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企業概要

 当連結グループの研究開発は、株式会社エイト日本技術開発が主体的に実施しております。

 当連結グループでは、多様化・高度化・複雑化する顧客ニーズに対し、質の高い技術サービス及び成果品を提供するため、新技術の習得・導入及び品質・生産性の向上を目指して外部の公的機関等との共同研究も積極的に取り入れながら、多面的な研究開発に取り組んでおります。

 株式会社エイト日本技術開発の研究開発は災害リスク分野、データサイエンス分野、インフラ技術分野の3分野からなりEJイノベーション技術センターで実施しております。

 当連結会計年度は、主として以下の活動を実施しています。なお、(完了)と付したものは当連結会計年度中に完了したものであります。

①災害リスク分野

・土質定数データベースの構築とAIを用いた設計用土質定数設定プログラムの開発(完了)

・DAS(光ファイバで振動を観測する技術)を用いたモニタリングに関する研究

・STIV解析(時空間画像(動画)による流速解析)を用いた流量観測高度化

・火山・土砂ハザード対策に関する研究開発

・火山・土砂防災ソフト対策に関する研究開発

・干渉SAR(人工衛星レーザー画像を使った観測技術)解析を用いたフィルダム等の大規模土木施設の変位推定および道路・斜面の変状箇所の抽出技術の開発

・水槽模型実験を用いたため池堤体の降雨浸透に対する研究(完了)

・動的な破壊解析手法の検証(完了)

②データサイエンス分野

・AUV(自律型無人潜水機)で取得した地形・水質データの高度利用に関する研究

・UAV(Unmanned Aerial Vehicle 通称ドローン)グリーンレーザが有効な水質・底質に関する研究

・UAV用レーザを用いた地上計測およびSLAM(自己位置推定)の精度検証

・波・流れと環境分析結果の見える化に関する研究

・魚類調査におけるAI技術の活用

③インフラ技術分野

・構造物維持管理におけるDX開発(一部完了)

 研究成果

 当連結会計年度に完了した主な研究開発活動の成果の概要を以下に示します。

・土質定数データベースの構築とAIを用いた設計用土質定数設定プログラムの開発

 機械学習を活用し、特定地域のボーリング調査データから地層構成を推定するプログラムを開発いたしました。このプログラムには主に2つの特徴があります。1つ目は地層構成を推定する際の根拠となるパラメータを抽出する機能を備えていること、2つ目は推定した地層構成を3次元で表示可能なことです。また、国土地理院が公開している地形データと推定地層を重ねて表示することができ、地形と地層を直感的に把握することが可能となります。このプログラムにより、地盤技術者が設計対象地域の地層構成を効率的に作成することが期待されます。従来の手作業による工程を削減し、短時間で精度の高い地層予測を提供できるため、土木や建築の分野において有用なツールとしての価値が高いと考えられます。

・水槽模型実験を用いたため池堤体の降雨浸透に対する研究

 近年、豪雨によるため池堤体の決壊が全国各地で多発しております。本研究開発では重力場における水槽模型実験を通じて、豪雨時にため池堤体が脆弱化するメカニズムを解明し、降雨浸透に対する安定性の評価手法について検証いたしました。模型実験ではため池堤体の地盤材料に着目し、粒度組成が異なる堤体を対象に、降雨浸透時の飽和領域の形成過程やその後の被災挙動を比較いたしました。その結果、ため池堤体の安定性には粒度組成に起因する透水性、密度条件が大きく影響することが明らかとなりました。さらに、降雨時の被災挙動と地盤物性との関連性を整理し、降雨時の安定性評価に関する判定フローを構築いたしました。本成果を活用することで、ため池の豪雨・耐震診断や改修設計などの実務において、土質試験結果を基に降雨浸透時の安定性を簡便に評価できるようになり、改修の要否を判定する際の一助となると考えられます。

・動的な破壊解析手法の検証

 大規模地震によって、盛土や斜面が崩壊するなどの自然災害が頻発し、これら施設構造物の詳細な耐震性評価と対策方法の検証が学術機関や実務においても鋭意進められている状況にあります。このような状況を踏まえ、地盤の破壊、崩壊を厳密に予測することのできる弾塑性理論に基づく有限要素解析手法の適応性について検証を行いました。その結果、施設構造物の施工過程から地震時の挙動までを統一的に予測する数値解析手法として弾塑性有限要素解析プログラム「Nonsolan」の有用性を、ため池、フィルダムの挙動予測解析を実施して確認しました。今後、この成果は農林水産省(農村振興局)をはじめ各種学会等へのプレゼンテーションにより、地盤の地震応答解析としての認知度向上が期待できます。

・構造物維持管理におけるDX開発

新感覚で簡単に作成可能な三次元空間プレゼンAPPの開発(Eye-Con360):従来のBIM/CIM(3次元モデルを導入し、建設生産・管理システムの効率化・高度化を図る取り組み)には「ファイル容量が大きく閲覧環境が限られる」「作成に手間とコストがかかる」「クラウド利用に制限がある」「専用アプリケーションが必要」「操作が複雑で初心者には扱いづらい」といった課題がありました。

 これらを解決するため、360度写真上に3DCADモデルを配置して視覚的に分かりやすいプレゼンテーションが行える「Eye-Con360」を開発いたしました。直感的な操作が可能で、BIM/CIMの専門知識がなくてもモデル作成や高度なプレゼンが容易に行えます。また、日照シミュレーション機能により、構造物の影の影響も確認できます。さらに、無償のビュワー版も提供しており、システムを導入していない顧客でも閲覧が可能です。

データ統括管理システムの開発(inMap):インフラ施設における膨大な管理データの整理・検索作業は、多大な手間と時間を要しておりました。この課題を解決するため、電子地図上から必要な情報を簡単に検索・閲覧できるインフラ管理システム「inMap」を開発いたしました。本システムは、顧客ごとの管理手法に応じたカスタマイズが可能で、オンライン・オフライン環境、社内ネットワーク環境など様々なシステム構成に対応いたします。工場やプラント内など建物内でも利用でき、簡易GPSを接続することで、自分の現在地が地図上に表示され、スムーズな移動が可能になります。インフラ管理者のみならず、民間企業など幅広い分野での活用が期待されております。

公開成果品自動作成マスキングAIの開発:国土交通省業務などにおいて、成果品を公開する際には報告書内の個人情報(顔、車両ナンバー、住所、氏名など)を黒塗りでマスキングする必要があり、従来は手作業で多くの時間と労力を要しておりました。これを効率化するため、AIによって個人情報を自動で認識・マスキングするアプリケーションを開発いたしました。本システムはブラウザ上で稼働しており、データをアップロードするだけでPCの負荷をかけることなく、AIが自動でマスキング処理を行います。これにより、作業効率の大幅な向上に加え、粗利益の改善と働き方改革の推進が期待されます。

 当連結会計年度における研究開発費用の総額は105百万円であります。なお、当連結グループのセグメントは「総合建設コンサルタント事業」のみであります。

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