リケンテクノス
【東証プライム:4220】「化学」
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企業概要
当社は、4月から新3ヵ年中期経営計画の初年度を迎えます。新3ヵ年中期経営計画をスタートするにあたり、もう一度基本に立ち返り、ものづくりに徹していくことが重要と考え、メーカーとしての「ものづくり力」の更なる強化を目的に、従来の「技術本部」「製造本部」「品質保証本部」という枠組みを変更し、ものづくりに係わる部門を統合した「ものづくり統括本部」を新設しました。「ものづくり統括本部」の傘下に製品別組織として「コンパウンド本部」「フイルム本部」を設置し、各本部内に開発、製造、品質管理の部門を置くことで、開発の効率化や開発から量産までのスピードアップを狙うとともに人材交流を活発化させていきます。また、「ものづくり統括本部」の傘下に、開発期間3~5年を目安として新製品の開発を行う「基盤技術研究部」を設置し、新規材料、新規技術の開発も引き続き進めていきます。
今後は、研究開発/製造/品質管理/購買部門の一体感をベースに、開発スピードと開発精度も高め、環境/社会課題解決に貢献する研究開発を目指していきます。
昨年度までは、前3ヵ年中期経営計画の最終年度として、「基盤技術を強化しイノベーションを創出する」「カスタマーディライト商品のスピード開発」「DXを活用した、開発スタイルに転換」を掲げ活動してきました。
研究拠点である研究開発センターの環境整備などハード面の充実を図り、コンパウンド、フィルム技術の更なる深化のため、研究開発センター(東京)1号館、2号館、3号館の本格運用を開始しています。1号館および2号館には新しい混練設備や評価設備を導入し、新規材料の開発を進めるとともに、3号館にはフィルム試作機を導入し、フィルム製品の成膜性および製品評価を深化させるとともに、コンパウンドで開発した材料をフィルム、シート化にしてサンプルワークが出来る体制となっています。この導入効果により、顧客への提案スピードの向上、加硫ゴム代替製品の開発が進みました。今後も、顧客への製品提案についてスピードを上げて取り組むとともに、生産技術も磨き、将来導入していく量産ラインの研究に努めていきます。
知財戦略強化、オープンイノベーションの実行については、サステナビリティやESG(環境、社会、ガバナンス)の推進など、昨今の社会変化に対応していくためには、多面的な視点から経営戦略を策定することが不可欠です。そこには、知的財産情報を活用するIPランドスケープが有効であり、当社の経営課題に対して知的財産部が提言を実践しています。
前3ヵ年中期経営計画では、2022~2024年度の累計で45件の特許出願件数を目標として活動しており、2024年度は24件の特許出願を行い、2022~2024年度累計52件の出願となりました。
社外からの知見や技術を取り込み、新たな価値創造につなげるオープンイノベーションの活動については、産官学連携をメインに実施しています。前3ヵ年中期経営計画では、外部機関との協業を2022~2024年度累計で10件行うことを目標としており、実績としては13件のテーマを進めることができました。今後も要素技術の獲得および製品開発への応用を目的とし、オープンイノベーションの取り組みを継続していきます。
環境対応製品の開発については、「化学物質規制に対応した製品の提案」「省エネルギー、CO2排出量削減に優位となる製品の提案」「フードロス削減に寄与する製品の提案」を行っております。その中でも、2024年度は、「省エネルギー、CO2排出量削減に優位となる製品の提案」としましては、各種加硫ゴム代替を可能にするTPV製品の提案、バイオマス材料を用いたRIKEBIO製品の提案、遮熱性能を有するフィルム製品の提案等を行ってきました。また、「フードロス削減に寄与する製品の提案」としましては、鮮度保持フィルムの提案を行ってきました。今後も社会課題解決に寄与する製品の提案を続けていくとともに、既存用途・既存製品でも、市場・顧客ニーズに合わせた改良をタイムリーに行い、「すべての生活空間に快適さを提供するリーディングカンパニーを目指して」の実現に向けて、当社の技術的な強みを活かして価値提供に挑戦し続けていきます。
また、100年企業を目指して持続的に成長するためには、新技術開発、新規事業創造をしていく必要があります。それには環境整備が重要で、そのなかでもデジタル環境の整備は今後ますます重要となります。
デジタル環境を整備することで、従来の業務を効率化省力化し、研究者が新しいことや人にしかできないことに特化できる体制を目指しています。そのためには、情報の属人化や情報格差による効率低下を避ける目的で、暗黙知を形式知化することが重要だと捉えています。
2024年度は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進として、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)の活用や技術データベースの作成を進めてきました。併せて、MIを使える人材の育成も行うことで、40件の開発テーマにおいてMIを活用することができました。また、データベースや各種技術業務のワークフローについても随時作成を行い、2025年度中には一部を運用開始していきます。今後も時代の流れに取り残されることなく、デジタル技術を積極的に活用し、開発スピードを早めていきます。
当連結会計年度の成果として、
コンパウンド関係
1.「リケガード」コンパウンドの製品群拡充(消臭、アレル物質低減)
2.ガスバリア性、制振性に優れる架橋系エラストマーの開発
3.架橋系エラストマーである「アクティマーG」「オレフレックス」の自動車部品への採用拡大
4.高耐熱・柔軟EV車用充電ケーブルの販売拡大
5.非臭素・アンチモン系難燃オレフィン材料の採用
6.バイオマス材料である「RIKEBIO」、「Natural RIKEBIO」の製品群拡充
7.遮熱性能を有するコンパウンドの流動
8.人肌に馴染む柔軟素材「LEOSTOMER FT」の用途拡大
9.医療用TPE材の採用拡大
10.非Pb非Sn系硬質PVC材料(射出用、透明押出用)の上市
等で開発が進み、一部流動することができました。研究開発費は、1,226百万円であります。
フィルム関係
1.各種塗装代替フィルムの開発
2.建装材用意匠性フィルムの流動
3.低蓄熱意匠フィルムの上市
4.高耐湿・高耐熱性FFC用フィルムの流動
5.自動車ウィンドウ用遮熱フィルム「ICE-μ」の製品群拡充
6.ウィンドウ用「RIVEX」IR反射型フィルムの採用、販売開始
7.バイオマスフィルムである「RIKEBIO」フィルムの開発
等で開発が進み、一部の製品を流動できました。研究開発費は、651百万円であります。
食品包材関係
1.自動包装機メーカー向け純正ノンストレッチPVCラップフィルムの販売拡大
2.食品スーパーマーケット・バックヤード向け小型包装機用PVCラップフィルムの開発と採用
3.アウトパック加工用 高速包装機対応PVCラップフィルムの開発
4.業界団体とのコラボレーションによるPVCラップフィルムの広報活動
5.バイオマスラップ ボタニカルラップ販売開始
6.鮮度保持フィルム「フレッシュバランス」の上市
等の活動に要した研究開発費は、97百万円であります。
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