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【東証プライム:3626】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループ共通の価値観として、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を策定しています。
「OUR PHILOSOPHY」は、グループの経営、企業活動、構成員において、大切にする考え方やあり方を幅広く明確化し、全ての活動の軸となります。
当社グループは、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」を軸としたサステナビリティ経営を遂行し、事業活動を通じた社会課題の解決と社会要請に対応した経営高度化を通じたステークホルダーとの価値交換性を向上することにより、持続可能な社会への貢献と持続的な企業価値向上の実現を目指しています。当社グループのサステナビリティに関する情報につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照下さい。
また、グループ全員が力を結集して理想の実現と持続的な企業価値向上に向かうため、10年先の目指すべき姿をグループビジョンとして定めています。グループビジョンは内外環境の変化を踏まえて2024年4月に最新版となる「グループビジョン2032」を策定しています。
(OUR PHILOSOPHY:グループ基本理念)
https://www.tis.co.jp/company/policy/philosophy/
(グループビジョン2032:長期経営方針)
「社会に、多彩に、グローバルに」をテーマに、社会性と革新性を併せ持つ先進的なグローバルITグループとなることを目指します。社会課題解決に向けて、革新的な技術の積極採用や異業種能力を取り込みながら事業の多彩化とグローバル化を進め、ビジネスの革新と市場創造を実現します。
当社グループが持続的な成長を実現するための独自の事業活動領域を戦略ドメインとして定義し、各セグメントは市場特性を踏まえた戦略ドメインのベストミックスで市場の開拓と創造を図ります。
<戦略ドメイン>
ソーシャルイノベーションサービス | 社会インパクト指標を掲げ、当社グループが直接的に社会課題解決を行う事業 |
コ・クリエーションビジネス | 当社グループ単独ではなしえない領域において、当社グループと共創パートナーそれぞれが有する強みをかけ合わせ、新たな市場を創造する事業 |
ストラテジックパートナーシップビジネス | 業界トップクラスの顧客に対して業界に関する先見性と他社が追随できない知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う事業 |
IT&ビジネスオファリングサービス | 蓄積した技術・ノウハウを活用し、特定業界・業務において業界ニーズに先回りした将来のデファクトスタンダードとなりうるサービスを提供する事業 |
(2)経営課題
政治的、社会的な緊張の高まりや、世界経済の不透明化に伴う影響など、多くの事象を注視する必要がありますが、引き続き、当社グループにとっては良好な事業環境が継続すると考えています。
社会課題解決と経済発展の両立が求められる社会の趨勢の中で、生成AIをはじめとした革新的技術が次々と実用段階に入り、社会におけるデジタル活用ニーズは拡大、多様化を続けると考えられます。また、このような明らかなビジネスチャンスに関連して、グローバルITプラットフォーマやコンサルティングファームの躍進、周辺産業からの新規参入の活性化等により競争環境は需要サイド、供給サイド共に大きく変化するものと考えています。
大きな環境変化が予想される中、当社グループは強みである顧客と技術への深い理解を更に磨き上げることや多様な能力を有するプレイヤーとの共創を通じて課題解決能力を強化・拡張していくことが重要と考えています。当社グループの経営課題認識は以下の通りです。
①成長領域への積極進出
収益基盤の継続強化を図るとともに、付加価値の高いサービスと技術、人材を生み出す環境を整備
②課題解決能力の強化と拡張
社会と顧客の真の課題に対する洞察力の向上と、これまでの枠にとらわれない課題解決手法の獲得
③人材の高度化
人材の高付加価値化と競争力ある報酬水準の実現
④新技術の実用化に向けたアジリティの獲得
新技術の継続的な評価と現場適用を牽引できる高度技術人材の育成、およびナレッジベースの整備
⑤知財の蓄積/活用の促進
事業構造転換と事業のスケール化を実現する良質な知財の蓄積と利活用促進
⑥ガバナンス高度化
意欲的な成長計画を支えるガバナンスの更なる高度化
⑦事業ポートフォリオ最適化
上記を実現し、最小の資本で最大成果を生み出す最適事業構成の追求
以上を踏まえて、2024年4月からの3か年計画として策定した中期経営計画(2024-2026)「Frontiers 2026」をスタートさせています。前中期経営期間で実行した各種投資や顧客との関係構築を成果に結びつけるとともに、グループビジョン2032実現に向けたファーストステージとしてこれまで実行してきた成果を土台に明確な優位性確立に向けた差別化・集中化によりこれからの市場と顧客に選ばれ続ける理由づくりを進めてまいります。
<中期経営計画(2024-2026)「Frontiers 2026」の位置づけ>
(3)中期経営計画(2024-2026)「Frontiers 2026」について
当社グループは、全方位のステークホルダーとの価値交換を通じて、継続的な事業拡大と持続可能な社会の実現を目指し、社会の課題解決に向けた戦略立案から解決策の実行まで一気通貫の価値提供を目指してまいります。
中期経営計画(2024-2026)「Frontiers 2026」では、フロンティア開拓を基本方針に、未来志向で市場開拓と事業領域の拡大を起点としたバリューチェーン全般の質的向上に向けて取り組んでまいります。
■市場戦略/セグメント全体戦略
セグメント毎に特性を踏まえた多様なサービスの展開を通じて事業領域を拡大、持続的成長に向けた事業基盤の継続強化を図ります。各セグメントにおける成長戦略は以下の通りです。
オファリングサービス | ・多様なキャッシュレスニーズに対応しながら、新たに社会課題領域に金融・決済の強みを持つ事業主体として事業領域を拡大 ・投資マネジメント高度化により収益力を向上 |
BPM | ・一部BPO業務の市場縮小が進む中、ニーズの高いCX領域の拡大や他セグメントと連携したサービス拡充など、事業ポートフォリオを見直し成長路線へ回帰 |
金融IT | ・大型プロジェクト完遂によるピークアウトを迎えるが、顧客との共創事業創出やモダナイゼーションビジネス展開し新規顧客を獲得、顧客基盤の分散を図りながら次なる成長基盤を確立 |
産業IT | ・製造業・エネルギー・社会インフラを中心に顧客深耕とサービス展開を推進 ・ERP、モダナイゼーションなど多様なサービスを強みに既存顧客の発展と新規顧客の獲得を進める |
広域ITソリューション | ・5つの注力領域(行政、医療、金融、産業、インフラ)において顧客密着で培った独自のITソリューションを全国展開 |
■市場戦略/グローバル戦略
莫大なマーケットポテンシャルを持つアジアを長期ターゲットとして、グローバルパートナーシップを広げながら、ASEANでのビジネス拡大をさせ、2026年度に連結売上高1,000億円を目指します。事業のリストラクチャリング・コンサルティングとITの融合による事業全体の高付加価値化の推進と、テクノロジー投資機能の高度化の両輪によりスピード感もったビジネスを展開します。
■サービス戦略
社会の潮流の変化、革新的な技術の登場により顧客ニーズの多様化が進んでいます。このような中、社会と顧客の変革を支えていくためサービスの拡充と高付加価値化による市場開拓を進めてまいります。金融ITと産業ITは主に業界軸での市場開拓、オファリングサービス、BPM、広域ITソリューションは機能軸での市場開拓を進め、それぞれの事業指針に沿ったサービスを展開していきます。
■テクノロジー戦略
要素技術の進化と多様化は目覚ましいものがあり、これら技術への早期適応が競争力に大きく影響するものと認識しています。世の中のテクノロジーの中から当社グループとして重要なものを選定したテクノロジーポートフォリオをもとに、これら技術の先回り研究と現場への早期適用を図るための総合的な施策を展開してまいります。
短期では社員の生成AIの利用促進に向けた環境整備、社内の様々な業務でAI活用を前提としたプロセスの再開発、生成AI教育カリキュラムの整備と教育等を進めます。並行してデジタルとリアルの融合が進む中で求められる大量データの転送技術や関連アルゴリズムなど、3年から10年後の事業の差別化の核となる複数の技術とそれらを組み合わせた応用研究を産学連携によって進めてまいります。
■人材戦略
社員と会社の価値交換性の継続的な高度化を実現するために、個の多様化と先鋭化に着目した人材戦略を推進してまいります。多様な個が活躍できる環境・組織風土の整備、新たな労働環境を見据えた次世代の働き方改革の推進、人材データベースのデジタル化による人材ポートフォリオマネジメントの高度化などを通して、社員のエンゲージメント向上に取り組んでまいります。
当社では人材を最重要の経営資本として、人材に対する先行投資を積極的に推進してきました。人材戦略では「働く意義」「働く環境」「報酬」の3つの軸で社員エンゲージメントを高める人材投資を進めており、引き続き、会社と社員と社会の高付加価値化の善循環を強化することで当社のさらなる成長と、成長を実現する内外の優秀人材の確保に努めてまいります。
中期経営計画(2024-2026)では、課題解決力の強化、洞察力の強化、統合力の強化をテーマとして、重点をコンサルタント、高度営業人材、ITアーキテクトの拡充に置き、その育成と獲得に向けた投資と仕組みづくりを進めてまいります。
■知財戦略
当社グループのサービスとサービス提供プロセスを強化し、事業規模の拡大と高付加価値化の両立を実現していくため、知財の蓄積と高度利用がますます重要になると考えています。中期経営計画(2024-2026)では、顧客接点情報のフィードバック強化による知財創出の活性化を図ります。価値の高いサービスと満足度の高いサービス提供プロセスが、顧客とのコミュニケーションを良質化させ、既存の知財のアップデートと次なる知財につながる価値の高い情報を生み出す善循環を強化していきます。
■財務方針/資本政策に関する基本的な方針
当社は、持続的な企業価値の向上に向けて、中長期の経営視点から、成長投資の推進・財務健全性の確保・株主還元の強化のバランスのもと、資本構成の適正化を推進することを資本政策の基本方針としています。
具体的には、持続的な事業利益の成長・収益性向上によるキャッシュ創出力の強化を図るため、積極的に成長投資を推進し、この一環として事業ポートフォリオの見直しも継続的に検討・実施します。
また、バランスシートマネジメントの強化等を通じて当社の事業構造に合わせた資本構成の適正化を推進することにより、財務健全性を確保した上で資本コストを上回るリターンを持続的に創出します。株主還元については事業成長に応じた強化・充実化を図ります。
上記に基づき、中期経営計画(2024-2026)では、成長投資3年累計1,000億円、総還元性向50%、キャッシュ創出力の向上に応じた資本構成の適正化を図ってまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2024-2026)では、社会への貢献を測る客観的な指標として、「売上高6,200億円」「営業利益(営業利益率)810億円(13.1%)」「EPS年平均成長率10%超」「ROIC/ROE 13%超/16%超」「1人あたり営業利益3.5百万円超」を掲げています。
中期経営計画初年度は、不採算案件やBPMセグメントの落ち込みに対処し、受注状況も良化の兆しを見せつつあります。中期経営計画の目標達成に向け、売上成長を伴う利益成長が最重要課題と捉え、引き続き「フロンティア開拓」をスローガンにグループ全体で推進します。
今後の重点課題は、全セグメントでの新規顧客獲得と既存顧客の深耕による根幹顧客化です。特に、当社独自のリライト技術「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」(XMS)を起点とした大型案件の獲得とグループ連携による顧客開拓を強化し、金融ITとBPMセグメントの成長軌道への回帰を確実なものにしていきます。また、そのために、ERPやXMS、決済をはじめとした顧客の基幹業務領域向けソリューションのラインナップの充実、顧客接点やプロジェクト実績等の知財活用の加速、併せて営業体制の見直しやグループ連携促進を通じてフロントラインを強化します。
また、生成AI活用についてはこれまで全社的なAIチャットボット活用、GitHub Copilot活用など、既存の延長線上での生産性向上に取り組んでまいりましたが、2025年以降は生成AI活用を前提とした抜本的な開発プロセス改革を推進し、ビジネス構造の変革を目指します。
これらの重点課題への取り組みを通じて、一人当たり生産性向上とROIC向上を実現し、ステークホルダーとの価値循環を一層高めてまいります。
<重要な経営指標の進捗状況>
| 2023年度 (実績) | 2024年度 (実績) | 2025年度 (計画) | 2026年度 (目標) |
PH営業利益 | 2.9百万円 | 3.1百万円 | 3.3百万円 | 3.5百万円超 |
営業利益率 | 11.8% | 12.1% | 12.5% | 13.1% |
ROIC | 13.5% | 12.6% | 13.3% | 13%超 |
ROE | 16.0% | 15.3% | 14.5% | 16%超 |
売上高 | 5,490億円 | 5,716億円 | 5,820億円 | 6,200億円 |
EPS | 203.28円 | 215.00円 | 216.86円 | CAGR 10%超 |
<中期経営計画(2024-2026)に対する取り組み 2024年度(2025年3月期)総括>
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