星医療酸器
【東証スタンダード:7634】「卸売業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、1975年の創業以来、「私たち星医療酸器グループは生命(いのち)を守る最前線で社会に貢献しつづけます」という経営理念のもと、医療用酸素ガスの製造・販売を出発点として、堅実な事業展開を行ってまいりました。高齢化社会、医療・介護に対する価値観の変化、多様化する在宅医療ニーズに対応すべく、在宅医療、医療設備、介護福祉、施設介護等の周辺事業への進出を積極的に進め、事業領域の多角化を実現しております。
今後も当社グループは、社会・経済・制度の変化に的確に対応しながら、お客様や患者様との顧客リレーション・販売基盤を活かした事業戦略を構築するとともに、医療・介護分野におけるトータルソリューションの提供を通じて、企業としての持続的な成長と社会的使命の両立を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、経営の効率性および収益性を表す指標として「売上高営業利益率(Operating Profit Margin)」を最重要KPIとして位置付けております。これは全社のみならず各事業セグメントや営業拠点単位においても管理されており、定量的な業績評価基準として月次でモニタリングされています。
現在の目標値は12%以上であり、これは医療・介護分野という社会的公共性の高い領域において、一定の収益性と経営の健全性を両立させるための基準として設定しております。
当社グループといたしましては、本指標の目標値を当然に達成することを前提に、自己資本比率の向上による財務体質の強化、安定的な株主還元(増配、株主優待制度の充実など)も継続的に実行しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「医療用ガス関連事業」「在宅医療関連事業」「医療用ガス設備工事関連事業」「介護福祉関連事業」「施設介護関連事業」の5つを基幹事業と位置づけ、それぞれの専門性を活かした事業展開を推進しております。社会保障制度や地域包括ケアシステムの進展に伴い、医療・福祉分野はますます在宅や地域密着型へとシフトしております。
これら環境変化に柔軟に対応できる強固な経営基盤を構築するため、営業力の強化だけでなく、M&A、商材・販路拡大、多様な人材の採用等も実施してまいります。
あらゆる変化にスピーディに対応できる事業経営戦略を策定し、人的資源を含めた効率的な組織運営を実現することで、確固たる経営基盤を構築してまいります。
各事業セグメントの主な戦略は以下のとおりであります。
≪医療用ガス関連事業≫
本事業は、当社の創業事業であり、グループ全体の安定収益基盤を担う中核的セグメントであります。医療機関における酸素供給は、患者様の生命維持に直結する「ライフライン」であり、24時間365日体制による供給網の維持が社会的責務となっております。
近年では、燃料費や物流費の高騰といったコスト圧力に対応するため、販売価格の見直しや効率的な配送ルート構築、人員再配置などにより収益性改善を図っております。また、2024年度には東海地域に新たな酸素充填工場(テイ・エム・シー)が竣工・稼働を開始しており、域内の安定供給体制をさらに強化いたしました。
今後も、内製化による原価低減とともに、新規顧客開拓による販売数量拡大を通じて、長期的な収益安定を目指してまいります。
≪在宅医療関連事業≫
高齢社会の進展を背景に、在宅医療ニーズは拡大を続けており、当社においても特に成長が著しい事業領域であります。主力商材である在宅酸素療法(HOT)およびCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、呼吸器疾患や睡眠時無呼吸症候群の患者様のQOL向上に貢献する重要な治療手段であり、当社では市場シェア拡大を推進中であります。
また、自社開発の在宅医療支援システム「Pallet's-R」や、呼吸リハビリ機器「LIC TRAINER」等の独自商材を展開しており、今後の診療報酬改定を見据えた新商品の企画・投入も継続してまいります。
加えて、患者管理の効率化や従業員の業務負担軽減を目的としたICT・DXの導入(業務フローの再構築、新システムの開発など)も進めており、営業力・サービス品質の両面における競争力強化に取り組んでおります。
≪医療用ガス設備工事関連事業≫
医療施設の設備更新ニーズに応える本事業では、特に医療ガス配管や空調・電源関連工事を中心に受注実績を重ねており、お客様からの信頼を獲得しております。
昨今は建物の老朽化や省エネ・BCP対策など、施設側のニーズが多様化する中、パートナー企業と連携し、各種補助金制度の活用提案を含む包括的な営業提案を強化しております。
また、当社の医療ガス安定供給体制を支える定期点検やメンテナンス業務も同セグメントで担っており、グループ内の各事業との連携を通じて、トータルソリューションとしての体制強化を図っております。
≪介護福祉関連事業≫
高齢化の進行に伴い、福祉用具のレンタル・販売市場は拡大基調にあり、当社では地域包括支援センターや居宅介護支援事業所等への訪問営業を通じて、着実にシェアを獲得しております。
さらに、訪問看護・リハビリステーションの展開を進めており、医療と介護の連携によるサービス提供体制の構築を強化しています。
M&A戦略にも注力しており、エリア拡大・事業基盤強化のために積極的な買収を随時実施しております。買収後の統合プロセス(PMI)においても、人材教育やシステム連携など、事業運営の一体化に取り組んでおります。
≪施設介護関連事業≫
当社が運営する有料老人ホーム「ライフステージ阿佐ヶ谷」では、看護師24時間常駐体制や理学療法士によるリハビリ対応、認知症ケア専門スタッフの配置など、差別化された介護サービスを提供しております。
地域包括支援センター・医療機関・居宅介護支援事業所との連携も強化しており、長期入居率の向上を目指してまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループの強みは「人的資本」を基盤とした組織力にあります。
医療ガスや在宅酸素療法における「安定供給」への信頼は、従業員一人ひとりの誠実な取り組みによって支えられております。
日々の業務に真摯に向き合う姿勢が、お客様からの厚い信頼につながっております。
また、社会全体で進むデジタル化に対応するため、当社におきましてもDX推進を一層強化し、業務効率化や柔軟な経営体制の整備に取り組むことで変化に強い組織づくりを目指しております。
さらに、働く環境への設備投資を進め、業務効率や従業員の意欲向上を図ることで生産性の向上にも努めております。
職場の整備は、質の高いサービスの提供にも直結すると考えております。
高齢化の進展により、福祉や在宅医療分野でのニーズは今後さらに高まる見通しです。当社はそうした社会の変化に的確に応え、医療を支える一員として、持続可能な価値の創出を目指してまいります。
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