SCREENホールディングス
【東証プライム:7735】「電気機器」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであ
ります。
(1)企業理念
| 近年における社会情勢の中でDXを背景とした産業構造の変化が加速する一方、GXへの関心の高まりにより、エネルギー政策の転換も進展しています。加えて、先進国における少子高齢化や生産年齢人口の減少といった社会課題に対し、企業にはイノベーションを通じた解決策の創出が求められています。こうした環境変化を踏まえ、新しい価値を提供する「ソリューションクリエーター*」としての役割を果たすべく、企業理念のグループ全従業員への浸透を図っています。これにより、すべてのステークホルダーからの信頼と共感が得られるよう、持続可能な社会の実現に貢献していきます。 |
*「ソリューションクリエーター」とは、経営大綱で定められた10年後のありたい姿として、ひたむきな探求心と柔軟な発想を持って社会課題に立ち向かい、社会の持続的な発展に寄与する技術、製品、サービスなどの「新しい価値(CSV)」を事業を通じて世界中のお客さまに提供する企業体および人を指します。
(2)経営大綱
経営大綱は、10年後のありたい姿とSCREEN Value(企業価値)を高めるための基本指針として2014年に策定し、中期経営計画ごとに改定を行ってきました。
今回の経営大綱は、企業理念をもとに10年後のありたい姿を「Be a Solution Creator -共に歩む人たちと、世界が求める存在に-」と定め、その実現に向けマテリアリティの解決とSCREEN Value(企業価値)を高めるための方針と戦略を策定したものです。
(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは「ソリューションクリエーター」として事業を通じて社会課題を解決し、社会的価値と経済的価値を共に実現する共通価値(CSV)を創出することで、「SCREEN Value(企業価値)」をさらに高め、持続的な利益創出や株主還元などを推進してまいります。
Ⅰ.中期経営計画「Value Up Further 2026」
中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期〜2027年3月期)の概要および主な取り組みは、次のとおりであります。
1.基本コンセプト
「ソリューションクリエーターとして一人ひとりの成長と競争力の強化によりさらなるプレゼンス向上」
2.全体概要
中期経営計画「Value Up Further 2026」は、前中期経営計画「Value Up 2023」で高めた成長性と収益性を維持しつつ、将来を見据えた成長投資を強化する「長期の成長を支える経営基盤を構築する3年間」と位置付け、「事業成長戦略」、「経営基盤強化戦略」、「共通戦略*」の実行により、「SCREEN Value」のさらなる向上を目指してまいります。
*共通戦略:事業成長・経営基盤強化を包含する戦略
基本戦略
基本戦略に基づく具体的な取り組みは以下のとおりです。
① 事業成長戦略の主な取り組み
・ポートフォリオ戦略においては、成長性とROICの2軸にて各事業の現在位置を見える化し、それぞれのあるべき姿に向け、オペレーションの改善に加え事業構造の強化・変革に取り組んでいます。半導体製造装置事業、グラフィックアーツ機器事業において、事業の強化、選択と集中の観点からM&Aを実施する等、収益性、効率性の向上に取り組んでいます。
・事業の成長戦略について、主力の半導体製造装置事業においては、要素技術と製品開発力の強化を目指し、海外での研究開発拠点の設置を計画しております。これにより、彦根事業所内の研究開発拠点とのシナジーを最大化し、顧客との協業や研究機関、取引先とのコラボレーションを推進してまいります。また、枚葉式洗浄装置においてシェアを回復しておりますが、さらなるシェア拡大に取り組んでまいります。
・新規事業の創出や既存事業の強化につながるソリューションの創出を目指し、イノベーションマネジメントに取り組んでいます。2024年4月に、アドバンスドパッケージ領域のプロジェクトを育成フェーズから事業化フェーズに移行し、開発投資や生産管理体制強化に取り組んでいます。また、水素関連事業においては、「水電解CCM*量産事業」が経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業に採択されました。さらに継続して開発投資を進めてまいります。
*Catalyst-Coated Membrane。触媒層付き電解質膜。
② 経営基盤強化戦略の主な取り組み
・人財戦略においては、組織の活性化と個の成長を掲げ、経営戦略、事業戦略とリンクした人財ポートフォリオの充足に取り組むとともに、従業員エンゲージメントの向上を図っています。
・財務戦略においては、自己資本比率とROICの向上の両立に取り組む中、着実な利益の積み上げにより、自己資本比率が62.7%に改善しました。また、収益性の改善やキャッシュ・フロー創出力の持続的な向上等が評価され、株式会社日本格付研究所の「長期発行体格付」は、AからA+(見通し:安定的)に格上げされました。
・情報戦略(IT)に基づき、DX推進や情報セキュリティマネジメントシステムの強化に取り組んでいます。
・ファシリティ戦略においては、水素関連事業の部材製造スペース拡充に加え、半導体製造装置事業のイノベーション創出を目的とした新棟S³-6(彦根事業所内)の操業を開始し、事業環境を整備しました。また、滋賀県野洲市の土地取得を決定する等、将来の事業成長に備え、先見性をもって効率的、機動的に取り組んでいます。
③ 共通戦略の主な取り組み
・共通戦略におけるサステナビリティ戦略については、次項目の「Ⅱ.サステナブル経営の推進」をご覧ください。
3.財務/非財務目標
① 財務目標 ※下記4項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提としております。
Value Up Further 2026 目標 (2025年3月期〜2027年3月期) | 初年度実績 (2025年3月期) | |
売上高 | 累計 1.8兆円以上 | 6,252億円 |
営業利益率 | 通算 19%以上 | 21.7% |
ROIC | 最終年度 15%以上 | 24.7% |
株主還元方針 | 連結配当性向 30%以上 | 連結配当性向 30.1% |
自己株式の取得状況
当社は、成長投資の進捗状況および現状のキャッシュポジションなどを総合的に勘案し、2025年2月14日の当社取締役会において、自己株式取得に係る事項について決議し、2025年4月7日に取得を完了いたしました。
1.取得対象の株式の種類 :普通株式
2.取得期間 :2025年2月17日から2025年4月7日(約定ベース)
3.取得した株式の総数 :2,979,300株
(うち当連結会計年度に1,736,800株)
4.株式の取得価額の総額 :29,999,819,435円
(うち当連結会計年度に18,926,603,477円)
② 非財務目標
Value Up Further 2026 目標 (2025年3月期〜2027年3月期) | 初年度実績 (2025年3月期) | |
従業員エンゲージメントスコアの向上* | 好意的回答率 70%以上 | 65% |
事業活動によるGHG排出(Scope1&2) | 70%以上削減 | 56.4%(速報値) |
※2019年3月期比(排出総量) | ||
販売製品によるGHG排出(Scope3) | 48%以上削減 | 55.7%(速報値) |
※2019年3月期比 (売上総利益原単位) |
*「企業が目指す姿や方向性を、従業員が理解・共感し、その達成に向けて自発的に貢献しようという意識」についての従業員サーベイ。調査結果のうち、5段階中上位2項目を好意的回答としております。
Ⅱ.サステナブル経営の推進
SCREENグループでは、持続的な成長を実現するサステナブル経営を推進しており、サステナビリティ戦略を事業成長戦略と経営基盤強化戦略を下支えする共通戦略と位置付け、SCREEN Valueを高める取り組みを進めています。
具体的には、環境・社会・企業統治の課題解決に向けた取り組みを「Sustainable Value 2026」として策定し、バリューチェーン全体でグローバルに展開することで、多様なステークホルダーの期待と信頼に応え、社会の持続的発展に貢献します。
社会貢献活動の推進
国、地域、大学・教育機関と連携し、社会に貢献するさまざまな活動を行っています。
・天才アートKYOTO(NPO法人 障碍者芸術推進研究機構)に所属の
作家の作品を2022年4月から本社事業所に継続的に展示(写真左)
・京都府の「京都モデルフォレスト」の一環として、「SCREENの森(亀岡市)」活動を実施中。
地域のご協力のもとで稲作を行い、収穫米を児童養護施設に寄付(写真右)
本社にお招きした作家の方々が 「SCREENの森」で従業員と
展示作品を視察する様子 その家族が田植えを行う様子
当社グループの社会貢献活動の取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。
(https://www.screen.co.jp/sustainability/social/initiative)
<ESGに関する主な取り組み>
E(環境)
・SBTiに基づくGHG排出削減計画(Scope1&2,3)において、
中期経営計画「Value Up Further 2026」の初年度目標を達成
・国内事業所(主要拠点を中心とした8事業所)において、再エネ電力100%を達成
当社グループの環境の取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/environment)
S(社会)
・経営陣と社員との対話の推進等による、企業理念浸透施策の充実
・従業員エンゲージメントサーベイを国内グループ会社に展開
当社グループの社会の取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/social)
G(企業統治)
・グローバルベースでのBCP対策訓練の充実
・RBA VAP監査*において、彦根事業所がプラチナ・ステータスを取得
*RBAは、労働者の安全や尊厳、環境への倫理的配慮を保証する行動規範を策定し、企業にグローバルサプライチェーンにおける責任ある経営を求める業界団体。VAP監査は、RBAが認定する第三者監査機関が企業の適切さを評価する仕組み。
当社グループのガバナンスの取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/governance)
健康経営の推進
代表取締役 取締役社長が健康経営の最高責任者となり、従業員と職場両面から心身の健康づくりを推進することで、業務パフォーマンスを向上させることに取り組んでいます。
・「健康経営銘柄」2年連続選定
・「健康経営優良法人~ホワイト500~」3年連続認定
当社グループの健康への取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/social/wellness)
(4)セグメント別の取り組み
中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期~2027年3月期)の目標達成に向けた、セグメント別の取り組みは次のとおりです。
(半導体製造装置事業:SPE)
①セグメント戦略
・洗浄装置マーケットシェアの向上
・生産キャパシティの拡大
・事業基盤の強化
②3カ年累計目標と1年目実績
売上高 | 1兆5,000億円以上 |
営業利益率 | 23~25% |
1年目実績 | 売上:5,195億円、営業利益率:26.4% |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、2024年の半導体前工程製造装置市場(WFE)は、AI活用の急速な拡大に伴うデータセンター向け高性能半導体需要の高まりや、中国における成熟ノード半導体向けの活発な投資を背景に大きな成長を見せました。2025年は2024年と同規模の設備投資が継続し、特にファウンドリー、DRAMメーカーにおける最先端向けの投資がWFEを牽引するとみています。一方、中国における成熟ノード半導体向けの投資は堅調に推移するものの、徐々にペースが緩やかになっていく想定です。
このような環境の中、当社の主要生産拠点である彦根事業所のS³(エス・キューブ)工場群の生産性向上施策や、収益性改善活動などが奏功し、2025年3月期は過去最高の売上、営業利益、営業利益率を達成する事ができました。また、主力の枚葉式洗浄装置のマーケットシェアは、2023年の34%から、2024年は42%へと大きな躍進をみせております。
今後も、彦根事業所全体における生産効率改善を推進するとともに、開発体制の拡充によるマーケットシェアの更なる向上や、基幹システムのアップデートなどによるDX化を推進し、将来の更なる飛躍に向けての体制づくりを進めてまいります。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
①セグメント戦略
・POD装置販売の拡大
・リカーリングビジネスの拡大
・パッケージ印刷ビジネスの確立
②3カ年累計目標と1年目実績
売上高 | 1,500億円以上 |
営業利益率 | 6~9% |
1年目実績 | 売上:530億円、営業利益率:8.1% |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、環境負荷低減や社会的価値向上への意識の高まり、デジタル化による変容(DX・スマートファクトリー化)の必要性が高まる中で、欧米を中心にPOD装置の需要が堅調に推移しました。
このような環境の中、PODを中核事業と置き、商業印刷およびパッケージ印刷へリソースの集中を図り、高性能の新製品をリリースするなど、POD装置の販売拡大に取り組むとともに、インク販売を中心とするリカーリングビジネスの一層の拡大により、安定的な売上、利益を生み出してまいります。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
①セグメント戦略
・ディスプレービジネスの収益性向上
・“塗工”技術強化と応用分野拡大
・製品製造の受託事業の拡大
②3カ年累計目標と1年目実績
売上高 | 1,000億円以上 |
営業利益率 | 3~5% |
1年目実績 | 売上:358億円、営業利益率:8.5% |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、中国における家電製品買い替え補助金政策などを背景に、OLEDだけでなくLCDディスプレーへの需要が堅調に推移しました。
このような環境の中、売価改善や原価低減活動も奏功し、当セグメントは3期ぶりの通期黒字化を果たすことができました。また、足元では顧客の投資も堅調に推移し、2026年3月期も増収、増益を見込んでいます。
(プリント基板関連機器事業:PE)
①セグメント戦略
・直接描画露光装置の業界プレゼンス向上
・直接描画アプリケーションの拡大探索
②3カ年累計目標と1年目実績
売上高 | 500億円以上 |
営業利益率 | 12~15% |
1年目実績 | 売上:141億円、営業利益率:7.5% |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、前期より引き続きプリント基板関連機器の設備投資が停滞しており、メモリー向けやパッケージ向けの需要増加を受けた本格的な投資回復は、2026年3月期の下期以降を見込んでおります。
このような環境の中、装置販売が伸び悩んだことから、当セグメントは前期比で減収減益となりました。2026年3月期は、パッケージ基板やモジュール基板などの高精度基板に対応する直接描画装置「Ledia 8F」や、高精細なパッケージ基板向け直接描画装置「Ledia Qs(キューズ)」の顧客導入及び量産での安定稼働化を確実に進め、投資回復を受けた売上拡大に備えてまいります。
今後も、直接描画アプリケーションの拡大探索による直接描画装置の拡販に注力するとともに、堅調なポストセールス売上を維持しつつ、安定的な収益性の確保に取り組んでまいります。
上記における将来数値は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績などは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
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