古河機械金属
【東証プライム:5715】「非鉄金属」
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企業概要
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「鉱山開発に始まり社会基盤を支えてきた技術を進化させ、常に挑戦する気概をもって社会に必要とされる企業であり続けます。」を経営理念としています。
この経営理念を実現するために、「運・鈍・根」*の創業者精神を心に刻み、「変革・創造・共存」を行動指針として実践します。
「 変 革 」… 未来に向けた意識改革により絶えざる自己革新を行う。
「 創 造 」… 市場のニーズに対応し、信頼され、魅力あるモノづくりを目指す。
「 共 存 」… 経営の透明性を高め、環境と調和した社会の発展に貢献する。
* 創業者である古河市兵衛の経営哲学に「運・鈍・根」があります。これは、人間にとって最も大切なのは運だとしても、何か重要なことをやり遂げるには愚鈍さと根気が必要だということを意味しています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、創業150周年を迎える2025年度に向けて、連結営業利益150億円超の常態化を目指します。
(3) 経営環境および中長期的な経営戦略
当社グループの強みは、創業以来150年に及ぶ長い歴史の中で培った経験を活かし、様々な製品・技術・サービスを提供できることです。
この強みを活かし、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ、我が国における国土強靭化、生産年齢人口の減少など、様々な「社会課題」の解決に役立つインフラ整備、製品・技術・サービスなどを提供することで「企業価値」を創造すると同時に、「社会インフラ整備」、「安全で環境に優しい豊かな社会の実現」という「社会価値」の創造に寄与し続けていくことが、社会における当社グループの役割であると認識しています。
この意を込めた経営理念を具現化するため、2025年ビジョン「FURUKAWA Power & Passion 150」を制定しています。「2025年ビジョン」においては、「カテゴリートップ・オンリーワンを基軸として成長する企業グループの実現」をありたい姿として、連結営業利益150億円超の常態化を目指しています。
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1.2025年ビジョン「FURUKAWA Power & Passion 150」 「カテゴリートップ・オンリーワンを基軸として成長する企業グループの実現」 ―創業150周年を迎える2025年度に向けて、連結営業利益150億円超の常態化を目指します―
2. 2025年ビジョン達成のための方針 (1) CSV*の視点を織り込んだ「マーケティング経営」による古河ブランドの価値向上 マーケティングを経営の根幹に据え、激変する市場の中で価値を認められる製品やサービスを提供し、顧客が抱えている課題を解決することにより「企業価値の向上と持続的な成長」を成し遂げるとともに、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ、我が国における国土強靭化、生産年齢人口の減少など、様々な「社会課題」を解決し「持続可能な社会の実現」に貢献していく。 ① 顧客ニーズを捉えた技術営業力(提案型・ソリューション型)の強化 ② 市場ニーズに合致した製品・技術・サービスの開発 ③ 強みを活かせるニッチ製品への集中と差別化戦略によるカテゴリートップ化の推進 ④ 新たな市場・カテゴリーの開拓・創造と新たなビジネスモデルの構築 ⑤ 社会基盤を支えてきた製品・技術・サービスを進化させ、「社会課題」の解決に貢献
* CSV(Creating Shared Value:共通価値/共有価値の創造):企業が社会問題や環境問題などに関わる社会課題に取り組み、社会価値と企業価値を両立させようとする経営フレームワークです。
(2) 機械事業の持続的拡大 ① インフラ関連・資源開発等を中心に拡大する海外市場における収益基盤の強化 ② ストックビジネスの拡充・強化 ③ グループ総合力の発揮、エンジニアリング力の強化によるビジネスチャンスの拡大
(3) 人材基盤の拡充・強化 ① 新しい古河の活力あふれる人づくり・風土づくり ② 国内外の多様な人材の確保・活用・育成 ③ 営業・サービス人材の重点強化
(4) 企業価値向上に資する投資等の積極的推進 ① 成長に必要な設備投資の積極的実施 ② 戦略的なM&A、アライアンスによる事業拡大
(5) 経営基盤の整備 ① 二桁台のROEを意識した収益性・資本効率の改善による企業価値の向上 ② 堅固な財務基盤の確立 ③ 成長投資と株主還元へのバランスのとれた配分 ④ 当社グループのCSR/ESG課題に配慮した事業運営の実践による企業価値の向上
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(4) 中期的な経営戦略
「2025年ビジョン」達成に向けた取り組み
当社グループは、長期経営計画である「2025年ビジョン」を3つのフェーズに区分し、各フェーズの位置づけの明確化を図り、戦略的な落とし込み、長期・中期それぞれの時間軸に対応した個別・具体的なアクションプランを策定し、運用しています。
「2025年ビジョン」達成のための重要なツールとして、毎年、期間3年で中期経営計画をローリングする方式を採用し、各フェーズが始まる際に対外公表する中期経営計画のシームレスな策定を実現しています。
(5) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
① 「中期経営計画2025」の位置づけ
当社グループを取り巻く事業環境は、ひと言で言えば先が見通せない「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代」が到来していますが、「中期経営計画2025」においては、「2025年ビジョン」第2フェーズに当たる2020~2022年度において注力した体質強化・収益力の増強を礎とした成長を実現し、「2025年ビジョン実現への総仕上げ」を行う期間と位置づけ、2025年ビジョンの更にその先を見据えた基盤固めを行っています。
② 「中期経営計画2025」における経営方針・経営計画と進捗および拡充・強化した取り組み
2024年度は「中期経営計画2025」の2年目で、経営指標である営業利益は97億円、ROEは14.3%となりました。財務水準であるデット・エクイティ・レシオは0.4倍、有利子負債/EBITDA倍率は3.8倍となり、デット・エクイティ・レシオ、有利子負債/EBITDA倍率ともに2025年度の財務水準イメージを達成しました。
企業価値創造力(ROIC-WACC)の向上を図るために拡充・強化した具体的な取り組みとしては、2024年2月に政策保有株式の縮減目標を設定し、2026年3月末までに連結純資産に対する保有比率を20%未満にすることを公表しました。これを更に推し進め、1年前倒しで達成しました。保有の必要性が認められなくなった銘柄は売却を行うなど、引き続き縮減に努めていきます。政策保有株式の売却資金は、「中期経営計画2025」において株主還元に関する方針として設定した自己株式の取得(3年間)の目安を50億円程度から130億円程度に増額し活用する予定です。更に、M&A等の成長投資のほか、環境投資としてカーボンニュートラルおよび環境保全に係る投資に活用する予定です。基準年度を2023年度としたCO2排出量削減目標を公表しており、2050年度までにカーボンニュートラルを目指します。
「中期経営計画2025」の経営方針・経営計画および進捗については、以下に記載のとおりです。
a. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みの拡充・強化
当社グループは、2017年度以降、連結および事業部門ごとに資本コストを算定するとともに、期待する企業価値創造力の確保が可能なROICをハードルレートとして設定し、事業ポートフォリオの見直しをはじめ、設備投資、出資を伴うアライアンス、M&Aの投資判断に活用する等、資本コストを意識した経営の実現に取り組んでいます。
しかしながら、市場の期待に応えられる企業価値創造力の実現ができていないため、「価値創造バロメーター」とも呼ばれるPBR(株価純資産倍率)は1倍を割っており、「PBR1倍超の早期実現」が重要な経営課題となっています。
このため、「中期経営計画2025」においては、「持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」を実現すべく、企業価値創造力の向上を図るための具体的な取り組みを拡充・強化していくとともに、適切な情報開示や投資者との積極的な対話について一層の充実を図り、市場から十分な評価を得ることで「PBR1倍超の早期実現」に努めています。
なお、企業価値創造力の向上を図るために拡充・強化する具体的な取り組みの骨子は、次のとおりです。
R O E 8% 程 度 の 達 成 | 成長戦略による利益の増加 |
◆ 2025年度の連結営業利益を130億円程度に ● コア事業と位置づけている機械事業の持続的拡大を新たなステージに ● 事業ポートフォリオの見直し強化に加え、各事業部門内の事業(製品)ポートフォリオ戦略も可視化し、収益性の改善や低収益事業(製品)の見極めを推進 | |
資本効率性の改善 | |
◆ 政策保有株式*の縮減 縮減目標:2025年3月末までに連結純資産に対する比率を20%未満まで縮減(※) ※ 2023年5月12日公表時は縮減目標なし、2024年2月9日公表の「2026年3月末までに連結純資産に対する比率を20%未満まで縮減」の目標を2024年5月13日に変更 | |
自己資本のスリム化・最適化 | |
◆ 株主還元 ● 増配および中間配当を検討し、原則として1株当たり50円以上の年間配当金および連結自己資本総還元率((配当金総額+自己株式取得総額)÷連結自己資本(期首・期末平均)×100(%))3%以上を目安に ● 2024年3月期から2026年3月期までの自己株式取得を130億円程度に(※) ※ 2024年5月13日公表時の「1事業年度における自己株式取得の目安をおおむね15億円-20億円、2024年3月期から2026年3月期までの3年間で50億円程度に」の方針を2025年2月10日に変更 | |
資 本 コ ス ト の 逓 減 | 非財務リスクの逓減に資する適切な情報開示や投資者との積極的な対話 |
◆ サステナビリティへの取り組み ◆ 非財務資本への投資(研究開発、知的財産、人的資本、DX) | |
財務リスクの逓減 | |
◆ 格付戦略を核とした最適資本構成の追求 ● 「A-」以上の格付引上げとなる財務水準 ■ デット・エクイティ・レシオ:0.5倍台に ■ 有利子負債/EBITDA倍率:3倍台に |
b.成長戦略(機械事業に経営資源を集中し、リターンを上げます。)
基本方針 |
◆ 当社グループは、CSVの視点を織り込んだ「マーケティング経営」を実践することを基本方針としており、「社会インフラ整備」と「安全で環境に優しい豊かな社会の実現」という「社会価値」の創造に寄与する戦略を事業計画の柱としました。 ◆ コア事業と位置づける機械事業は、気候変動により増加している災害に対する防災や減災などの社会課題解決に貢献するインフラ整備、働く人の安全・安心な現場、労働力不足を解決する製品・技術・サービスなどを提供していきます。 |
成長戦略を担う機械事業の事業計画 |
◆ 産業機械部門は、ポンプ、破砕機をはじめとする各種マテリアル機械や、ベルトコンベヤ、橋梁をはじめとする大規模な国内インフラプロジェクト向け製品の販売増を図ります。 ◆ ロックドリル部門は、製品ライフサイクル全域でのカスタマーサクセス*を実現する「FRDモデル」の構築、ユニック部門は、国内での安定的な収益確保に加え、海外販売での収益拡大を進めます。 ◆ 機械事業については、設備投資累計額の70%を投下し、2025年度の連結売上高において50%以上、連結営業利益において80%以上を占めることを目指し、更に将来における非連続な成長を実現するために、アライアンスやM&Aへの取り組みについても一層強化していきます。 |
* カスタマーサクセス(Customer Success):言葉のとおり、製品やサービスを通じて顧客の成功を支援する概念で、企業が自ら能動的に顧客の将来を考え、顧客が抱えている課題の掘り起こしや、製品やサービスを利用することでかなえられるプランの提案などを含む助言や支援をしていきます。
c.収益計画
基本方針 |
◆ ROE向上に向けた取り組みの強化 投資に伴うリスクおよび資本コストを勘案した採算性に留意し、個別の投資判断を行うとともに、効率性、収益性の改善への取り組みを強化していきます。 また、資本コストを活用した事業ポートフォリオマネジメントを運用することにより、経営資源配分の全体最適を追求し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していきます。 |
2025年度の目標とする経営指標 | 2024年度実績 | |
連結営業利益 | 130億円程度 | 97億円 |
自己資本当期純利益率(ROE)(%) | 8%程度 | 14.3% |
d.資本政策
財務戦略に関する方針 |
◆ 金融情勢によらず必要な資金の調達を可能とするため、引き続き堅固な財務基盤の確立を目指していきます。 ◆ 格付戦略を核とした最適資本構成の追求 2025年ビジョンの最終年度となる2025年度には、日系格付機関による発行体格付で現行の「BBB+」から「A-」以上の格付引上げが可能となる財務水準をイメージし、今後とも継続して財務の健全性向上に努めていきます。 |
2025年度の財務水準イメージ | 2024年度実績 | |
デット・エクイティ・レシオ | 0.5倍台 | 0.4倍 |
有利子負債/EBITDA倍率 | 3倍台 | 3.8倍 |
株主還元に関する方針 |
● 配当に関する方針 持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するための投資を優先したうえで、増配および中間配当の実施を検討し、原則として1株当たり50円以上の年間配当金および連結自己資本総還元率3%以上を目安とします。 ● 自己株式の取得・消却に関する方針 自己株式の取得・消却については、株価の動向や資本効率、キャッシュ・フロー等を勘案しつつ適切に実施していきます。 なお、2024年3月期から2026年3月期までの自己株式取得を130億円程度(※)とします。 ※ 2024年5月13日公表時の「1事業年度における自己株式取得の目安をおおむね15億円-20億円、2024年3月期から2026年3月期までの3年間で50億円程度に」の方針を2025年2月10日に変更 |
目標とする経営指標 | 2024年度実績 | |
連結自己資本総還元率(%) | 3%以上 | 4.6% |
年間配当 | 1株当たり50円以上 | 70円(予定) |
目標とする経営指標(3年間累計額) | 2023年度~2024年度累計実績 | |
自己株式の取得(※) | 130億円程度 | 50億円 |
※ なお、2025年2月28日に、当社普通株式4,000,000株を消却しました。
政策保有株式の縮減に関する対応状況 |
● 政策保有株式については、毎年、個別の銘柄ごとに、その保有目的、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか、また同時に定性面、定量面からの総合的な判断を含め精査し、取締役会においてその保有継続の適否を検証しています。 ● 保有の必要性が認められなくなった銘柄は適宜売却を行うなど、縮減に努めています。 ● 縮減に関する進捗の指標として、政策保有株式の連結純資産に対する比率を継続的に開示しています。 |
政策保有株式の縮減目標(※) | 2024年度実績 | |
連結純資産に対する政策保有株式比率(%) | 2025年3月末 20%未満 | 2025年3月末 16.6% |
※ 2023年5月12日公表時は縮減目標なし、2024年2月9日公表の「2026年3月末までに連結純資産に対する比率を20%未満まで縮減」の目標を2024年5月13日に変更
e.サステナビリティへの取り組み
サステナビリティへの取り組みについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方および取り組み、(2) 気候変動」をご参照ください。
f.事業ポートフォリオの見直し
基本方針 |
◆ 7つの事業部門ごとに資本コストを算定し、3要素[X軸:企業価値創造力、Y軸:売上高年平均成長率、バブルの大きさ:企業価値創造力×投下資本額/年]をバブルチャートにプロットし、事業ポートフォリオの可視化・識別を行います。そのうえで、成長性と企業価値創造力を判断基軸とする4象限分析を行い、これまでの歴史や思い入れに過度に引きずられない合理的な経営判断を実施していきます。 ◆ 更に、各事業部門内の事業(製品)ポートフォリオ戦略についても可視化し、収益性の改善や低収益事業(製品)の見極めを推進していきます。 |
g.経営資源の配分等
基本方針 |
◆ 持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するための以下の投資を優先し、そのうえで、安定的・継続的な株主還元を実行していきます。 ● モノづくりの強化を支える設備投資 ● 社会課題の解決に貢献する研究開発投資 ● 競争優位を確保するための知的財産への投資 ● 働きがいのある会社を実現するための人的資本への投資 ● 成長戦略と業務変革を加速化するためのDXへの投資 ● 将来における非連続な成長を実現するためのアライアンス、M&Aへの投資 ● 脱炭素・環境負荷低減やバリューチェーンにおける人権尊重などのサステナビリティへの取り組みに対する投資 ◆ 持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための投資や株主還元の原資は、内部留保や持続的に創出するキャッシュ・フローを基本とします。なお、非連続な成長を実現するためのアライアンス、M&Aへの投資については、必要に応じ資産売却(政策保有株式の売却を含みます。)等を選択肢に加え、最適な資金調達手段を講じて充当します。 |
ア.営業キャッシュ・フローの配分
基本方針 |
◆ 堅固な財務基盤の確立を目指しつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するための設備投資を行うとともに、株主還元に配慮した営業キャッシュ・フローの配分に努めていきます。 |
営業キャッシュ・フローを含む連結資金収支(3年間累計額の予想)
収入 | 530億円 |
| 支出 | 530億円 | |
| 営業キャッシュ・フロー | 200億円 |
| 配当 | 75億円 |
投資有価証券売却 | 266億円 | 設備投資(環境投資を含む) | 215億円 | ||
その他(固定資産売却等) | 64億円 | 自己株式の取得 | 130億円 | ||
| 有利子負債の返済 | 65億円 | |||
その他(投資有価証券取得等) | 45億円 |
イ.設備投資
基本方針 |
◆ モノづくり力の強化を支える設備投資計画 コア事業と位置づけている機械事業を中心に設備投資をしていきます。 |
設備投資(環境投資を含む)
設備投資(3年間累計額の予想) | 215億円 |
| 設備投資(3年間累計額の予想) | 215億円 | |
| 機械事業 | 100億円 |
| 成長投資 | 60億円 |
素材事業 | 50億円 | 維持更新 | 155億円 | ||
その他 | 65億円 |
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ウ.政策保有株式の売却資金の使途(2024年度以降)
政策保有株式の売却予定と生じる資金の活用 |
政策保有株式については、2024年度は約235億円規模の売却を実施し、2025年3月末の連結純資産に対する保有比率を縮減目標である20%未満まで低下させました。当該売却資金は、「中期経営計画2025」において株主還元に関する方針として設定した自己株式の取得(3年間)の目安を50億円程度から130億円程度に増額し、活用する予定です。更に、M&A等の成長投資のほか、環境投資としてカーボンニュートラルおよび環境保全に係る投資に活用する予定です。 |
エ.研究開発投資
基本方針 |
◆ 社会課題の解決に貢献する開発テーマの製品化・事業化を推進するとともにメーカーとして不可欠な生産性の向上に向けた現場力の活性化を図ります。 |
重点課題への対応状況 |
● 省人化を目指した自動化技術開発の推進 ● 全固体電池用の固体電解質の材料および量産化技術開発 ● 高効率化・軽量化等による環境負荷低減に寄与する機械製品、技術の開発 ● DXの効果的活用 ● 技術者人材育成プログラムの本格運用による次世代を担う技術者の育成強化 |
オ.知的財産への投資
基本方針 |
◆ 知財活動を重要な経営戦略の一つと捉え、競争優位を確保するために知財情報を活用する体制を整備します。 ◆ 当社グループにおける各事業会社等の技術の権利化を基本とし、知財活用を含む事業全体の価値評価を適切に行います。 |
重点課題への対応状況 |
● メーカーの競争力の源泉である技術力を目に見える形で評価できる知的財産権に関する知財活動(発掘~権利化~維持~活用)の活性化 ● 保有権利の価値評価をすることで、産業財産権の有効活用を促進 ● 特許情報を収集分析し、企業戦略を策定 |
● IPランドスケープの効果的運用
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カ.人的資本への投資
人的資本への投資については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本」をご参照ください。
キ.DXへの投資
基本方針 |
◆ 当社グループの成長戦略と業務改革を加速させ、市場のニーズに対応し、信頼され、魅力あるモノづくり、コトづくりを支えるDX推進に取り組んでいきます。 |
重点課題への対応状況 | |
● DX推進委員会(2023年4月設置)による当社グループ横断の推進体制を構築しました。 ● モノづくり、コトづくり、業務改革を3つの柱とするDXを推進しています。
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ク.アライアンス、M&Aへの投資
基本方針 |
◆ 現有の機械事業の隙間を埋めて連続性を創るような周辺の事業会社や、機械事業における第4の柱となる事業会社を対象としたアライアンス、M&Aを検討・遂行していきます。 |
重点課題への対応状況 |
● コア事業と位置づけている機械事業については、引き続き持続的拡大を図っていくとともに、将来における非連続な成長を実現するために、アライアンスやM&Aへの取り組みを一層強化しています。 ● 2020年3月から業務提携関係にありました株式会社三井三池製作所との更なる連携強化のため、持分法適用関連会社化を視野に入れた株式取得につき合意(※)に至り、2025年4月1日に同社株式を取得しました。 ※ 2025年3月27日公表 ● 川崎重工業株式会社の子会社である株式会社アーステクニカの株式を川崎重工業株式会社から取得することに向けて協議および交渉を実施することに関する基本合意書を2025年5月13日に締結(※)しました。 ※ 2025年5月13日公表 |
h.セグメント別の基本戦略、重点課題
〔機械事業〕
産業機械部門では、エンジニアリング力の更なる強化と部門横断的取り組みやDXの推進により、単なる機器メーカーからの脱却を図るとともに、SDGs、防災・減災などの社会課題の解決に寄与するインフラ整備に取り組むことで、国内市場における事業基盤を構築することを基本戦略としています。ポンプ、マテリアル機械においては、積極的な提案営業を推進しており、製品力強化による戦略機を中心に、新規顧客から受注を獲得するなど確実に成果が表れています。また、顧客情報管理をサービスの強化に活用することで、更新需要の取り込みやストックビジネスでの収益基盤を整備しています。コントラクタ事業については、リスク管理、プロジェクト管理を徹底し、受注精度・確率の向上を図るとともに、土砂搬送時の搬送効率やCO2削減に貢献する長距離ベルトコンベヤ、環境配慮型製品である密閉式吊下げ型コンベヤ(SICON®)の需要創出と販売促進を図っていきます。部門横断的な取り組みとして、更なる収益性の高い組織に成長するため、マトリクス組織による各種管理を継続実施、および技術力の底上げのため、若手技術者の部門間ローテーションを実施するなど、人材育成にも積極的に取り組んでいきます。
ロックドリル部門では、製品ライフサイクル全域でカスタマーサクセスを実現するビジネスモデル(FRDモデル)の構築を基本戦略としています。まずは国内において、コアコンピタンスである油圧ドリフタとその運用ノウハウ等を最大限に活用し、製品販売、部品消耗品販売、整備サービス、サポートプログラム、下取り再販の各フェーズでカスタマーサクセスを実現するビジネスモデルの構築を目指しています。油圧クローラドリルの稼働サポートプログラムについては、契約数を順調に伸ばしている顧客の生産性向上支援プログラム(FD-CARE Drill Operation)、稼働情報配信サービス(FD-CARE Report Delivery)に続いて顧客のカスタマーサクセスにつながるサービスプログラムを追加し、DXによるサービスを拡充していきます。整備サービスについては、自社整備体制の強化を目的として2024年4月に専任部署を新設しました。いわき・大阪の東西二拠点の設備の再構築を進め、整備能力の向上を図ります。
また、重点施策として「集中販売・集中生産」を掲げ、海外においては、北米では、一昨年に設置したネバダ支店を拠点として西部地区データセンター建設等向けのブラストホールドリル大型機市場の開拓を進めています。また、大型・超大型油圧ブレーカの販売強化を北米全域にわたり進めます。東南アジアでは、「砕石市場創造」を掲げ、砕石市場向けに投入したアタッチメントドリルの販売展開強化により、さく岩機の油圧化を促進しています。 また、下流展開(砕石プラント向け)を産業機械部門と協業して進め、タイへの破砕機の販売開始に続き、マレーシアでの営業展開を進めています。国内においては、引き続き油圧圧砕機の小割機集中販売、解体機市場向け油圧ブレーカ・油圧圧砕機の首都圏集中展開を強化していきます。砕石市場では、少子高齢化に伴うオペレーター不足という課題の解決策として、油圧クローラドリルにセミオート穿孔機能を該当機種3割以上に搭載した実績をもとに、更なる販売強化を図っています。トンネル関連製品では、全自動ドリルジャンボ、全自動ロックボルト施工機に続き、支保工エレクタ付き吹付機の販売強化により掘削現場での安全性と生産性向上に取り組んでいきます。生産現場においては、集中生産を加速すべく国内4生産拠点の集中生産・調達等合理化を推進し、コストダウン、品質強化、リードタイム短縮を図ります。
ユニック部門では、事業環境の変化に適応するために、顧客に選ばれる製品、サービスの提供による収益基盤の再構築を目的とし、付加価値製品の提供ときめ細かい営業・サービス対応力強化に基本戦略を変更しました。全体方針として、顧客に選ばれる製品、サービスを提供するために、顧客価値を測る力、その価値を最大化する製品・サービスを生み出す力、それを顧客に満足いただける方法で提供する力の強化に取り組みます。
国内においては、当社の強みである製品力、サービス力、販売力を高めることで、主力事業であるユニッククレーンおよびユニックキャリアの強い収益基盤の再構築を目指します。海外においては、欧米市場向けミニ・クローラクレーンの収益拡大を目指し、十分な市場調査分析に基づいた拡販戦略による製品・サービスの提供に取り組みます。
製品開発は、長年にわたり培ってきたコア技術とノウハウを活かし顧客が求める製品を提供するために、開発体制の強化と研究開発の推進に取り組みます。
生産は、品質第一のものづくりと環境負荷低減を目的とし、生産力の強化に取り組みます。
〔素材事業〕
金属部門では、委託製錬事業の最適化への取り組みを基本戦略としています。国際市況動向や鉱石買鉱条件の影響を受け収益変動がある中、引き続き、採算性と安定化を追求していきます。
電子部門では、戦略製品の事業拡大による収益向上を基本戦略としています。窒化アルミセラミックスについては、熱対策部品向けや半導体製造装置用部品向けなどの需要が増加しつつあり、増強した生産能力を存分に利用し、拡販に努めます。また、高熱伝導品の開発に取り組んでおり、更なる事業拡大を図っていきます。回折光学素子(DOE)については、技術的に優位性のあるレーザー加工用を中心に拡販を図り、併せて新製品の開発を進めていきます。コイルについては、成長分野に向けた開発・拡販による収益拡大を目指します。
化成品部門では、既存製品の収益拡大と新規開発製品の育成・拡大を基本戦略としています。硫酸については、化学工業の各分野で不可欠な基礎材料として大きな需要があり、不純物が少ない高品質硫酸による差別化展開を強化しています。酸化銅については、5G関連やクラウドサーバー向けに販売が伸長することに備え、増産に向けた設備投資を実施しました。新規開発製品である金属銅粉については、品質、量産・販売体制を整え、サンプル展開から販路の拡大を図っていきます。
〔不動産事業〕
室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)の安定収益確保と、保有する不動産の有効活用を基本戦略としています。2023年8月には、古河大阪ビルの跡地その他の土地の共有持分の一部を譲渡しました。譲渡代金を原資として、当該地に建築中のホテルおよび一部住宅を用いた賃貸事業を2027年度中に開始することを計画しており、準備は順調に進んでいます。
(注)文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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