極東開発工業
【東証プライム:7226】「輸送用機器」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
・会社の経営の基本方針
当社グループは、「技術と信用を重んじ 一致協力して企業の生々発展に努力し広く社会に奉仕する」ことを経営理念としています。
お客様や取引先をはじめ株主・従業員・地域社会などの数多くの人々との関係の中で、企業としての社会的役割、責任を自覚した経営を行い、公正で健全な企業活動を通じて、安全で高性能・高品質な製品とサービスを提供して、社会への貢献と企業価値の拡大を図ることを経営の基本方針としています。
このような方針のもと、当社グループは特装車事業、環境事業、パーキング事業の3つを展開しています。
・中長期的な会社の経営戦略
2030年度を見据えた長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~及び、本長期経営ビジョン実現に向けた第2ステップである中期経営計画(3カ年計画)2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ](2025年4月1日~2028年3月31日)では、前中期経営計画期間中に実施した過去最大の成長投資及び各種取り組みの果実をベースに、グループ間シナジーをさらに強化することで、財務・非財務の両面で高度化を図り企業価値の向上を目指すとともに、以下の通り具体的数値目標や方針を掲げています。
<中期経営計画2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ]>
長期経営ビジョンでは、「サステナブル社会の実現・発展に貢献し業界をリードするグローバルな総合インフラメーカー」を目指しておりますが、その実現に向けた第2ステップとして策定した本計画では、5つの基本方針を定め、確実な計画実行により極東開発グループの基盤確立を図ります。また、これまでの事業活動で得た資金と当中期経営計画の期間において獲得するキャッシュ・フローをメインに効率的調達も含め「成長への積極的投資」と「社会・ステークホルダーへの還元」とのバランスのとれた戦略によって投資・還元のキャッシュアロケーションを最適化し、最重要課題の一つである企業価値のさらなる向上を図ります。
1.基本方針
(1)高付加価値製品・サービスを通じた社会的課題解決と価値創造
(2)生産性の向上と利益体質の強化
(3)海外事業の成長加速
(4)サステナビリティ経営の推進による魅力ある企業づくり
(5)企業価値向上を実現する資本政策の推進
2.財務方針
・戦略投資:3ヵ年累計で、成長投資に300億円、新規M&A投資に100億円
・株主還元:3ヵ年累計で、総額150億円以上
≪配当≫DOE(株主資本配当率)4%以上の安定的な利益還元
3.業績目標
| 2027年度目標値 | ≪ご参考≫ 長期経営ビジョン |
売上高 | 1,900億円 | 2,000億円 |
営業利益率 | 8% | 10% |
ROE | 8% | 10% |
4.サステナビリティ目標
| 2027年度目標値 | ≪ご参考≫ 長期経営ビジョン |
CO2排出量削減(※1) | 2013年度比 △28% | 2013年度比 △38% |
新環境基準(ゴールドラベル) 認証取得率(※3) | 100% | 100% |
生産時の廃棄物リサイクル率(※2) | 99%以上 | 99%以上 |
役職者(係長級以上) における女性比率(※1) | 3% | 4% |
総労働時間削減 | 2024年度比 △5% | - |
休業災害削減(※2) | 休業災害度数率 (※4) = 1.16 (2023年度 製造業平均:1.29) | - |
(※1)対象:国内グループ会社
(※2)対象:極東開発工業・日本トレクス
(※3)・ゴールドラベル: 日本自動車車体工業会の定める認証で、認定要件のひとつに「製品の素材リサイクル率95%」がある。
・対象: 極東開発工業・日本トレクスの日本自動車車体工業会 分科会該当の新製品。
それ以外の製品はゴールドラベル要件に準じる。
(※4)度数率=(休業者数÷総労働時間)×1,000,000
5.資本コスト(2025年3月末)
・WACC(加重平均資本コスト):約6%と推定 (内、株主資本コスト:約7%と推定)
・目標とする経営指標
長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~では、連結ベースで売上高200,000百万円、営業利益率10%、ROE10%とすることを経営目標としています。
また、中期経営計画 2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ] (2025年4月1日~2028年3月31日)の最終年度である2027年度(2028年3月期)に連結ベースで売上高190,000百万円、営業利益率8%とすることを経営目標としています。
・経営環境及び対処すべき課題
当社グループの展開する事業セグメントには、特装車事業、環境事業、パーキング事業の3つがあります。各セグメントの連結売上高に占める割合は、主力の特装車事業が約84%、環境事業が約10%、パーキング事業が約6%となっています。
特装車事業について
当社グループの特装車事業の売上高の大半は、主に極東開発工業株式会社と日本トレクス株式会社によって構成されています。製品の主な販売先として、トラックメーカー、トラックの販売会社(ディーラー)、レンタル会社、建機商社、自治体、ユーザー(運送会社や廃棄物処理企業等)への直接販売等があります。
受注生産を基本としており、一部の例外を除き先行生産や在庫を保有することはなく、顧客からの注文を受けて製造に着手します。
主要な製品群は次のとおりです。これらに大型・中型・小型の分類があり、かつ仕様についても顧客のカスタムオーダーを細かく織り込んで生産していくため、「多品種少量生産」が当社グループにおける特装車事業の特徴となっています。
1.建設系車両(ダンプトラック、コンクリートポンプ車)
2.物流・省力関連車両(トレーラ、ウイング、バン、テールゲートリフタ、タンクローリ、散水車、給水車、粉粒体運搬車、車輛運搬車)
3.環境関連その他(ごみ収集車、脱着ボデー車、その他特殊車)
次に主要な生産拠点は次のとおりです。工場ごとに担当製品を定め、それに応じた設備を設け生産活動を行っています。
神奈川県大和市 横浜工場 ダンプトラックなど
愛知県小牧市 名古屋工場 テールゲートリフタなど
兵庫県三木市 三木工場 コンクリートポンプ車、ごみ収集車など
福岡県飯塚市 福岡工場 ダンプトラックなど
愛知県豊川市 日本トレクス本社工場 トレーラ、バンなど
愛知県豊川市 日本トレクス音羽工場 ウイングなど
愛知県豊川市 日本トレクス御津工場 スワップボデーなど
新潟市東区 北陸重機工業本社工場 保線用鉄道車両など
特装車事業における各製品の需要動向は基本的に、1.国内のトラックの需要動向と、2.上記のそれぞれの製品分野の景気動向に影響を受けます。必ずしも一概には言えませんが、一例として建設・土木需要が好調な際は建設系車両の需要が相応に高まり、物流ニーズが強いときは物流関連車両の需要も高まります。他の製品群と比べますとごみ収集車など環境関連は比較的変動が少なく安定した分野です。
当社グループは上記の製品の中で、コンクリートポンプ車やトレーラなど複数の製品で国内トップシェアを確保しておりますが、2位、3位の製品もあります。
同業他社と比較した当社グループの特徴は、総合的に各種特装車のラインナップを備えている点と、連結業績における特装車事業の比率が高い点が挙げられます。
特装車事業は、国内のトラックに関する排気ガス等の環境法規制や車両重量規制、あるいは自動車の型式変更のタイミングなどにおいて駆け込み需要や反動減などが生じる業界です。
ここ数年の国内のトラック需要は比較的安定しており、特にウイングなど物流関連の車両が非常に高水準で推移した後、やや落ち着きを取り戻しましたが、直近ではトレーラ需要の高まりが見られます。建設関連は東日本大震災後の復興需要で増加したのち、近年は低調でしたが、その後やや回復しています。2025年3月期においては国内・海外ともに受注は底堅く、好調に推移しました。また継続的に取り組んできた製品価格改定の効果が表れたことや、トラックシャシの供給が徐々に改善してきたこと等に伴う生産性の向上により、売上高・利益共に増加しました。
なお、特装車事業においては2025年3月末現在で約995億円余りの受注残高を有しており、これは連結特装車事業売上高の10カ月分以上に該当します。
環境事業について
当社グループの環境事業は、主に地方自治体向けの廃棄物処理施設の設計施工(建設業)と、これら施設の運転受託及びメンテナンス・サービス等によって構成されています。
一般的に廃棄物処理施設の市場全体の中では焼却炉の分野が多くを占めますが、当社グループでは主に廃棄物の選別及び再資源化等のリサイクル分野を中心に手掛けており、その中ではトップクラスのシェアを確保しています。最近ではごみ中継施設やバイオガス事業の分野にも進出し、関連する事業領域の拡大を図っています。
環境事業の販売先の多くは地方自治体又は自治体が組成する清掃組合等となりますが、同業他社や建設会社がこれらの販売先から直接施設の建設を受注した際に当社がその一部の再委託先として参入する商流もあります。一部民間の産業廃棄物処理企業等にも販売しています。
当社グループでは、施設の建設から竣工後の運転、メンテナンスやサービスなど、顧客の要求する一連のサービスを網羅的に提供し、リサイクルや環境整備等の社会貢献を通じて事業の拡充に努めています。
国内の廃棄物処理施設に関する市場は、少子高齢化や地方自治体の財政難及び統廃合等を背景として今後大きな増加を期待することは困難ですが、国民の生活に必要不可欠の施設であることから、今後も施設の更新や再投資など一定の需要は継続する分野です。
足元では定期的に新規受注を確保し、一定の受注残高を維持しながら複数の建設工事を同時並行で進めています。2025年3月期の環境事業は、プラント建設では期中に1物件が竣工したほか、グループの重要な収益基盤と位置付けている運転受託やメンテナンス等のストックビジネスの分野も引き続き堅調に推移しました。
パーキング事業について
当社グループのパーキング事業は、駐車場事業と、一部の保有不動産の賃貸による有効活用の分野に大別されます。
駐車場事業は主に連結子会社の極東開発パーキングが運営しており、機械式立体駐車装置の製造(建設業)と、時間貸駐車場(コインパーキング)の運営で構成されています。
機械式立体駐車装置の販売先は、マンションのデベロッパーや建設会社、管理会社、管理組合、あるいは自動車の販売会社等です。近年マンション等の駐車場設置率は徐々に低下していますが、駐車場のリニューアル工事や定期点検、アフターサービスの分野に注力しています。
時間貸駐車場(コインパーキング)は、土地を所有者から賃借し駐車場設備を設置の上、一般利用の顧客から収益を得ています。稼働状況により時間貸と月極を組み合わせた運営を行うほか、地方自治体や商業施設の駐車場の運営を受託する商流もあります。大手同業他社もある中で当社グループでは特に採算性を重視した事業運営を行っています。
駐車場事業全体では、時間貸駐車場(コインパーキング)の分野と機械式立体駐車装置の新規販売及びこれらのメンテナンス・アフターサービス等の分野共に底堅く推移しています。
2025年3月期においては、機械式立体駐車装置はリニューアル及びメンテナンス等のストックビジネスに注力し収益の確保を図ったほか、新規物件の積極的な受注活動にも注力しました。時間貸駐車場(コインパーキング)は稼働率の向上と採算性重視の事業展開を進め、売上・利益の確保を図りました。
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