企業兼大株主長野計器東証プライム:7715】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの研究開発活動としては、大別して新規事業を目指した新規技術開発及び製品開発と、既存分野における製品開発及び改良・改善業務があります。

 当社の研究開発活動は技術本部が担当し、コア技術である圧力計のブルドン管や内機等の圧力検出機構や圧力センサ素子の継続的な研究開発、またそれらコア技術を応用した各種産業向圧力センサとその応用製品、圧力計、システム製品などの開発を進めています。

 子会社においても、各種独自の圧力計、圧力センサ、圧力制御機器、計測制御機器の研究開発活動を推進しています。

 当社グループにおける研究開発、技術、生産技術スタッフは237名(内、子会社87名)で、全従業員の9.9%となります。当連結会計年度の研究開発費は1,428百万円となりました。

 当社の成長戦略別での研究開発活動の状況は次の通りです。

(1) 成長戦略1「既存事業の競争力強化」

① 産業計測分野では、船舶規格であるNK認証取得製品のラインアップ拡充として、低圧レンジをカバーする製品を開発し発売を開始しました。

② 半導体装置産業分野では、装置のデジタル化対応としてIO-Link機能を追加した拡充製品の開発をスタートし顧客へのサンプル提供も進めております。

③ IoTに対応するワイヤレス型圧力センサ・圧力計では、顧客ニーズの探索を行い、機種拡充やシステム化開発を進めました。また生産現場でのDX化が進む中、計測機器のデジタル化対応として、IO-Link対応製品を拡充し各業界に向け順次ラインアップ予定です。

④ 圧力計測の高精度化に関して、仕様強化として精度 ±0.02%F.S.+1digit の高精度仕様の精密デジタル圧力計をラインアップし発売を開始しました。また計量法施行規則等の一部を改正する省令(令和6年経済産業省令第62号、施行日:令和7年1月1日)にて追加された「基準電気式圧力計」に適合する第一号の製品として基準器認証を受けた仕様をラインアップしました。

⑤ 圧力センサ、圧力計に関する研究・基礎開発においては、市場のニーズや成長分野の予測を基に、コアとなるセンサ素子の性能向上やレンジ拡大のためのプロセス開発を継続しており、半導体産業用として耐食性に優れたハステロイ®C-22相当材料を用い、UHP(ウルトラハイピュアリティ)グレードに対応した圧力センサ素子を開発し、腐食性の高い液体材料や固体材料を用いた半導体ガス供給システムにおいて200℃以上の高温下での計測が求められる次世代半導体プロセスに向けた製品を開発しました。

⑥ 医療分野では、咬合力計のリニューアル品として、圧力印加部(咬合力測定部)の形状最適化により高い出力再現性、安定性、偏荷重に対し強い製品を開発完了し、2025年度に販売開始予定です。

⑦ 車載分野では、大手自動車会社向けの第3世代燃料電池車(FCV)システム用圧力センサの技術検証を大手自動車会社と共同で引き続き推進しており、また現行の第2世代FCVシステム用の圧力センサを他社向けやバス、トラックなどの大型車両、フォークリフトをはじめ、船舶、鉄道、航空宇宙等といった乗用車以外の用途開拓にも積極的に水平展開に取り組んでいます。また水素エンジン(水素を燃料として利用するエンジン)用の圧力センサの開発も進め、各種サンプルを提供しました。

(2) 成長戦略2「グローバル戦略の強化」

① 北米、ヨーロッパ市場の半導体産業向け製品の拡販に向け、米国子会社Ashcroftと協業し大手半導体設備メーカに向けた圧力センサの開発、仕様拡充を進めています。

② Ashcroftによって北米市場に製品を供給するメキシコ ケレタロ工場における圧力センサの生産、中国 嘉興工場での中国市場向けの生産に対する技術支援を継続実施しています。

③ 欧州自動車産業市場においては、引き続きドイツ合弁会社の共同出資者に対し車載エアコン用圧力センサにおける製品開発支援及び改良・改善を実施しています。

(3) 成長戦略3「新たな事業領域の拡大」

① 光計測技術を用い、極限環境下での計測をテーマに、極低温、超高温、超高圧から極微圧を計測可能とする計測システムの開発に注力しています。中でも成長が期待される水素関連事業向けに開発中の光干渉技術を用いた液化水素(−253℃)計測用圧力センサについては、液体水素搬送ポンプなどの装置を開発している主要企業が実用化フェーズに移行しつつあることから、2025年度前半には防爆認証も取得した製品の開発を完了し、さらに2026年度には液体水素向けに特化した製品を前倒してリリースする予定です。

② 同じく光計測技術をもとに、光ファイバセンサを神経のように船体に張り巡らし、その構造的な応答をモニタリングするシステムの開発が完了し、実船に搭載されることが決定しました。今後は、調査船や水素運搬船、大型コンテナ船など、最先端の船舶に導入されることが期待されます。

③ IoT技術による省人化をテーマとして、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)、セイコーエプソン株式会社と共同開発を進めてきました、鉄道橋梁桁の定期検査を自動化する装置(ER15アオリ監視装置)は、これまで順調に導入・運用が進み、さらに多くの鉄道事業者に活用いただけるよう、普及・販促活動に注力するとともに、これに続く新たな監視装置も来年度の発売に向けて開発を進めています。

④ 同じくIoT技術による省人化に貢献する製品、システムとして、サブスクリプションでご利用いただけるクラウド型計測ネットワークサービス『Nモニ』の機能拡張を進め、先の鉄道橋梁向けの監視装置や指針角読み取り装置を取り付けた圧力計など、当社製品を遠隔監視するための共通プラットフォームとして活用される場が増えています。指針角読み取り装置については、新たに防爆仕様を拡充するなど、より多くの現場で活用いただけるよう開発を進めています。

⑤ 当社のコア事業である圧力センサの生産性と競争的優位性を更に高めるために、各種センサ素子の信号を増幅、補正して電気信号に変換するのに必要となる、専用の半導体IC(カスタムASIC)の開発を行うため、専任チームを立ち上げました。この開発の成果として、圧力センサの性能面での向上だけでなく、電子部品や製造装置の共通化によって、更なる生産性の向上を見込んでおります。

⑥ 計測制御機器分野では、海外顧客からのご要望に応えて、バッテリー駆動で手軽に漏れ検査を行えるポータブル水素リークディテクタHDA-0100をCEマーキングに対応させました。

⑦ 一昨年度に開発した装置搭載水素リークディテクタHDZ-0201を実装した試験装置として、顧客からのご要望の多い2.5×10-5 Pa ㎥/s の漏れを検出できる測定技術を確立し、市場に展開しました。

⑧ 半導体市場向けに、測定接ガス部に銅系材料を使用せず、クリーン仕様としながら、現行品より価格を抑えたエアリークテスタFLZ-0220-A7を開発しました。

 このような研究開発活動を進める一方、既存製品の改良・改善業務として、性能向上やコスト低減活動を継続しています。各種量産製品における安定生産のための各種改善に対する評価検証や、製品のリニューアル、仕様強化としての各種オプション追加等の開発検証を行い、量産品の収益性向上、生産性向上の対応を継続しています。

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