企業兼大株主JVCケンウッド東証プライム:6632】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

(1)経営方針

 当社グループは企業理念として「感動と安心を世界の人々へ」提供することを掲げています。経営方針、行動指針は以下のとおりです。

※当社グループの企業ビジョン「感動と安心を世界の人々へ」を企業理念として再定義しています。

(2)目標とする経営指標

 当社は、2023年度を開始年度とする中期経営計画「VISION2025」を2023年4月に策定しました。

「VISION2025」の中間年度にあたる当連結会計年度(2024年度)は、売上収益、事業利益、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)、ROIC(投下資本利益率)の最終年度目標を上回る実績を前倒しで達成しました。

2025年度は、関税影響により減収予想も、売上収益以外の目標達成を見込んでいます。

*上記目標数値は、当社が現在入手している情報をもとに、本有価証券報告書提出日現在における当社の判断に基づいて作成されたものであり、また、一定の前提(仮定)の下に作成されています。当社は、上記目標数値の達成を保証するものではなく、実際の結果は上記と大幅に異なる可能性があります。

*ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷期中平均親会社の所有者帰属持分×100

*ROIC(投下資本利益率)= (税引き後事業利益+持分法損益)÷投下資本(株主資本+有利子負債)

(3)経営環境・成長戦略

① 中期経営計画「VISION2025」について

 地政学リスク増大によるサプライチェーンの見直しや世界経済動向の不透明化等、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。当社はこうした事業環境の変化を踏まえて、今回新たに企業価値最大化の観点から2023年4月に「変革と成長」の基本戦略を強化した、2025年度を最終年度とする新中期経営計画「VISION2025」を2023年4月策定しました。

② 中期経営計画「VISION2025」の位置付け

 当社は企業理念として「感動と安心を世界の人々へ」提供することを掲げており、この理念の実現に向けて「たくましさ」と「したたかさ」を併せ持つエクセレント・カンパニーへの飛躍を目指しています。

「VISION2025」では「VISION2023」で掲げた基本戦略「変革と成長」をさらに進化させ、事業ポートフォリオを最適化することで成長モメンタムを加速し、企業価値最大化を目指していきます。

③ 中期経営計画「VISION2025」の基本戦略:「変革と成長」

<基本戦略>

「VISION2025」では、「変革と成長」を基本戦略とした事業ポートフォリオとキャピタル・アロケーションの最適化を図るとともにサステナビリティ経営を推進し、企業価値の最大化に向けて取り組んでいきます。

④ 企業価値の最大化に向けた事業ポートフォリオの最適化

「VISION2025」では企業価値最大化の観点で、中期的な事業の成長性と自社の資本効率性を考慮した資源配分を行い、事業ポートフォリオの最適化をさらに進め、持続的な企業価値と株主価値の向上に取り組んでいます。

※2023年度~2025年度の3カ年における売上成長率

*「VISION2025」中間年度の振り返り

「VISION2025」の中間年度にあたる当連結会計年度(2024年度)は、モビリティ&テレマティクスサービス分野、セーフティ&セキュリティ分野、エンタテインメント ソリューションズ分野の3分野全てが前連結会計年度比で増収となったことから、事業利益以下、親会社の所有者に帰属する当期利益までの段階損益は過去最高益となりました。

 これに伴い、全社の売上収益、事業利益、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)、ROIC(投下資本利益率)などの「VISION2025」で掲げた主要な経営指標については、最終年度の目標を上回る結果となりました。

「無線システム事業」 北米公共安全市場は引き続き堅調

 当連結会計年度(2024年度)は、成長牽引事業である無線システム事業が、世界的な需要増や新商品投入効果を主因とした受注高拡大により、受注残増加とともに受注残の出荷が進み、売上高は順調に拡大しました。

2025年度は、前年度を上回る受注を獲得し、引き続き成長軌道を維持する見込みです。

⑤ 財務戦略

<キャピタル・アロケーションの考え方>

「VISION2025」では、資本コストを上回る資本収益性の達成に向けて、利益成長を実現する営業キャッシュ・フロー創出に重点を置いた上で、成長投資、戦略投資等の使途を明確化して、キャピタル・アロケーションの最適化を図ります。

 成長投資には設備投資や経営基盤強化に向けた投資を、戦略投資には新規事業等への投資や株主還元、有利子負債返済を織り込んでいき、戦略的なキャピタル・アロケーションを実行していきます。

<株主還元方針について>

 当社は、安定的な利益還元及び今後の成長に向けて経営資源を確保することを経営上の最重要課題の一つと考え、収益力及び財務状況を総合的に考慮して、総還元性向を株主還元の指標としました。業績に応じた株主還元策とした配当に加え、中長期的な利益成長に向けた資本活用、資本効率性改善効果のバランスを踏まえつつ、機動的に自己株式取得を行い、総還元性向30~40%を目安に株主への安定的な利益還元を実施していく方針です。

 上記配当政策に基づき、当事業年度の中間配当は、2024年10月31日開催の取締役会で、2008年の経営統合以降初めての実施となる1株当たり5円(普通配当)といたしました。期末配当は、利益実績を踏まえ、2025年5月14日開催の取締役会で、1株当たり10円(普通配当)とすることを決議しました。なお、1株当たり15円の年間配当(約22.6億円)と約65億円(2025年6月完了分の約20億円を含む)の自己株式取得により、総還元性向は約43%となりました。

2025年度は、業績及び財務状況の向上に努め、年間配当予想を1株当たり18円(中間配当金:6円、期末配当金:12円)としています。

⑥ サステナビリティ戦略

 当社グループは、企業理念「感動と安心を世界の人々へ」に基づき、事業を通じてあらゆるステークホルダーの期待に応えていくことが重要だと考えます。社会から信頼され、社会に貢献する企業であり続けることは、企業としての持続的な成長にもつながると考えています。

「VISION2025」では、「利益ある成長」と「グローバルでの社会課題解決」を両輪とするサステナビリティ経営の推進活動をさらに深化させ、企業価値向上を目指します。

<サステナビリティ戦略の方向性>

E:環境への取り組み

環境負荷削減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献

S:社会への取り組み

イノベーションを実現する人材の育成及び組織能力強化と、

サステナビリティ調達の推進

G:ガバナンス

サステナビリティ経営を確実に実行する推進体制

持続的な企業価値向上に向けた取締役会実効性評価の継続的な取り組み

 当社グループのサステナビリティ戦略についての詳細は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社は前述の経営環境のもと、中期経営計画「VISION2025」で掲げた各種施策を継続推進することにより、最終年度である2025年度の経営目標達成を目指し、持続的な企業価値向上を強化していきます。

 上記の成長戦略を進めるにあたり当社が認識している対処すべき課題は以下のとおりです。

2025年度は、セーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業については、北米公共安全市場の堅調な需要の継続が見込まれ、当社は同市場での事業拡大を図るため人員増強などの先行投資を継続的に実施します。加えて、無線システム事業では2024年度の第4四半期連結会計期間に引き続き、2025年度の第1四半期連結会計期間以降にも部品供給不足による影響の発生が見込まれるため、この影響のミニマイズを図るべく様々な対策を実施していきます。また、モビリティ&テレマティクスサービス分野では、海外OEM事業、国内用品事業の堅調な販売を見込み、エンタテインメント ソリューションズ分野ではエンタテインメント事業のコンテンツビジネスの堅調な販売に加え、メディア事業で2024年度に実施した損失引当による効果の発現を見込んでおります。

 一方で米国の関税措置が当社グループの事業及び業績への影響を及ぼす可能性があります。当社の2025年3月期の全社売上収益に占める米国向けの比率は約25%であり、主に以下の事業・製品で構成されています。

モビリティ&テレマティクスサービス分野

 

ディスプレイオーディオ

オーディオ

スピーカー

 

セーフティ&セキュリティ分野

無線システム事業

 

業務用無線機

付属品

 

エンタテインメント ソリューションズ分野

メディア事業

 

ヘッドホン

イヤホン

プロジェクター

 

 当社は、当該関税措置が当社グループの事業及び業績へ与える影響を最小限とするべく、米国相互関税緊急対応プロジェクトを設置しました。このプロジェクトを軸に、短期的な施策として製品への価格転嫁や中国産品の販売抑制などを実施していきますが、モビリティ&テレマティクスサービス分野やエンタテインメント ソリューションズ分野においては、これらの施策による生産・販売数量の減少や米国及び中国の景気減速によるマイナス影響が想定されます。一方で、米国向けの構成比が大きいセーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業については、価格転嫁を中心とした施策によって現時点で想定される関税影響はほぼ吸収できる見込みです。

 これらの結果、2025年4月25日時点の当該関税措置による次期のマイナス影響額は、売上収益で130億円、事業利益で50億円と見込んでおります。

<ご参考>2025年4月25日時点の米国関税

国別

中国

145%

 

メキシコ

25%

3月4日発動 一部除外中

品目別

自動車関連

25%

4月3日発動(部品は5月3日発動予定)

全世界

相互関税

(一律関税10%を含む)

日本24%、マレーシア24%、
インドネシア32%、タイ36%

(一律関税10%を除き)90日間停止

(5)環境保全・社会貢献活動に向けた取り組み

 当社グループは、2021年度に環境ビジョンと環境基本方針を策定し、地球環境保全に対する基本的な考え方を示しました。2023年度には、環境基本方針の見直しを行い「JKグリーン2030」を策定し、「気候変動への対応」「資源の有効活用」「環境保全・管理」「生物多様性の保全」の4項目でそれぞれ目指すべきゴールを再設定しました。特に、気候変動への対応については、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、2030年に向けたScope1+2と3でそれぞれCO₂排出量削減の目標を設定しています。

「気候変動への対応」「資源の有効活用」の目標達成に向けた活動として、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001認証取得を継続するとともに、CO₂の排出量削減進捗管理、資源利用に関する目標達成進捗を定期的に評価し、事業活動における環境への影響を軽減または回避するために努力を続けています。

「環境保全・管理」「生物多様性の保全」に対して、自社及びサプライチェーンにおいて環境に配慮した方針の実現に向けて積極的に活動しています。活動事例として従業員に対する定期的な環境研修による啓発活動、環境法規制遵守に基づいた飛散性アスベストの除去及び保管している高濃度PCB汚染廃棄物も計画的に無害化処理を進める等の環境リスクの低減を推し進めています。

 製品開発においては、要素技術開発や商品設計に際してアセスメントを行う事によってRoHS(電気・電子機器における特定有害物質の使用規制)やREACH(化学物質の登録・評価・認可・制限・情報伝達に関するEU規則)等製品の有害化学物質管理や各国の法規制に対応しています。

 さらに、バリューチェーン全体におけるScope3(購入品の製造、輸送、販売した製品の使用等)のCO₂排出量削減及び環境負荷の低減を目指して製品の消費電力低減、プラスチック使用量削減、個装箱の小型化による積載効率の向上等にも取り組んでいます。

 また、社会貢献活動については、取り組みを通じて得られた知見や社会とのつながりが事業活動のさらなるレベルアップにつながると考えており、当社グループが有する社会課題を解決する製品を有効に活用しつつ、活動を展開しています。このような考えのもと持続可能な社会づくりのため、「災害対策への貢献」「健康と豊かな心や生活への貢献」「次世代育成への貢献」「地域コミュニティへの貢献」等の社会貢献活動の重点テーマとしています。これらの重点テーマは、当社グループの企業理念、中期経営計画「VISION2025」における事業戦略やマテリアリティの考え方と連動しており、社会貢献活動が当社グループの事業戦略と相乗効果を発揮できるよう取り組んでいます。

PR
検索