TIS
【東証プライム:3626】「情報・通信業」
へ投稿
企業概要
当社グループでは、競争力強化および新規事業創出、中長期の事業成長を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、3,079百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。
政治的な緊張の高まりや世界経済の不透明化といった社会的な不安が高まる一方で、デジタル社会の実現に向けてAIや量子コンピューティングといった様々なテクノロジーが劇的な進化を遂げており、これらのテクノロジーに対する期待が日々メディアを賑わせています。弊社では、社会ニーズをとらえ、社会課題解決につながるテクノロジーをビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端技術トレンドを幅広く分析し、最先端技術を応用するために、次に掲げる3つの領域の研究開発に注力しております。
(1) 先進的なソフトウェア生産技術の研究開発と現場適用
(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する新規事業創出
(3) 将来の事業の核となる技術の獲得による中長期の事業成長
(1) 先進的なソフトウェア生産技術の研究開発と現場適用
ソフトウェア生産技術については、飛躍的な生産性向上を図るべく生成AI*1の活用に注力しております。当連結会計年度は、前年度に引き続きGitHub Copilot*2の社内利用を拡大し、約3割のプロジェクトに展開いたしました。単なる個人単位での生産性向上にとどまらず、オフショア開発における活用や、生成AIによるコードレビューを大幅に効率化するツールの開発・活用などにより、プロジェクトチーム単位で量的・質的効果の拡大を図っております。また、社内AIChat環境で共有されたプロンプトを利用した要件定義の支援や、設計書からテスト仕様書の自動生成など、システム開発工程全体に活用範囲を拡大しております。各種の取り組みはグループ社員10,000人名以上が参加する相互技術支援サイト「canal」で共有するなど、ノウハウの共有展開を図っております。
(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する新規事業創出
当社グループは、社会課題の解決を目指し、「社会DX」、「事業DX」、そして「内部DX」の三つの領域で総合的な取り組みを進めています。特に「金融包摂」、「都市への集中・地方の衰退」、「低脱炭素化」、「健康問題」の解決に重点を置き、さまざまな事業分野で新たな価値の創造を目指しています。
医療・ヘルスケア分野では、PHR基盤サービス「ヘルスケアパスポート」を展開し、健康・医療情報の共有を通じた地域住民の健康管理を促進しています。千葉県君津市、宮崎県都農町、大阪府門真市など、複数の自治体でこのサービスを活用した健康情報管理の拡大が進んでいます。また、2025年4月13日から開催される大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」では、「大阪ヘルスケアパビリオン公式アプリ」の開発と「ヘルスケアプラットフォーム」の提供を行い、大阪ヘルスケアパビリオンでの体験をサポートしています。
地域活性化の取り組みとして、会津地域でサービス提供している会津コインの商店街、学校等と連携した利用シーン拡大を通して、市民の利便性向上、決済額の拡大につながっています。また、阪南市とは持続可能なまちづくりに向けた包括連携協定を締結し、共創による新しい地域価値創出に参画する等、地域における活性化支援が拡大しています。
(3) 将来の事業の核となる技術の獲得による中長期の事業成長
デジタル社会を実現するために期待されている多くの技術のうち、「様々な分野での活用ユースケースが想定でき」「システムインテグレーションやサービスに活用でき」「実用段階に至るまで中長期での取り組みが必要となる」技術として「量子コンピューティング」と「空間コンピューティング」を中長期の注力テーマとして整理しております。これらの注力テーマについて様々な大学や研究機関と連携し、中長期の事業成長を目指して今後の事業の核となる技術を獲得すべく研究開発を行っております。
「量子コンピューティング」に関する研究開発では、ユースケースを想定した量子アルゴリズムの研究や量子アプリケーションを開発するための量子ソフトウェアの開発を行っております。量子アルゴリズム研究においては、大阪大学との共同研究により組合せ最適問題に対する新量子アルゴリズム「FQAOA」を開発し電力需要ポートフォリオ最適化問題に適用した結果、従来手法と比較して計算精度を約10倍改善することに成功したことを発表しました。また、量子ソフトウェア開発においては、量子プログラムの変換・最適化ソフトウェア「Tranqu」を大阪大学と共同開発し、大阪大学らと共に量子コンピュータ・クラウドサービス向けの世界最大規模の基本ソフトウェア群「OQTOPUS」としてオープンソースで公開・運用を開始しております。
「空間コンピューティング」に関する研究開発では、昨年まで行っていた「XR*3研究」、「Multi-Level Edge Computing研究」をデジタルとリアルを統合する技術として発展させ、インタラクティブなコミュニケーションが可能なメタバースやデジタルツインの実現に向けた研究開発を行っております。空間コンピューティングにおけるデータ収集の一つとしてIoT・ウェアラブルデバイスの普及・利活用に向けて「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマット」を広島市立大学らと共にIEC*4に提案し、国際標準規格「IEC 63430」として発行されました。
*1 生成AI
生成AIは、人工知能技術を用いてテキスト、画像、音楽など新しいコンテンツを自動生成するシステムである。大量のデータから学習し、特定の指示に基づいてユニークなアウトプットを作成することが可能であり、ビジネスシーンにおいては、広告コンテンツの生成、ユーザーインターフェースの改善、顧客サポートの自動化など、多岐にわたって活用されている。
*2 GitHub Copilot
生成AI技術を活用したプログラミングに関わる様々な作業を支援するツール。
*3 XR(Extended Reality)
VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称
*4 IEC(International Electrotechnical Commission)
国際電気標準会議
- 検索
- 業種別業績ランキング