片倉工業
【東証スタンダード:3001】「繊維製品」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、1873年の創業以来、国内最大手のシルクメーカーとして「カタクラシルク」のブランドを世界に広めると同時に、わが国近代産業の発展に寄与してまいりました。また、長い歴史の中で培われてきた信頼と有形無形の財産の有効活用により事業の多角化を推進し、カタクラグループとして広く社会に貢献してまいりました。
当社は、2023年に創業150周年を迎えたことを契機に、変化の激しい時代の中で、今後の10年、20年先の未来に向けて、私たちが大切にすべきことを改めて明確化し、役員・全従業員の羅針盤とすること、そして、ステークホルダーの皆様と共有化を図るべく、新たに企業理念を刷新しました。当社グループが目指すべき方向性を「ミッション」、ミッションを実現するために、役員・全従業員が大切にすべき考え方を「わたしたちの価値観」として設定いたしました。
さらに、「ミッション」と「わたしたちの価値観」を、役員・全従業員が正しく運用できるよう、「行動指針」も制定しております。当社の企業理念である「ミッション」、「わたしたちの価値観」、「行動指針」を活用し、企業価値向上に努めて参ります。企業理念の全体像は、当社ホームページで開示しております。
URL:https://www.katakura.co.jp/company/philosophy/index.html
(2) 対処すべき課題
今後のわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復が期待されますが、アメリカの政権交代に伴う政策変更や欧米の高金利、中国経済の停滞、中東やロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクにより、引き続き不透明な状況が続くものと考えられます。
また、物価や人件費の上昇、為替変動によるコスト増加等により、事業環境が一層厳しさを増しています。当社グループは引き続き構造改革を推進し、事業の安定化と収益性の向上に取り組んでまいります。また、不動産事業を基盤としつつも、成長が期待される機能性繊維分野等では積極的な投資を行うとともに、IT分野等の新たな分野では、M&Aや提携等も活用した事業拡大を図ることで、持続的な成長を実現してまいります。加えて、人的資本戦略を推進し、成長を支える基盤を強化することで、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
さらに、当社グループでは、サステナビリティ委員会の活動を通じて、人権の尊重、環境への配慮、地域社会との共生を推進し、安全・安心な商品・サービスを提供することにより持続可能な社会の構築に貢献します。リスク統括委員会を中心に適切なリスク管理体制を整備し、ガバナンスの維持・向上を図ります。新設したIT企画会議では、IT投資やDX推進、サイバーセキュリティ強化などの課題に迅速に対応し、競争力の向上に努めてまいります。
当社は、人材を競争力の源泉と捉え、年齢・性別・経歴を問わず、能力・専門性・人格を重視した採用と育成を進めています。2025年4月からは新しい人事制度に移行し、当社のミッションである「昨日よりもっと、なくてはならない存在へ。」に基づく行動指針を個々人の目標や人事評価に反映するとともに、従業員のモチベーションと働きがいの創出に努めてまいります。
主要な事業の対処すべき課題は次のとおりです。
(不動産事業)
不動産事業は、2025年に開業10周年を迎えるさいたま新都心社有地のコクーンシティにおいて、戦略的なテナントリニューアルや環境整備を実施し、エリア価値の向上を図ってまいります。
さいたま新都心社有地再開発計画では、建築費や人件費の上昇やマーケットの動向を踏まえ、最適な事業規模や開発時期を検討してまいります。また、コクーンシティ周辺のグループ会社保有不動産についても、シナジーを活かした開発を進めてまいります。
その他地方不動産については、老朽化等、ライフサイクルを考慮し、適切な再投資を行い、収益性を維持してまいります。
(医薬品事業)
医薬品事業は、毎年の薬価改定をはじめとする医療費抑制政策により、厳しい事業環境が継続しております。2024年度には、100名を超える希望退職者を募り、全国の支店・営業所を廃止した上で、本社が各エリアを直接管轄する体制へと移行するなど、抜本的な組織改革を実施いたしました。今後も効率的な事業運営を推進し、後発薬の上市や既存薬の剤型追加・適応拡大に注力するとともに、循環器領域にとどまらず、幅広い医薬品の開発を進めてまいります。
(機械関連事業)
消防自動車事業は、車載用半導体不足等の影響で遅延していたシャシの納入が回復し、過年度の受注繰越分の販売が進む見込みです。さらに、原材料高騰を反映した販売価格設定により、収益性が改善されます。今後は、仕様を集約したモデルの拡充と販売代理店との協力強化を進めます。また、海外メーカーとの連携を深め、製品ラインナップの拡充を図ってまいります。
(繊維事業)
機能性繊維事業は、耐熱性繊維の需要回復を背景に、業績の堅調な推移を見込んでおります。今後、米国市場の開拓を進めるとともに、生産能力の増強を視野に入れた投資を検討します。水溶性繊維は、アパレル用途を中心に好調が続いていますが、さらなる用途開発により販売拡大に努めてまいります。
実用衣料事業については、事業構造の見直しと組織体制の再構築を通じて収益性を改善し、機能性インナーの開発・販売拡大を目指してまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング