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企業概要

(1)経営の基本方針

 当社グループは、ありたい姿として21世紀の日本を代表する『知識集約型企業 Professional Design & Engineering Firm』を目指しております。ありたい姿を実現し社会と共に目指す未来像として、ソート(Thought)『Innovating for a Wise Future』を掲げております。このソートには、「工学知」をベースにした有益なソリューションを社会に普及させることにより、顧客、大学・研究機関、国内・海外パートナーなどの各ステークホルダーと共に、より賢慮にみちた未来社会を創出していきたいという想いを込めております。

 これらの方針を基に、当社グループの付加価値創造の源泉である多様な「人才」(当社グループでは知識集約型企業という形態の組織を支えるため、「人」を経営のリソースとして扱う“人材”や“人財”ではなく、個々の才能に着目する“人才”と定義)と共に社会を良くするためには何が必要かを考え抜き、「知(知識、知恵の集合体)」と情報技術を組み合わせ、将来に向けた新たな価値を創造し、各ステークホルダーと共にサステナブルな成長を目指してまいります。

 当社グループが持続的に発展していくための経営基盤である「品質の確保及び向上」、「今後の当社グループの成長を担う優秀な人才の確保と育成」を強化し、高い品質をベースとした付加価値の高い既存事業の着実な推進と、更なる付加価値増のための新たな事業投資を行うことで中長期的な企業価値向上を目指しております。

 当連結会計年度(2025年6月期)に当社グループは持株会社制を導入いたしました。新たな体制において、グループ企業の豊富な人的資本をより有効に活用し、既存事業では高い収益性の維持とサステナブルな成長を、新規事業では必要な投資の継続により高い成長率と規模の拡大を目指してまいります。

(2)目標とする経営指標

 当社グループはより優れた人才が集い、互いに切磋琢磨して成長していくことが重要だと考えており、事業の成長と人才の成長の両輪で持続的な成長を目指しております。こうした背景から、利益の追求に加えて、成長の源泉となる人才への還元も考慮し、営業利益に人件費と福利厚生費(フリンジベネフィット)を加えた指標を「総付加価値」と定義し、中長期的に8%程度の年間成長を経営目標としております。得られた利益を、株主や所員をはじめとした各ステークホルダー及び将来に向けた新規事業への投資へ適正に配分することで、サステナブルな成長を実現し、更なる成長に繋げていきたいと考えております。

 また、期末のネット有利子負債については、今後も事業投資とのバランスを勘案しつつ適切な水準を維持していくとともに、自己資本比率の適正な水準の維持、高いROEの維持・向上、DOEを考慮した中長期保有株主に対する継続的かつ安定した配当も目標といたします。

 当連結会計年度(2025年6月期)において、既存事業では高い収益性を維持し、着実な成長を目指すとともに、組織風土に見合った品質の高い仕事を追求してきました。またクラウドサービス提供型ビジネス等の新規事業においては、規模拡大に向け、より高い成長及び利益率の改善を図り、経営指標である総付加価値の計画(112億77百万円)達成を目指して遂行してまいりました。

(3)知識集約型企業としての行動指針

 当社グループは、「知」を「価値」として社会に提供していく知識集約型企業としての行動指針として、以下の点を重視しております。

① 自律・自立と機動性

 公開企業としてガバナンスを強化しつつも、迅速な意思決定が可能な機動力の高い組織の維持に努めます。社内外を繋げることで生まれるオープンイノベーションを推進するためにも、自由闊達な知の探索を奨励し、所員が切磋琢磨し主体的にチャレンジできる組織風土を作ってまいります。

② 独立性

 独立系企業として全ての顧客と対等なパートナーシップを構築し、信頼されるパートナーとして安心して業務を任せていただけるように、良好な関係を築いてまいります。さまざまな企業の業務の理解を深めて経験知を蓄積し、知識集約型企業に相応しい価値提供を目指してまいります。

③ 多様性

 当社グループは「社会のいかなる問題にも対処できるよう、バラエティに富んだ専門家を集めた工学を生業とした組織を作りたい」という創業の志を引き継ぎ、人才の多様性を重視しております。専攻、性別、年齢、国籍等によらない所員個々の多様な経験や知見、価値観が組織の活性化及び新たな事業展開に繋がると考えております。

④ 透明性

 各ステークホルダーに対しては、透明性の高いガバナンス体制の構築に継続して取り組んでまいります。また、当社グループのありたい姿を実現するため、組織としての目標を全てのグループ会社、全ての所員に共有し、その目標達成を目指してまいります。

⑤ 社会性

 当社グループの所員全員が、「真・善・美」を追求し、社会の様々な活動に関わる人々の行動や考え、評価や価値観などを察し「慮る」姿勢を常に持ち続け、各ステークホルダーや社会へ貢献してまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、お客様に提供するサービスの品質を最重要課題として捉えるとともに、このサービスを提供する個々の人才の成長が大切だと考えております。

 品質の面では、エンジニアリングコンサルティングビジネスではプロジェクトの納期、予算、質の面から第一級の顧客満足度の維持を目指し、各自が必要かつ十分な品質の確保に向けた取り組みを続けております。プロダクツサービスビジネスでは、お客様が利用されるソフトウエアの機能を最大限に活用できるように、また近年拡大しているクラウドサービスでは、プラットフォームが安定的に維持されることを目指しています。

 人才の質を維持、向上するために、社会的に意義のあるプロジェクトを受注し、そこでの経験を積み、また不特定多数のお客様へ提供するプロダクツサービスビジネスでは、顧客の潜在的なニーズがどこにあり、どのように課題解決を伝えるかマーケティングの視点も重視しております。ジェンダーや国籍を超えた多様な人才が所属する組織の場を設定することで、より高い価値提供が可能だと考えます。

 高収益のエンジニアリングコンサルティングビジネスを着実に維持、発展させつつ、新規顧客への訴求、新規テーマの創成を通じて、全社の利益性の向上を図ります。

 このような経営方針をもとにして、当社グループは以下の観点を踏まえた施策を積極的に推進してまいります。

① 品質の維持及び向上

 当社グループは、過去に犯した品質不良による顧客への迷惑を反省し、常に確かな品質を保証し価値ある成果を提供し、顧客の信頼と期待を獲得し続けることを誓っております。失敗を含めた過去からの経験知をベースに各グループ内に品質管理体制を構築し、更なる改善と着実な運用に継続的に取り組みます。何よりも品質に対する所員一人ひとりのこだわりが重要であることを認識し、各人の責任感の醸成を図っております。事業の中核となる受託エンジニアリングコンサルティングビジネスだけでなく、プロダクツサービスビジネスにおいても品質維持を着実に実行します。

② 多様性のある優秀な人才の確保・育成・定着

 当社グループの価値創造の源泉は個々の人才にあります。企業としてのありたい姿に共鳴し、企業理念に共感する人才の採用に注力しております。建築構造設計から始まり、対象分野が拡大したエンジニアリングコンサルティングビジネスでは、顧客のニーズを聞き出すコンサルティングコミュニケーション能力を重視し、それぞれの技術分野と情報技術の習得を目指します。

 この一年、採用サイトを更新し、より多くの候補者に関心をもってもらえるようになりました。キャリア採用(中途採用)においては、当社グループで働くことの愉しさを訴求し、単に給与の厚遇だけでない価値が理解されるような努力をしております。当社の勤務形態のユニークさに共鳴する候補者との出会いを大切にしております。

 ジェンダーの区別は一切設けず、また特に日本に留学している外国籍学生などにも、アピールする説明会を何度も開催しております。2025年6月期は新卒採用23名、キャリア採用10名を得ており、2026年6月期は現在39名の新卒内定者が確定しております。

 持株会社の傘下の各社では、それぞれの事業内容の多様化に応じて技術力だけでない、人才の獲得を目指しております。顧客のニーズを理解できるコミュニケーションに秀でた営業力、多数のお客様に訴求するためのマーケティング力や企画力などに優れた候補者との出会いも重視しております。

 人才の定着を図るために、株式会社KKEスマイルサポートや熊本に拠点を置く株式会社PARA-SOLもあります。これらの組織は、様々な事由(育児、介護、配偶者の転勤等)に応じて、人才が自ら働き方を自由に設計できるように、多様な働き方の選択肢を提供しております。

 社内でも若手、中堅にそれぞれの研修の機会があります。何よりも、素晴らしいお客様と出会い、その実践を通して所員は成長します。成長が促されるようなお客様との仕事をいかに創り上げていくか、経営も、営業も現場のマネジャーも真摯に考えております。当社には、MVA(Mission,Vision,Action)や目標管理制度(MBO)などの評価制度が確立し、年功序列でない、適材適所の人才育成が図られております。

③ 既存エンジニアリングコンサルティングビジネスのさらなる成長

 当社グループでは、創業以来長きにわたり、エンジニアリングコンサルティングとプロダクツサービスを通じて、工学知の蓄積と多様な解決策の提案による付加価値を顧客に提供してまいりました。エンジニアリングコンサルティングにおいては、顧客ニーズの変化や技術変動のなかで、今後も高い利益性を維持しつつ、真に顧客ニーズに応える新しい解決策を生み出し続ける必要があります。新しいエンジニアリングコンサルティングサービスの立ち上げ、既存ビジネスの付加価値向上にスピード感を持って取り組むため、これまで以上に事業部門間連携を強化し、活動を進めてまいります。また営業部門においても、既存の顧客からの受注は大切にしながらも、新しい顧客開拓を積極的に進める必要があると考えております。

④ 今後10年の成長を担う新規事業の開発・開拓

 当社グループでは、以前から社内発の新規ビジネスの立ち上げに積極的に取り組んでおります。特に大学・研究機関とは長期的な関係を構築しており、最近では東京大学の社会連携講座を通じて、粉体シミュレーションのiGRAFや水位予測ソリューションRiverCastといったサービスが誕生しました。また、海外の有用サービスの国内展開にも継続的に取り組んできました。近年は、Twilio Inc.、NavVis GmbH、RemoteLock,Inc.といった海外スタートアップ企業のサービスの国内展開を進め、これらの新規ビジネスの成長がここ数年の当社グループの成長を大きくけん引しております。今後も各社との関係を強化しつつ、さらなる成長に取り組んでまいります。

 一方、これらの成果に安住することなく、今後10年の成長を担う柱となる事業の育成も重要課題です。最近では、ポルトガルのAllbesmart LDAやドイツのSimScale GmbHとの新たな協業を進めております。また、社内のビジネスシーズを発掘するための研究開発投資(未来投資)に力を入れており、有望なシーズは事業開発部門に新規ビジネスチームを立ち上げ、事業化を加速させています。こうしたシーズが次世代における当社グループの中核となるようなビジネスに発展するよう、事業開発部門や営業部門の連携を強化し、新規事業の育成を進めてまいります。

 このように、新しい価値提供に向けてチャレンジする場を設定し、そこで活躍が期待できる人才がいかに参画するかが大切であると考えております。

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