企業兼大株主日野自動車東証プライム:7205】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 日野グループは、HINO基本理念において「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」を会社の使命とし、人流・物流の課題の解決を通じて、持続可能な社会の実現に貢献しています。

 技術・技能の継承と創造・革新・改善を続け、安全かつ高品質で、お客様のビジネスのお役に立つ商品・サービスを提供しています。

 また、物流と人流を支える事業活動を通じて、お客様・社会の課題解決に積極的に取り組んでいます。

 2022年3月に確認、公表したエンジン認証申請における不正行為においては、お客様、仕入先様はじめ、全てのステークホルダーにご迷惑をお掛けしました。信頼回復に向けた、抜本的な再発防止および、コンプライアンス・ファーストの企業体質再構築に取り組んでおります。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(日本)

[最近の新製品、新技術]

(1) 持続可能な豊かで住みよい街づくりに貢献する新たな取り組みとして、ごみ収集業界向けソリューションサービスの提供を開始いたしました。また、神奈川県葉山町にて、本サービスの提供を開始しています。私たちの暮らしを支えるごみ収集業務は、人口減少や高齢化を背景とした人手不足に加え、収集漏れの際の確認作業に多くの時間を要するといった作業負担に関する課題を抱えています。また、その運用体制や管理システムは各自治体が独自に最適化しているため、業界全体として効率的・抜本的な業務改善が進みにくくなっています。このような課題の解決に向け、株式会社ユニ・トランド(以下 ユニ・トランド)と協業し、ごみ収集に特化した作業車両の動態管理サービスを開発しました。本サービスでは、ごみ収集車両に専用の機器を取り付けることで位置情報を取得し、走行ルートを地図上にリアルタイムで記録します。これにより、あらかじめ設定したルートと実際の走行ルートの対比や未収集のエリアを可視化でき、システムを通して現場と管理者の迅速かつ正確な情報共有が可能となります。また、オプションとして、集めたデータを日野、ユニ・トランドの両社が分析し、作業員の配置や収集ルートの見直しをサポートすることで、さらなる業務の効率化に貢献します。日野は、地域の皆様と実証実験等を行いながら、持続可能なソリューションを検討してきました。今後も、お客様に寄り添った課題解決に貢献していきます。

(2) 中型トラック「日野レンジャー」を一部改良し発売しました。今回の改良では、サイトアラウンドモニターシステム(SAMS)に、従来から搭載済みの出会い頭警報※(FCTA)に加え、左折時に左側方の移動物を検知する左折巻き込み警報(BSIS)および、車線変更時にミラーでは確認しにくい左右側方の移動物を検知する車線変更警報(BSD)を新規追加しました。これにより、右左折時や車線変更時に衝突の危険性が高まった際、ブザー音とピラー部の表示灯でドライバーに注意を促すことで、安全運転のサポートを行います。これらは全て標準装備となります。また、法規対応としてバックカメラ・モニターを標準装備しています。

(3) 中型観光バス「日野メルファ」を一部改良し、発売しました。今回の改良では、法規対応としてバックカメラ・モニターを標準装備しています。

(4) 大型トラック「日野プロフィア」を一部改良し、発売しました。今回の改良では、サイトアラウンドモニターシステム(SAMS)に、従来から搭載済みの出会い頭警報(FCTA)に加え、左折時に左側方の移動物を検知する左折巻き込み警報(BSIS)および、車線変更時にミラーでは確認しにくい左右側方の移動物を検知する車線変更警報(BSD)を新規追加しました。また、法定3要素(時間・距離・速度)の記録に特化した小型かつシンプルなデジタルタコグラフや、法規対応としてバックカメラ・モニターを装備しています。これらは全て標準装備となります。加えて、Pro Shift 12搭載車は、23年モデルからさらに変速制御を最適化しています。

(5) 小型BEVトラック「日野デュトロ Z EV」を一部改良し、発売しました。超低床・前輪駆動小型BEVトラック「日野デュトロ Z EV」は、2022年6月の販売開始から主に「物流のラストワンマイル」の現場を支え、ドライバーの疲労負担軽減やカーボンニュートラルに貢献してきました。今回の改良では、従来モデルをご使用いただいたお客様ならではの声をスピーディーに反映し、物流現場での使い勝手をさらに高めています。日野は今後もお客様目線で課題を捉え、物流現場における使い勝手の良い製品を投入することで、お客様に貢献し、豊かで住みよい持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

■改良点

1.標準設定

・荷台後扉へのスマートエントリーシステム導入(ウォークスルーバンのみ)

 ポケットなどに携帯していれば、キーを取り出さずにドアの施錠・解錠ができるスマートエントリーシステム

 をウォークスルーバンの荷台後扉にも導入、荷台開閉時の手間を削減。

・ルームミラーモニター表示設定変更

 イグニッション(モーターを始動する装置、以下I/G) OFF時のルームミラーモニター表示状態の記憶が可能

 に。従来のモニター表示は、I/Gを再起動すると常に非表示となる仕様だったが、今回の改良によって、I/G OFF

 時にモニターを表示していた場合は再起動時もモニターが表示され、モニター表示のスイッチ操作が不要とな

 る。

・スイッチレイアウト変更

 使用頻度に合わせたスイッチ位置に変更することで、ドライバーの使い勝手をサポート。ウォークスルーバン

 では、使用頻度の高い「庫内灯」スイッチを運転席から自然に手の届く位置に変更している。(アルミバンの庫

 内灯スイッチは庫内にのみ設定)

・ラジオアンテナ長の短縮

 アンテナの長さを短縮することで、高さのない駐車場への進入時などアンテナを横に倒す際にも、車両からの

 はみだし幅を抑えることができ、他車両や障害物への干渉を改善する。

・法規対応

 側面衝突時の乗員保護や感電防止の対策などを実施

2.オプション設定

・車両後方部への普通充電口移設(ウォークスルーバンのみ)

 車両前面にある普通充電口は、車両右側リヤタイヤ後部に移設可能(急速充電口はいずれの場合も車両前

 面)。お客様の使用環境に合わせて車両後方からの充電ニーズにも対応。なお、電動商用車および充電器などの

 周辺機器の導入や、安心かつ効率的な稼働のために重要なエネルギーマネジメントは、日野のグループ会社であ

 るCUBE-LINXのソリューションを引き続きご利用いただけます。

(6) 持続可能な豊かで住みよい街づくりに貢献する取り組みとして、2024年4月に提供開始したごみ収集業界向けソリューション「GOMIRUTO(ごみると)」に、「タスク管理サービス」を追加しました。事業系ごみ※の収集運搬においては、ごみの種類や量に基づいて料金が定められる場合が多く、顧客別・品目別の収集量を早く正確に把握することが求められています。しかしながら、それらの情報を紙のリストに記入している収集現場がまだまだ多いため、事業者は「ドライバーによる記入作業に手間がかかる」、「事務所での集計作業に時間がかかり、入力ミスが発生しやすい」といった困りごとを抱えています。「GOMIRUTO」では、これまで位置情報を軸とした動態管理サービスを提供してきましたが、顧客ごとに定められた作業内容や収集量、その日の訪問リストといった"収集タスク情報"の記録と伝達を支援する「タスク管理サービス」を追加することにより、事業系ごみ収集に関する課題解決に貢献します。

  「タスク管理サービス」では、"収集タスク情報"を従来の紙への記入からタブレットでの入力、またはごみ収集車両に搭載された重量センサーとの連携による自動入力に置き換えることで、収集現場の作業負担を軽減します。また収集現場で入力された情報は、事務所や他ドライバーにリアルタイムで共有されるため、情報待ちによる事務作業の停滞や手作業による入力ミスを解消するとともに、ドライバー間の相互応援も促進し、事業系ごみ収集全体の業務品質向上と効率化を実現します。

  ※会社や店舗などが事業活動を行うことにより発生するごみ

(7) バッテリーEV(BEV)フルフラット路線バス「日野ブルーリボン Z(ズィー) EV」を、発売しました。「日野ブルーリボン Z EV」は、バッテリーとモーターによる走行で、排気ガス・CO2を排出しないゼロエミッションを実現しています。低騒音・低振動のスムーズな走りは、お客様の快適性向上だけではなく、ドライバーの運転疲労軽減にも寄与します。小型化したバッテリーは屋根上および最後部の座席下に収納、また、リヤアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「ハブモーター付きドロップアクスル」を採用することで、最前部から最後席までステップがないバリアフリーのフルフラットフロアを実現しました。これにより、段差を気にすることなくすべての客席にアクセスが可能となり、お客様の利便性や安全性が大幅に向上しました。

 また、「日野ブルーリボン Z EV」では、日野のグループ会社であるCUBE-LINXが提供する、商用電動車の導入・利用に関するワンストップサービス「エモぷらっと」をご利用いただけます。本車両の運行にあたり必要な充電器や電力設備、工事手配はもちろんのこと、建物側と合わせた電力の視える化やCO2の削減など、お客様の稼働をサポートします。

<車両の特長>

1.フルフラットフロア

 リヤアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「ハブモーター付きドロップアクスル」を採用し、フロアを低床化しました。また、高電圧バッテリーパックを車両の屋根上と最後部の座席下に分散して配置することで、フロアレイアウトの自由度を高め、最後部席まで段差のないバリアフリー化を実現しています。

2.航続距離

 ディーゼルエンジンモデルの「日野ブルーリボン」と同等の動力性能を確保しながら、路線バスで使用される航続距離をカバーしています※1。バッテリー充電は国内主流の350Vで充電できる高電圧バッテリーを採用し、3.2時間※2で20%の残量から80%まで充電が可能です。

3.外部給電

  「日野ブルーリボン Z EV」と、電力を取り出す外部給電器(別売)を接続することで家庭用電源として使用可能になり、災害などによる非常時には救援車として電力供給を行うことができます。(V2L機能※3)

4.安全機能

 事故の抑制に貢献するフロントブラインドスポットモニター※4を装備し、死角になりやすい車両直前の歩行者や自転車を検知し、自車と近づくと警告表示でドライバーに注意喚起を行います。また、衝突の可能性があると判断した場合、警告表示に加え、シートバイブレーターで注意を促します。

  EDSS※5による緊急停車時には、電動パーキングブレーキが自動で作動する機能を採用し、坂路などでの緊急停車時の安全性が向上しました。

※1 航続距離は、外気温、冷暖房の使用、乗車人数などの影響により短くなります

※2 急速充電(CHAdeMO Ver1.0), 外気温20℃・充電出力50kwの場合

※3 Vehicle to Loadの略称。日本国内の主流の規格(EVPS-004:2014)に対応

※4 自車速10km/h以下 警報対象速度:歩行者3~5km/h 自転車3~10km/hで作動

※5 Emergency Driving Stop System/ドライバー異常時対応システム

(8) 国産で唯一の小型ノンステップバス「日野ポンチョ」を一部改良し、発売しました。今回の改良では、法規対応としてバックカメラ・モニターを標準装備しています。「日野ポンチョ」は広いフルフラットエリアを持つ小型ノンステップバスです。前後のオーバーハングが短く小回り性能に優れるため狭い道でもスムーズに走行でき、全国でコミュニティバスとして数多く採用されています。

[最近の主な成果]

(1) 2023年7月に提供を開始した「自家用有償旅客運送の運行管理受託サービス」の拡充に向け、通信型ドライブレコーダーを用いた運行管理業務の実証実験を実施しました。

1.実証実験の背景・狙い

 少子高齢化や人口減少により、特に地方部においては公共交通の維持が困難になるなど、人の移動を取り巻く環境は厳しいものになっています。これに伴い、内閣官房が実施するデジタル行財政改革会議にて、従来の自家用有償旅客運送制度(自治体ライドシェア)を利用しやすい制度へ改善することを決定し、2024年4月までに現行制度の一部改善や改正等が実施されています。

 日野は、自家用有償旅客運送における働き方の改善や交通空白地の解消を目指した取り組みを推進するため、通信型ドライブレコーダーを用いた運行管理業務の実証実験を実施します。本実証では、乗務前後の法定業務だけではなく、運転・運行状況の見える化を実現することで、自家用有償旅客運送に従事するドライバーとの連携強化を図るとともに、蓄積したデータをもとにした安心・安全な運行のサポートを目指します。

2.実証実験の概要

・期 間 :2024年7月1日~2025年1月(約6ヵ月)

・場 所 :石川県小松市、鳥取県智頭町、兵庫県朝来市

・台 数 :2台(小松市)、3台(智頭町)、2台(朝来市)

3.実証実験の内容

(1)通信型ドライブレコーダーを搭載

 株式会社プレミア・ブライトコネクト(以下 プレミア・ブライトコネクト社)と連携し、同社が提供している通信型ドライブレコーダーを車両に搭載。本ドライブレコーダーはGPSやみちびき、GLONASSといった測位システムに対応し、精度の高い位置情報の測位および速度を算出することで、ドライバーの走行状況を運行管理者がリアルタイムで把握。また、急挙動を検知した場合、音声にてドライバーへ注意と警告を促す。

(2)イベントの記録・日報の作成

 ドライブレコーダーで取得したさまざまな運行・運転データをクラウドサーバー上に保存し、トラブルや事故、急挙動が発生した位置情報や速度のほか、発生時の静止画やその前後の動画を運行管理者が即座に確認可能。また、車両やドライバーの情報、運転経路、運転評価、走行履歴などを自動で作成し、運行状況を見える化と業務を効率化。蓄積された運行・運転データは、ドライバー講習や運営主体への助言にも活用。

(3)スマホアプリ「Pdrive DRV」、「Pdrive MGR」との連携

 プレミア・ブライトコネクト社より提供されているアプリと連携し、安全運転診断ほか、クラウドにアップロードされた映像を確認することも可能。

(2) 新東名高速道路で大型トラックを用いた自動運転技術の公道実証を開始

 豊田通商株式会社(以下:豊田通商)、先進モビリティ株式会社(以下:先進モビリティ)、日本工営株

 式会社(以下:日本工営)、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(以下:みずほリサーチ&テクノロジー

 ズ)の 4 社は、「自動運転レベル 4※1等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to

the L4)」の「高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組み(テーマ3)」※2を 2021 年度に経

 済産業省および国土交通省から受託するとともに、直近では国土交通省事業「高速道路における路車協調による

 自動運転トラックの実証実験」※3 の実験車両協力者として採択されるなど、自動運転レベル4トラックの社会

 実装に向けて取り組んでいます。

 このたび、日野自動車株式会社(以下:日野)は、いすゞ自動車株式会社(以下:いすゞ)、三菱ふそうトラ

 ック・バス株式会社(以下:三菱ふそう)、UDトラックス株式会社(以下:UDトラックス)の商用車メーカ

 とともに、新東名高速道路で自動運転技術を用いた大型トラックによる走行実証を、実施しました。

1. プロジェクトの経緯と目的

 ドライバー不足などの社会課題解決に向け、本プロジェクトの受託者である 4 社は、メーカー4 社および物流事業者をはじめとする関係者とともに、官民一体で 2026 年度以降の幹線道路における自動運転トラックの社会実装を目指しています。これまで、経済産業省および国土交通省による「トラック隊列走行の社会実装に向けた実証」※4(2016~2020 年度)を行い、後続車の運転席を無人とした状態でのトラックの隊列走行技術を実現しました。現在実施中の 2021 年度から 2025 年度における取り組みにおいては、高速道路周辺の物流施設やサービスエリア・パーキングエリアなどの中継エリア間における単独での無人走行の実現を目指し、その際に必要な外部インフラ機器からの支援、監視・管理などの運用、車両機能の検証を行っています。

2. 実証の概要

 今回の実証では、新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリア~浜松サービスエリア間において、自動運転を社会実装する際に必要となる、複数の機能の確認や検証を個別に行います。具体的には、出発・到着地点において自動で発車・駐車を行う自動発着システムや、緊急時に停止するための制動機能をはじめ、道路周辺に設置されている ITS スポット※5 などの路側機器から発信される故障車や落下物情報等の有用性、走行時の遠隔監視機能などを確認・検証していきます。

3. 今後の取り組み

 今回の実証における評価結果を踏まえ、本プロジェクトの最終年度となる 2025 年度は、サービスエリアでの発車から本線の合流・車線変更、目的地点への駐車までを、より実際の走行に近い形で検証する予定です。また、今後は経済産業省が主導する「デジタルライフライン全国総合整備計画」におけるアーリーハーベストプロジェクト「自動運転サービス支援道の設定」※6 の一つである、自動運転車優先レーンを活用した実証実験を実施していく予定です。

※1 自動運転レベル 4 とは、特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態と定義されている。

(参考)国土交通省 HP:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001377364.pdf

※2 無人自動運転サービスの実現および普及に向けて、4つの取り組み(テーマ 1~4)が設定されており、「高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組み(テーマ3)」はそのうちの一つ。

(参考)経済産業省 HP:

  https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/Automated-driving/automated-driving.html

※3 国土交通省 HP: https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001845.html

※4 国土交通省 HP:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000362.html

※5 ITS(Intelligent Transport Systems)。交通情報を提供するためのインフラで、道路上に設置された情報通信装置。ドライバーはリアルタイムの交通情報や安全情報を受け取ることができる。

※6 経済産業省 HP: https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline.html

(3) 大成ロテック株式会社(以下 大成ロテック)と日野自動車株式会社(以下 日野)は、次世代道路技術の早期実装を目指した取り組みを開始しました。大成ロテックは、新たな舗装技術の研究・開発から実用化・普及までの期間を大幅に短縮し、カーボンニュートラルや長寿命化など、わが国の課題解決に資する舗装技術を早期に社会実装することを目指し、福島県田村市に舗装の耐久性を評価する走路(以下、舗装評価路)を新しく建設しました。日野は、CASE※1技術を活用したお客様起点のソリューションの実現を目指し、舗装評価路にて自動運転荷重車両(自動運転レベル4相当※2)の無人走行試験を開始しました。両社は、舗装評価路において自動運転荷重車両の運行テストを重ね、2025年夏頃をめどに5台の自動運転荷重車両の無人運行による舗装の耐久性試験※3を実施することを目指します。5台の自動運転荷重車両による24時間連続稼働は国内で初めてで、舗装の耐久性を短期間で評価できるほか、省人化による生産性向上に寄与します。

■施設について

 舗装評価路は、舗装の耐久性を短期間で評価できる国内民間企業初の施設です。効率的な運用を行うため、舗装

 評価路に近接して自動運転荷重車両の駐車と点検・整備を行う"トラックヤード" と"給油施設"を備えていま

 す。

<研究施設の概要>

 所在地: 福島県田村市常葉町山根字宇藤1-9

 敷地面積: 約14.4ha

■自動運転荷重車両について

 今回使用する自動運転荷重車両は、ベース車両である大型トラック「日野プロフィア」に自動運転技術を搭載

 し、舗装評価路を40km/hで走行します。自動運転荷重車両の走行位置や経路をLiDAR※4、GNSS※5データ、カメ

 ラで把握し、通信による制御により安全な車間距離を保ち、人および障害物を検知すると停止します。また自動

 運転荷重車両は、トラックヤードからの入退場(舗装評価路からトラックヤード内部まで)を自動運転で移動し

 ます。

※1 C=Connected(コネクティッド・接続性)、A=Autonomous(自動運転)、S=Shared(シェアード・共有)、E=Electric(電動化)の頭文字からとった造語。新しい領域で技術革新、自動車業界を取り巻く変革の動き(トレンド)のこと

※2 限定領域内の無人走行を想定した自動運転

※3 舗装は交通荷重(自動車の輪荷重)を繰り返し受けることにより疲労破壊を生じ、舗装にひび割れが発生します。高速道路や国道、県道、市町村道などの道路に新たな技術を適用し、普及させるためには疲労破壊に至るまでの輪数を確認する必要があります。本施設では、実際に舗装上に大型車を走行させて、舗装にひび割れが発生し疲労破壊に至るまでに通過する輪数(疲労破壊輪数)を実験的に確認します。

※4 Light Detection And Ranging、周辺環境の立体的な様子を捉える技術や機器

※5 Global Navigation Satellite System、GPSなどの全地球衛星測位システム

(4) 苫小牧栗林運輸株式会社(以下 苫小牧栗林運輸)と日野自動車株式会社(以下 日野)と株式会社三井E&S(以下 三井E&S)は、国土交通省の令和5年度港湾技術開発制度である「コンテナヤード内横持トレーラー※1運行の高度化に関する技術開発」の実証実験を1月11日~13日に苫小牧港東港区苫小牧国際コンテナターミナルで実施しました。港湾では、物流の2024年問題を起点とする労働力不足の深刻化に加え、苫小牧港をはじめとする地方港においては作業者の高齢化も進行しており、労働環境の改善、安全性の向上、さらには次世代を担う若い働き手の確保が必要になっています。こうした課題解決に向け、苫小牧港での港湾物流を担う苫小牧栗林運輸、車両を提供する日野、コンテナターミナルマネジメントシステムを構築する三井E&Sの3社は、船から降ろしたコンテナの蔵置場所までの運搬および、蔵置場所から船積み場所までのコンテナ運搬を行う横持ちトレーラーの運行を高度化する実証実験を行いました。現在、港ではドライバーが紙の指示書に基づき車両運行を行っていますが、実証実験では運転補助機能※2付きの横持ちトレーラーがターミナルオペレーションシステム※3(以下 TOS)からの作業指示を受けて運行します。これにより、乗員は作業負担が軽減され、走行時の安全確保に集中することができます。このように高度化した運行を実際のオペレーションを通して実施し、以下の項目を検証することによって、開発した技術の作業性・有用性を確認しました。

■検証内容

・TOS、車両管制システム※4、車両のデータ連携

・ガントリークレーンやRTG※5といった港湾資機材への正着連携

・車外からの車両管制端末による車両前後調整やコンテナ向きの違いに対応する車両転回など実オペレーションに即した運用

■運転補助機能付き車両

 大型トラック「日野プロフィア」をベースにGNSS※6データや複数の3DLiDAR※7、白線検知カメラなどの運転補

 助機能を搭載しています。これらを複合的に活用することで、刻々と変化する港湾の環境においても自己位置把

 握や港湾機器への正着を可能にしました。

※1 ターミナル内のコンテナ移動に使われるトレーラー

※2 特定条件下においてシステムが全ての運転操作を実施する。搭乗した監視員が周辺安全監視を行うとともに、異常時にシステムからの警報に対して監視員が適切に対応する。

※3 コンテナの積み降ろし作業、搬入・搬出等を一元的に管理するシステム

※4 運転補助機能付き横持トレーラーの運行管理や目的地指示等の管制を行うシステム

※5 コンテナヤード内でコンテナの運搬(積み/降ろし)を行うクレーン

※6 Global Navigation Satellite System、GPSなどの全地球衛星測位システム

※7 Light Detection And Ranging、周辺環境の立体的な様子を捉える技術や機器

 以上、当連結会計年度の「日本」セグメントの研究開発費の総額は、53,643百万円であります。

(アジア)

 主にASEANを主な市場とする車両について、現地で商品化に向けた開発を行っております。

 当連結会計年度の「アジア」セグメントの研究開発費の総額は、1,311百万円であります。

(その他)

 該当事項はありません。

PR
検索