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【東証:218A】「精密機器」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「誰もが安全な社会を作る」をミッションとし、「見えないリスクを可視化する」とのビジョンのもと、ハードウェアとソフトウェアを融合させたソリューションを展開しております。特に、製鉄業を中心とした重厚長大系の産業や、鉄道などのインフラ産業への、ドローンとデジタル技術を組み合わせた、革新的なソリューションの提供を進める方針です。また、将来的には当社の得意とする屋内の閉鎖空間(狭く・暗く・危険な空間が多い)を自由に飛行する、自律型ドローンの開発と、日本国内におけるユーザーと同じ課題を抱える海外企業への展開も視野に、事業活動を進めてまいります。
(2)経営環境
当社がソリューションを提供している事業領域は、プラントメンテナンス・インフラメンテナンス・建設業界であり、施設・設備の老朽化・人手不足といった共通の課題を持っており、今後、よりニーズが高まることが見込まれる市場であります。労働市場においては、内閣府の「人口減少と少子高齢化」によると、生産年齢人口は2065年までに約2,900万人(2020年比△約39%)減少し、また、国土交通省の「社会資本の老朽化の現状と将来」によると、2040年3月時点において、トンネルの約53%が建設後50年以上となる等、その他道路や橋梁等のインフラも老朽化が進む見込みです。
さらに、目視点検等アナログな手法の代替手段の一つとして、ドローン等のデバイスやデジタル技術を用いた点検が導入・普及することを企図し、2023年6月14日に、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律が成立し、ドローンによる点検の認知度が向上することが期待されております。加えて、国土交通省は、2020年3月にBIM/CIMの活用ガイドライン(案)を発表しBIM/CIMの原則適用を進めており、図面等の管理手法や建設現場の管理・維持管理の在り方の抜本的な変革の流れや、働き方関連法案に基づき2024年4月1日から始まった、建設や物流などの適用猶予事業者に対する労働時間規制強化の動きもあります。このような政策動向は、デジタル技術を用いた生産性・品質向上による上記課題の解決が、社会的に求められていることの証左であり、上述の社会背景を追い風に、当社のターゲットとしているドローン市場及びDX市場は伸長見込みであると考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社は、持続的な利益成長を目指すことが非常に重要だと考えており、特に、経営指標としては、売上高・粗利益率・研究開発費を重視しております。また、経営指標の成果を図るKPIとしては、コアクライアント数(※)及びコアクライアント売上高を挙げております。
※当社は、売上高1,000億円以上の鉄道業、製鉄業、電力・ガス業、建設業、石油化学業、道路業、プラント業に従事している企業、及び自治体・官公庁を重点顧客と考えていることから、そのうち、エンドユーザーベース(エンドユーザーが企業グループを構成している場合にはグループ会社含む)で直近2年間の当社との取引金額が合計50百万円以上の企業をコアクライアント(エンドユーザーが企業グループを構成している場合にはコアクライアントグループ)と定義しています。
(4)経営戦略
当社の戦略は、コアクライアント数を増やすことにより、ドローンとデジタル技術を組み合わせたソリューションを浸透させていくことであり、現在、主要取引先となっている製鉄業・鉄道業・電力業等の各企業以外にも、コアクライアント数を増やし、また、各業種の実業務への定着化・標準化によるコアクライアントと当社の取引量の拡大、コアクライアントをエンドユーザーとする中間の事業者への当社サービスの浸透などにより、売上規模を拡大することを企図しております。
そのためには、国内外での様々な設備・施設での有効な事例を増やすことが重要であり、網羅的に市場ニーズを探求するための組織体制整備・マーケティング戦略の策定・実行と、案件実行に係る事業推進が必要となります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
①既存サービスの強化との事業連携
当社における各種サービスの継続的な成長のためには、既存顧客のニーズを的確に把握すること等による更なる関係強化に加え、より幅広い業種・業態の顧客企業に選ばれる必要があります。そのためには今まで以上に多くのニーズや環境に対応できるよう当該サービスの質的向上や機能拡充を進め、引き続き顧客満足度の向上やそれに伴う販売の拡大に努めます。
また、今後も市場拡大が見込まれる中で、当社が更なる成長を実現していくためには、様々な事業との連携やパートナーシップの拡充による当社サービスの利用機会の増大や利用範囲の拡大を進めることが重要と考えており、そのためには事業連携企業やパートナー企業の新規開拓及び既存企業との関係強化を図ってまいります。
②認知拡大
今後、市場拡大と共にドローン等による業務の代替やアナログ手法のデジタル化がより一層進むことが予測されます。
当社は主に展示会への出展やWEBマーケティングの手法を通じ、IBISを初めとした各種サービスの認知度を徐々に高めてまいりましたが、今後の事業拡大及び競争優位性を高めるにあたり、屋内狭小空間で利用できるドローンや3次元化等のデジタルツインサービスをより一層認知させていくことが重要であると認識しております。
特に、屋内ドローン等が認知され、利活用の回数やユースケースが増えることで、アナログ手法による点検業務の改善や、人による危険な箇所の点検代替手段として、また、多額のコストや手間がかかるため長年断念していた箇所の点検、さらに、事故や災害など有事の際の探索手段の一つとして想起されることが社会的な必要性も満たすこととなります。
今後も引き続き、より一層の当社及び当社サービスの認知度向上のため、広報活動やマーケティング活動の推進、ユースケースの増大やサービスチャネルの拡充等を通じて新規顧客獲得や新たな領域での利活用につなげてまいります。
③開発体制の強化及び優秀な人材の確保
当社では、ハードウェアとソフトウェアの両技術の向上を推進しており、当該技術が当社の競争力の源泉の1つであることから、継続的な強化が重要であると認識しております。そのためにも、今後も収益基盤の安定化を前提として研究開発への投資を継続しつつ、卓越した能力を持つエンジニアの採用及び育成に注力していきます。また、必要に応じて大学等との産学連携や新技術を持つ企業との業務提携、共同研究等を進め、更なる技術の向上に努めてまいります。
④海外での事業展開
当社は韓国を中心に海外での事業展開を進めております。今後も、特に東南アジア各国の規制や現地ニーズ等に合わせ、効率的かつ効果的な進出方法を検討し、推進していきたいと考えております。
⑤情報管理体制の強化
当社は、サービス提供やシステム開発・運用の遂行過程において、顧客の機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。当社ではISMSの認証を2022年9月に取得し、当該情報セキュリティ等の社内規程に基づいた情報管理を徹底しておりますが、今後も、社内での継続的な研修や情報管理体制強化のためのシステム整備等を継続して実施してまいります。
⑥内部管理体制の強化
当社は、より一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であるものと認識しております。このため、コーポレート機能を充実させ、経営の公正性・透明性確保のためにコーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。
⑦財務上の課題
当社は、過年度において、継続的な事業成長を図るため、新製品又は新技術の開発に係る研究開発費や積極的な人材採用等への投資、顧客基盤拡大のための積極的な広告宣伝活動を実施してきた結果、利益面での損失計上、及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが継続しております。また、今後の計画が達成できない場合には赤字及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが継続する可能性があります。そのような場合に備え、一定水準の手許流動性を確保するとともに、多様な資金調達手段を検討し、財務体質の更なる強化を図ってまいります。
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