三井住友建設
【東証プライム:1821】「建設業」
へ投稿
企業概要
当社グループでは、技術の信頼、受注の拡大、利益の向上を目指して、顧客ニーズに応える技術開発をタイムリーに推進することを技術開発の基本方針とし、技術開発本部、土木本部、建築本部、事業創生本部を中心として、技術開発を積極的に進めてきました。
当連結会計年度の技術開発に要した費用の総額は、1,727百万円です。なお、当該費用については、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しています。
当連結会計年度における主な技術開発成果は次のとおりです。
(1) 環境配慮型コンクリートを使用した人工石材「さすたまぶる®」を開発/大阪・関西万博の住友館に初適用
環境配慮型コンクリート「サスティンクリート®」を使用した人工石材「さすたまぶる®」を開発し、床材として2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)住友館の屋外通路に初適用しました。「さすたまぶる」は、通常のコンクリートと比べてCO2排出量が少ないゼロセメントタイプの「サスティンクリート」を使用した、環境に配慮した建材です。多彩な色や模様を表現することができ、形状の自由度が高く、天然石材では難しい造形を実現できます。そのため、床材だけでなく、デザイン性に富んだ造形物への適用も可能です。今後は「さすたまぶる」の特性を活かし、建材だけでなく、様々な用途への適用を進めてまいります。
(2) 水循環式バイオトイレ「SMilet®(スマイレット)」を開発・販売開始
水循環式バイオトイレ「SMilet®(スマイレット)」を開発しました。また、国内全域での販売体制を構築し、2024年12月より販売を開始しました。「SMilet(スマイレット)」は、上下水インフラに接続することなく、水洗トイレが利用可能な水循環式バイオトイレです。設置や移動も簡単で、通常利用において放流や汲取りは不要です。国土交通省が定める「快適トイレ」の認定も取得しており、災害時や上下水インフラが整っていない自然公園、建設現場などにおいて、清潔で快適に使用することができます。今後は販売店体制の拡充を図り、災害時における生活環境やダイバーシティ化が進む建設現場における労働環境の改善に寄与してまいります。
(3) SMC-Tunnelingシリーズ「クイックreインバート」を初適用
トンネルインバート更新における土留め作業時間を半減する「クイックreインバート」を、上信越自動車道の閼伽流山トンネル(上り線)補強工事に初適用しました。本工法は、供用中のトンネルにおけるインバート更新工事において、従来の土留め工に用いられる親杭横矢板工法にかえて、オープンピット工法による連続したU型土留めを設置する工法です。本工法の適用により、車線規制を伴うインバート補強工事の施工期間の短縮と交通災害リスク低減を実現しました。今後は、本工法の更なる現場適用を図るとともに、今回の適用で得られた知見を活かし、技術の改良を重ね、安全性と生産性の向上に寄与する技術として普及を図ってまいります。
(4) 省人化を実現する「ワンマンレベル測量システム」を開発・適用
スマートデバイスを用いた「ワンマンレベル測量システム」を千代田測器株式会社と共同開発し、橋梁上部工の現場で初適用しました。本システムは、カメラ及び回転台を取り付けたオートフォーカス付デジタルレベルと専用のスタッフ(標尺)を使用することで、スマートデバイスからの遠隔操作によって、回転・視準・測量・計算を行うことができるようにしたものです。本システムを使用することにより、デジタルレベルを遠隔操作して高精度なレベル測量が可能となりました。また、従来の測量作業と比較して作業員が2人から1人となり、省人化を実現しました。今後は本システムの販売も視野に入れ、さらなる開発を進めてまいります。
(5) AI搭載リアルタイム鉄筋出来形自動検測システム「ラクカメラ®」を開発
2019年に株式会社日立ソリューションズと共同開発したリアルタイム鉄筋出来形自動検測システム「ラクカメラ®」に新たにAI(人工知能)を搭載しました。AIが画像から鉄筋を自動で認識するため、計測精度と作業効率が大幅に向上しました。また、従来システムでは計測が困難であったダブル配筋の下段鉄筋の計測や、直射日光が当たる環境や逆光などの撮影条件下の計測も可能となりました。今後は本システムを積極的に導入展開して実績を蓄積するとともに、さらなる高精度化に向け、引き続きシステム開発に取り組んでまいります。
(6) スクライム(プレキャストコンクリート)工法が米国の技術認証を取得
鉄筋コンクリート造の超高層建築物において当社が広く適用しているプレキャストコンクリートを用いた「スクライム(SQRIM)工法」が、国際的に認知度の高い規格である米国の技術認証を取得しました。今回取得した技術認証は、本工法がACI(米国のコンクリート工学協会)の耐震設計規準(ACI318)に準拠することを構造試験(ACI374試験)で実証したものです。本技術認証の取得により、米国の耐震規準に準拠した方法で耐震設計が行われている国々においても、スクライム工法の耐震性能の証明が容易になり、海外での適用を円滑に進められるようになりました。今後は、耐震構造が必要な東南アジアの当社進出国を中心に、生産性向上を実現できる本工法の海外展開を図ってまいります。
(7) ZEB取得をサポートする簡易評価システム「ZEViewer®(ゼビューア)」を開発
建築物の省エネレベル(BEI)を短期間で判定可能な簡易評価システム「ZEViewer®(ゼビューア)」を開発しました。本システムでは、設備機器の出力を建築物の単位面積当たりの値に置き換えることにより省エネ計算を簡略化しました。これにより、省エネ計算の際に詳細な設計図面や設備機器のデータベースを必要とせず、作業時間を従来の1/6程度に短縮することが可能となりました。本システムによるBEI算定結果は従来システムによる算定結果と比較して誤差2%以下です。当社は「ZEViewer(ゼビューア)」の活用により、空調、換気、照明、給湯、昇降機等の最適な組み合わせによる高効率設備を選定し、効果的に省エネを実現します。さらに太陽光発電などの創エネを組み合わせた最適な提案を行い、年間エネルギー収支ゼロのZEB達成を支援してまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング