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企業概要

当社グループの当連結会計年度における研究開発活動は、「新たな技術への果敢な挑戦をし続けていくことでお客様にとって価値のあるITサービスを提供し続けられる」との考えのもと、前年度から取組み始めた生成AIについての研究が、試行を重ねて実用段階に入っております。さらに自社開発基盤や自社ソリューションにつきましてはさらなる競争力強化のための機能強化・刷新に取組んでおり、当社独自技術のマイグレーションではセンター(集約)化のための研究を進めました。また、4年目を迎える社内スタートアップ制度も継続し、新しいビジネスの創出を目指しております。その概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は297,809千円であります。 

 (1) 生成AIに関する研究

生成AIは業務効率化や新規事業創出を目的に、情報リサーチや文書作成、コンテンツ作成など多様な分野で急速に拡大しております。エンターテインメント、金融、製造、教育など幅広い業界で導入が進み、高度な分析やシミュレーション、情報の自動抽出が実現し、新たな価値創造も進んでおります。このような状況のもと、当社では開発効率化や自社ソリューションへの組み込みなどを実施しました。

一点目は、当社の本業であるシステム開発において、「設計からプログラミング、テストの各工程における品質・生産性向上に生成AIを活用できないか」という観点での研究を行いました。一昨年から取組んでおりますプログラミング時のAI活用として、生成AIに問い合わせをしながらのソース自動生成を試行してきましたが、実プロジェクトに活用し生産性が向上するという成果が出るところまで確認できました。この成果をもとに、設計やテストの各工程に対しても実プロジェクトでの活用を進めようとしており、設計では要件から設計書を自動生成、テストではテスト実行や結果確認を自動で実行するような研究を進めております。

今後の取組としましては、システム開発における製造やテスト工程での活用に加え、プロジェクト管理の強化への活用も試行してまいります。

二点目は、当社の既存のソリューションに対し「生成AIを組み込んで付加価値を高められないか」という観点から可視化ソリューション「ReverseNeo(リバースネオ)」に生成AIを組み込むための研究を行いました。同ソリューションに生成AIを組み込むことによる出力結果の精度向上や新たなドキュメント生成の可能性について研究を実施し、最終的に精度の高いドキュメント生成を実現したバージョンをリリースいたしました。可視化に関連する分野において、さらなる精度向上や機能の拡大を目指し、今後も継続して研究してまいります。また、その他既存の自社ソリューションにつきましても積極的に研究を進めており、生成AIを組み込んだ製品の提供をしてまいります。

三点目は、社内の文章作成などの業務において生成AIを活用した効率化の研究を行いました。研究の結果、一部の部門で生産性向上や品質向上の成果が出ており、今後もさらなる利用拡大を図ってまいります。

なお、生成AI活用の課題として、情報漏洩、知的財産権の侵害、ハルシネーション(生成AIによって事実に基づかない情報が生成されることがある)等があり、技術検証と共にこのような課題への対応方法を検討しながら、今後も継続して生成AIの活用を目指した研究を進めてまいります。

生成AIにつきましては、当社の最も重要な研究分野と位置付け、各方面での有効活用に向けた取組に注力してまいります。

 (2) クラウドに関する研究

企業の標準的なIT基盤となりつつあるクラウドですが、SaaSの活用やサーバーレスアーキテクチャ、インフラ構築の自動化、DevOps/CICDなど、その使い方や運用の効率化が進んでおります。さらに、生成AIの急速な進化により、クラウド上でのAIサービス提供やクラウドを使ったAIシステムの構築が加速しております。

そのような状況で、当社も当たり前にクラウドを使うようになっており、技術力のレベルアップと技術者の拡大を着実に進めるため、以前からクラウドタスクチームを立ち上げ技術力習得に取組んでまいりました。特にIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)関連技術につきましては、これまでも10,000人以上の利用者を想定した負荷分散や冗長化のクラウド構成のような大規模なものから小規模なものまで数多くの構築を実施し技術力を向上させてまいりました。しかし、クラウドで提供されるサービスは非常に多岐に渡り、その使用方法も複雑で、日々新たなサービスが提供されていく状況であります。そのような中で、お客様にクラウドをより有効に活用していただけるよう、継続してクラウドの研究と実践に注力してまいります。

当年度は以前から取組んでおりますIaaS/PaaSの実案件を継続して実践しております。さらに、仮想化技術のコンテナや、クラウド設定要素をコード化し自動的に構築するIaC(Infrastructure as Code) によるクラウド構築効率化などより高いレベルの技術習得を進めるとともに、クラウド上での生成AI環境構築を実践し、それに関連する新たなサービスのノウハウも習得いたしました。

次年度は、さらなる技術のレベルアップや新たなサービスの技術習得、技術の標準化、技術者の育成などに取組みますが、特にクラウドを活用した生成AI環境の構築に注力して取組んでまいります。

 (3) マイグレーションに関する研究

マイグレーションとは、既存のアプリケーションを再利用して新たなプラットフォームへ移行する手法のことであり、既存のビジネスロジックを踏襲できることから、システムの完成度も既存システムと同等に保てることが最大の利点となります。当社のマイグレーションの特長は、独自の可視化技術により解析したリポジトリを用いることで、アプリケーション全てを対象にライン毎の命令やデータ項目から同一構文を機械的に集約できることであります。

このマイグレーションに関する研究開発活動の取組として、以前から進めている「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取組」を継続しております。

当年度においては、今までに培ったノウハウをベースにさらなる変換品質向上と生産性向上のためにCOBOLやJCLの変換ツール標準化への取組を進めております。また、新たなオープン系システムの可視化・影響分析機能の研究開発を実施し、メインフレームCOBOLのオープン系への変換についての研究開発にも取組んでおります。

次年度以降も「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取組」に向けて、標準化やツール強化などを継続し、コストの抑制に貢献できるマイグレーションサービスをお客様に提供できるようにするとともに、お客様のニーズに対応できるようなマイグレーションの対象範囲拡大についても研究・開発を進めていく予定であります。

 (4) 社内スタートアップ制度

4年前から開始しました社内スタートアップ制度とは、社内で広く新たなビジネスの種を募集し、採否を審査して採用された場合は会社としてバックアップを行い、研究開発を進めていくものであります。

当年度は1年間で33件の申請があり、2022年度22件、2023年度28件と年々増加しております。当年度については、新たなソリューションサービスや既存のソリューションサービスについての技術調査・研究、市場調査や生成AI活用に向けた研究、開発・テスト支援ツールの研究や新たな技術要素の研究などに取組みました。その中から実際に製品化につなげて販売しているものなど成果はあがっております。

具体的には、自社ソリューションのオーダーエントリーシステム「E.M.O(エモ)」では、他社サービス連携などの技術研究を実施し、機能を追加した新バージョンをリリースしました。また、オープンシステムの可視化ツール「ReverseNeo(リバースネオ)」では、生成AIの組み込みを研究し、生成AIによる処理内容の可視化機能を組み込んだ新バージョンをリリースしました。さらに、家賃債務保証基幹システム「Guras(グラス)」やホテル向けインターネット予約システム「i-honex(アイホネックス)」では、市場調査や他社調査を実施し製品強化に繋げております。

次年度も、さらに積極的なスタートアップ申請を促し、研究開発から新たなビジネスへと繋げる取組を継続していく予定であります。また、このような取組により社内で新しいことを考え、チャレンジしようとする風土を根付かせ、社員の意識改革・活性化を図り、成長し続ける会社を目指してまいります。

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