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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、生き物の命を救い、守り続けることを唯一の目的とする「Animal is my life」を企業理念として掲げ、絶えず高度な知識や技術の習得に努め、動物医療の発展に寄与することを通じて、「人と変わりない幸せを動物たちに届けたい」及び「世界最先端の動物医療を実現したい」並びに「動物と社会が隔たりなくつながる世の中を実現したい」を使命としております。

(2)経営環境

 日本の動物医療(小動物)は、国民の生活レベルの向上に伴うペットの普及を背景に発展してまいりました。獣医療に対する要求度は、ペットからコンパニオンアニマル(伴侶動物)へといった、飼い主の意識変化につれて高まりを見せ、個人獣医師が全科の診療を行う施設が多数であった時代から、専門医への分化、高度医療の導入、総合病院化と動物病院も多様化が進んできたところです。

 現在、動物医療は、その診療内容について、かかりつけ病院による診療や処置(一次診療)と専門的で高度な設備を用いた検査や手術(二次診療)の大きく2つに分類されておりますが、依然として動物病院の8割以上が獣医師数2名以下の一次診療が主体の小規模病院となっている現状があります。なお、当該傾向は、当社主力拠点のある大阪、東京、沖縄でも同様であります。

 動物病院開設獣医師数はここ10年ほぼ横ばいのまま高齢化が進みつつあります。被雇用者獣医師数は増加傾向にあることから、大学獣医学科の定員がボトルネックとなり獣医師の供給が限られる中、小規模の施設では後継者となるべき獣医師が確保しづらく、世代交代が進みづらい状況となっていることがうかがえます。

 高齢化の進展も手伝い、体力を必要とする職業である獣医師は慢性的に不足傾向にあります。個人診療施設においては、獣医師の高齢化と後継者の不在により廃業を余儀なくされることもあり、場合によっては地域での獣医療提供が不十分となる事態も想定されます。

 飼育診療施設数の推移としましては、犬猫等小動物の飼育診療施設数は直近10年で約15.1%増加しておりますが、当該増加をけん引しているのは法人診療施設であり、個人診療施設は緩やかな減少傾向にあります。2023年では、犬猫等の飼育診療施設は法人施設が個人施設と同数程度となっております。

 当該傾向は、高度化する飼い主のニーズに応えるためには、高額な設備の導入や、優秀な獣医師の確保、技術・サービスレベルの向上が欠かせないことから、競争力のある組織的な病院経営を志向する施設が増加しつつあるためであると考えております。

 ペット医療市場全体の傾向といたしましては、ペット数は漸減しているものの、ペット医療市場規模は拡大傾向にあります(株式会社矢野経済研究所「ペットビジネスマーケティング総覧2022年版」より)。

 これは、ペットのコンパニオンアニマル化に伴い飼い主がペット(犬・猫)にかける1匹当たり年間支出額が増加傾向にあることを示しており、高度医療を含む獣医療サービスに対するニーズも高まっているものと考えております。

 以上より、ペットの家族化に伴い、獣医療に対する要求度が向上し、高度医療を含む獣医療へのニーズが全体として高まる一方で、安定的な病院運営を行いながら設備投資が必要な高度医療を提供できる施設へのアクセスは、地域によっては未だ十分とは言えない状況にあるものと当社は考えております。

 動物医療を更に発展させるためには、高度医療への対応が可能な獣医師の育成及び施設の充実が不可欠です。しかし、現在の業界構造下では高度医療にかかる獣医師の臨床教育や医療技術の向上の機会も限られており、高度医療サービスを提供可能な施設を展開し得る十分な規模を有する動物病院が不足していることが動物医療業界における重要な課題となっているものと考えております。

 当社グループは、当該課題を解決していくためには、動物病院の組織的運営を拡大していくことが重要であると考えております。

(3)経営戦略

 当社グループではこれらの課題を解決し、飼い主のニーズに応えることで当社グループの収益を拡大し、企業価値を増大させるとともに、動物医療の発展に貢献することを目標に、以下の基本的な戦略に基づいて経営を行っております。

① 持続的運営が可能な組織的動物病院経営モデルの確立

② 積極的な事業承継による動物医療の継続的発展への貢献

③ インフラ・教育面からの動物医療発展への貢献

① 持続的運営が可能な組織的動物病院経営モデルの確立

 動物医療業界では一次診療又は二次診療に特化した病院モデルが大半ですが、当社グループでは一次診療と二次診療のいずれかに特化するのではなく、爪切りなどの身近なケアからCTやMRI、放射線治療装置を備えた高度医療までシームレスかつ総合的に提供する経営モデルを構築しております。このような体制により、普段から飼い主と密接なコミュニケーションを築くことができ、飼い主の不安の緩和を実現しております。

 具体的には、各エリアにおいてセンター病院となる二次診療施設を置き、そのサテライト病院として一次診療施設を配置することで、グループ内で一次診療と二次診療の緊密な連携が図りやすく、また、長年の診療記録に関するデータが蓄積・共有されることにより適切な治療方針の策定、医療サービスの提供が行えるよう努めております。

 また、人材育成の観点からも、一次診療の基礎から二次診療に必要な高度医療までの臨床経験をグループ内で積むことが可能であるため、高度医療に必要となる知識や技術を身につけた獣医師の社内育成を促進する環境を構築しております。当社グループでは、病院1拠点あたり約3人の獣医師を配置し、複数の獣医師チームにより若手獣医師が相談できる体制を構築しております。また、社内獣医師のキャリア志向により複数の選択肢を提供しております。

 当社グループでは、このようなグループ内での医療知識の蓄積及び人材育成を組織的に行う経営モデルにより、動物病院を持続的に運営すること、及び動物医療における課題である高度医療提供施設及び人材の不足という課題解決が可能と考えており、この経営モデルを既存及び新エリアへと展開していくことを基本戦略としております。

② 積極的な事業承継による動物医療の継続的発展への貢献

 動物医療の現場において獣医師の高齢化が深刻な問題となっており、60歳以上の獣医師数は年々増加し、獣医師全体に占める割合も大きくなっております。また、犬・猫の飼育頭数が減少傾向にある一方で、全国の動物病院数は増加傾向にあり、今後一層市場競争が激しくなると予想されます(出典:ペットビジネスマーケティング総覧2022年版(矢野経済研究所))。

 当社グループは、後継者不足や経営難による動物病院の廃業・閉鎖を、その地域の飼い主や動物にとっての損失と捉えており、M&Aを主体とした事業承継を積極的に実施して既存病院を継続・発展させていくことにより、動物医療の継続的発展に貢献すべく事業を推進してまいります。

③ インフラ・教育面からの動物医療発展への貢献

 当社グループのコアビジネスは動物病院事業でありますが、より効率的かつ効果的に病院運営を行うことができる顧客管理システム「わん太郎」の開発及び販売を行うとともに、当社システム管理室を中心としたプロジェクトチームにより当該システムのクラウド化を進めております。これにより、かかりつけの小規模病院から高度医療に対応した大規模病院まで幅広く使いやすい形を実現し、動物医療のDXを推進してまいります。また、連結子会社である株式会社ペット・ベットでは小動物臨床獣医師向けの情報サイト「VMN(Veterinary Medical Network)」を運営しており、獣医師への教育コンテンツを配信しております。このようにインフラ面及び教育面からの事業展開を通じて、当社グループの発展だけでなく動物医療全体の発展に貢献することを基本的な戦略としております。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、「獣医師数」及び「診療件数」を最も重要な経営指標と考えております。獣医師数は当社グループが提供可能な医療サービスのキャパシティを把握することができる指標であり、獣医師数の増加により事業規模が左右されるものと認識しているためであります。また、「診療件数」は当社グループが提供した医療サービスを量的に把握することができる指標であり、これまでに行った診療サービスに対する飼い主の満足度が反映されるものと認識しているためであります。

 また、効果的かつ効率的な運営が行えているかを計る指標として「獣医師1人当たり売上高」も重視しております。

 2024年6月期における各経営指標の実績は、獣医師数は91名(平均在籍人数)、診療件数は355,003件、獣医師1人当たり売上高(動物病院運営にかかる年間売上高を稼働ベースの平均人員数で除して算出)は47,219千円(年間)、動物病院運営にかかる売上高は4,296,704千円となっております。2024年6月期の連結売上高4,990,639千円との差額は、ペットサロン運営、動物病院向けソフトウエアの提供、獣医療向教育セミナー配信その他に係る売上高となっております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 人材の確保と育成

 グループ病院を継続して拡大するためには、獣医師や看護師など現場スタッフの確保と育成が必要となります。日本最大級の動物病院グループという優位性を活かした積極的な採用活動を行い、研修制度の整備、労働環境の向上、福利厚生の充実など、働きやすい環境づくりを通じて定着を図ってまいります。

② 医療サービスの品質向上

 動物医療サービスを提供する会社として、日々高度な知識や技術の習得に努め、医療環境の充実や医療レベルの向上を図ってまいります。また、医療サービス従事者として、インフォームドコンセントの徹底、現場スタッフのホスピタリティ向上など、トータルでの顧客満足度向上に努めてまいります。

③ コーポレート・ガバナンスの強化

 内部統制システムの整備を推し進め、サステナブルな企業価値の向上を目指しております。透明性のある経営体制、健全性及び遵法性の確保、コンプライアンス体制の整備などを通じて、役員及び従業員の法令遵守意識を強化し、コーポレート・ガバナンス体制をより一層整備してまいります。

④ 財務上の課題

 当社は、LBOやM&Aにかかる金融機関からの借入金を有しており、今後の借入返済に備えて、更なる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により財務体質の強化を図ってまいります。

より抜粋
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