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【東証プライム:6750】「電気機器」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
2024年度に、より良き製品、より良きサービス、より良き会社、より良き社会を追求してきた当社グループが、成長の糧とする存在意義を示すものとして、パーパス「Better being」を制定いたしました。創業以来、ずっと追求してきた「Better」を、これからも追求し続けてまいります。
パーパス「Better being」を企業価値創造の中心におき、グループの社員一人ひとりが自らの心に問い、自分なりに考え、自発的な行動に繋げていくことで自ら成長し、グループに新しい変革と進化をもたらし、より良き製品・サービス・ソリューションによる社会課題の解決と、より良い地球環境への貢献を目指すと共に、当社グループとしてこれからも持続的に成長してまいります。
(2)経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
①経営環境
世界経済は、各国政府が政策の優先事項を変える中、不確実性の高まり等により、成長が減速する見通しです。また、貿易摩擦の激化、サプライチェーンの分断、インフレの再燃、金融政策の変化による金融市場の急変、更なる地政学リスクなど、想定を超えた経営環境の変化による景気後退も懸念されます。わが国経済は、米国の関税引き上げなど、新たな外交政策による影響が不確実性をはらんでおり、景気の下振れリスクが懸念されますが、雇用・所得環境の改善による個人消費の緩やかな増加基調やインバウンド需要の継続、AI関連の投資拡大が期待され、緩やかな回復基調が想定されます。一方で、物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化と原材料価格の高騰、人手不足による供給制約、人件費や物流コストの増加、特に急激な為替変動リスクといった懸念も多く、事業環境を楽観的に見通すことは困難な状況となっております。
当社グループの事業領域である「パソコン及びデジタル機器関連製品」では、パソコン関連、スマートフォン・タブレット関連、TV・AV関連を中心に最終製品の市場で成熟化が進んでいることに加え、グローバル新興メーカーの台頭により、一層の競争環境の激化が想定されます。一方で、EC市場は更なる市場拡大が見込まれ、またAI(人工知能)を始めとした技術革新、企業の効率化ニーズ、政策需要(次世代GIGAスクール構想等)によりデジタル関連投資が拡大し、AI PC等の関連製品の領域も広がりつつあります。加えて、当社が進出した理美容・調理家電の領域を含め、お客様ニーズの高度化や多様化に応える製品・サービスが重視されるとともに、様々な社会課題を解決するソリューションに対する期待も高まっております。
②中期経営計画の概要
<ありたい姿>
当社グループは、上記経営環境を踏まえて、2024年4月から2027年3月までの3ヵ年を中心に取り組む中期経営計画を策定しました。
当社グループはこれまで、変化の速い情報周辺機器市場において、お客様の声を聴き、高速で開発し、効率の良いオペレーションでお客様にお届けするビジネスモデルを深化させることで事業成長を実現させてまいりました。今後は、この成長の源泉となるスピードを引き続き重視しながらも、国内・海外のお客様に真正面から向き合い、ニーズを理解し、更なる満足を得られる商品やサービスを企画、設計、構築、提案し、更なる高付加価値ビジネスモデルの構築や、グローバル展開によるスケールメリットの最大化を目指してまいります。
本中期経営計画では、パーパス「Better being」を根底として、あるべき姿を「“お客様に愛される日本発・唯一無二のグローバルブランド”を創る」と定め、「お客様の満足度を高める商品と販売の新たな価値創造」と「持続可能な成長を実現するための人材育成と強い事業基盤構築」を重点戦略に、長期的・持続的成長を実現してまいります。
<重点戦略>
(ⅰ)価値創造
(a)国内BtoC
・グローバル競合に対する対抗策を商品・サービス・売り方に至るまで徹底
・当社の強みを活かせる商品カテゴリーの強化・拡大(2023年度にグループ化したテスコム商品の強化と新規M&Aを含めた他戦略商品の拡大)
(b)国内BtoB
・既存販売店ビジネスの更なる拡大
・高付加価値ビジネスモデル構築(ソリューション×エンドユーザー販売、保守・サブスクリプション)
(c)海外
・北米市場とアジア市場を中心にグローバル事業の立上げと成長の礎を構築
(ⅱ)事業基盤構築
(a)開発力
・日本と中国(深圳技術開発センター)の二極開発体制の構築による高速開発の強化
(b)SCM
・事業拡大・BCP観点での物流機能の深化
・カントリーリスクを踏まえた調達バランスの最適化
(c)人材育成・確保
・高付加価値ビジネスモデル構築・グローバル展開に必要な人材の確保と育成
・CX(顧客体験)価値戦略の強化のためのAI・DX人材の強化
これらの重点戦略を推進するにあたり、当社の強みの一つであるキャッシュ創出力・安定した財務基盤を活かし、成長分野や事業基盤強化への投資を積極的に行います。
・新製品カテゴリーの追加・開発力強化への投資(M&Aも含む)
・北米を中心とする海外展開への事業投資(広告宣伝・プラットフォーム・製品開発費用等)
・新高付加価値事業分野、CX価値戦略の強化のための人材投資
・更なるコスト体質強化に向けた投資(物流自動化、グローバルSCM体制構築など) 等
<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等>
(ⅰ)本中期経営計画における数値計画
・営業利益伸長率 年平均10%以上
・ROE 13%以上
(ⅱ)本中期経営計画における株主還元方針
・累進的配当(配当維持もしくは増配)の実施
・配当性向30%以上の維持
・機動的な自己株式の取得
③中期経営計画の進捗状況
<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等>
中期経営計画初年度である2024年度実績は、下記の通りとなっております。
概ね良好な進展を示しており、引き続き計画達成に向けた施策の実行を進めてまいります。
営業利益伸長率 | 9.3% |
ROE | 11.0% |
累進的配当(配当維持もしくは増配)の実施 | 対前年度比4円の増配(予定) ※2025年6月25日開催予定の定時株主総会での決議事項 |
配当性向30%以上の維持 | 40.3%(予定) |
機動的な自己株式の取得 | 70.0億円の自己株式取得を実施 |
<重点戦略の主な取り組み>
(ⅰ)価値創造
(a)国内BtoC
・パワーデバイス、I/Oデバイスといったグローバル競合と対抗する重点カテゴリーにおいて、戦略的に新商品開発及び販売を強化しました。
・2023年度のM&Aでグループ入りしたテスコム電機グループとのシナジー効果を最大化すべく、理美容・調理家電分野におけるグループ全体での販売体制の強化と新商品の市場投入を推進しました。
(b)国内BtoB
・カメラ、ストレージ、PCなどのグループ会社商材を活用し、注力商材を明確化した上で、主要代理店との連携強化やエンドユーザー向けの販売を推進しました。
・グループ会社と一体となったソリューション提案体制を構築し、提案から受注の実現に向けて、営業体制強化とプロセスの整備に取り組みました。
(c)海外
・北米市場においては、主要ECサイトおよび自社直販サイトを通じて、オリジナルブランド商品(NESTOUT)
の販売強化を進めました。
・アジア市場においては、注力すべき地域を明確化し、中国・台湾を中心とする中華圏およびインドを含む
ASEAN市場への展開に向けた具体的な施策を策定し、事業開発および進出に向けた体制の強化を図りました。
(ⅱ)事業基盤構築
・開発力については、新商品投入加速に向けた深圳技術開発センター及び横浜技術開発センターを活用した商品開発マネジメントの立て直しを実施しました。
・人材育成・確保については、マネジメント人材の強化と成長市場に向けたBtoB及び海外での人材獲得、配置を強化しました。またDX人材(AI活用を含む)の育成と登用を進めました。
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