GVA TECH
【東証:298A】「情報・通信業」
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企業概要
当社が、本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) クラウド市場の展望について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社は、「OLGA」「GVA法人登記」をはじめ、複数のクラウド型サービスを提供しております。当社が事業を展開するクラウド市場は急速な成長を続けており、この市場成長傾向は今後も継続するものと見込んでおります。しかしながら、経済情勢や景気動向の変化による企業の情報化投資の抑制や、新たな法規制の導入、技術革新の停滞等の要因によりクラウド市場の成長が鈍化するような場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合他社の動向について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社が事業を展開するリーガルテック市場は、今後クラウド市場の普及を背景に、規模の大小を問わず競合企業の新規参入が予測されます。これら競合他社の中には、当社に比べ大きな資本力や技術力、販売力等の経営資源及び顧客基盤等を保有している企業が含まれます。当社では、製品開発力の強化や継続的な製品改修・サービス品質の向上等により顧客企業との良好な取引関係の維持等に積極的に取り組み、価格だけでなく付加価値で対抗できるブランディングを図っておりますが、競合企業のサービス力の向上や新規参入による価格競争の激化により当社の競争力が相対的に低下した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 技術革新への対応について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社が属するIT業界やAI業界の技術は、国内外を問わず研究開発が進められており、その結果、常に新しい技術が生み出され、その技術がサービスの一部として提供されております。当社の事業の競争力の源泉は技術力であるため、最新の技術の収集及び優秀な人材確保に努めてまいりますが、急速な技術革新への対応が遅れた場合、新規契約が伸びず、また既存顧客の解約が発生することで当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 自然災害、事故等について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社は、サービスシステムをクラウドサーバに置いており、当該クラウドサーバにおいても、複数のデータセンターにおける常時バックアップ体制等により洪水や地震等の大規模災害のサービス提供への影響を最小限に抑える対策を講じておりますが、想定を超える自然災害が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 事業拡大に係る先行投資について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社では、より多くの新規顧客の獲得を目指し、知名度や信頼度の向上のための広報・プロモーション活動の一環として、オンラインセミナーの開催やイベント展示会への出展等を積極的に行っております。今後も費用対効果を見極めつつ、顧客獲得のためのマーケティングコストを効率的に投下して、売上高の拡大及び収益性の向上に向けた取り組みを行っていきますが、各種マーケティング・PR活動等の効果が期待通り得られない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 既存ユーザーの継続率及び単価向上について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社のサービスの一部は、サービス料金を使用期間やユーザー数等に応じて定期定額契約として課金することで継続的な収益を得るビジネスモデルであるストック型の収益モデルであることから、当社の継続的な成長には、新規顧客の獲得に加え、既存顧客の解約防止及び単価向上が重要であると認識しております。当社では、最適なマーケティング活動及び販売戦略の立案・遂行に注力するとともに、製品開発力の強化や継続的な製品改修・サービス品質の向上等に取り組んでおります。しかしながら、経済情勢や市場環境の悪化等による顧客企業のIT投資抑制等が生じた場合や、新規・追加契約が想定通り進まない場合、想定を超える解約が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、2024年12月期の第4四半期末時点での月額の顧客平均単価は93千円であり、当社のユーザー層である中堅企業から大手企業における金額的な影響は軽微と考えるため、蓋然性は低いと考えております。
(7) システム・ネットワーク障害について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社が顧客に提供している各サービスは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社では、企業向けクラウドプラットフォームとして信頼されているAmazon Web Services社が提供するクラウドプラットフォーム上に各サービスを構築するとともにバックアップ管理の冗長化やセキュリティ対策の強化を行い、各サービスの安定的かつセキュアな運用体制を取っております。加えて、24時間365日稼働のクラウド監視センターを設置し、各サービスが適切に利用できる状況か常時監視、障害発生時には定められた手順に基づき復旧作業を実行する等の管理運用を行っております。しかしながら、自然災害や事故、プログラム不良、不正アクセス、その他何らかの要因により大規模なシステム障害が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) クラウドサービス上におけるサービス提供について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社が顧客に提供している各サービスは、企業向けクラウドプラットフォームとして信頼されているAmazon Web Serviceを用いて構築しております。当該製品における市場規模の縮小や大幅な仕様変更、経営戦略の変更がある場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産の保護及び侵害等について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社では、提供する各種サービスに係る特許権や商標権を取得しており、今後も積極的に知的財産権の保護に努めるとともに、当社の役職員による第三者の知的財産権の侵害が発生しないよう、啓蒙活動及び社内管理体制の強化に取り組んでおります。また当社では、提供する各種サービスが第三者の知的財産権を侵害していないか外部の専門家と連携し可能な範囲で調査を実施しております。しかしながら、第三者の知的財産権の状況を正確に調査・把握することは困難であり、知的財産権侵害とされた場合、その訴訟の内容及び結果や損害賠償の金額によっては、当社の財政状態及び経営成績や企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 個人情報・秘密情報の管理について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社は事業を推進していく中で、取引先企業における個人情報や秘密情報等の情報資産を扱う機会があります。当社では、情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC 27001:2022)の第三者認証を受けるとともに、情報セキュリティに関する規程の策定や役職員に対する定期的な教育の実施、コンピュータ等の情報機器やネットワーク等の情報通信設備に対するセキュリティ管理の徹底、外部委託先との秘密保持契約の締結等を行い、当社からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃等の不正な手段による外部アクセス、役職員及び外部委託先の過誤、自然災害の発生等によりこれらの情報資産が外部に流出した場合、これらに起因して損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があり、その訴訟の内容及び結果や損害賠償の金額によっては、当社の財政状態及び経営成績や企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 弁護士法の規制について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
弁護士法72条では、「弁護士又は弁護士法人ではない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件、非訴訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して、鑑定、代理、仲裁、若しくは和解その他の法律事務を取扱い、又は周旋することを業とすること」を禁止しております。当社のサービスである「OLGA」のAI契約レビューモジュールにおける「論点検知機能」(契約書上の論点や契約締結後に不利になりうるような単語をAIが検知し提示する機能)等をはじめ、各機能が本条文の規制に抵触しないよう遵守する必要があります。
当社では、複数の企業で「一般社団法人AI・契約レビューテクノロジー協会」を設立し、同法72条とAI契約レビューのツールに関して従来明確でなかった解釈について、内閣府規制改革推進会議等を通じて提言をしてまいりました。その結果、2023年8月1日法務省大臣官房司法法制部より、「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」と題するガイドラインが公表されております。
当社では、「OLGA」のAI契約レビューモジュールが、前述のガイドラインに準拠するものであり、サービス内で提供される機能やカスタマーサポートの対応についても、機能等の説明に留まるものとして対応しており、同法72条に抵触せず適法である旨、外部の法律事務所からも意見をいただいております。
今後においても、当社サービスの機能の拡充や変更に際して、適宜事前に社内及び外部の顧問弁護士のリーガルチェックを行い、当該法令に抵触しないよう十分に留意しております。しかしながら、同法の内容又は解釈が変更された場合には、当該規制の内容や解釈の変更等により、当社の事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 司法書士法の規制について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
司法書士法第3条にて、司法書士が行うことができる業が規定されており、その中に「法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。但し、同号に掲げる事務を除く。」)(第3条第一項第2号)および、同第3条第5号では「前各号の事務について相談に応ずること。」とされており、また同法第73条では、「司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。」とされて、司法書士でない者が、法務局に届出を行う書類の作成を行うこと、その相談に応じることを禁じております。当社のサービスである「GVA法人登記」の各機能による、登記申請書類の作成支援が、本条文の規制に抵触しないように遵守する必要があります。
当社では、「GVA法人登記」によって登記申請書類作成の機能は、あくまでも申請者本人による書類作成をサポートするものであり、サービス内で提供される機能やカスタマーサポートの対応についても、機能等の説明に留まるものとして対応しており、外部の法律事務所からも適法である旨の意見をいただいております。
今後においても、当社サービスの機能の拡充や変更に際して、適宜事前に社内及び外部の顧問弁護士のリーガルチェックを行い、当該法令に抵触しないよう十分に留意しております。しかしながら、同法の内容又は解釈が変更された場合には、当該規制の内容や解釈の変更等により、当社の事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 人材の採用及び育成について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社の事業領域は、進化の早い領域であることに加え、多様化するエンタープライズを中心とした顧客ニーズに対応するためには、最先端の技術と経験を有する優秀な人材の確保が必要と考えております。当社は継続して採用活動を行っておりますが、必要な人材を獲得できない場合及び十分な人材育成が進まなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 訴訟について(顕在化の可能性:小、時期:常時、影響度:大)
現段階で、顧客、パートナーや取引先及び株主などのステークホルダーとの間で訴訟等はなく、その可能性も把握しておりませんが、将来これらが生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:小)
当社では、長期的な企業価値向上に対するインセンティブを目的とした当社役職員向けのストックオプションや、一部金融機関向けに、借入に付随した新株予約権を付与しております。本書提出日現在、その総数は現時点における発行済株式総数の11.48%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
(16) 内部管理体制の強化について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社は少人数であり、現段階の事業規模にあわせた内部管理体制をとっております。今後、事業規模の拡大に伴い、人材の採用、育成を行うことにより現状の内部管理体制をより強固にしていく方針ではありますが、この体制強化が事業規模の拡大に追いつかない場合には、内部管理体制が有効に機能せず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 特定の人物への依存について(顕在化の可能性:小、時期:常時、影響度:中)
当社の代表取締役社長である山本俊は、当社のサービスモデル及びビジネスモデルの考案、事業戦略の立案に加えて、営業活動をはじめとする事業推進においても中心的な役割を担っております。当社では今後の事業拡大に備え、外部人材の登用、社内人材の育成等代表取締役社長へ過度に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により代表取締役社長が職務遂行をできなくなった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社以外に弁護士法人GVA法律事務所にも所属しておりますが、同法律事務所における経営実務や弁護士としての法律実務には携わっておらず、当社の代表取締役社長としての経営専念に支障をきたすものではないと判断しております。一方で、当社がリーガルテックサービスを提供している限りにおいて、弁護士事務所の創業者としての視点を持っていることが、サービスの信頼感につながっているものと考えており、また、当社の競合優位性の1つと認識している当社の事業ドメインに強い人材の確保の観点でも、弁護士資格保有者や法務経験者を積極的に確保できる要因の一つと考えております。
(18) 配当政策について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、現段階では、事業拡大のための投資及び財務基盤の強化が最優先の課題であると認識しており、そのバランスを見極めながら、必要な内部留保を確保し安定した配当ができる体制が整った後に継続的に実施していくことを基本方針としております。なお、現時点において配当実施の可能性及び実施時期等については未定であります。
(19) 固定資産の減損(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社は、ソフトウェア等の固定資産を保有し、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減額した当該金額を減損損失として計上することとなります。このため、当該資産又は資産グループの経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社の事業および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(20) 税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社は、税務上の繰越欠損金を計上しているため、利益が生じた場合の税負担が軽減されることが想定されます。しかしながら、当該欠損金に相当する利益を計上するまでに税務上許容される期限が経過し、欠損金が消滅した場合には、期待した税負担の軽減が受けられず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は税務上の繰越欠損金にかかる繰延税金資産に対して、その実現の不確実性を勘案し全額に相当する評価性引当額を計上しております。
(21) 過年度における継続的な損失計上について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
当社が提供するITサービス事業は、サービス提供に必要な支出及び顧客基盤の拡大のための営業人員の採用、広告宣伝費等の先行投資を必要とする事業であります。この結果、創業以来継続して営業赤字を計上しております。当社は、かかる投資の成果による売上高の拡大及び収益性の向上により今後は継続的な利益計上が可能であると考えておりますが、技術革新や競合他社の参入及び既存顧客の解約等が当社の想定を超えて発生した場合には、営業赤字が継続し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(22) 資金調達について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)
資金調達について、当社の借入金に係る契約のうち一部の契約には、各月末日における純資産及び預金残高の金額、2025年12月期以降の経常損益に関する財務制限条項が付されております。これに抵触し、借入先金融機関の請求があった場合、当該借入金について、期限の利益を喪失する可能性があります。当社が借入金について期限の利益を喪失し、一括返済の義務を負った場合には、当社の財政状態に悪影響をもたらす可能性があります。
なお、適宜、金融機関からの借入等による資金の確保を実行しており、期限の利益を喪失する事態が生じた場合でも、経営への影響は限定的と考えております。財務制限条項の詳細な内容については、「5 経営上の重要な契約等」に記載しております。
(23) GVA法律事務所との誤認リスクについて(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)
当社代表取締役が創業したGVA法律事務所と当社とは、何ら資本関係はございませんが、同じ「GVA」の名称を冠していることから、関連会社と誤認される恐れがあります。
GVA法律事務所の業績悪化やトラブル、不祥事等が生じた場合、当社グループとみなされ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、同事務所に対して、OLGAのサービス提供を行っており、本取引は関連当事者取引に該当致します。関連当事者取引については、新規取引の場合には都度取締役会の承認を必要とし、また、継続取引においても毎年定期的に取締役会に報告することとしており、当該サービスの提供については、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っていることを確認しております。
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