企業日産化学東証プライム:4021】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社は、研究開発を成長の源泉と捉え、化学メーカーの中でも高水準の売上高研究開発比率を維持し、新製品・新技術の開発および新事業の創出に取り組んでおります。研究活動拠点として、国内には物質科学研究所、材料科学研究所および生物科学研究所の3つがあり、これら研究所と韓国、台湾、中国のR&Dセンター、そして関連部門とが緊密な連携を図り、「未来のための、はじめてをつくる。」というコーポレートスローガンのもと、研究開発を推進しております。

2022年度に始動した長期経営計画Atelier2050では、長い歴史の中で培った5つのコア技術である精密有機合成、機能性高分子設計、微粒子制御、生物評価、光制御に更に磨きをかけるとともに、事業領域の拡充に向け新たなコア技術の修得を目指しております。

現在、新たなコア技術として情報科学と微生物制御の技術向上に注力しております。情報科学については、研究員のデジタルリテラシー向上とコア人材の発掘・育成に取り組み、医農薬や機能性材料、エネルギーなどの各研究分野で機械学習や人工知能を用いるデータ駆動型研究を根づかせるべく、日々の研究活動への適用を検討しております。また、生物科学研究所を中心に微生物の活用を始めとする微生物制御技術の育成を進め、微生物由来の農業資材への適用やゲノム・代謝物のオミクス解析技術の拡充に取り組んでおります。

2024年度の研究開発活動の概要につきまして、化学品セグメントでは、自社製品や技術をベースに開発した独自エポキシ製品を半導体実装用途や高周波基板用途に展開しております。また、微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」は、優れた油脂分解力で食品工場の産業廃棄物削減に寄与する製品として開発普及を進めております。機能性材料セグメントでは、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドで既存製品の高品質・高性能グレードに向けた検討を、また、多様化する顧客ニーズに応え将来の主要事業になる新規材料の研究開発を進めております。ディスプレイ材料では光配向材の更なる高性能化に加え、OLEDやAR/VRデバイス、フレキシブルデバイス用材料の開発を、半導体材料では既存製品の高品質化とともに今後の世代で必要になる微細加工技術や実装技術の積極的な開発を、無機コロイドではシリカゾルの持つ強みを活かした材料開発を行っております。

農業化学品セグメントでは、当社オリジナルの水稲用除草剤原体「ジメスルファゼット」を含む各種製品の発売を開始し、新規除草剤有効成分「イプトリアゾピリド」のグローバル開発も進めております。スマート農業関連では、ドローン散布への農薬登録の拡大やAI病害虫雑草診断でスマートフォン用アプリケーションへの参加などに取り組んでおります。

ヘルスケアセグメントでは、封じ込め設備を拡充し、高生理活性医薬品原薬の新規開発に注力しております。また、独自のペプチド製造技術 SYNCSOL®を活用してジェネリック医薬品原薬の開発や顧客ニーズに合致したソリューションを提供しております。創薬においては、当社が創製した新規疼痛治療薬候補化合物について2024年にマルホ株式会社とライセンス契約を締結、今後、共同開発を推進してまいります。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は17,578百万円であります。

セグメント別の主な内訳は以下の通りであります。

(1) 化学品セグメント

 成長分野の市場ニーズを見据え、自社製品・技術をベースとした新しいファインケミカルの創出、高機能化、用途拡大に取り組んでおります。例えば、シアヌール酸を原料とする「スターファイン®」は金属と樹脂との密着力を向上できる添加剤であり、塗料、接着剤、樹脂成型品など採用シーンが拡がっております。また、液状TEPICである「TEPIC®-VL」「TEPIC®-FL」は機械物性と耐熱信頼性の両立が達成できることを訴求し、半導体実装用途に展開しております。

 更に、SDGsへ貢献可能な製品の市場開発も進めております。油脂分解微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」は、食品工場を中心にその採用件数が伸びており、産業廃棄物削減に貢献する製品として開発普及を進めております。

 当セグメントに係る研究開発費は273百万円であります。

(2) 機能性材料セグメント

船橋、袖ケ浦、富山の3拠点を有する材料科学研究所において、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドの研究開発、および将来の事業の柱となる新規材料の研究開発を進めております。

ディスプレイ材料では、市場・顧客動向を的確に把握し、これまで培ってきた独自技術をもとに、高性能化、多様化に対応した材料開発に取り組んでおります。特に、IPS/FFS用光配向材では、各種用途での要求に応じ、更なる高性能化を進めております。また、韓国、中国、台湾にR&Dセンターを設置し、材料開発、評価技術、解析能力の充実度を高め、顧客ニーズにタイムリーに対応できるよう研究開発体制の強化を図っております。

半導体材料では、半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、既存製品の高品質化を進めるとともに、先端リソグラフィー技術のEUVに対応した下層膜材料開発、および実装技術に対応する製品・材料の研究開発に注力しております。また、このような新製品・新材料の創出に向け、各種コンソーシアムへの参加や、産官学およびベンチャー企業との連携に取り組んでおります。

無機コロイドでは、シリカゾルの持つ機能を活かし、研磨、金属表面処理、ハードコート等向けの製品開発や市場開拓を展開しております。シリカゾル以外では、ジルコニアやチタニアのゾルをスマートフォンやタブレット用の光学フィルムの屈折率調整用途や眼鏡用ハードコート用途向けに開発しております。また、近年はオイル&ガス分野での製品開発に取り組み、米国のみならずアジアや中東地域等への展開を図っております。

新規材料については、当社のコア技術を深化・発展させると同時に、社外との共同研究を活用して、本格的な市場拡大が進んでいるOLED向けの材料やディスプレイの表示性能を向上させる材料、フレキシブルデバイス向けの材料など、次世代につながる材料の研究開発を進めております。

 当セグメントに係る研究開発費は8,303百万円であります。

(3) 農業化学品セグメント

 独自に創薬開発した殺虫剤原体「フルキサメタミド」を含有する製品として、日本では、野菜および茶用の「グレーシア®乳剤」、芝用の「イザナミ®フロアブル」、果樹用の「グレーシア®フロアブル」を販売しております。海外では、アジア・中東・西アフリカ地域を中心に製品の登録作業を進め、2024年12月には南米アルゼンチンで登録を取得しました。また、更なる販売拡大を目的に混合剤の開発を進めております。

 抵抗性、難防除雑草に卓効を示す水稲用除草剤「ベルダー®(原体名:ジメスルファゼット)」を含有する製品として、日本では「ゼアス®」「銀河α®」を2025年2月に発売開始し、また、韓国での開発も進めております。グローバル展開を目指す新規水稲用除草剤「NC-656(原体名:イプトリアゾピリド)」については、アジア・米州を中心に開発を進め、更に評価・開発する対象国を拡大しております。

 水稲用除草剤「アルテア®(原体名:メタゾスルフロン)」含有する製品として、日本では、一発処理剤第4世代製品でベルダー®も配合した「銀河α®」を発売し、中後期剤第2世代製品の「レブラスギア®」「ゲパードギア®」を2025年3月から販売しております。海外においては、2021年度に本格上市した台湾で、水田の抵抗性カヤツリグサを防除対象とした販売が順調に推移しております。更にインドでも登録申請し、中東地域では評価試験を継続しております。

 非選択性茎葉処理除草剤「ラウンドアップ®マックスロード」は、散布水量を低減させるULV5(Ultra Low Volume 5 Litter)散布技術の開発を進め、使用場面に応じた各種ノズルを普及し作物生産や緑地管理の省力化に貢献しております。

 その他海外開発では、殺ダニ剤「スターマイト®」がサウジアラビア、殺菌剤「ライメイ®」がペルーで認可されております。

 また、スマート農業関連では、ドローン用散布への農薬登録拡大を進めるとともに、AI病害虫雑草診断「レイミ―*」にも参加しております。

 当社発明化合物フルララネルを含む、MSD Animal Health社(またはMerck Animal Health社)の製品はイヌ・ネコに寄生するノミ・マダニ防除用経口投与錠剤(ブランド名:Bravecto®**)を中心に日本を含め世界100か国以上で販売されております。近年では、内部寄生虫薬を含むネコ用混剤「Bravecto® PLUS」、8週齢以上のイヌ向けの「Bravecto® 1-Month Chews」、イヌ用注射剤「Bravecto® Quantum」等、ペット向け製品のラインアップを充実させております。家畜向け製品(ブランド名:Exzolt®**)としては、ニワトリに寄生するワクモ(吸血ダニの一種)防除用飲水添加剤が、日本を含むアジアのほか、欧州、南米、アフリカ、中東で承認され、登録国数は70か国を超えております(2025年4月現在)。また、ブラジル、メキシコを中心としたウシ向けノミ・マダニ防除剤、オーストラリア、ニュージーランドでのヒツジ向けシラミ防除剤としても販売されております。

 当セグメントに係る研究開発費は4,472百万円であります。

*レイミ―:日本農薬株式会社発表のスマートフォン用アプリケーション。現在農薬メーカー6社が参加。

**ブラベクト®、Bravecto®、Exzolt®ならびにエクゾルト®は、Intervet International B.V.ならびにIntervet Inc.の登録商標です。

(4) ヘルスケアセグメント

 当社独自技術をもとに将来の事業の柱となる新薬およびジェネリック医薬品原薬の研究開発を推進しております。

100gから数kgまで製造可能な封じ込め設備を拡充し、高生理活性医薬品原薬の新規開発を行い、研究・開発受託と新規ジェネリック医薬品原薬の自社開発に注力しております。

 独自の効率的なペプチド製造技術 SYNCSOL®*を活用し、新規ジェネリック医薬品原薬の開発を行い本技術の実需化を図っております。本技術を当社出資先のペプチスター株式会社との協業に活かしていくとともに、顧客の抱える課題を解決することで製造受託の事業を拡大してまいります。

 また、創薬については、マルホ株式会社と共同開発している新規疼痛治療薬候補化合物NIP-322の原薬を供給しており、今後、開発を推進してまいります。

 当セグメントに係る研究開発費は589百万円であります。

* SYNCSOL®は、シリル保護技術(SIPS®)と無保護アミノ酸縮合(R-Coupling®)からなる独創的なペプチド液相合成技術のプラットフォームです。

(5) 全社共通及びその他の研究分野

 情報通信分野においては、次世代半導体分野における新規電子材料、および高速通信分野を目指した光機能材料の企画と市場開発を行っております。半導体デバイスの熱マネジメントにおいて重要な役割を果たす放熱材料として、アリエカ社の開発した液体金属を用いた放熱材料に注目し、同社との共同開発に取り組んでおります。また、大容量信号処理かつ低消費電力を可能にする光電融合技術に向け、低伝搬損失と高信頼性を特長とする光配線材「SUNCONNECT®」の研究開発を進めてまいります。

環境エネルギー分野においては、リチウムイオン電池の特性及び生産性向上を目的としたスラリー添加剤、燃料電池用のPFASフリーイオン伝導ポリマー、次世代太陽電池材料としてペロブスカイト太陽電池の耐久性を向上可能なコーティング材料の開発を行っており、カーボンニュートラルに資するエネルギーデバイスへの材料提供に向けて鋭意進めてまいります。

 ライフサイエンス分野においては、当社独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術を活用した製薬企業数社との共同研究が順調に進捗し、複数のプロジェクトでテーマが進展するなど、提携を拡大させております。2019年より実施してきました株式会社三和化学研究所との歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症の治療を目的としたアンチセンス核酸創薬共同研究においては開発化合物(SK-2407/SN-001)の選定に成功し、共同で国内開発を進めてまいります。また、同社とは新たに包括的提携契約を締結、戦略的に複数の新規核酸医薬品の創製、開発に取り組んでまいります。更に生体物質付着防止材料 prevelex®や細胞培養材料 FCeM®などの再生医療材料の開発に注力しております。

 全社共通及びその他の研究分野に係る研究開発費は3,941百万円であります。

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