業の拡大につながる商品開発、「紙」から「素材」への転換と環境配慮型商品の拡販につながる商品開発、事業の支えとなる力強い研究開発体制の構築。この方針のもと、既存分野の深化、基盤技術強化、そして新規分野の探索を積極的に進めてまいりました。さらに2025年度から始まる中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)においては、「技術・研究の”SHINKA”で三菱製紙の真価を高める」という研究開発方針を掲げ、柱となる現行商品とコア技術の強化(深化)、コア技術の発展による高品質な商品のグローバル拡販(進化)、当社コア技術と外部技術の融合及び新技術への投資による開発商品での周辺・新市場参入(新化)、そして人と組織の成長と強化(進化)を進めます。

<研究開発体制>

 研究開発本部は「企画」「開発」「支援」の三部門から組織されています。

「企画」は研究開発企画部にて、機能商品及び紙素材の両事業部を、研究開発企画、市場情報収集、人財育成、技術共有、進捗管理等からサポートし、全社的な視点から研究開発を推進しています。

「開発」は、工場で生産している製品及び関連製品の研究開発と技術支援をスムーズに行い、開発を加速し、各事業分野の収益に貢献するために、生産場所である工場の敷地内に開発部隊が置かれています。

 高砂工場内にある高砂R&Dセンターは、機能性不織布の開発をメインテーマとしています。京都工場内には、イメージングメディア、エレクトロニクス関連製品等の開発、および新規探索をテーマとする京都R&Dセンターが置かれています。

 また、2025年4月に設立された基盤技術センターには、八戸開発室と富士開発室が置かれています。八戸工場内にある八戸開発室は紙素材の用途開発を担っています。一方、2024年7月に合併したKJ特殊紙の研究開発部門がルーツである富士開発室は、テープ原紙、医療用滅菌紙といった富士工場の主力製品である生活資材を開発しています。ルーツと専門分野が異なる二つの開発室が新しい価値を生み出し、コア技術分野の強化を推進しています。

「支援」は、研究開発本部直下にあった分析グループが2025年4月より分析センターとなり研究開発本部だけでなく、技術本部や各工場をも支援しています。また、知的財産部も分析センターと同じく京都工場を拠点とし、開発部隊を戦略的に支援しています。

 さらに、新規領域への進出「新化」のために、研究開発部門が一丸となって大学や外部機関との連携を強化しています。

 当連結会計年度の研究開発費は568百万円で、当連結会計年度末に当社グループが保有する産業財産権の総数は964件であります。

<各事業分野の研究開発活動>

当社が手掛ける事業分野は機能商品事業と紙素材事業です。各事業分野の研究開発活動は次の通りです

(1) 機能商品事業

 機能商品事業においては、情報資材、画像資材、産業資材、生活資材の4つの分野に関連する製品の研究開発を進めています。

①情報資材関連商品

 情報資材関連商品としては、特に感熱紙に注力して取り組んでいます。物流ラベル市場に向けて、環境に配慮した再湿糊型ライナーレスラベル「Water Thermal」を開発し、ライナーレス化とシリコーンレスを同時に実現するサステナブルなラベルシステムとして紹介を進めています。

②画像資材関連商品

 画像資材関連商品としては、特にインクジェットメディアに注力して取り組んでいます。テキスタイル分野において環境負荷が低い昇華転写用デジタル捺染紙のラインナップを拡充して、国内、北米およびアジアを中心に市場開拓を推進しています。また、2024年10月にはリサイクル可能な写真グレードのインクジェットメディアの開発についてニュースリリースいたしました。この製品は、従来プラスチックを積層した原紙を使用していたためにリサイクルができなかった写真グレードのインクジェット用紙を、弊社の精密塗工技術を用いてプラスチックフィルム不使用とした、色鮮やかなプリントが可能であると同時に地球環境に優しい製品となっています。

③産業資材関連商品

 産業資材関連商品としては、特に水処理膜支持体と蓄電デバイス用セパレータに注力し、その他耐熱材料、フィルターの開発に取り組んでいます。

 水処理膜支持体については、逆浸透(RO)膜基材の高性能化・低コスト化に向けた基材の開発を進めており、蓄電デバイス用セパレータについても使用される電子機器の高性能化に適応するための要素技術の開発と製品の改良を進めています。

 さらに不織布技術の応用として、ガラス繊維など無機繊維を用いる湿式不織布と無機顔料素材の塗工技術とを最適に組み合わせることにより高い耐熱性、断熱性を持つ耐熱シート・耐熱ボードを開発しています。また、全熱交換エレメントや抗菌フィルター用途の材料開発にも取り組んでいます。

④生活資材関連商品

 生活資材関連商品としては、テープ原紙、化粧紙、医療用滅菌紙に注力して取り組んでいます。特にテープ原紙については、建築現場の外内装に使用されるフラット紙タイプのマスキングテープの開発をグローバルな視点で取り組んでおり、国内外の顧客からの様々なニーズに対応しています。

 当連結会計年度の機能商品事業での研究開発費は441百万円です。

(2) 紙素材事業

 紙素材事業分野においては、容器包装プラスチックに代わる包装材料、印刷用紙等の紙素材の新規製品の研究開発を進めています。

 拡販を進めている包装材料については、2023年に晒クラフト紙をベースとした片面クラフトコート紙が大手菓子メーカーのパッケージに採用された例に続き、2024年には新たにペットフードメーカーや調味料メーカーのパッケージにも採用されました。またバリコート(ヒートシールグレード FSC認証)が紙製カトラリーの紙パッケージに選ばれました。プラスチック削減に貢献できる紙素材であることと、その利用を通じてSDGsに貢献できるFSC森林認証紙であることが評価されたものです。

 また、パルプ素材については紙製品用途以外への有効活用技術を探索しています。

 当連結会計年度の紙素材事業での研究開発費は127百万円です。

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