文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社グループは創業以来「社業の発展を通じ社会に貢献する」を社是として経営を行なっております。
お取引先である電力業界や多岐に亘る各産業界においては、環境等の社会課題に対しての関心や意識が高まるとともに、継続的な改善等の積み重ねと飛躍的な技術革新等を背景に、たゆまぬ進化と変貌が続いておりますが、当社グループは、そうした進化・変貌を能動的かつ的確に捉え、お取引先および社会からの要請や期待に応えられるよう、常に先進性と多様性を保持するとともに、永年培ってきた知見と機能を活かし、産業設備・機器等の商取引を通じ社会に貢献してまいります。
(2)グループポリシー、グループ行動規範、グループミッション
当社グループは、結束力やグループ経営を推進していくため、「グループポリシー」、「グループ行動規範」、「グループミッション」を定め、グループに属する各社および、そこで働く社員一人ひとりがこれらを共有し、日々の行動に繋げ、グループ全体で企業価値の向上を目指しております。
グループポリシー | 私たち西華産業グループは、お互いが連携し、高め合い、公明正大な企業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献します。 |
グループ行動規範 | 一人ひとりが法令を遵守すると共に社会から信頼されるよう倫理観を持って行動します。 |
グループミッション | グループ全体で豊かな社会を実現します。 |
(3)長期経営ビジョン
当社グループは、気候変動への対策としてのカーボンニュートラルの取り組みなど「環境」をめぐる変化の流れのなかにこそ、貢献すべきことがあるはずと考え、以下を基本戦略とする2030年に向けた長期経営ビジョン「VIORB 2030」を策定しました。
1)当社の存在意義
エネルギーおよび産業のインフラ分野に強みを持つ商社を核とする企業グループとして、地球環境と調和したサステナブルなエネルギー創出・産業活動を支援する。
2)事業面での重点分野
以下の4点をキーワードとして掲げ、時代の流れに応じたユーザーニーズと技術を的確に捉えて対応することで、ビジネスを創り上げていく。
① 脱炭素のユーザーニーズと技術革新を機敏に捉えビジネス化
② 省エネ・省資源に関する産業界の恒久ニーズへの支援を拡大
③ サーキュラーエコノミーの進展・実現の動きへの対応を強化
④ デジタルトランスフォーメーションを広義に捉え商機を探求
3) 経営面での主要施策
上述の事業展開を支え、現実性のあるものとするため経営面では当面の主要施策として以下のことを実行する。
① キャッシュマネジメントの仕組みの整備による資金余力の最大化
② 100億円規模の事業投資による既存事業の深化と事業領域の拡張
③ SDGsに資すると判断される事業や活動を応援するため10億円のファンドを設定
④ 組織スリム化と生産性向上による重点分野への人的リソース投入
⑤ グループ各社毎の特性を踏まえた強みを明確にし経営資源を集中
(4)中期経営計画 VIORB2030 Phase1
2023年4月から2027年3月までの4ヵ年計画として、中期経営計画「VIORB2030 Phase1」を策定し推進しております。
長期経営ビジョン「VIORB 2030」の前半部を担い、当社グループが飛躍的に成長する礎を築くための計画として位置付けております。
なお、本中期経営計画の初年度より、長期的目線で成長のトレースが出来る明確な区分とするため、従来の4セグメントから「エネルギー事業」「産業機械事業」「プロダクト事業」の3セグメントへと変更いたしました。夫々のセグメントで実効性の高い事業戦略を策定してまいります。
① 成長戦略
以下の戦略を軸とし、持続的な収益構造を確立、グループ全体の強靭化を図ります。
② 経営数値目標
(連結)
| 2027年3月期 |
営業利益 | 52 億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 35 億円 |
(5)会社の対処すべき課題
① 新中期経営計画に基づく経営および事業活動の実践・推進
当社は、2030年度に向けた長期経営ビジョンであるVIORB 2030を2022年度に公表しておりますが、今般、その2年目(2023年度)から2026年度までの期間をカバーする新たな中期経営計画を策定し、2023年5月に公表しました。この新中計は、VIORB 2030の基本思想を踏襲し、『環境』を主たるテーマとして掲げ、それにまつわる取引先と社会の要請や期待に応えられるよう努めるとともに、それを成長ドライバーとして当社自身の持続的な成長と中長期的な企業価値向上につなげるという基本戦略のもと、その戦略を地に足がついた形で実行に移していくための道標として、また成果を測るための指標となるものとして、具体的な取組み方針、主要施策および数値目標が記されたものとなっています。現進行期である2023年度は、この新中計の初年度であり、まずは本計画に基づく経営および事業活動を軌道に乗せるとともに、検証・修正を交えつつも、加速させていけるよう、着実に実践・推進してまいります。
②原子力発電設備に関わる販売代理店業務の運営の早期安定化
当社は、三菱重工業株式会社との間で原子力発電所設備関連の販売代理店契約を締結し、2023年4月1日より原子力発電の主要機器・設備に関わる代理店業務を開始しております。加えて、他のメーカー製品の原子力発電設備における代理権も多く同時に取得しており、今後は、当社の主力事業のひとつという位置付けで、原子力発電関連業務に取り組んで行くことになります。当社は、火力発電設備に関わる代理店業務においては長い歴史と経験を有しておりますが、原子力発電関連業務は、それとは性質の異なる部分も多く、新たな事業領域と捉えて、真摯かつ丁寧に取り組む必要があると考えております。既に、拠点新設を含む組織の構築、経験者の採用を含む要員・体制の増員、手続きやシステムに関する整備など、業務開始に当たって必要な手当ては実施しておりますが、それらが実際に有効に機能するよう不断に検証と修正・改善を重ねつつ、早期に安定的な運営が実現され、当社に期待される役割を果たせるよう努めてまいります。
③ 事業投資等を活用した商権の拡大、競争力ある商材等の確保
長期経営ビジョンVIORB 2030およびそれを踏まえた新中期経営計画においては、新たに優良な商権を獲得のうえ実効的に運用できるようにして事業の拡大につなげるため、また競争力ある技術・製品等を当社グループの手持ち商材化するため、有効かつ必要と判断される場合には、躊躇なく効率的に投資を活用する、ということを事業戦略の中核のひとつとして掲げております。そのために、各営業現場では普段から仕入メーカー等取引先と肌理細かく交流・対話することで情報収集に努め、一方、本部サイドでは収集・連携されたシーズ情報に基づき調査・分析と深耕を図るとともに投資の要否・是非を判断する、という体制・フローを整えております。
また、資金面からもこの事業戦略を担保するために、コミットメントラインを含むキャッシュマネジメントの仕組みを導入し運用を始めることで資金余力の最大化を図っており、必要な際には時機を逸せずに資金を投入することができる態勢が整っております。
④ 経営資源である社員のモチベート・成長を図る人事施策の遂行
当社グループにおいては、人材は最も重要な経営資源であり、日々の事業活動を支えているというのみならず、目指すべき持続的な成長と中長期的な企業価値向上を現実のものとするためのキーでありドライバーでもあると捉えております。当社グループでは、こうした位置付けにある人材=社員に関し、モチベーションを高揚させ、成長を促すとともに、全員の能力と役割とが最適にマッチした人員配置をすることで、組織としてのパフォーマンスの最大化を図ることを目指しております。その実現のために、人事制度の見直し、教育体系の高度化、働き方改革、といった人事関連施策を着実に進めてまいります。
また、会社の持続性の観点では経営を担うに足る素養を備えた人材が安定的に輩出されることが重要と考え、能動的に経営人材の育成を図る取組みについても継続していきます。
⑤ グローバル/グループベースの連結経営の高度化と営業力強化
当社グループは、13カ国29社の会社から成る企業グループとして存在しております。その各々が自社の強みを認識・定義し経営資源を集中するとともに、グループとしてのシナジーを発揮していくことで、グループ全体としての成長と価値向上を図っていきます。そのために、人材の交流と最適活用、資金の共有と効果的投入、業務上の連携と課題共有、管理部門の共有化等による生産性向上と重点分野へのリソース配分、など連結経営の高度化に取り組んでまいります。
また、商社型の海外現地法人については、事業面においては、当社本体の営業場所と同等に、本部機能から情報・商材・意思決定・手続き等に係る支援が得られるようにするとともに、国内営業場所との協働を活性化させることで、営業力の強化を図っていきます。
⑥ 資本コストや株価を意識した経営の実現へ向けた対応
東京証券取引所より「資本コストや株式を意識した経営の実現に向けた対応について」の要請文が2023年3月31日付けで発表・通知されております。企業がステークホルダーの期待に応え持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するためには、売上や利益水準だけでなく、バランスシートに基づく資本コストや資本収益性を意識して経営することが重要、という主旨のものですが、プライム市場上場企業であり本件要請の背景にあるROEやPBRが低い企業が多いという具体的問題にも該当する当社は、本件要請を切迫した課題として捉え真摯に対応してまいります。まずは当社の現状分析をしたうえで、PBR1.0倍超ほかを実現すべく、改善のための目標・計画と取組みを策定し、わかりやすく情報開示してまいります。
⑦ サステナビリティに関わる経営上の体制整備と対外アピール
「持続可能な社会の実現」が社会全体の課題として認識されるようになり、企業経営においてもSDGs等のサステナビリティを意識した戦略を打ち出す先が多く見られます。当社は「社業の発展を通じ社会に貢献する」を社是としており、また長期経営ビジョンVIORB 2030では「地球環境と産業発展のためにわたしたちができることは」と謳い、環境配慮と持続的成長の両立を誓い・表明しております。これを具体的な行動に落とし込み、より実効性の高いものとするとともに、対外的にも宣言できるようにするため、サステナビリティ委員会を設置したうえで、その下で、サステナビリティに関し、基本方針の策定、既存分を含む関連施策の体系整備、その実施状況フォローと情報開示、等を検討・推進してまいります。
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