企業兼大株主東ソー東証プライム:4042】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

急激な国内産業構造の変化および国際的な社会課題が変化する中、CSV(*)を意識した研究開発を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、当社の研究開発部門およびオルガノ株式会社開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。

(*)Creating Shared Valueの略。社会課題を解決する「社会的価値」と企業が追求する「経済的価値」を両立させる考え方。

    社会課題や成長分野への取り組み、研究のデジタルトランスフォーメーション等への対応、部門間の連携強化を目的として、当社では2024年月に研究開発体制を再編いたしました。具体的には、全研究部門を統括する研究本部を社長直轄の組織として新設し、研究本部の下に3つの機能別研究センターを設置いたしました。先端融合研究センター(先端材料研究所、ライフサイエンス研究所)では先端材料および健康・医療事業分野、石化・高分子研究センター(高分子材料研究所、ウレタン研究所)では石油化学、ポリマー、ウレタン事業分野、機能材料研究センター(無機材料研究所、有機材料研究所)では機能商品事業分野の研究開発を担っております。MIセンターでは研究開発効率化のためのMI技術構築を進めております。

    また、当社グループ全体の生産技術、エンジニアリングの拠点である技術センターでは各製品に関わるプロセス開発を担っております。さらに、オルガノ株式会社開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。

    また、高度専門職を志向する風土を社内に醸成し、高度な専門性を有する研究者の育成を促進するため、2024年月より高度専門職制度を新設しました。

    技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、大学との社会連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、社会的課題であるCO2の分離回収や有効利用技術の検討を進めるため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に関わるプロジェクトに参画しております。中でもNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」において、CO2排出量削減とその利用を目的にCO2からのポリウレタン原料製造技術の検討を進めております。

    また、研究開発体制の強化として、四日市事業所の研究本館・カスタマーラボ棟、南陽事業所の研究本館・ベンチ棟に引き続き、東京研究センターにおいても新研究棟、カスタマーサポート棟が、2025~2026年度の竣工に向けて作業が進められております。

    一方、効率的な材料開発を目的としたマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の推進部門として、2023年月にMIセンターを設立いたしました。電子実験ノートや自動実験設備の活用により、社内データベースの構築を進めております。更に、大型計算機を用いた材料シミュレーションや機械学習により、当社研究開発の加速に貢献しております。またMI技術の更なる活用を促進するため、自己学習教材の導入など研究員へのMI教育も進めております。

 当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約1,140名であり、研究開発費は約221億円であります。

 セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。

 石油化学事業

    石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化および新規ポリマー材料の開発を推進しております。

    ポリエチレン関連では、半導体の製造に用いる高純度薬液容器向けにクリーン性を一層向上したグレードを開発し市場評価が進んでいます。また、通常では困難な複合プラスチックの繰り返しリサイクルを可能とする改質剤「メルセン®-S」を開発し、販売しております。PPS関連では、新規に開発した金属接着性に優れるグレードがEV関連部品で採用されております。

    一方、CR、CSM、ペースト塩ビ、石油樹脂の機能性ポリマーについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しており、CRは医療向け手袋グレードの開発に注力しております。また、2022年度まで参画していたNEDOの助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」を活用した新製品を上市し、社会実装しております。

  電子関連への展開としては、液晶および有機ELディスプレイ用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。

 なお、本事業分野における研究開発費は約25億円であります。

 クロル・アルカリ事業

    クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。また、電解関連においても、食塩電解の継続的な技術改良による省エネルギー化に取り組んでおります。

    ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、および、ポリウレタンフォーム、エラストマーおよびコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、軽量で快適な乗り心地性を実現する自動車用All―MDI系シートクッションや、高い断熱性を長期間維持できる断熱材の開発に進展がありました。また、コーティング・合皮用途においては、成形加工エネルギー削減に貢献するウレタン樹脂やポリカーボネートポリオール、低粘度や低温硬化性を特徴とする硬化剤等、環境ニーズに適合した高付加価値製品の開発を積極的に進めております。なかでも開発品である低温硬化ブロックイソシアネートは、従来よりも低温である80℃で硬化可能なポリウレタン塗料用硬化剤として、塗装工程での熱エネルギー削減効果が認められ、公益社団法人新化学技術推進協会グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議の主催する第23グリーン・サステイナブル ケミストリー賞奨励賞を受賞しました。

なお、本事業分野における研究開発費は約40億円であります。

 機能商品事業

    機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、電子材料、環境・エネルギーなどに関する研究開発を実施しております。

    ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品(抗体医薬品、遺伝子治療用ベクター、細胞医薬品)の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムの実用化に続き、製造用ゲルの開発を進めております。さらに、バイオプロセス上流工程向けの細胞培養器材等の新規製品開発に鋭意取り組んでおります。

    また、セラミックス材料の開発では、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの新グレード開発を加速させると共に、東京大学に設置した社会連携講座を継続し、次世代ジルコニアの創出を目指しています。

    電子材料関連におけるディスプレイ関連では、低消費電力化・高画質化を達成する有機EL用材料、更に半導体関連では、高品位スパッタリングターゲット、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物、次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。また、LEDやパワーデバイスの製造プロセスを刷新可能なGaNスパッタリングターゲットを開発し、今年度出荷を開始いたしました。プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。

    環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池関連の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しており、セルフトロンでは新たに薄型太陽電池の電極に利用可能な無機フィラー複合化グレードを開発し、市場展開を開始しました。また、電池向け用途に、規制リスク懸念のある既存材料と代替可能なマンガン含有正極向けバインダーを開発しました。さらに、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトの開発では、脱硝性能、触媒耐久性の改良を進めています。更には、カーボンニュートラル触媒用や水質・大気浄化用のゼオライト設計にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販が進展するとともに、工場等から排出されるCO2の回収に利用する高性能CO2回収アミンを開発し、南陽事業所に導入しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)については新グレードを開発し、上海にある技術サービス拠点と連携し、中国での拡販活動に注力しています。

 なお、本事業分野における研究開発費は約123億円であります。

 エンジニアリング事業

エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を行っています。

    水処理エンジニアリング関連では、半導体をはじめとした電子産業分野で求められる超純水や溶剤・薬液などの更なる高度化に向けた分離精製技術、高度分析技術の開発や、サステナビリティ課題に対して水・有価物回収技術、省エネルギーシステム、及びセンシング技術等の開発に取り組んでおり、超純水の水質を高感度で測定可能なモニタリング装置(UPW-ICA)を開発しました。また、水処理設備の運転状況を監視し、管理の省力化や廃棄物・CO2削減に寄与するセンシングシステム(オルスマートシリーズ)を開発しました。加えて、電子産業向け溶剤の高純度化や、エンジニアリング業務の効率化に寄与する技術開発を推進しました。

    機能商品関連では、水処理薬品、新規機能材、ラボ・医療機関向け小型超純水製造装置、食品加工向けの食品添加物・素材などの開発を行い、冷却水向け高機能薬剤(オルリッチecoシリーズ)、およびセンシング技術(オルチェイサーⅤ)を開発しました。加えて、水処理用分離膜向け高機能薬剤の研究開発を推進しました。

 なお、本事業分野における研究開発費は約33億円であります。

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