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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)企業理念、行動基準/行動指針

 当社は、「わたしたちはお客様を念(おも)い、仲間を想(おも)い、社会を憶(おも)い、高度情報通信ネットワーク社会のラストワンマイルである人と人との接点に新たな価値を創造していきます。」を企業理念として掲げております。

 当社の活動する現場は、人と人との接点の場であり、お客様、仲間、社会それぞれへの思いを大切に活動してまいります。

◆お客様 = 最も大切な存在  『念う(一心に思う)』

◆仲間  = お互いに尊敬しあい、大切にする存在  『想う(感情をこめて思う)』

◆社会  = 深い問題意識を持ちつつ貢献していく  『憶う(深く思う)』

 当社の保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の現場は、人と人との接点にこそあります。

 医療機関に導入されている電子カルテシステムやレセプトコンピュータ等の機器、あるいは企業に導入されているパソコン、サーバ等のIT機器の設置や保守といった業務は、実際に病院やクリニック、企業に当社の社員が出向いて作業を行います。そこで機器を利用する方々の使用状況を伺いながら、エンジニアの視点からの機器使用についてのアドバイスを行うこと、顧客の要望に応えるべく現場ごとに適切な作業を行うこと、それが高度情報通信ネットワーク社会のラストワンマイルを担う当社に求められた使命であると考えております。

 上記企業理念に加えて、以下6項目を行動基準/行動指針として掲げております。

 わたしたちは、お客様第一で行動します。
    そのために、お客様の期待を超えるサービスを提供します。
わたしたちは、プロフェッショナルとして行動します。
    そのために、日々の研鑽を怠らず、スキルの習得に努めます。
わたしたちは、チャレンジ精神で行動します。
    そのために、前向きに努力し、常に挑戦し続けます。
わたしたちは、コンプライアンス意識をもって行動します。
    そのために、ルールを正しく理解し厳守します。
わたしたちは、チームワークを大切に行動します。
    そのために、仲間の個性と価値観を尊重します。
わたしたちは、社会貢献を喜びとして行動します。
    そのために、社会の一員として責任を果たします。

 これらを実現することにより、法令を遵守した継続的かつ安定的な企業成長を目指し、社会的責任を果たしてまいります。

(2)経営環境

 当社の事業領域である国内IT市場の2023年は、全産業の経済活動が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復し、IT支出を本格的に再開すると予測しております。リモートワーク、リモート学習へのシフトへの対応、サプライチェーンやサイバーセキュリティの強化等、IT分野の優先度が高く、積極的な支出が継続する見通しのため、市場規模は前年比6.0%増の21兆7,381億円、また2022年~2027年の年平均成長率は4.0%と予測されております。(出典:IDC Japan, 2023年4月「国内IT市場産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2023年~2027年」(JPJ49208023))

 当社が約50年にわたって関わりのある医療分野においては、2022年10月に内閣総理大臣を本部長とする医療DX推進本部の設置が閣議決定され、政府が推進する医療DXは、2023年1月の電子処方箋の情報を皮切りに、電子カルテ情報、予防接種情報の共有拡大を検討しており、将来的には全国医療情報プラットフォームの適切かつ効率的な運用の実現を目指しております。2024年にはマイナンバーカードと保険証の一体化が予定されており、当社においても2023年3月期におけるオンライン資格確認導入作業に続き、今後も医療DXに関連した業務の依頼が増加することが期待されます。また、医療機関へのランサムウェアによるサイバー攻撃が多発しており、昨年も電子カルテシステムがダウンし、新規外来患者の受入れや手術の停止が余儀なくされ、通常の診療体制に戻るまで約2か月を要したケースがあったとの報道がありました。このような状況から、当社へは病院内のネットワーク構築の依頼に加えてセキュリティ対策への相談も増加傾向にあることから、医療分野における事業拡大の機会は大いにあると予測しております。

 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)による企業変革、新たなビジネス展開に向けた取り組みが本格化しており、業務効率化や非対面チャネル強化、既存システムのクラウドシフトを推進するIT支出の拡大が予測されております。ソリューション事業においては、これに伴う機器の販売、設定設置等の需要が増加することが見込まれ、そこに付随して保守サービスにおいてはオンサイト保守の他、故障機器を送付し修理や代替品との交換を受けるセンドバック修理の需要が増加することも期待されます。

 大都市圏を除いた地域では、人口減少、ならびに企業流出が深刻化しており、地域経済は停滞が継続しているという一面もありますが、医療、教育、地方自治体といった各地に不可欠な分野におけるIT支出の機会はあることから、全国拠点を生かして新規開拓、事業拡大の余地はあると考えております。

 また、コロナ禍による影響の沈静化が、国内の観光、飲食、流通、運輸等に関連する産業分野の企業での業績回復につながり、すべての産業分野でIT投資はプラス成長になる見込みであることから、新たな分野における新規ビジネス展開の機会もあると考えられます。

 このようにDXの進展に伴いIT人材の需要が増加する一方、経済産業省の調査では、2030年には全体需要が129.7万人から192.0万人に対し、16万人から79万人の人材不足が予測されております(経済産業省ホームページ https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf 2019年3月時点データ)IT人材不足が深刻な課題となっております。これにより当社の人材サービス事業では、今後CE、SEの派遣需要が増加することが見込まれます。

(3)経営戦略

 変革するIT市場において、当社は様々な機器への対応スキルの向上と、高度なネットワーク技術を核として、セキュリティ対策等、新たな価値を創造してまいりました。今後は、取引先企業の成長を更に支援し、新たな付加価値を提供できる会社へと、一層の変革を進めることを目標として事業セグメントごとに戦略を立てております。

 保守サービス事業では既存パートナーからの保守エリアの拡大及び取扱機器の種類の増加依頼の他、ソリューション事業での機器設置展開後の保守委託が毎年増加しており、そのような需要に対応するため、技術資料、マニュアル等を電子化し、オンサイト先でも利用できるよう、全保守員にiPadを配備しております。加えて、最近ではスマートグラスを用いた遠隔からの作業支援等、DXを活用した取り組みを始めております。更に、業務報告等の事務処理を電子化し、業務プロセスの効率化を図っております。今後は更なる業務効率化を目指し、品質管理システムの刷新を計画しており、2024年5月の利用開始に向けて、現在準備を進めております。

 保守サービス事業に関連する情報はテクニカルセンターにて一括管理し、それを基にCEやSEへの技術支援を行っております。テクニカルセンターではその他、運用・保守に関する顧客からの問合せを受けるコールセンター業務及び全国展開案件の管理を行っております。コールセンターにおいては、人工知能(以下「AI」といいます)を活用した自動会話プログラムである「チャットボット」を導入し、顧客からの問い合わせ対応の効率化を図っております。AIの活用及び、品質管理システムにより、対応履歴の記録、故障部品の傾向等ナレッジの蓄積が可能となります。保守サービス事業では、機器の新規導入やリプレース時に最も重要視される項目として、サービス品質があります。当社では全ての保守サービス委託元のメーカーやベンダーのシェア拡大のためにも品質の向上を目指して活動をしております。

 今後はテクニカルセンターを更に強化、活用し、5Gネットワーク構築、クラウドシステム基盤構築等の新たなITインフラの需要、また、従来の事業領域以外の金融・運輸・物流等にも範囲を広げ、新たな保守サービスの需要に対応し、事業展開を加速していきたいと考えており、2024年2月の移転に向けて現在準備を進めております。

 さらに、医療機器修理業においても更なる事業拡大を目指し、現在北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県において取得している医療機器修理業の許可を全国にて取得することを目指しております。医療機関における保守実績から、同業他社からの協業依頼もあり、医療機器修理業が今後保守サービス事業における新たな基盤となれるよう取り組んでまいります。

 ソリューション事業では、継続的に取引のある企業との関係性の維持・構築に尽力する一方、高いスキルが求められる高単価案件の獲得を目指し、SEの専門部隊を設置し、現場作業のみの受託から、全体のシステム構築、手順書作成、工事業者等の外注コントロール、全国展開作業のマネジメントまでをワンストップで受けることができる体制を整えております。

 2021年3月期には文部科学省が推進する児童・生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する事業であるGIGAスクール構想関連案件の入札へ参加し、さいたま市にて1区画を落札しました。以降官公庁、自治体案件の入札に積極的に参加しております。GIGAスクール構想によりハード環境や通信環境が整った学校のシステム、設備の運用、保守の依頼が増加しており、当社の強みであるソリューション事業から保守サービス事業へのシナジー効果が現れてきているものと認識しております。また、今後IT市場で大きな成長が見込まれる情報サービスや小売といった市場にも徐々に参入しており、今後取引先を拡大すること、また、Wi-Fi、各種センサー、金融端末等新規プロダクトを増やすことで、成長を図ってまいりたいと考えております。

 人材サービス事業では、社内教育により公的資格やベンダー資格(ネットワークスペシャリスト、CCNA、LPI、CompTIA等)の取得を促進しております。これらの資格を有することで、企業からの派遣要請にスムーズに対応できております。また、絶えず予備人材を確保することにより、機会損失の軽減を図っております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①優秀な人材の採用と育成

 ITエンジニア不足の市場環境において、今後SE、CE派遣の需要が増加していくことが予想されます。取引先企業からの要請に対して速やかに適切な人員を派遣することが、人材サービス事業の安定的な成長に繋がることから、事業の要となる人材の採用と育成が重要な課題と認識し、採用活動を強化しております。その一つの取り組みとして大学就職活動支援を実施しております。具体的には、当社人財開発推進室が自己分析、業界職種研修、企業面接対策、ビジネスマナー講座や、就職に有利な技術スキル習得のためのITパスポート、Microsoft Office Word Specialist、Microsoft Office Excel Specialist等の資格の研修を、要請のあった大学の学生に対して提供しております。2023年3月期は3大学で実施し、受講した学生からは非常に高い満足度評価を得ました。この取り組みにより研修を実施した大学からの新卒応募が増加しております。

 当社新入社員には、ビジネスマナー等の基礎教育からスタートし、IT基礎教育、派遣予定先企業での業務を踏まえての取扱機器の実機研修やネットワーク構築基礎教育、公的資格取得研修等、入社後約3ヶ月でエンジニアとして活躍できるITエンジニア育成プログラムを用意しております。

 また、全国に拠点があることを生かし、Uターン、Iターン、Jターン希望にジョブローテーションを活用して応えていくことで、従業員がライフスタイルに合わせて長く働ける環境を作っていきたいと考えております。

②エンジニアのスキルアップと活用

 ソリューション事業の成長、特に利益率の向上には、より高度なスキルを必要とする案件に対応できるよう、エンジニアのスキルアップが必要と考えております。当社のエンジニアは、多種多様な現場作業案件に携わることで、機器の保守から導入設計、設置展開等マルチなスキルや対応力を身に付けておりますが、今後はネットワークやサーバの設計、開発、提案等といった分野にも業務を拡大できるよう、本社にSEの専門部隊を設置し、経験豊富なSEを中心としてOJTを兼ねた高レベルな案件対応を行い、スキルアップを図っております。また、定期的にネットワークスキル資格取得のための教育研修を実施しており、これにより全世界共通のネットワークスキルを証明するシスコ技術者認定CCNA、CCNP Enterpriseや、IT運用スキルを証明するCompTIA A+等の資格を取得するエンジニアが増えております。

 下記は当社従業員が保有する資格の一例とその保有人数です。(2023年4月30日時点)

IPA ネットワークスペシャリスト試験(NW)

7名

IPA 応用情報技術者試験(AP)

11名

CompTIA Project+

2名

CCNP Enterprise

6名

CCNA

68名

CompTIA A+

58名

 人材サービス事業において、派遣に際して上記資格を有することがエンジニアの条件として求められることが多々あるため、今後も求められる必要な技術の教育及び資格取得促進に向けた制度の確立を行ってまいります。

③医療機器修理業受託のための体制整備

 医療機器修理という分野に進出することで、既存のレセプトコンピュータや電子カルテだけではなく、その他病院、診療所内のネットワークに繋がる全ての機器やシステムの保守を当社が一括して受託することが可能となり、結果として全導入機器のヘルスチェックや予防的対策も可能となります。この実現には社内体制の強化も必要であり、医療機器修理業の全国エリアでの許可取得と、エンジニアのスキルアップを図ってまいります。

④リソースコントロール

 当社の経営資源は「人」であります。当社では利益拡大のために人的リソースの有効活用に取り組んでおります。当社が受託する全国規模の大型案件は本社及びテクニカルセンターを中心に全拠点のリソースを管理しながら対応しております。特にソリューション事業では、年度末に案件が集中する傾向があり、全国規模の案件と各拠点で受託した個別案件と通常業務が重複することにより人員不足となり、急遽外注によりリソースを確保せざるを得ない状況が発生する場合があります。案件の見える化及びリソースコントロールにより、支店間の支援体制を組むため、テクニカルセンターを活用し、業務効率化を図ってまいります。

⑤パートナー企業とのグリップ強化

 日本電気株式会社、KDDI株式会社をはじめとする、継続的に取引のある企業からの受注拡大のため、機会損失のない営業体制を構築します。

⑥品質の向上、効率化の実現

 サービス品質の向上は、顧客の当社に対する信頼性を高めることに繋がることから、品質管理システムを活用し、全社的なサービスレベルの底上げと業務効率化を目指します。2024年5月に品質管理システムの刷新を予定しており、現在導入に向けた準備を進めております。

⑦財務上の課題

 現在、運転資金は自己資金で賄えておりますが、大規模なシステム・整備への投資等を行った場合、運転資金が不足する可能性があります。その手当として金融機関からの借入を想定しております。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、セグメント利益を設定し、企業規模の拡大、企業価値の向上を目指しております。

項目

前事業年度
(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

売上高

全社

13,886,281

15,948,715

(千円)

保守サービス事業

4,358,834

4,557,688

 

ソリューション事業

7,331,986

9,212,092

 

人材サービス事業

2,195,459

2,178,933

セグメント利益

営業利益

605,681

752,829

(千円)

保守サービス事業

568,242

705,932

 

ソリューション事業

687,973

865,249

 

人材サービス事業

361,757

318,027

 

調整額※1

△1,012,292

△1,136,380

※1 セグメント利益の調整額は、報告セグメントに配賦していない本社費用であり、本社管理部門に係る人件費、

 不動産賃借料等の販売費及び一般管理費です。

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