企業兼大株主日本製紙東証プライム:3863】「パルプ・紙 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

① 中期経営計画2025(2021年度~2025年度)の達成に向けて

2022年度はロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、石炭を含めた原燃料価格や物価の高騰が世界経済に大きな混乱をもたらしました。2023年度は欧米を中心に景気の減速が予測されており、原燃料価格の変動リスクにも引き続き注視する必要があります。国内経済については、急激な物価上昇が個人消費へ及ぼす影響が懸念されるものの、一方では経済活動の正常化やインバウンド需要の回復などによるプラス効果も期待されます。

このように事業環境が大きく変化する中、当社グループでは原燃料価格高騰への対策として、石炭使用量の削減や燃料転換、省エネを推進しました。その結果、2022年度の石炭使用量を2021年度の実績に対して2割以上を削減し、大きな収益改善につなげました。また、自助努力だけでは吸収できなかったコストアップ分については、お客様のご理解を得ながらグループ内の幅広い製品で価格修正を実施して収益力の回復を図りました。今後も適正価格を維持するとともに、成長分野への投資効果を確実に発現させて事業構造転換を進め、中期経営計画2025に掲げた目標を達成します。

目標達成に向けた今年度の重点課題は、「成長分野の収益力強化」、「国内外のグラフィック用紙事業の立て直し」、「GHG排出量削減の加速」です。今年度は中期経営計画2025の折り返しの年であり、各重点課題にスピード感を持って取り組みます。パッケージや家庭紙、ケミカルなどの成長分野では、これまでに実施した投資の効果により収益力を向上させます。また、Opal社ではグラフィック用紙事業からの撤退を決定しました。今後は、成長が見込まれる段ボール事業を中心に、パッケージ一貫サプライヤーとして収益拡大を目指します。国内のグラフィック用紙事業については、秋田工場N1抄紙機の停機など生産能力削減と効率化を進め、競争力を高めます。一方、GHG排出量削減については、収益改善及び生産体制再編成と連動させ、さらなる石炭使用量の削減、燃料転換及び省エネを強力に推し進め、削減目標を上積みします。

上記の重点課題に加え、新規事業の早期戦力化や物流の2024年問題、人材リソースの最大活用など、重要な経営課題への対処を加速し、中期経営計画2025の目標達成に向けて取り組んでいきます。

② 事業構造転換の加速

(イ)パッケージ

液体用紙容器事業では、国内は差別化製品の拡販により販売増を達成しました。環境性能と教育効果が高く評価されているストローレス学乳容器「School POP®」の採用も拡大し、今年度は15都府県、200余りの自治体での採用となる見込みです。今後も成長が見込める海外では、オセアニア地域での液体用紙容器の販売拡大に向けて、豪州に液体用紙容器及び充填機の販売子会社を設立しました。Elopak社、四国化工機株式会社との協業をアジア・パシフィック全体で進め、事業成長を図っていきます。北米の日本ダイナウェーブパッケージング社では、操業安定化やコスト削減、投資効果の発現により安定した収益を確保したうえで、国内紙パック事業との連携による高付加価値製品の販売拡大を図ります。

Opal社では、グラフィック用紙の主要原料であるユーカリ材の供給が停止されたことにより、同事業からの撤退を決定しました。今年度の早期に、メアリーベール工場の生産体制最適化を完遂し、今後は需要の伸長が見込まれるパッケージ事業に注力します。豪州ビクトリア州において建設中の段ボール工場の稼働により原紙から製品までの一貫体制を更に強化し、今年度下期中の黒字転換を目指します。

(ロ)家庭紙・ヘルスケア

日本製紙クレシア株式会社では、事業拡大に向けてクレシア春日株式会社及び当社石巻工場内に家庭紙の製造設備を新設します。新設備は、2023年8月、そして2024年5月にそれぞれ運転を開始する予定です。今後回復が期待されるインバウンド需要を確実に取り込むとともに、お客様に選ばれる商品を目指し、長尺の「長持ちロール」を始めとしたさまざまな商品群での差別化や、広告宣伝の強化、新しいコーポレートロゴへの刷新などによるブランド力向上を進めていきます。同時に、グループ内からのパルプ調達の拡大や省エネ推進など徹底的なコストダウンによる収益改善に取り組みます。

(ハ)ケミカル・新素材

ケミカル事業では、適切に設備投資を実施して生産体制を整え、輸出の拡大に取り組んでいます。また、世界的なリチウムイオンバッテリー(LiB)の市場拡大に対応するため、ハンガリーにLiB用CMCの製造販売子会社を設立しました。新工場は2024年12月に稼働予定であり、江津工場との2工場体制へと供給網を強化していきます。

CNF「セレンピア®」は、順調に販売を拡大しています。食品・化粧品用途での採用事例が大幅に増加し、海外展開も進めています。産業用途でも、ヤマハ発動機株式会社と共同でCNF強化樹脂の用途開発検討を開始しました。その他の新素材事業としては、東日本で採用が増えつつある養牛用の高消化性セルロース「元気森森®」について、西日本でも取り組みを進めます。また、持続可能な航空燃料への展開も見据えた国産木材由来のバイオエタノール事業について、住友商事株式会社、Green Earth Institute株式会社と共同検討を開始しました。

今後も木材由来のセルロースを活用した新素材、新規製品の開発を進め、循環型社会に貢献する製品を提供していきます。

(ニ)エネルギー・木材

国内最大級のバイオマス専燃発電設備(75MW)を保有する勇払エネルギーセンター合同会社が2023年2月に営業運転を開始しました。日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社では、バイオマス混焼比率を高めるための改造工事を行っており、2023年11月の完工を予定しています。これらの取り組みにより再生可能エネルギーの供給力を高め、収益基盤を強化します。また、当社グループの持つ国産材集荷網や海外のバイオマス燃料調達機能をフル活用した燃料供給ビジネスを拡大していきます。

(ホ)紙・板紙

国内グラフィック用紙事業の生産体制再編成の一環として、秋田工場N1抄紙機、日本製紙パピリア株式会社原田工場3号抄紙機、5号抄紙機の停機を決定しました。新聞・印刷・情報用紙などのグラフィック用紙は今後も需要減少が見込まれるため、生産体制の再編成や一層のコストダウンにより収益改善を図ります。一方、段ボール原紙や紙器原紙に代表されるパッケージ用途の製品は、インバウンド需要の回復や環境面での脱プラスチックの潮流により、今後も需要が堅調に推移すると予測されます。こうした国内外での需要について、確実な取り込みを図ります。

③サステナビリティ経営の推進

当社グループは、社会や環境の持続可能性と企業の成長をともに追求するサステナビリティ経営を推進しています。

(イ)温室効果ガス削減

当社グループは、2030ビジョンにおいて「GHG排出量(2013年度比)45%削減」を掲げ、石炭使用量削減、燃料転換、省エネを強力に推し進めてきました。これらの取り組みにより、当初目標の達成に目途が立ったことに加えて、生産体制再編成を含め追加施策を検討した結果、さらなるGHG削減の道筋が見えてきたことから、2030年度のGHG排出量(2013年度比)削減目標を54%に見直します。GHG排出量削減に対する社会的要求は今後も高まっていくと予想されることから、国内のグラフィック用紙の生産体制再編成と連動させて、さらなるGHG排出量削減を目指し、スピード感を持って検討を進めます。2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、脱炭素に関わる新たな技術などを積極的に取り入れ、循環型社会の実現に貢献します。

(ロ)グリーン戦略

森林の持つ価値の最大化と、木質資源を利用した製品の拡大によって、循環型社会構築と事業基盤強化の両立を目指します。当社が長年培ってきた育種・増殖技術や植林技術を活用し、森林の生産性を向上させることでCO₂固定効率の向上を図ります。また、花粉量が少なく、かつ成長も早くて生産性が高いスギ・ヒノキなどのエリートツリーについて、苗木事業の拡大を図ります。行政や自治体とも協働して伐採後の再造林の推進に取り組み、国内林業の活性化及び花粉症問題解決に貢献します。一方で当社が有する国内の社有林については、引き続き適切な管理・維持による生物多様性や水資源の保全など、公益的機能の発揮に取り組みます。

森林がCO₂を吸収・固定する能力に由来するカーボンクレジットについては、「J-クレジット制度」と呼ばれる国の認証制度の見直しなど政策面での動向も注視しながら、地方自治体や他の森林保有企業とも連携し、クレジットの創出を進めます。

(ハ)製品リサイクル

従来は廃棄・焼却されていた難利用古紙について、リサイクルチェーンの構築や技術・設備対応による再資源化の拡充を進めています。従来技術では再利用に不向きとされていた剥離紙を、操業の最適化により再生処理可能としたほか、紙コップや紙パックなど利用されていなかった食品・飲料用製品の古紙について、昨年富士工場に再資源化専用設備を導入し運転を開始しました。近年ではこうした紙容器のリサイクルを望む顧客が増加しつつあります。当社では日本航空株式会社と協働し、機内サービス用紙コップの収集リサイクルを開始するなど、賛同企業からの紙コップ収集を拡大しています。今後、収集古紙の対象範囲を広げ、社会的要請に応えるとともに、賛同企業と協働した新たなスタイルのビジネス構築を進めます。

(ニ)人材リソースの最大活用

企業グループ理念の中で、目指す企業像の要件の一つが、「社員が誇りをもって明るく仕事に取り組む」ことです。そのためには、「社員と企業の双方の成長」を目的とした社員のエンゲージメント向上が必須です。この実現に向けて、「変化にチャレンジする人材づくり(人材育成)」、「社員のスキル・キャリア志向を踏まえた人材の活用(人材配置)」、「社員ニーズにこたえる処遇や制度の構築(人材確保・定着)」を人材戦略の3つの柱とした各種施策に取り組みます。

財務面については、政策保有株式や遊休資産の売却を積極的に進めるとともに、投資についても、財務規律を十分に考慮した上で、事業構造転換の加速に必要な投資を厳選していきます。

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