C&Fロジホールディングス 【東証プライム:9099】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
[サステナビリティに関する重要性について]
当社グループは、経営の基本方針として『グローバルに変化する食品物流を担う低温を核とする総合物流情報企業の実現』を掲げており、その中で「企業の社会的責任を果たし、あらゆるステークホルダーに支持される物流企業となる」と謳っております。
サステナビリティに対し取り組むことは、持続可能な社会の実現に貢献することであり、社会的責任を果たすことに繋がるものと考えております。
そのため当社グループでは、「サステナビリティ方針」を定め、「マテリアリティ(重要課題)の特定」を行い、サステナブル経営の推進体制を構築しております。
「サステナビリティ方針
C&Fロジホールディングスグループは、持続可能な物流事業の実現に向け事業を通じた社会課題解決に取り組み、国際社会で合意された持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献することを宣言し、ステークホルダーとともに次世代物流を創造するサステナブル経営を実践する。」
「マテリアリティ(重要課題)の特定
当社グループは、SDGsをはじめとした社会課題の重要度を確認・整理したうえで、事業およびステークホルダーの双方の観点から社会・環境への影響度が大きく、かつ当社グループの企業価値向上や事業継続における重要度の高いテーマを抽出し、サステナブル経営を行ううえで、重点的に取り組むべき課題として5つのマテリアリティを特定しております。」
① 気候変動に関する取り組み
当社グループは、気候変動に対する基本的な考え方として「C&Fロジホールディングスグループ環境方針」を定め、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿って管理しております。
「C&Fロジホールディングスグループ環境方針
C&Fロジホールディングスグループは、低温物流企業として地球環境の恩恵のもと、事業活動を行っており、事業活動を持続していくために地球環境を保全することは当社グループの重要な経営課題であると認識しています。」
② 人的資本に関する取り組み
当社グループは『グローバルに変化する食品物流を担う低温を核とする総合物流情報企業の実現』を会社の経営の基本方針とし、その中で「従業員が将来に希望を持ち、生き生きと仕事に取り組める物流企業となる。」と謳っております。その実現のためには社員一人ひとりが自ら考えチャレンジできる人物に成長すること、また、個々の適性・能力を最大限発揮できる社内環境であることが重要であると考えます。
(1) ガバナンス
当社はサステナブル経営の推進のため、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する課題の抽出や対応策の検討、また取り組み状況の把握・分析を行い、定期的に取締役会へ報告を行います。
サステナビリティ委員会は社長執行役員を委員長として、各執行役員及び事業会社社長で構成し、事業会社と機能部門が幅広く連携できる体制を組んでおります。また必要に応じて外部有識者の助言を仰ぎ、公正で的確な検討が行えるよう努めております。
(2) 戦略
① 気候変動に関する戦略
a) シナリオ分析の概要
当社グループでは、気候変動に関するリスク・機会を識別し、それが事業に及ぼす影響に対して、個々に対応策を検討いたしました。その対応策が各シナリオで発生しうる事態に現実的に対応できるかを評価するためにシナリオ分析を実施しております。
使用した主なシナリオは、移行リスクにおいては、IEA(国際エネルギー機関)によるWEO(世界エネルギー見通し)のうち、平均気温上昇をパリ協定で定めた2.0℃より十分低く保ち1.5℃に抑える努力をするSDS(持続可能な開発シナリオ)と、2050年に排出量ネットゼロを達成するNZE2050を用いました。また物理リスクにおいては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるさらなる温暖化対策を施さずに平均気温が4.0℃上昇するとされるRCP(代表的濃度経路)8.5シナリオを使用いたしました。
b) 気候関連のリスク・機会と影響及び対応策
シナリオ分析の結果1.5℃シナリオにおいて炭素税が導入され、燃料費や動力費など各種コストに転嫁され、利益を圧迫することが想定されるものの、再生可能エネルギーへの転換や次期低炭素車両などの新しい技術を導入することで、対応が可能であることが分かりました。
各シナリオによるリスク・機会は、次の表のとおりであります。それぞれの影響度と発現可能性を考慮し、対応策を実行していきます。
<移行リスク(1.5℃シナリオ)>
気候変動リスク の分類 | シナリオ | 気候変動により 想定される影響 | 影響度 | 対応策 | ||||
移行リスク・機会 |
政策規制 | GHG排出に関する規制強化 | 1.5℃ |
リスク | ・炭素税が導入され、価格に転嫁 ・その結果、軽油など燃料費や、電力など動力費、車両調達費、協力会社への委託料など各コストが増加し、利益を圧迫する |
大 |
高 | ・太陽光パネルの設置 ・再生可能エネルギー電力へ切替 ・従来に引き続き省エネ活動に取り組む ・ハイブリッド車など即運用可能な低炭素車両の導入 ・低燃費タイヤへの切り替えなど、従来に引き続き省燃費活動に取り組む |
市場 | エネルギー需要の変化 |
機会 | ・再生可能エネルギーが普及し、調達が容易になる | |||||
技術 | 次世代技術の進展・普及 |
リスク | ・EVやFCVトラックなど次期低炭素車両の導入や、充電設備の設置など、投資が増大する ・バイオディーゼルやリニューアブルディーゼルなどを使用し、燃料コストが増加する ・AIやロボットなどを活用したマテハン(マテリアルハンドリング)設備等のDX化に伴う投資が増大する ・次世代技術の導入遅れや見誤りにより、生産性が低下し、事業競争力が弱まった結果、事業機会を逸失する |
中 |
中 | ・次世代技術に対する情報収集力の向上 ・テスト導入やスモールスタートによって、将来主流となる技術の見定め/見極め ・外部の企業/機関との協業や協力による知見の向上 ・上記を踏まえた的確かつ適正な投資 | ||
機会 | ・次世代技術を的確に導入し、その効果を発揮して、事業競争力が強化された結果、新たな事業機会を獲得する ・マテハン設備等のDX化により、事務所・倉庫内業務における生産性が向上する | |||||||
評判 | ステークホルダーの評判変化 |
リスク | ・環境負荷の低い持続可能な物流網を構築できず、事業競争力が弱まった結果、事業機会を逸失する ・環境問題に取り組めていない企業と評価され、労働力の確保が難しくなる |
中 |
低 | ・環境負荷の低い持続可能な物流網の構築 ・サステナビリティを巡る課題に対して、目標の設定、対応策の実施/検証、開示などを適切に対応 | ||
機会 | ・環境負荷の低い持続可能な物流網を構築し、事業競争力が強化された結果、新たな事業機会を獲得する |
<物理リスク(4.0℃シナリオ)>
気候変動リスク の分類 | シナリオ | 気候変動により 想定される影響 | 影響度 | 対応策 | ||||
物理リスク・機会 |
慢性 | 地球温暖化による環境変化 | 4.0℃ |
リスク | ・温暖化により外気温度が上昇し、電力など動力費がさらに増加する
・温暖化により外気温度が上昇し、熱中症など従業員の健康リスクが増大する |
大 |
中 | ・太陽光パネルの設置 ・再生可能エネルギー電力へ切替 ・従来に引き続き省エネ活動に取り組む
・空調機器などによる職場環境の整備
|
機会 | ・温暖化により外気温度が上昇し、サプライチェーン全般において、より高い低温品質管理が求められる |
小 |
低 | ・当社の強みである低温品質管理をより一層強化する | ||||
急性 | 自然災害の激甚化 |
リスク | ・異常気象の多発や自然災害の激甚化により、事業継続対応策のコストが増加する ・異常気象の多発や自然災害の激甚化により、従業員の生活の安全が脅かされる |
中 |
高 | ・防災マネジメントシステムを整備し、自然災害に強く、安全でレジリエンスな物流体制を構築 | ||
機会 | ・自然災害に強い物流体制を構築することで、社会基盤としてのサプライチェーンを安全に継続させ、ステークホルダーの信頼が向上する |
大 |
低 |
② 人的資本に関する戦略
社員一人ひとりの成長と、能力を最大限発揮できる社内環境の整備のため、以下の「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を策定いたしました。
「人材育成方針
C&Fロジホールディングスグループは、個人の成長を企業の成長と認識し、社員一人ひとりが自ら考え、環境変化を踏まえ新たな改革にチャレンジし、それぞれが担当する分野で最高のサービスを提供できるプロフェッショナルを育成します。」
「社内環境整備方針
C&Fロジホールディングスグループは、社員一人ひとりが物流で社会を支える誇りと使命感を持ち、個人の適性・能力を最大限発揮できる社内環境を提供します。
また、それぞれの多様性を尊重し、皆が快適で働き甲斐のある社内環境を整備します。」
(3) リスク管理
a) 気候変動に関するリスク・機会の抽出
当社グループでは、気候変動に関するリスク・機会の抽出に際して、バリューチェーン上のステークホルダー(サプライヤー、自社、顧客)ごとに移行リスクと物理リスクの各観点において検討いたしました。
<移行リスク(1.5℃シナリオ)>
- 政策規制:GHG排出に関する規制強化
- 市場 :エネルギー需給の変化/低炭素製品の需要変化
- 技術 :次世代技術の進展・普及
- 評判 :ステークホルダーの評判変化
<物理リスク(4.0℃シナリオ)>
- 慢性 :地球温暖化による環境変化
- 急性 :自然災害の激甚化
b) 気候変動に関するリスク・機会の評価
当社グループでは、抽出したリスク・機会について、想定される事業への影響度の大きさと、その発現の可能性の2つの視点で評価・識別いたしました。
想定される影響度の大きさ
評価 | 影響の大きさ | 評価視点 |
大 | 重大な影響 | ・売上高 ・損失額 ・事業の将来性 ・企業のリソース(人材、技術、拠点など) ・コンプライアンス対応(法令/規制上の影響) ・ステークホルダーからの信頼 ・顧客/企業ブランド/市場への影響 |
中 | 大きな影響 | |
小 | 軽微な影響 |
想定される発現可能性
評価 | 発現時期 |
高 | 1~2年以内 |
中 | 2~5年程度先 |
低 | 5年以上先 |
(4) 指標及び目標
① 気候変動に関する指標及び目標
当社グループは気候変動に関するリスク・機会を管理していくため、次のようにCО2排出量の実績を把握し、削減目標を定めております。
a) 基準年実績値
基準年はSBT(注)1が推奨する直近年度にあたる2021年度といたしました。(注)2
対象 | 内容 | 2021年度排出量 |
Scope1 | 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 | 87,357 tCO2 |
Scope2 | 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 | 50,503 tCO2 |
Scope3 | Scope1、Scope2以外の間接排出 | 214,132 tCO2 |
(注) 1.SBT(Science Based Targets)パリ協定が求める水準と合致した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標
2.査定対象は2021年4月~2022年3月の当社及び国内関係会社13社の合計
3.Scope3の査定基準は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の査定に関する基本ガイドラインVer.2.4」に準拠
4.基準年の実績については、保証の取得を進めております。保証業務提供者の情報については、取得後速やかに当社ホームページにて開示する予定です。
5.直近の連結会計年度に係る実績の開示につきましては、情報がまとまり次第、速やかに当社ホームページにて開示する予定です。
b) 目標値
削減目標の対象は、まずは自ら管理可能であるScope1・2とし、その達成目標年度は日本の排出削減目標に合わせて2030年度といたしました。また削減目標値はNear-term SBTに基づき1.5℃水準で毎期基準年度排出量の4.2%削減を満たす値を設定いたしました。
対象 | 年度 | 目標 |
Scope1・2 | 2030年度 | CO2排出量 2021年度比 38%削減 |
2050年度 | カーボンニュートラルを目指す |
② 人的資本に関する指標及び目標
指標 | 目標 | 実績 |
社員一人あたりの 年間教育研修時間(注)1 | 2030年度までに5倍 (2021年度比) | 2022年度 0.97倍(注)3 |
女性管理職比率(注)2 | 2030年度までに10% | 2022年度 2.85% |
(注) 1.対象は提出会社及び連結国内子会社であります。
2.対象は提出会社及び連結子会社であります。
3.当連結会計年度における研修実績については、将来の教育制度充実を見据え、基盤となる研修構成を改定した結果、前連結会計年度と比較して1倍を下回る結果となりました。今後も引き続き段階的に研修構成を拡充させ、更なる実施率の向上に取り組んでまいります。
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