住友重機械工業
【東証プライム:6302】「機械」
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企業概要
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「強靭な事業体の構築」「製品・サービスを通じた社会課題解決への貢献」をめざし、成長分野への積極的な開発投資を行っております。「ロボティクス・自動化」「半導体」「先端医療機器」「環境・エネルギー」を重点領域とし、「既存商品の深化」及び「新規商品の探索」を強力に推進しております。また、「機種技術」「基盤技術」「未来商品技術」「生産技術」も強化を継続しております。
当連結会計年度の研究開発投資総額は337億円であり、セグメントごとの主な研究開発成果は次のとおりであります。
(1) メカトロニクス
減・変速機事業につきましては、操作性が向上した高性能なギヤモータ用インバータ「HF-620シリーズ」を市場投入しました。ダイヤルによるパラメータの設定、各種モニタの選択などが容易となり操作性が向上、カラー液晶のリモートオペレータ(オプション)を接続することで外部操作も可能となります。各種規格につきましても、品質・安全性を保証するEU指令やUL、cUL及びRoHS2指令に対応、通信プロトコルに関しましても、標準でModbus-RTU(RS485)通信、オプションユニット(CC1-CCL-H)の装着によりCC-Link にも対応できます。また、筐体部分にリサイクルグレードの樹脂を採用、さらに、誘導モータだけでなく高効率永久磁石モータの駆動ができるため、ランニングコスト削減と同時に省エネに貢献することができます。
また、減速機の技術とサーボ制御技術を組み合わせたAGV/AMR用ドライブソリューション「smartris(スマートリス)」用のコンパクトドライバにつきましても市場投入しました。本ドライバは、幅120mm、質量0.3kgと小型・軽量化を実現した製品であります。コンパクトでありながらノーマルドライバと同等の高性能を備え、AGV/AMRのさらなる省スペース・低床化に貢献いたします。
小型超精密XYステージにつきましては、大型基板に対応した「SA-GⅡ-950G2」を市場投入しました。従来のSA-GⅡシリーズに対し、一辺500mm以上の大型基板を搭載可能とし、インターポーザ基板や次世代ガラス基板に代表される半導体次世代パッケージ分野での微細化・生産性向上に貢献いたします。
サーボドライバにつきましては、高出力かつ高精度ドライバ「SDAM」を市場投入しました。最先端パワー半導体素子と適切な出力フィルタを組み合わせることで、高い停止安定性と位置決め応答時間を実現し、従来製品と同サイズとすることでラインナップを共通化しました。XYステージの高精度化・応答時間短縮に寄与し、半導体製造プロセスの効率化と生産性向上に貢献いたします。
レーザ装置につきましては、SiCアニール用SWA-22US/22USH、精密微細レーザ切断機SHSC600の3商品を市場投入しました。SWA-22USは今後市場ニーズが高まるSiCウエハの大判化(6インチ⇒8インチ化)を見越し、従来機SWA-20USの基本性能を維持しつつ8インチまでのウエハに対応可能であります。SWA-22USHは8インチ化に加え、ビームサイズを大きくする事で生産性を向上しました。従来機比約1.5倍(条件による)の生産性となり、お客様のCoO(Cost of Ownership≒ウエハ処理単価)低減に貢献いたします。SHSC600につきましては、微細切断市場を対象に、当社が保有する光ハンドリング技術、位置制御技術、システム化技術を組み合わせ、省フットプリントでありながら高速・高精度加工を実現する事が可能で、主に電気電子部品・半導体後工程を対象市場としております。
当該部門に係る研究開発費は43億円であります。
(2) インダストリアル マシナリー
プラスチック加工機械につきましては、複合成形による工程の短縮や、成形品の高機能化に対応した全電動二色成形機「SE-DU2-CI」「SE-HS2-CI」、安定したインサート成形を実現する全電動ロータリー式竪型成形機「SR-Z2」、並びにハイサイクル、フープ成形に適した全電動単動式竪型成形機「SV-M2」を、それぞれ市場投入しました。これらの製品は、新安全規格JIS B6711:2021(国際安全規格 ISO20430 2020)に適合しており、安全性確保により、人と設備を守り、顧客の事業活動の持続に寄与します。また、当社とSumitomo (SHI) Demag Plastics Machinery GmbHとの間の初めての共同開発プロジェクトの成果として、飲料容器のキャップ向け全電動成形機「PAC-E」を市場投入しました。同製品は、新たな潤滑システムの採用によるクリーン性と、新たな冷却システムの採用によるハイサイクル性を保有することに加えて、全電動による省エネ効果により、CO2削減に貢献します。
精密機器につきましては、4K-GM冷凍機と組み合わせて使用する水冷圧縮機ユニット「E-77A圧縮機」を市場投入しました。設置互換性を維持するため、部品増に対して構成部品の性能向上による小型化や形状見直しにより製品外形を維持した構成とし、機能面では、冷凍機及び圧縮機本体をインバータで駆動することにより、装置に必要な負荷に応じた出力で運転することができ、省エネへの貢献が期待されます。また、低振動が特徴であることから、近年注目される量子コンピュータの冷却装置である希釈冷凍機の予冷用途としても使用されているパルスチューブ冷凍機「RP-182シリーズ」のモデルチェンジを実施し、市場投入しました。本機は、従来機とのインターフェース互換性を維持しつつ、内部構造の見直しにより1段冷凍性能を約20%向上しました。また、クライオポンプの性能試験方法に関するISO規格の制定への貢献が評価され日本表面真空学会より2024年度「産業賞」を合同受賞しました。
医療分野につきましては、2015年より製造販売しているPET(Positron Emission Tomography: 陽電子放出断層撮影法)検査用のflorbetapir(18F)合成装置 (MPS200Aβ) について、既に承認を得ていた「アルツハイマー病による認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」に加え、アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を効能又は効果とする治療薬投与の要否判断を可能とする一部変更申請が承認されました。当社は、引き続きPET検査手法の一層の普及と利便性・適用範囲の拡大に注力してまいります。
金属加工分野につきましては、自動車ボディ骨格構造を革新する新たな成形プロセス「STAF(Steel Tube Air Forming)」が、令和6年度科学分野の文部科学大臣表彰において、「科学技術賞」を受賞しました。当社のSTAFは、フランジ構造接合や焼入れによる高強度化を達成することに十分な先進性が認められ、かつ溶接不要でコスト削減も見込める点が高く評価されました。STAFは次世代の成長事業に位置付けられており、今後さらに自動車パーツへの適用を加速させ、当社事業の柱の一つにしてまいります。
半導体製造用イオン注入装置につきましては、半導体産業の地理的拡大に対応するためのグローバル化をさらに進展させるべく、新規顧客への訴求性が高い商品の開発を進めています。開発中の次世代中電流機種は高い生産性と注入精度を備えているだけではなく、ウエハ一枚あたりの消費エネルギー量が削減される省エネ効果も期待されています。また既存機種についても、今後さらなる成長が予想されているパワー半導体において必要とされる新機能の開発を継続しています。いずれも2025年度に市場投入を計画しています。
当該部門に係る研究開発費は133億円であります。
(3) ロジスティックス&コンストラクション
物流/運搬荷役機械や建設機械に対する社会課題解決(環境負荷軽減、働き方改革、オペレータ不足等)への要請は高まっており、省エネ、電動化、遠隔・自動化、高効率化を進めた新商品開発を推進し社会インフラを支えてまいります。
油圧ショベルにつきましては、新機能を搭載したフルモデルチェンジ機種である「370X4s(SH350-8)」を北米市場へ投入しました。ダンプトラックへの積込み作業の効率向上と過積載の防止を実現できるペイロード機能や、作業時の安全性を向上させる挙動安定化機能などを搭載し、お客様の施工効率と安全性の向上を実現しています。また、国内向け木造家屋解体機「SH75X-7KK」と北米向け超ロングリーチ機2機種の開発を行い市場投入しました。自動化、無人化に向けた取り組みとしては、遠隔操作・自律運転ショベルの研究開発、カーボンニュートラルへ向けた取り組みとしては、電動ショベルにおける高効率化(低電費化)と操作性向上に関する研究開発を進めております。CSPI-EXPO(建設・測量生産性向上展)にて高度な埋め戻し作業を実現した自律ショベルや金属スクラップ機に応用展開したペイロード機能のビデオ展示、遠隔操作ショベルの実演デモ、さらにChatGPTを活用した現場のニーズにこたえる取り組みについて参考出展しました。来場者様から多くの質問、関心を頂き、当社の取り組みをアピールすることができました。
道路機械につきましては、自動化へ向けた活動の中から昨年度より改良し市販に近づいた自動ステアリング・自動スクリード伸縮機能、及び、次世代機のコントロールシステムをCSPI-EXPOで展示し、多くの来場者様から評価を得ることができました。
クローラクレーンにつきましては、90tクラスから175tクラスまでの国内向け4機種、海外向け3機種をEUstageV排ガス規制に適合したエンジンを搭載して発売しました。ECOウインチモードや自動アイドルストップ機能などのエネルギー効率を高める高度な制御システムと併せて、経済性・環境保全に貢献します。同時に過負荷防止装置のモニタをタッチパネル式の大型ディスプレイに改良しました。機能選択や設定入力の直感的、且つスピーディな快適操作を実現し、入力ミスを低減する確実な操作をサポートします。さらに、国内向け4機種については、本体に搭載された複数台のカメラからの映像を合成し、キャブ内の専用モニタに表示する周囲監視システム「ARGUS」をクローラクレーンとしては他社に先駆けて搭載します。上空視点から機械周囲の状況を一瞬にして把握することが可能になり一層の安全作業をサポートします。
運搬荷役機械につきましては、クレーン稼働データの可視化によって生産性向上を支援するDXツールである「SIRMS」を開発し、造船向けに販売を開始しました。また、コンテナ港湾荷役に使用されるタイヤ式門形クレーン(RTG)において、労働環境を改善するため遠隔自動化を実現する商品(ARTG)を提供し、実績を多数積み重ね、改善を進めてきました。昨年、市場投入しました運転負荷軽減を目的としたターゲット付構内シャーシへの自動コンテナ移載システムは、今後、自動運転領域拡大のために技術開発を進め、将来的なRTG荷役の完全自動化を目指します。
物流機械につきましては、既に好評を頂いているAGFに自動充電機能を実装し、さらに搬送効率を上げました。また、機械式駐車場において2024年度末に利便性向上のための出庫時自動扉閉機能を実装したSAシリーズ、SFシリーズ、GPSシリーズを市場投入しました。出庫の度に利用者が車から降りる手間が省け、さらに扉の締め忘れを防げるようになり、顧客より高評価を頂いております。物流パーキング部門は、今後も自律・自動化商品の開発を進め、市場の要請に応えてまいります。
当該部門に係る研究開発費は77億円であります。
(4) エネルギー&ライフライン
液化空気エネルギー貯蔵(Liquid Air Energy Storage)につきましては、オフピーク時の電力や余剰電力の利用により空気を圧縮・冷却して液化空気としてタンクに貯蔵し、電力が必要になったときに、この液化空気を再気化させ発電タービンを駆動して電力供給を行う設備であります。揚水発電と同様に、比較的大容量・長時間の電力貯蔵に適しており、充放電時の電力需給調整に加え慣性力や調相機能を常時供給することで系統安定化にも寄与します。これにより、不安定電源である太陽光発電など再生可能エネルギー発電と組み合せることで、現在調整力として利用される化石燃料が使われる火力発電に代替できるものであります。現在、広島ガス株式会社の廿日市工場敷地内に実証プラントを建設中で、2025年には同工場のLNG(液化天然ガス)の冷熱を空気の液化プロセスに利用する商用実証運転を開始する計画であります。
排水処理設備につきましては、国土交通省で実施している下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)において「分流式下水道の雨天時浸入水量予測及び雨天時運転支援技術に関する実証事業」として2021年度から取り組み2024年3月に実証事業を完了しました。下水道の安定運転に寄与する技術として顧客貢献が期待できます。
蒸気タービンにつきましては、高効率が要求される欧州市場に向けて、2020年度に市場投入した高効率中型反動タービンを3~5MWの小型クラスまでラインナップ拡大し市場投入しました。同クラスの小型反動タービンは、国内ごみ焼却発電市場など、他の市場における高効率化のニーズにも合致しており、各市場での競争力改善・受注確率向上が期待できます。
化工機につきましては、撹拌装置「MAXBLEND」を微生物培養・発酵用途向けに最適化したバイオリアクターにて、酵母培養において一般的なディスクタービン翼の装置と比較して8倍以上の生産性向上を達成しました。カーボンニュートラル社会の実現へ向けて、バイオプラスチックやバイオエネルギー分野の発展に貢献いたします。
船舶・海洋構造物関連につきましては、事業構成の見直しを図っており、脱炭素エネルギー領域として洋上風力発電浮体及び風力推進システムの開発を進めています。サービス領域では船舶監視システム「AVEDAS」の機能拡張を行い、顧客や他造船所から多くの関心を頂いています。また、引き続き厳しい新環境規則に適合した顧客にとって収益性の高い中型タンカーの建造及び、官・民各種船舶の修理事業を行っており、塗装技術や溶接技術のほか、生産管理の高度化にも取り組み、更なる品質と生産性の向上を実現しました。
当該部門に係る研究開発費は83億円であります。
(smartrisは、住友重機械工業㈱の登録商標であります)
(SDAMは、住友重機械工業㈱の登録商標であります)
(PAC-Eは、住友重機械工業㈱の登録商標であります)
(STAFは、住友重機械工業㈱の登録商標であります)
(SIRMSは、住友重機械搬送システム㈱の登録商標であります)
(SYBRID SYSTEMは、住友重機械搬送システム㈱の登録商標であります)
(ARGUSは、住友重機械建機クレーン㈱の登録商標であります)
(MAXBLENDは、住友重機械プロセス機器㈱の登録商標であります)
(AVEDASは、住友重機械マリンエンジニアリング㈱の登録商標であります)
他社商標:
(ChatGPTは、OpenAI OpCo, LLCの登録商標であります)
(MODBUSは、Schneider Electric USA Inc. の登録商標であります)
(CC-Linkは、三菱電機㈱の登録商標であります)
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