企業SMK東証プライム:6798】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は企業理念である「可能性の追求を通して総合的な高度技術により、情報社会の発展に寄与する」を基本精神として、研究開発活動を進めております。「CREATIVE CONNECTIVITY ―Challenge, Creativity, Solutions」をSMK’s Visionとして掲げ、社会やお客様の課題に対するソリューション提案・付加価値提案のための研究開発を継続的に進めています。目覚ましく進歩するデジタル化・IoT化によって社会の利便性が益々高まっており、ユーザビリティや耐環境性能など、お客様の新たなセットの価値創出に貢献していくことを目指しています。

 イノベーションセンターは独自性のある高付加価値技術で社会課題へのソリューション提案となる先進的な開発を行い、各事業部門では電子情報産業分野における技術・商品開発を推進し、コアテクノロジーの深耕と新耕に注力しております。生産技術センターでは各事業部・事業所と連携し、トランスナショナルの製造現場における自動化の向上とIT技術の導入による無人化・生産性の向上を進めており、自社内での自動化・省力化設備の開発と製作、稼動データ収集システムを活用した設備の予兆保全にも取り組んでいます。また、技術管理部では研究開発・設計開発環境の向上を目指して、開発ツール・ソフトの高度化やシミュレーション技術の向上、当社が創造した知的財産の適切な保護とその活用を進めています。

 開発体制は、国内3拠点の他に、米国・メキシコ・中国・シンガポールとグローバルな拠点展開を行い、本社をセンター機能として各拠点間で双方向の連携を図っています。各開発拠点は、その地域でのワンストップソリューション(営業・設計・生産の一貫体制)での設計機能を果たすと共に、新技術の共有や設計工数・習熟度などの不足は補完し合いながら開発を進めています。

 当連結会計年度における主な研究開発成果は次のとおりです。

(1) CS事業関連

CS事業部において、生成AIの普及でPCやタブレットの情報量が飛躍的に増大する要求に応えるため、PCIe-Gen5を満足する0.35mmピッチ・勘合高さ0.6mmのフルシールドB2Bコネクタを開発しました。差動インピーダンス85Ωに高精度でマッチングしており高速の伝送性能と高いEMI性能を有しています。

 車載市場ではADASの進展で車載カメラの搭載が標準化し、同軸機能に加え電源供給のニーズが増えていることから、1軸+2電源対応の複合コネクタ(CM-Cシリーズ)を製品化しました。凍結防止や水滴除去を目的としたカメラへの電源供給、DMS/OMS用途ではLEDへの電源供給が可能となります。

 車載電装品では軽量化と低価格化目的で電線接続からFFC接続への切り替えが進んでおり、電線とFFCの両方が使用できるマルチ接続コネクタ(LA-4シリーズ)を開発しました。配線用途に応じて電線とFFCの併用が可能となり、車両メーカーの選択自由度に貢献します。モバイル端末の普及により車内でUSBポートを使用した充電やデータ伝送のニーズが高まっており、ECUとディスプレイなどを繋ぐUSB3.2Gen2信号に対応した24Pinロック付きコネクタを開発しました。強い振動や衝撃への耐久性を確保するため、勘合時にフルロック構造を採用し、SAE/USCAR-2規格の引張強度を満足し、高い接触信頼性を実現しています。

 また、拡大するE-Bike市場に向けて業界最小クラスの丸形2P~8Pで防水対応の電線対電線用コネクタを開発しました。小型ながら1ピン当たり3A通電が可能で、良好な操作フィーリングを実現しています。モーターやバッテリーパックなど大電流通電のバスバーと基板を簡単かつ高性能・高信頼性で接続するアクティブフローティングソケットを開発しました。車載用途への展開を見据え、定格100Aまで対応可能な標準品ラインナップを順次リリースしていく予定です。

(2) SCI事業関連

SCI事業部において、スイッチではウェアラブル機器用にハンダレスでユーザビリティが高く、従来品比で幅方向を29%小型化し部品密集化に貢献し、強度3倍以上の高い耐衝撃性能を有したMicro1domeスイッチを開発しました。リモコンではSmart Home/Home Appliance向けとしてSub-GHz帯通信でリモコン・レシーバー及びセンサーを集中管理する製品、また、超薄型を追求した製品を開発しました。ミリ波センシングでは周波数解析を用いた睡眠深度推定アルゴリズムの研究開発を進めており、非接触・非侵襲でのバイタル計測に拠って家電をコントロールし、睡眠の質を向上させるデバイス:スリープテックの開発を進めています。

 環境貢献事業への取り組みの一環として、今後拡大が見込まれる風力発電の風車に使用されるボルトの緩みを検知するセンサーとして、IoTデバイスとモニタリングシステム「SyncBolt®」を共同開発しました。電力インフラを維持する際、点検の負担と危険が大きな課題となっており、遠隔での自動検知による保守業務の効率化を図る目的で、国内の電力事業者向けに商品化を進めています。また、コイン型電池CR2032に置き換わる、業界初の自立給電型コイン電池モジュール「Harvest Loop」を開発し、今年米国で開催のCESにおいて、「CES Innovation Award 2025」をSustainability & Energy/Power部門にて受賞しました。IoTデバイス・センシングデバイスへの幅広い活用ができ、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた製品開発を進めていきます。

(3) イノベーションセンター関連

 イノベーションセンターにおいては、IoT事業の取り組みとして電波によるセンシング技術を活用し、対象者の在室検知や転倒検知などが行える技術を開発し、顧客の課題解決に向けた製品・システム提案を進め、実証実験に取り組みました。また、Sub-GHz帯通信モジュールを活用した物流領域や小売領域のデジタル化での課題解決に向けた製品・システム開発を行い、商品化を実現し、お客様に納入させて頂きました。車載向けデジタルキー及び住宅用スマートロック向けに、小型・薄型を実現した周囲の金属の影響を受けにくい独自フェライト卷線構造のNFCアンテナの開発も進めています。

 新技術ではオープンイノベーションによる技術を活用し、ヘルスケアビジネスの創出に取り組んでいます。非接触型の生体センサーでは、スタートアップ企業と協業し、車室空間の安心・安全向上に向け「子供置き去り検知センサー」の量産化を目指しています。また、筋電センサーについてはスポーツ・トレーニング用途向けに筋活動の可視化に取組んでいます。さらに、既にプレスリリースしている日本語音声による頭の健康度を可視化するアルゴリズムの開発が完了し、アプリケーションの本格的な販売を開始しました。

(4) 生産技術関連他

 生産技術面では、全工場の製造工程の自動化率向上及び、IoT・DX技術の活用による製造現場の効率化に取り組んできました。全社の自動化率は前年比で1.3%向上させることができました。設備製作においては部品製作に3Dプリンターの活用を推進し、複雑な形状の部品を3Dプリンターで制作することによって、設備開発リードタイムを数週間レベルで短縮させ、制作費用の大幅な削減を実現しています。また、画像検査においてはAIを活用したシステムを導入し、誤判定率の精度向上に取り組み、精度が37倍向上した製品もあり、水平展開を図っています。加えて、これまで自動化が難しく目視検査が続いている工程にもAI画像技術を導入し、検査工程の完全自動化の実現に向けて研究開発を進めています。

 情報技術面では自動機の稼働データ収集を高度化し、不具合発生の早期発見・未然防止システム構築により仕損費の削減に大きな効果を生み出しました。新製品開発ではフロントローディング型開発システムを構築・推進し、シミュレーション技術(構造解析・流動解析・電磁界解析・光学解析など)の活用強化と解析スピードアップを図ると共に、機構強度・音響・材料配向・流体・加工成形を組み合わせた連成シミュレーションやAIを活用した最適化の導入でシミュレーション技能の高度化を図り、設計力強化・設計品質向上に向けた環境整備に取り組んでいます。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は2,779百万円です。

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