企業兼大株主日立製作所東証プライム:6501】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)経営の基本方針

 当グループは、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念として、顧客に対し、より高い価値をもたらす競争力のある製品・サービスを提供することで、一層の発展を遂げることをめざしています。当グループでは、グループ内の多様な経営資源を最大限に活用するとともに、キャッシュ・フロー創出力の強化やキャピタルアロケーションの最適化、さらにポートフォリオ改革の加速に取り組むことで、競争力を強化し、グローバル市場での持続的成長を実現します。こうした取組により、顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応え、企業価値の向上を図っていくことを基本方針としています。

(2)経営環境及び対処すべき課題

①当グループの経営環境及び対処すべき課題

 現在の世界は、将来の予測が立てにくい時代です。国家間及び地域の紛争や緊張の高まり、気候変動や資源不足、高齢化による人口構造の変化、都市化の問題など様々な変化が生じています。一方で、複雑化する社会課題を解決するためのイノベーションが世界中で起きています。

 かかる経営環境において、当グループは、2025年4月に新経営計画「Inspire 2027」を策定し、環境、幸福、経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献し、持続的に成長することをめざしています。その達成に向けて、当グループは、Lumadaをコアに社会インフラを革新し、デジタルセントリックな企業への変革を実現します。

 将来が見通せない事業環境下において、リスクを見極め、高いアジリティで打ち手を講じつつも、長期的な方向性を揺るがすことなく、「真のOne Hitachi」で企業価値のさらなる向上に取り組んでいきます。

 i) デジタルをコアにした真のOne Hitachiを実現する事業体制

 当グループは、デジタルをコアとし、真のOne Hitachiとして一体となって価値創出を加速するため、2025年4月から新しい事業体制を構築しました。

 世界的なグリーントランスフォーメーション(GX)の追い風を受けて拡大するエネルギー事業と鉄道事業を「エナジー」と「モビリティ」の2つのセクターとして運営することで機動性を高め、従来の「コネクティブインダストリーズ」と「デジタルシステム&サービス」を加えた4つのセクターが一層連携して、事業の価値創出を加速し、グローバルでの競争力をさらに向上させます。

 また、One Hitachiの新たな成長事業を創出するため、当グループのリソースを結集した戦略SIB(注)ビジネスユニットを新設し、社会と技術の転換点を先取りした新事業の創出をめざします。

 さらに、北米・EMEA・APAC・日本・中国に、新たにインドを加えたグローバル6極体制で、地域ごとに異なる社会・経済情勢や市場特性、ニーズを把握し、各地域のリスクと機会を捉えて、顧客に価値を提供していきます。

(注)Social Innovation Business(社会イノベーション事業)

 ii) 新たな成長の獲得-戦略SIBビジネスユニットによる新事業創出

 CEO直下に新設した戦略SIBビジネスユニットでは、One Hitachiの強みが活かせる領域で新事業の創出に注力します。

 次の転換点を生むテクノロジーと社会変化を見極め、当グループ全体で取り組むべき成長テーマをトップダウンで設定します。2025年度は、データセンター、eモビリティ、スマートシティ及びヘルスケアの4領域を戦略事業領域として定め、事業創出に取り組みます。

 iii) 真のOne Hitachiを支える経営基盤の強化

 当グループは、不確実性が高まる中でもリスクを見極め、迅速な経営判断を実行できるよう、グループ・グローバルでのリスクマネジメントを強化します。また、事業環境の変化により新たに生じる事業機会を逃さず捉え、成長に繋げます。不透明かつ変化の激しい社会・経済情勢においても、脅威の緩和と機会の創出を両立することで、持続的な成長を実現していきます。同時に、持続的成長の源泉となる人的資本の強化も継続的に推進します。

 当グループは、引き続き、キャッシュ創出力を強化し、持続的な事業成長に向けた規律ある投資を行うとともに、株主への安定的な還元を実現していきます。

②注力分野における経営環境及び対処すべき課題

 注力分野であるデジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ及びコネクティブインダストリーズの4セクターにおける経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりです。

デジタルシステム&サービス

 グローバル経済環境の不透明さが継続するものの、生成AIの急速な進化や企業のビジネス効率化、競争力向上に向けたAI導入の本格化等により、AI関連需要が急速に拡大し、グローバルDX(デジタルトランスフォーメーション)市場の成長をけん引しています。また、国内においては、労働力不足が懸念される一方で、ITシステムのモダナイゼーションやDXの旺盛な需要が継続して生まれています。

 デジタルシステム&サービスセクターでは、そのような市場環境において、生成AIやクラウド、セキュリティ等の先進デジタル技術を活用した高度なデジタルソリューションを提供し、顧客や社会の課題解決に取り組んでいます。また、他のセクターと連携し、幅広い事業をデジタルでつなぐことで、日立グループの強みである「IT・OT・プロダクト」のシナジーで価値を創出するLumada事業の展開を加速していきます。さらに、急速に進化する生成AIを当グループの成長エンジンと位置づけ、業務の生産性を飛躍的に向上させるとともに、新たな事業機会を創出するAIトランスフォーメーションを推進していきます。

 具体的には、デジタルシステム&サービスセクターが持つAI及びデジタルに関する知見と技術力を結集し、他セクターのインストールベースのデジタル化及びサービス化を強力に推進します。これにより、高付加価値なLumada事業の比率を当グループ全体で高めていきます。また、国内IT市場においては、AIを活用した生産性の向上を図るとともに、GlobalLogic社やHitachi Digital Services社等、海外グループ各社の最先端ナレッジを持つデジタル人財の活用を進めています。こうした取組により、国内において深刻な課題となっているデジタル人財の不足を補いつつ、引き続き高い需要がある大規模なミッションクリティカルSIのニーズに対応していきます。さらに、グローバルパートナーとの積極的な協業強化により、革新的なソリューション創出に注力するとともに、高度な生成AIスキルを持つ人財育成にも積極的に取り組んでいきます。

エナジー

 気候変動や地政学リスクの高まりを背景に、エネルギー転換が急速に進展し、世界的に、化石燃料を直接燃焼して利用する時代から、電気を介してエネルギーを利用する時代へと移行しています。そのため、電力を中心とする、新たなエネルギー供給に対する需要が拡大しています。具体的には、クリーンエネルギーの拡大やそれに対応するための電力網の整備、電源構成の多様化・分散化によるマイクログリッドの拡大、従来の社会インフラ事業のサービス化、脱炭素社会実現に向けた取組により、新たな事業機会が世界各地で生まれています。

 エナジーセクターでは、Lumadaを活用した、デジタライズドアセットとデジタルサービスの提供を加速させ、グローバルトップレベルの製品群とインテグレーション力を通じて地球環境と人々の幸福、経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献していきます。

 パワーグリッドでは、日立エナジー社が新たに設置したサービス事業部門において、同社が世界中に持つインストールベースの価値と当グループのデジタル技術を最大限に活用し、収益性の向上を加速させることで、世界トップクラスのサービス企業への変革を実現します。また、原子力発電システムにおいては、パートナーであるGE Vernova社と連携しながら、カナダでの小型モジュール炉(SMR)初号機の建設開始を足がかりとして、北米やポーランドをはじめとする欧州等へのSMR事業展開も進めていきます。

モビリティ

 鉄道事業は現在、世界的な変革期を迎えています。気候変動への対応が急務となっている現代において、鉄道は環境負荷が少ない重要な交通手段として再評価されています。持続可能なモビリティへの転換と二酸化炭素排出量の削減という点において、鉄道インフラへの投資は世界各地でますます注目されています。都市化が進む開発途上国においては、鉄道インフラの導入によって、生活水準の向上が期待されています。

 モビリティセクターでは、2024年5月にThales S.A.(以下、「Thales社」といいます。)の鉄道信号関連事業を買収し、交通ソリューションにおける事業ポートフォリオ及びグローバルフットプリントを強化しました。

 また、2024年9月にAIテクノロジーを搭載したデジタルアセットマネジメントソリューション「HMAX」を発表しました。このソリューションは、鉄道業界の保守事業におけるアセットマネジメントの課題に対応し、列車や信号システム、インフラを含む鉄道エコシステム全体の最適化に貢献します。「HMAX」は既に2,000編成8,000両に導入されており、今後さらに拡大していきます。

 車両のみならず信号システム等における事業ポートフォリオを強化し、持続可能なサービス事業の拡大・伸長をはかることで、One Hitachiの理念に基づいたイノベーションの最前線に立ち、安全、安心、快適でグリーンな移動を提供します。

コネクティブインダストリーズ

 高齢化社会の進展に伴う労働人口の減少により、産業・社会インフラを支える現場の労働力、いわゆるフロントラインワーカーの不足が世界的に深刻化しています。加えて、温室効果ガスの削減をはじめとする地球環境への配慮と経済成長の両立も求められる等、産業界の現場におけるイノベーションが期待されています。

 コネクティブインダストリーズセクターでは、アーバン(ビルシステム、家電・空調機器)及びインダストリー(産業機器、計測・分析装置、ヘルスケア機器、産業・流通及び水・環境ソリューション)の各分野において、競争力の高いプロダクトにデジタルを組み合わせて、フロントラインワーカーにイノベーションを起こすソリューションを提供していきます。また、急速に進歩するAIを活用し、プロダクト、OT、ITを併せ持つ強みを生かして現場を進化させる「Integrated Industry Automation」により、事業成長を加速します。

 具体的には、産業・社会インフラを支える豊富なプロダクトをインストールベースとして、AIを活用した産業分野向け「HMAX」を推進することで、リカーリングビジネスを強化していきます。また、原材料を化学反応させて製品を作るプロセス産業と部品を組み立てて製品を作るディスクリート産業のハイブリッド領域を高成長市場と捉え、バイオ医薬やバッテリー等の分野に注力していきます。さらに、コア事業を強化するため、インオーガニック投資も含めた事業ポートフォリオ改革や、コア成長分野における戦略的なR&D、グローバル事業の拡大等にも取り組みます。

 事業ポートフォリオと組織をシンプル化し、競争力の向上を図るために、2025年4月よりBU(ビジネスユニット)を「アーバンシステムBU」、「インダストリアルプロダクツ&サービスBU」及び「インダストリアルAIBU」の3つに集約しました。経営のスピードをさらに上げ、事業間のシナジーを創出し、One HitachiでLumadaによる成長をグローバルに加速していきます。

(3)新経営計画における経営指標

 新経営計画「Inspire 2027」においては、以下の指標を経営上の業績目標としています。

指 標

新経営計画

「Inspire 2027」

目標

選定した理由

売上収益年成長率

(2024年度-2027年度 CAGR)(注)1

7-9%

成長性を測る指標として選定

Adjusted EBITA率

(2027年度)(注)2

13-15%

収益性を測る指標として選定

キャッシュフローコンバージョン

(2027年度)(注)3

90%超

キャッシュ創出力を測る指標として選定

投下資本利益率(ROIC)

(2027年度)(注)4

12-13%

投資効率を測る指標として選定

(注)1.CAGR(Compound Annual Growth Rate)は、年平均成長率です。

2.2025年度より、Adjusted EBITA(Adjusted Earnings before interest, taxes and amortization)の算出式を見直しており、調整後営業利益(売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標)に、企業結合により認識した無形資産等の償却費を足し戻して算出しています。Adjusted EBITA率は、Adjusted EBITAを売上収益の額で除して算出した指標です。

3.キャッシュフローコンバージョンは、コア・フリー・キャッシュ・フローを当期利益の額で除して算出した指標です。コア・フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合わせたもの)から、M&Aや資産売却他に係るキャッシュ・フローを除いた経常的なキャッシュ・フローです。

4.ROIC(Return on invested capital)は、「(税引後の調整後営業利益+持分法損益)÷投下資本×100」により算出しています。なお、「税引後の調整後営業利益=調整後営業利益×(1-税金負担率)」、「投下資本=有利子負債+資本の部合計」です。

 また、当グループは、新経営計画「Isnpire 2027」において、経営の長期目標として、Lumada事業の売上収益比率80%、Adjusted EBITA率20%をめざす「Lumada 80-20」を設定しました。Lumada事業への投資強化と事業ポートフォリオ改革を実行し、Lumada事業の更なる拡大と収益性向上を推進していきます。

 上記の経営目標のほか、サステナブル経営を深化させるために、以下の項目を、サステナビリティ戦略「PLEDGES」に基づく取組として推進することで、社会への価値提供と当グループの持続的成長を加速していきます。

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