日本電信電話
【東証プライム:9432】「情報・通信業」
へ投稿
企業概要
IOWN構想の具現化や様々な産業への技術の展開・課題解決等の取り組みを推進しました。
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想
社会活動や経済活動のデジタルシフトが加速する中、通信ネットワークの利用は大きく拡大しデータ量・遅延・消費電力等が限界を迎えようとしています。IOWN構想は、革新的な光技術によってこの限界を打破し、持続可能な世界の実現をめざすものです。
IOWNの目標性能とロードマップ
○ IOWN構想の具現化に向けた研究開発
-IOWNの実現に向けて開発中の光電融合デバイスは、従来の長距離光通信向けに加え、短距離光接続(ボード間接続、パッケージ間接続、ダイ間接続)向けの開発を進めています。ボード間を光接続する光電融合デバイスとハードウェアリソースを効率的に利用する技術を組み込むことで電力効率を最大で8倍とするIOWN光コンピューティングを実現します。 | ボード間接続用の光電融合デバイス |
-大容量光伝送基盤を実現する要素技術の1つであるマルチコア光ファイバの研究を進めています。当社は、マルチコア構造にて隣接する3つのコア間の光結合を利用することで、異なる光の種類(モード)の光信号同士の結合を世界で初めて成功しました。本技術により、光ファイバの細さを維持しながら、より少ないコア数で10以上の空間多重と結合状態を両立することが可能となり、既存光ファイバと比較して10倍超の大容量化を可能とするマルチコア光ファイバ設計に新たな選択肢が加わりました。
○ さまざまな産業への技術の展開・課題解決
-光量子コンピュータ等の早期実現をめざし、2025年1月に東京大学と共同で、従来の1,000倍以上の速度で光量子もつれを生成・観測することに成功しました。量子もつれは量子技術の基盤となる重要な要素であり、その生成速度の向上により、従来の量子コンピュータの演算速度の制約を克服し、物理的な規模拡大に加え、高速化による計算能力の飛躍的な拡大を加速します。これにより、創薬や金融リスク評価、物流の最適化など、多岐にわたる分野での応用が進み、社会全体の技術革新に貢献することが期待されます。 | 光量子コンピュータを構成する光源 |
-AI同士の議論により多様な視点から解を導くことをめざすAIコンステレーションを活用し、地域社会の課題に対してAIと共に議論する市民参加型ワークショップを開催しました。実社会においては、課題の複雑性や立場の違いによって多様な意見が存在し、多角的な議論が求められます。ワークショップでは、AIコンステレーションにより人間同士の議論がより深まるかを検証しました。今後も地域におけるコミュニティ支援や企業における意思決定支援など、さまざまな分野への応用に取り組んでいきます。
-2024年6月、宇宙技術の発展や政府の宇宙戦略推進を背景に、宇宙ビジネスの拡大をめざし、新ブランド「NTT C89(エヌ・ティ・ティ シー・エイティ・ナイン)」を立ち上げました。本ブランドのもと、NTTグループの宇宙関連事業を統合し、事業拡大と市場開拓を推進しています。NTTグループは、スカパーJSAT株式会社と共同で構想した「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の実現に向け、自社の技術的な強みを活かし自前 | NTT C89(各事業の有機的な結合・展開イメージ) |
化をめざす領域と、新たな技術開発を行いつつパートナーとの連携でサービス化を加速する領域を戦略的に分け、それぞれの領域において、市場創造・拡大をけん引する事業開発と技術開発の両方を実行していきます。今後は、HAPSを活用した通信サービスや、観測衛星データを活用した新サービス、海外パートナーとの連携によるブロードバンド事業などを展開し、宇宙産業全体の発展に貢献していきます。
当連結会計年度における各セグメントの研究開発の概要は、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 摘 要 |
総合ICT事業 | 129,115 | 通信事業の競争力強化に向けた移動・固定が融合した高品質かつ経済的な高機能ネットワーク、及びスマートライフ事業の拡大をめざしたサービスやデバイスの分野におけるイノベーション創出、さらにソリューション事業領域拡大に向け、ソフトウェア開発力強化によるデータドリブン・ESG経営を支える研究開発等 |
地域通信事業 | 85,179 | IP・ブロードバンド化の進展、ユーザニーズの多様化に対応するアクセスサービスの拡充及び付加価値の高いサービスの研究開発等 |
グローバル・ソリューション事業 | 28,258 | グローバル・ソリューション、システムインテグレーションの競争力強化に向けた技術開発等 |
その他 (不動産、エネルギー等) | 145,644 | ICT社会の発展を支える高度なネットワークと新サービスを実現する基盤技術や、環境負荷低減に貢献する技術、通信・情報分野に大きな技術革新をもたらす新原理・新部品・新素材技術に関する研究開発等 |
小計 | 388,196 |
|
セグメント間取引消去 | 119,527 |
|
合計 | 268,669 |
|
上表の研究開発費用は、基礎的・基盤的研究から実用化研究開発までに係る費用を示しています。
当社が開発した技術のビジネス展開にあたっては、サービス・製品化を図る必要がありますが、このサービス開発に関する設備投資・費用※は2,389億円であり、研究開発費用との合計については、5,076億円となっております。
※ サービス開発・機能追加に必要となる固定資産(ハードウェア、ソフトウェア等)への投資額や、サービス開発に要した人件費、委託費等が含まれています。
なお、当事業年度において当社が要した基盤的研究開発費用の総額は1,259億円(前期比1.9%増)となり、基盤的研究開発収入1,170億円(前期比0.0%増)を得ました。
- 検索
- 業種別業績ランキング