企業阪神内燃機工業東証スタンダード:6018】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります

(1)経営方針

 当社は、100年を超える経験と知識をもとにさらなる発展を求めて、前事業年度に経営理念を改定いたしました。事業分野の制約をはずし、根幹のモットーは継承しながら社会課題の解決を第一に認識し、その解決に尽力する結果として、お客様の満足度を向上させ、経済価値を高めることを基本の理念としております。この理念のもとに、GHGフリーの技術開発、CMR(鋳物・金属機械加工)事業の拡大、新規事業の研究開発等を力強く進めてまいります。そのスローガンは「鉄と工(たくみ)の創造力で掴むWIN-NOVATION(WIN+INNOVATION)」と設定しております。

(2)経営戦略等

2023年4月より、「自ら、見つめ、考えて、そしてチャンスをつかみとる」をスローガンに企業価値を高める活動を行うことを目標とした2ヵ年の中期経営計画「進化・新加・真価」が一定の成果を得て終了しました。新製品開発面では、国内初となるメタノール燃料エンジンの開発から生産および出荷を終えた他、GHG排出改善バージョンの低速4サイクル機関や、バージョンアップしたハンシン高度船舶安全管理システムHANASYS 5EXも開発を完了しました。生産面においては、複雑な木型・金型等の模型の製作を不要にした砂型3Dプリンターを導入し、稼働を開始しました。営業面につきましては、内航海運向け主機関の回復や海外向けを中心とした大型機関の出荷増加と相まって、売上高は大幅に増加する等、良好な成果を収めることができました。

 これらの成果を踏まえ、本年4月より3ヵ年新中期経営計画「Go for it ! やってみなはれ !!」をスタートさせました。中期目標は「ORIGINAL HANSHIN」において、既存事業の付加価値最大化、「NEW HANSHIN」における、CMR事業の更なる拡大のための体制構築、生産効率・事務効率のレベルアップと工場改善、海外市場の開拓および経営資源の活用検討、「FUTURE HANSHIN」については、カーボンニュートラル・カーボンフリーエンジンの研究開発、新ビジネス・新商品・新サービスの探求と具現化、これらを3本の柱として位置づけております。外的環境はますます厳しくなると予想されますが全社員がベクトルを合わせて新中期経営計画の達成に尽力してまいります。

 なお、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、業績予想として公表しております、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益があります。公表数値の達成に向けた経営計画に基づき、各種重点課題の着実な推進を図っております。

(3)経営環境

 当期におけるわが国経済は、企業業績・所得環境の改善による経済活動の活性化やインバウンド需要の増加等から、緩やかな回復基調となっております。世界経済については、地政学リスクの継続に加えて、米国の関税政策の発動により、不確実性の高まる状況となっております。

 外航海運業界は、大型船市場においては中国の主要造船所が既に2028年の船台を完売していることから船台不足の懸念が高まり、この流れを受けて国内外の船主が新造整備に動いた結果、国内造船所も2028年の船台はほぼ完売し、新規の商談は2029年の船台となっています。また、当社2サイクル機関の対象である近海船建造の造船所も、わずかに2028年の船台を残すのみですが、貨物船については運賃が現状の船価に見合わないことから、新造船建造に前向きな動きは見えておりません。一方で、近海ケミカル船の引き合いは継続しております。当社の主要マーケットである内航海運業界におきましては、引き続き船価高の状態は続いておりますが、船員不足および船舶の老朽化が顕著となってきた影響から、輸送能力の維持・確保に向けて大手オペレーターを中心に用船料の改善がなされ、これを受けて多くの船主が代替建造に向け船台予約に動き始めており、数年先までの船台予定を立てている造船所も出てまいりました。また、海外案件につきましても、アジア圏で受注が回復しており、引き合いも増加傾向を示しております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①営業活動

 国内、海外ともに鋼材価格高騰による船価高が継続する中、引き続き建造隻数の大幅な伸びは期待できない状況でありますが、老齢船の増加により、多くの船主が代替建造に向け船台予約に動き始めております。その機会を逃さず引合案件をひとつひとつ確実に受注に結び付けていく丁寧な営業活動を展開してまいります。

 国内においては、主機関販売において資材価格の高騰に起因したコストアップに対する価格転嫁が非常に遅れている状況となっていることから、各取引先にご理解いただき、適正価格へ是正することが最大の注力点になっております。加えて、GHG排出改善バージョンの低速4サイクルの販売拡大や機関監視システムのブラッシュアップなどで付加価値を高めながら、全ての顧客、全ての船、全ての空き船台を完全網羅した活動により、内航船における主機関のトップシェアを堅持し、部分品販売についても全てのお客様とその保有船に寄り添った、きめ細かく積極的なサービス活動と部分品営業を充実いたします。

 海外においては、主機関は中国市場の開拓に注力する他、主機関販売以外での周辺サポート(据え付け、運転、メンテナンス、機関モニター等)について、東南アジア・東アジアをターゲットに代理店・サービス部門・営業部門の三者が一体となった同行営業活動・提案営業活動を強化し、CS向上活動に注力しながら受注拡大に邁進してまいります。

②生産活動

 生産面におきまして、CMR事業については、エンジンに続く第2の事業の柱を目指し、鋳造技術を駆使した各種鋳物製作サービス、当社独自の大物部品の精密加工技術を活用した加工サービス、お客様要望のレトロフィットも含めた設備修理サービスを基軸として活動しております。更なる拡大のため、複合加工機等による製品加工品目の拡大や、生産の全体最適化を図るべく生産効率・事務効率のレベルアップと工場改善(ムダの削減)に加えて、CMR専用製造ラインの検討にも鋭意取り組んでまいります。また、資材価格の高騰に対応するため内製化が困難な部材につきましては、これまでも進めてきました海外調達を含めた購買努力やVA、VEによる原価低減を徹底し、加えて、聖域のない経費節減や作業の標準化によるムダの排除と品質の向上に引き続き鋭意努めてまいります。

③新製品の開発・販売

 商品開発面では、引き続き低速4サイクル機関の更なる高効率化を推し進め、最高レベルの熱効率を目指し取り組んでまいります。国内の内航船において初搭載となったメタノール燃料エンジンについては、顧客ニーズに応えるためデュアルフューエルエンジンの製品化を行い、商品ラインナップの充実を図ってまいります。

 また、バイオ燃料を活用したエンジンは陸上試験や海上実証試験済で、今後市場に出回るバイオ燃料に対応してまいります。さらに、GHG削減を目的としたアンモニアや水素燃焼技術の確立およびエンジン開発に向けて、低速4サイクルガスエンジンの気体燃焼技術の活用や、コモンレール式燃料噴射技術の確立に注力してまいります。

 お客様に安全・安心を提供する高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」の市場投入を拡大しておりますが、さらなる発展形の「HANASYS 5EX」について、今後、ハードとソフトの両面から最高の顧客満足を獲得するよう努力してまいります。

 起業家精神を持った人材育成とともに進める社内ベンチャーの位置付けとし、将来の阪神内燃機工業の人材や技術の礎となる活動で新事業や新商品を追求する「F-WINGプロジェクト」については、新設の特命担当チームにおいて、鋳物新製品の市場調査および実験販売の他、AI技術の応用に向けた取り組みを開始し、新事業の具現化に注力してまいります。

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