企業兼大株主ANAホールディングス東証プライム:9202】「空運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)サステナビリティ全般

 当社グループは、航空事業を中核として「ヒトとモノの移動」で社会に貢献し、将来にわたり社会から必要とされる企業として価値を生み出し続けていくために、グループの垣根を越えたグローバルかつ長期的な視点で「環境」「社会」「ガバナンス」に配慮したサステナビリティ経営を推進しています。

 航空事業をはじめとするグループが営む事業活動を通じて、経済的価値を生み出すことに加え、社会課題の解決に寄与し、社会から必要とされる価値を同時に生み出すことにより、持続的な企業価値向上を目指していきます。そのために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)は、「環境」「人(人財・DEI・人権)」「地域創生」であると考えています。

① ガバナンス

 サステナビリティに関する様々な課題への対応については、ANAホールディングス代表取締役社長を総括、ESG経営推進の最高責任者であるチーフESGプロモーションオフィサー:CEPO(グループリスク&コンプライアンス担当役員)を議長とし、当社およびグループ会社の取締役・執行役員、ならびに当社常勤監査役を委員とする「グループESG経営推進会議」にて、重要方針や施策について議論するとともに、目標に対する進捗のモニタリング等を年4回行っています。また、経営戦略に関わる重要な課題は、「グループ経営戦略会議」にて議論、審議し、「取締役会」に上程しています。取締役会は、サステナビリティに関する課題への対応を含むグループ全体の経営方針や目標を定めつつ、グループ各社の経営および業務執行を監督する役割を担っています。詳細は4-4「コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。

 ANAグループでは、社外有識者の皆様との定期的な対話から、最新の社会要請や関心の変容等をタイムリーに把握するとともに、事業や社会におけるインパクトを評価し、経営戦略に取り入れた上で取り組みに反映しています。

 グループ各社にESG経営推進の責任者およびグループESG経営推進会議のメンバーとしてESGプロモーションオフィサー(EPO)、組織のESG経営推進の牽引役としてグループ各社・各部署にESGプロモーションリーダー(EPL)を配置し、取締役会、グループ経営戦略会議、グループESG経営推進会議で議論・決議・報告された事項は、EPOならびにEPLとの密接な連携のもとにグループ全体で共有、実践されます。EPLに対しても、年2回のEPL会議を通じて、包括的に情報を共有するとともにグループ各社・各部署における取り組みの促進につなげています。

 また、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、ESG経営の推進状況を客観的かつ多面的に把握する目的で「CO2排出量」や「ESG外部評価指標」等の評価指標を設定し、役員報酬にも反映させています。

② リスク管理

リスクマネジメント体制

 取締役会で決定された基本方針のもと、当社グループにおけるリスクマネジメントに関する基本事項を規定した「ANAグループ・トータルリスクマネジメント規程」に基づき、グループESG経営推進会議にて基本政策の立案・発議、進捗のモニタリングを行っています。

 グループ各社においては、ESGプロモーションオフィサー(EPO)を推進責任者、ESGプロモーションリーダー(EPL)を推進実行者として、リスクマネジメント体制を構築しています。サステナビリティに関するリスクについても、トータルリスクマネジメントの仕組みの中で取り扱っています。

トータルリスクマネジメントの仕組み

 グループ各社において、リスクの極小化を目的としてリスクマネジメントサイクル(リスクの洗い出し分析評価管理・対策の検討・実施モニタリング)の仕組みを構築しています。

 グループ各社で、毎年事業ごとにリスクアセスメントを実施することにより洗い出された重要なリスクについては、対策の検討、進捗・効果、達成レベルを確認・評価するとともに、グループ全体で取り組むべきと判断されたサステナビリティに関するリスクを含む課題については、グループ総務部等が中心となって対策を講じ、その進捗をグループESG経営推進会議で報告しています。また、グループ全体の方針や戦略に反映させる必要があるものは、取締役会に対して上程しています。

(2)重要課題1 環境

 当社グループでは「ANAグループ環境方針」を掲げ環境負荷低減に取り組んでいます。

 具体的には、「2050年長期環境目標」を設定し、2050年度までのカーボンニュートラル(実質CO2排出量ゼロ)を宣言するとともに、その道筋として「2030年中期環境目標」を設定しています。

 目標達成のため、SAFの活用を中核とする4つの戦略的アプローチ(運航上の改善・航空機等の技術革新、SAFの活用等航空燃料の低炭素化、排出権取引制度の活用、ネガティブエミッション技術の活用)を組み合わせ、経済合理性との両立も追求しながら、2050年カーボンニュートラルを実現していくためのトランジション戦略を設定しています。

・TCFD提言に基づく情報開示

 当社グループは、2019年3月に日本のエアライングループとして初めて「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下TCFD」による提言に賛同を表明しました。以下、TCFDのフレームワークに即した開示の充実に努めています。

1)ガバナンス

 上記サステナビリティのガバナンス体制参照

 

これまで取締役会で上程・報告された気候変動問題に関する事案(例)

・中長期目標の策定、年度実績

・TCFD提言に沿った情報開示

・2050年カーボンニュートラル実現に向けたトランジション戦略の策定

・中期経営戦略への気候変動への対応の組み込み

・気候変動問題への取り組みに関する進捗

 

2)リスク管理

 取締役会で決定された基本方針に則って定められた「ANAグループ・トータルリスクマネジメント規程」に基づき、「グループESG経営推進会議」にて基本方針の立案・発議、進捗のモニタリングを行っています。

※ リスクマネジメント体制については、上記サステナビリティに関するリスクマネジメントの体制図参照

3)戦略

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)および国際エネルギー機関(IEA)による4℃と1.5℃のシナリオに基づき、シナリオ分析※を実施しました。気候変動が当社グループに与えるリスクと機会を特定して収入および費用へのインパクトを評価し、対応策を検討しています。

※ 詳細はウェブサイト(https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/goal/pdf/img_10_2305.pdf)参照

4)指標と目標

CO2排出にかかわる「ANAグループ中長期環境目標」

 

2030年度目標

2050年度目標

2019年度

CO2排出量

CO2排出量の削減

航空機

実質10%以上削減(2019年度比)

消費燃料の10%以上をSAFに置き換え

実質ゼロ

1,233万トン

航空機以外

33%以上削減(2019年度比)

実質ゼロ

10.5万トン

(3)重要課題2 人(人財・DEI・人権)

 当社グループは創業の精神を受け継いだグループ行動指針「ANA’sWay」に基づき、努力と挑戦をし続ける「人の力」と、組織の壁を越えて連携し協力する「グループ総合力(組織の力)」が強みであり、価値創造の源泉であると考えています。

 航空事業において、安全性・定時性・快適性などで高い品質・サービスを提供し競争優位を確立するには、高度の専門性を備えた多様な職種の従業員が、個々のスキルとチームワークを発揮することが極めて重要です。ANAでは、高品質なサービス提供やグローバルカスタマーのニーズを踏まえた継続的なサービス改善が高く評価され、英国のSKYTRAX社から10年連続で「5スター」のエアラインに認定されました。

 今後も人的資本への投資をより一層強化しながら、「人の力」と「組織の力」の最大化を図ることを通じて、持続的な企業価値向上を目指します。

① 人財

1)人財戦略の全体像

 人財戦略の最終目標は、持続的な企業価値の向上(経済的価値・社会的価値)と、社員とその家族、当社グループに関わる人たちの豊かな人生の実現です。経営戦略を実現するための「人財・組織のありたい姿」として、①航空と非航空の2軸の経営戦略に合致した人財ポートフォリオの構築、②変革を生み出しやすい組織文化の醸成、③多様なグループ社員がいきいきと働いて個々の強みを発揮する「全員活躍」を目指すとともに、従業員エンゲージメントの向上を追求します。具体的な対応として、社内環境整備や人財育成に関する6つの重点施策に取り組んでいます。

2)指標及び目標(ANAグループ社員意識調査「ANA’s Way Survey」)

 当社グループでは、「人財・組織のありたい姿」の達成度を測るため「社員意識調査」を毎年実施しています。この調査は「ANA’s Way」に掲げる「安全」、「お客様視点」、「社会への責任」、「チームスピリット」、「努力と挑戦」の5項目や「エンゲージメント」に関わる設問を含む64問で構成されています。2022年度はグループ従業員35,337名が回答(回答率96.1%)し、全設問の平均スコアは3.96(5点満点)と高い水準を維持しました。「私はANAグループで働いていることを誇りに思っている」のスコアが4.05となるなど、従業員が会社に対して高い愛着心を持ちながら働いていることも当社グループの経営基盤となっています。

 

 

2019年度実績

 

2022年度実績

 

2025年度目標

(KPI)

(a)全体指標

 

 

 

 

 

 

全設問平均スコア

 

3.80

 

3.96

 

4.03

(b)エンゲージメント関連指標

 

 

 

 

 

 

「私はANAグループで働いて

いることを誇りに思っている」

 

4.09

 

4.05

 

4.09

「私は今の仕事にやりがい

・達成感を感じている」

 

3.74

 

3.75

 

3.88

3)重点施策

<社内環境整備>

働く基盤の整備

・従業員がいきいきと働き、持続的な成長を図っていくためには、まず従業員が心身ともに健康であることが必要です。「2023-2029年度中期健康経営計画」に基づきグループ全体で従業員の心身の健康に向けた取り組み、「健康経営」を推進します。

[KPI]BMI適正者率 男女とも70%以上

 喫煙率     男性20%未満 女性3%未満

 メタボ該当率  男性12%未満 女性1.3%未満

 身体愁訴該当率 男性20%未満 女性30%未満   ※いずれも2030年3月の目標値

・当社はグループで推進している健康経営が評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で認定する「健康経営銘柄2023」に選定されました。

・なお、従業員個々のライフプランに応じた柔軟な働き方を推進するため、短時間勤務、短日数勤務、ワークプレイス選択制度、サバティカル休暇制度等、様々な制度を導入しています。

組織文化、マネジメントづくり

・ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)への取り組みを推進しています。(23ページ参照)

・グループ従業員の一体感をより強固なものとするため、公募による社内兼業制度の運用や、ミドルマネジメントの活躍推進に向けた施策等を実施します。

雇用・人事制度の見直し

・専門性の発揮を重視した評価・登用や年齢・年次を問わない人財登用など、ジョブ型の要素や考え方を取り入れながら、高度専門人財の確保と定着を図ります。

<人財育成方針>

従業員の自律成長支援

・キャリアデザイン研修を20~60代までの幅広い層へ展開します。そこで各自が設定した目標を支援するため、従業員講師による「学びのコミュニティ」、オープンセミナー、通信教育等を強化します。

・グループ内異動・転籍等の公募制度を充実させることで、従業員のキャリア自律を支援します。

・新規事業を提案するためのプログラム「Da Vinch Camp」や、サービス提案制度「がっつり広場」等、従業員が直接的に経営に参画する場を提供し、手挙げ文化の浸透を図ります。

・シニア人財の活躍を支援するため、50代のキャリア研修やリスキリング研修を実施します。

タレントマネジメントの強化

・航空事業と非航空事業の2軸の経営の推進に向け、人財育成プランやキャリアパスの考え方、目指すべき人財ポートフォリオを明確化してAs is-To beギャップの解消に取り組みます。

・社員のグローバル対応力を強化するため、海外雇用社員の日本での就業機会の提供や、日本と海外拠点とのオンラインによる交流プログラム等を実施しています。

・DXを推進するため、デジタル教育の実施やキャリア採用の強化によりデジタル人財を増強します。

[KPI]2025年度にデジタル人財を2022年度比1.6倍とする

・グループ企業の自律的経営を進めるべく、グループ各社における役員・部長のプロパー比率を向上します。

[KPI]2025年度のグループ会社プロパー比率 役員級40%/部長級70%

人的生産性の向上

・DXなどによる空港サービスのセルフ化・リモート化を進めるなど、「ANA Smart Travel」を推進し省人化を図るとともに、人は人でしかできないサービスに特化することでサービス品質の向上を追求します。

[KPI]2025年度のANAブランド稼働人員数 約29,000名

② DEI(多様性、公正性、受容・共生)

 大きく変化するグローバル環境において、当社グループが持続的な成長と価値創造を実現し、よりよい社会と豊かな生活に貢献していくため、「多様化推進」(ジェンダー・障がいの有無・外国人従業員・キャリア人財・世代など)と「エクイティ・インクルージョン浸透」を進めています。その進捗状況を可視化し、指標に基づいた課題抽出と対応策を実施していきます。

ジェンダー平等

 人事サポート制度の見直しや能力開発・意識醸成を進め、女性役員・女性管理職の比率を向上させ、意思決定の場における多様性を確保していきます。

[KPI]2020年代の可能な限り早い時期に当社グループの女性役員・女性管理職比率を30%以上とする

LGBTQ+

 2022年度に「多様な性に関する基本ポリシー」を策定し、従業員がその性的指向や性自認に関わらず、いきいきと働くことが出来る環境整備と職場の理解促進に取り組んでいます。

多様な働き方(両立支援)の推進

 従業員の育児や介護等と仕事との両立、一人一人の多様な働き方を支援する制度の整備と職場の意識醸成を進めています。2023年度から男性社員の「3日間の育児休暇制度」をグループ全体で整備し、男性の育児参画を促進することにより従業員や家族の生活・人生の充実のサポートに取り組んでいます。

[KPI]「育児休暇制度」対象男性社員の休暇取得率100%

障がい者雇用の推進

 障がい者雇用に関わる行動規範「3万6千人のスタート」を策定し、グループ全体で障がい者雇用に関わる理解促進を図っています。

[KPI]2025年のグループ全体の障がい者雇用率2.80%(2022年6月 2.75%)

③ 人権尊重

 空港ハンドリングにかかわる当社グループの協力会社では、多数の外国人が就労しています。これらの人たちの雇用環境に問題がないかどうかを正確に把握するため、定期的に労働状況調査や本人への直接インタビュー等を実施しています。

 また、国際線航空機を利用した違法な人身取引の防止を徹底するため、全客室乗務員に対して人身取引防止に関わる教育を行っています。

 これらの人権尊重に関わる当社グループの活動を取りまとめた「人権報告書」を、2018年に企業としては日本で初めて発行しました。

(4)重要課題3 地域創生

 地域創生は、地域の人口減少や少子高齢化、経済の縮小などの課題を克服し、将来にわたって地域が成長することを目指していく取り組みです。

 当社グループでは地域課題を解決しながら、ヒト・モノ・コトの新たな出会いや繋がりを創出し、地域のファンを増やすことにより交流人口や関係人口の拡大に繋げることを目的としています。

 課題解決に向けては地域との連携が重要であるため、グループの地域代表機能を有する各支店を通じた地域事業者との密な関係構築や全国各地の地方自治体との連携協定締結などにより、地域との繋がりを深めています。

 これまでに航空事業や旅行事業で築いた地域との信頼関係をもとに、産農振興・観光振興を軸としながら、当社グループが持つ強み、アセットを活用した地域創生に挑戦します。

<推進体制>

 当社グループで地域創生事業を担うANAあきんどが主管となる「グループ地域創生会議」を設置。全国33か所のANAの支店をはじめグループ各社と連携し、地域の課題解決に向けた活動を推進しています。

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