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星1つ 企業日立金属  企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、株主・投資家の皆様、ビジネスパートナーの皆様等当社グループを取り巻くステークホルダーとの関係を築きながら、より良い社会の実現に貢献するために、社会的責任を自覚した企業活動を行うことを基本方針としております。そのために、基盤技術の高度化と新技術への挑戦によって新製品・新事業を創出し、新たな価値を社会に提供してまいります。製品の開発、製造に当たっては、次世代に引き継ぐ環境に配慮した企業活動を促進いたします。さらに、企業情報の適時かつ適切な開示、地域社会への貢献等を通じて社会とのコミュニケーションを推進して、より広範な社会の視点を経営に反映し、社会との信頼関係を築きます。当社グループは、これらの企業活動を通して企業価値の向上につなげてまいります。

(2)対処すべき課題

①製品の品質に関する不適切行為について

 当社は、当社及び子会社で製造する製品の一部に、お客さまに提出する検査成績書に不適切な数値の記載が行われていた等の事実が判明したことを受け、2020年4月に外部の専門家により構成される特別調査委員会を設置し、事実確認と原因究明等の調査を実施しました。また、同委員会の調査完了後、一部拠点で詳細調査を継続(以下「本件継続調査」といいます。)しました。これらの調査の結果、当社及び子会社の磁石製品、特殊鋼製品、自動車鋳物製品等において、お客さまと取り決めた仕様で定められた特性について、その検査結果を書き換える等の不適切行為が行われ、お客さまと取り決めた仕様を満たさない製品等が納入されていたことが確認されました。

 このような不適切行為により、お客さま、株主さま等、ステークホルダーの皆さまに多大なるご迷惑をおかけしたことを改めて深くお詫び申し上げます。当社グループでは、後述の再発防止策を最優先課題とし、全力を挙げてその実行に取り組んでおります。当社グループの製品・サービスが社会の幅広い分野で使用されていることを常に心に刻み、あらゆる場面で誠実さを貫く会社に生まれ変わることにより、再び信頼を取り戻せるよう努力を続けてまいります。

〔再発防止策の進捗状況について〕

 当社は、2021年4月1日付で、外部専門家2名及び当社最高品質責任者(CQO(Chief Quality Officer))で構成される品質コンプライアンス委員会を取締役会の諮問機関として設置いたしました。当該委員会は、設置以降、2022年3月31日までに26回開催され、当該委員会の下で、再発防止策の実施及び効果の検証等を実施しております。現在の各再発防止策の進捗状況は、以下のとおりです。

(ア)品質重視に向けた意識改革と行動の変革

a. 品質コンプライアンスに関する社員の理解を高め、変革の実効性を確保するために、経営幹部による品質コンプライアンスに関するメッセージ発信や品質に係るタウンホールミーティングを継続的に実施しております。併せて、2021年度から、管理職の人事評価において「至誠(インテグリティ、誠実さ、正直さ)」を評価項目に加える等の取組みも行っております。

b. 品質保証に関する判断・行動の基準を明確にし、品質保証に関する問題が発見された場合等の報告における透明性を高めるため、2020年12月に品質保証関連規則を再整備し運用しております。また、工程変更管理プロセスや設計・開発プロセス、異常処置プロセスなどの主要な品質マネジメントシステムに関する細則の整備も進めております。

c. 「品質コンプライアンスの日(4月27日)」及び「品質コンプライアンス強化月間(4月)」を定め、教育の実施や職場内対話の場の設定等により、全社員の品質コンプライアンス意識の向上を図っております。さらに、実効性ある社員教育を計画的・継続的に実施するために、階層別教育のプログラムとして品質コンプライアンスを追加しました。

d. 当社は、品質コンプライアンス違反が確認された場合に厳正な処分を行う仕組みを整備し、運用しております。また、品質コンプライアンス違反について厳正な姿勢で臨むことに加え、内部通報制度を教育機会等を通じて社員に周知しております。

(イ)品質保証体制の抜本的な改善と基盤強化

2020年6月にCQOを新設し、CQO及び品質保証本部長は品質に関するリスクを認識した際に製品の出荷の中止を命じる権限及び責任があることを社内規則において明確化するとともに、品質保証部門の人員を増員するなど、品質保証体制の強化を推進しております。そして、2021年4月1日付で国内外のグループ会社の品質保証部門を当該会社の社長直属組織とするとともに、国内のグループ会社の品質保証部門長を当社品質保証本部へ兼務出向とすることで、品質保証部門の独立性を強化いたしました。また、品質保証部門及びその他の部門について事業部門間での人事ローテーションを計画的に実施しております。加えて、2020年12月に全社SQ(Safety & Quality)会議を新設し、毎月、関連する当社執行役、事業所長・工場長及びグループ会社社長等が安全衛生及び品質管理に対する方針並びに重要課題を共有し取り組む体制を構築しました。

(ウ)品質管理プロセスの改善

a. 全社品質活動理念の制定及び営業規則の改訂を実施し、これらを品質管理プロセスに関連する明確な全社細則、お客さまとの仕様取決めのガイドラインとするとともに、これらを社内で周知徹底することで、新規受注時の決定プロセスの強化を進めております。

b. 各拠点において、安定して量産可能な工程能力、生産能力を継続的に確認、改善していく体制の構築を進めております。また、工程を改善するための取り組みとして、工程の4M(Man、Machine、Material、Method)のばらつきを低減する活動を開始しました。

c. 特別調査委員会の調査報告書では検査結果の書き換えが可能なシステム等の存在が確認されておりましたが、現在、それらについては書き換え不可能なシステムに変更いたしました。また、2024年頃までに、総計約100億円を投じて、検査データの適切な生成・管理を自動的に行うことができるシステムを構築する予定です。2021年度は約7億円を投じ、各拠点に順次導入を開始しております。

(エ)品質コンプライアンスに関するモニタリング及び内部通報制度の強化

2021年7月に品質保証本部による内部監査(整合性監査)の仕組みを見直しました。2022年度第2四半期から見直し後の仕組みにより整合性監査を進める方針です。また、監査室による品質保証本部に対する監査を実施しております。さらに、監査委員会及び取締役会によるモニタリングも強化しております。

(オ)本件継続調査に基づく再発防止策

 本件継続調査で確認された不適切行為について、特別調査委員会による調査で確認された原因の多くが当てはまることを踏まえ、追加的な施策として、より風通しの良い企業風土を構築し、情報共有を活発化させるとともに、当社製品についての教育や施策の改善等の再発防止策を追加的に策定し実行しております。

②事業計画とその進捗

2020年10月に当社グループは、早期の業績改善に向けてコスト構造改革を実行するとともに、将来の成長投資の原資を確保できる収益基盤への変革をめざし、2022年度までの事業計画を公表しました。

 この事業計画のもと、2021年度は「飛躍のための力をつける-Set to Grow-」をスローガンに掲げ、将来の成長に向けた諸施策を実行しました。特にコスト構造改革と損益分岐点の引き下げにより、需要変動に強い筋肉質な収益構造を構築することに注力しました。この結果、2021年度の業績は自動車関連や半導体関連の需要回復等に加え、収益構造が強化されたことにより黒字転換を果たしました。

2022年度は、「変革と成長を加速する -Accelerating Transformation and Growth-」をスローガンに掲げ、以下に注力します。

A. 安全文化の構築

B. 至誠(インテグリティ、誠実さ、正直さ)の実践

C. 成長のための経営基盤のさらなる強化

  C-1 収益性の改善とキャッシュ・フローの確保

  C-2 モノづくり力強化と資本効率の向上

D. 環境経営の推進

 こうした取り組みにより当社グループは、将来の成長のための投資資金を創出できる事業構造を構築し、中長期的なめざす姿である「持続可能な社会を支える高機能材料会社」に向かって前進してまいります。

③気候変動への取り組み

「パリ協定」に基づく世界各国の気候変動への取り組みが加速する中、2020年10月に日本政府が2050年までに二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとの政策目標を表明するなど、脱炭素社会への移行に向け、企業にもこれまで以上の積極的な取り組みが期待されております。こうした認識のもと当社グループでは、CO2排出量*1目標を以下のとおり掲げました。

 中期目標:2030年度38%削減(2015年度*2対比)

 長期目標:2050年度実質排出量ゼロ(カーボンニュートラル)をめざす

*1:Scope1(自社によるCO2の直接排出)とScope2(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の絶対量合計値

*2:2015年度CO2排出量 2,779千t CO2/年

 当社グループは「持続可能な社会を支える高機能材料会社」をめざしており、その事業運営に伴うCO2排出量の削減に加え、先進的な素材を開発してお客さまに提供することにより、社会におけるCO2排出量削減に貢献することが重要と考えております。そのため、環境に配慮して設計した製品のうち、経営戦略上伸長を期待し、かつ気候変動、資源の有効利用等の環境課題の解決に高い貢献度を有する製品を「環境親和型重点製品」と位置づけ、その売上収益比率の拡大を推進しております。

 また、当社は2021年6月に気候変動への取り組みの開示に関する提言である「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同を表明しており、この提言に基づいた情報開示を継続的に実施するため、気候変動が事業及び財務に与える影響についてのシナリオ分析、対応施策の検証等を推進しております。2022年5月には当社として初めてTCFD提言に基づく情報開示を行いました。

 なお、今後、株式会社BCJ-52による当社の普通株式に対する公開買付け等(以下「本公開買付け」といいます。)が予定されています。本公開買付け及びその後に予定される一連の取引により、同社は当社を完全子会社とすることを企図しております。これにより、当社は日立グループから離脱し、当社普通株式は上場廃止となる予定です。日立グループからの離脱により、株式会社日立製作所のポートフォリオ戦略の制約を受けることなく、我々独自の成長戦略を描くことができるようになります。また、非上場化することによって、長期的視点での戦略立案や、大規模な投資、大胆な改革を、スピード感を持って実行することができます。当社は、新パートナーの持つグローバルな知見やネットワークを生かした投資機会の探索や資金獲得、成長戦略の立案と実行を通じて、急速な市場環境の変化にさらにスピーディーかつ高いレベルで対応することにより競争力と収益力を回復させ、持続的な成長と企業価値の向上をめざしてまいります。

(注)株式会社BCJ-52は、合同会社BCJ-51(以下「公開買付者親会社」といいます。)の完全子会社であり、当社株式の全てを所有し、当社の事業活動を支配及び管理することを主たる目的として2021年4月23日に設立された株式会社です。Bain Capital Private Equity, LP及びそのグループ(以下、総称して「ベインキャピタル」といいます。)が投資助言を行う投資ファンドが公開買付者親会社の発行済株式の全てを間接的に所有していますが、公開買付者親会社は、本公開買付けに係る決済開始日前に、ベインキャピタルによって保有・運営されているファンド、日本産業パートナーズ株式会社(以下「JIP」といいます。)が管理・運営・情報提供等を行うファンド、及びジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社(以下「JIS」といいます。)が運営を行うファンドからの出資(以下、総称して「本出資」といいます。)を受けることを予定しており、本出資後は、ベインキャピタルが投資助言を行う投資ファンド、JIPが管理・運営・情報提供等を行うファンド、及びJISが運営を行うファンドが公開買付者親会社の発行済株式の全てを間接的に所有する予定です。

(3)目標とする経営指標

2022年度計画値:調整後営業利益700億円

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