三井E&S
【東証プライム:7003】「機械」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢・行動規準を以下の通り定義しております。
■企業理念
エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。
■ビジョン
2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。
■経営姿勢
新しい価値の創造を顧客と共に実現 ▶ 事業推進(顧客・取引先への約束)
-潜在ニーズのマーケティングと周辺技術のイノベーションで事業を推進していく。
健全な財務体質と堅実な利益を追求 ▶ 財務企画(株主・金融機関への約束)
-限界利益/固定費の適時評価を軸に、事業や子会社を堅実に管理運営していく。
サステナビリティの課題解決を推進 ▶ 人事総務(従業員・社会への約束)
-従業員の健康と安全に配慮し、気候変動/人口縮小/多様性の社会課題に取り組んでいく。
■行動規準
シンプル、ユニーク、プラクティカルな製品やサービスに挑戦
-常に顧客目線で3つの価値が重なる製品やサービスを考え、堅実な事業へと育み、社会に貢献する。
(2)経営戦略等
為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化を続けています。こうした環境下において、当社は持続的な成長を実現するため、ローリング方式による新たな中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に、「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、2030年を見据えた長期ビジョンのもと、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」をマテリアリティとして掲げ、機能戦略(財務・人材)及び事業戦略を一体的に推進します。中核事業である舶用推進システム事業及び物流システム事業については、「グリーン」と「デジタル」の視点からの進化を図り、環境対応型製品や自動化・遠隔化技術の開発・展開を強化します。さらに、第三の柱となる事業創生を担う成長事業推進事業は、保守・メンテナンスビジネスの拡大や新規事業の創出に注力し、将来の収益基盤の多様化を図ります。財務面では、ROICやWACCを意識した資本効率の向上を図りつつ、適正な配当政策を通じた株主還元を継続し、株主資本コストと負債コストのバランスを踏まえた企業価値向上に努めてまいります。
(3)経営環境等
当連結会計年度の世界経済は、インフレの落ち着きや貿易量の持ち直しなどを背景に、底堅く推移しました。しかし、米国における新政権発足以降、その保護主義的かつ予見不可能な政策が地政学的対立や不安定化をもたらしており、世界経済の不確実性を一層高めています。一方、国内経済は、米国の政策による不確実性は見込まれるものの、先行きは家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかに回復していくものと想定されます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「三井E&S Rolling Vision 2025」では、2027年度に、連結売上高:3,800億円、連結営業利益率:7.4%、自己資本比率:42%及びROIC:9%を経営数値目標として掲げております。
また、当社グループは、以下の社会課題を経営上も重要と認識・対応しており、2030年度目標を設定しております。各課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。
マテリアリティ | 2030年度目標 |
脱炭素社会の実現 | ・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減 ▲1,000万t-CO2/年以上※2 ・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減 ▲1.0万t-CO2/年以上 |
人口縮小社会の課題解決 | ・港湾関連製品の自動化・システム化 2022~30年度累積販売・稼働台数 1,000件以上 |
多様化確保への取り組み※1 | ・従業員全体 女性比率:10%、外国人比率: 5% |
※1:提出会社単体として目標を設定しております。
※2:同じ量の従来仕様(重油/軽油焚き)製品による排出量との比較による。
2024年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2022年度から前倒しスタートした2023年度中期経営計画で掲げた2025年度の経営数値目標を2023年度に前倒しで達成しました。さらに、2024年度は中核事業の工事の順調な進捗、営業外損益の改善などから通期の業績予想を上回る結果となりました。
一方で、当社グループは、事業基盤の強化及び変化の激しい事業環境を踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」(以下、「RV2024」)を2024年8月に策定しました。また、策定した財務戦略、人材戦略、事業戦略を着実に実行するとともに、その結果を反映したRolling Vision 2025を新たに策定しております。これを継続し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
(財務戦略)
2024年7月にA種優先株式の全部取得及び消却を完了したほか、有利子負債の大幅な圧縮並びに借入金の短期から長期への一部転換を実施し、当社グループの流動比率は大幅に改善しました。RV2024では「株主資本コスト、負債コストを意識した経営」を掲げています。投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る姿を目指しております。
ROICを高めていくため、着実な投資を行うなど資本を有効に活用し十分な利益をあげてまいります。
(人材戦略)
2024年6月26日開催の第121回定時株主総会にて新たに2名の女性取締役を選任し、取締役の女性比率は25%となりました。人材多様性の推進、人材流動化への対応、人的資本と環境整備への投資に取り組み、環境変化に柔軟に対応しながら持続的な成長を実現してまいります。
(事業戦略)
当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」、「人口縮小社会の課題解決」の2つの柱を掲げ、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。具体的な施策は次のとおりです。
①中核事業の更なる成長
中核事業を「舶用推進システム」、「物流システム」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めてまいります。
舶用推進システム分野では、アンモニア焚きエンジン開発、LNG・メタノール焚きエンジンの生産設備増強により、海上物流分野の脱炭素化の需要増加に確実に対応、物流システム分野では、米国、日本での水素駆動クレーンの商業運転などの実証ステージを経て脱炭素関連製品の市場投入を進めていきます。
②新規事業の展開
中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけており、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力しています。2025年3月には「航海中の燃料消費量削減・CO2排出量削減」及び「生態系移動リスクの低減」に貢献する当社が開発した船体汚損コントロール手法「FALCONs」(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)を用いた初の入港船がニュージーランド当局(MPI)から基準適合評価を取得することができました。今後も更なる事業拡大及び企業価値向上に取り組んでまいります。
産業機械分野の経験を活かし、水素供給関連施設やSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造向けなど、エネルギー転換、化石燃料依存からの脱却に向けた市場へ製品供給を目指していきます。
また、港湾クレーンのドローンによる点検サービスや港湾ターミナルの運営効率化などのデジタル技術高度化による保守メンテナンスサービスを通じて、人口縮小社会の課題解決に貢献していきます。
(サステナビリティ課題の取り組み)
気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定しました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンの国内シェアトップのリーディングカンパニーの責務として、この戦略マテリアリティに向け、環境対応、遠隔・自動化の開発等、中長期の目標を掲げ、取り組みを推進してまいります。
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