日清食品ホールディングス 【東証プライム:2897】「食品業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業者が掲げた「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」の4つの精神をもとに、常に新しい食の文化を創造し続ける「食文化創造集団」となり、環境・社会課題を解決しながら持続的成長を果たすことによって、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」の体現を目指してまいります。
また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」の実現を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に加え、地政学的リスクの高まり、インフレ、政策金利の引き上げ、金融不安の拡大、約32年ぶりの円安水準、資源価格の高騰に伴う消費者物価指数の上昇など、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」を策定し、ビジョンの実現と持続的成長に向け、以下の3つの成長戦略テーマに取り組んでまいります。
中長期成長戦略2030
海外事業+非即席めん事業のアグレッシブな成長によって、利益ポートフォリオを大きくシフトさせながら持続的成長を追求してまいります。ポイントは、①既存事業全体の利益をMid-single Digit、1桁台半ばで持続的に成長させていくこと、②「海外」及び低温・菓子・飲料からなる「非即席めん」の成長をさらにドライブさせ、2020年度時点では6:4となっていた、国内即席めんとそれ以外の構成比を逆転させていくこと、③それに新規事業によって長期的な収益をさらに積み重ねていくこと、の3つであります。
* 非経常損益としての「その他収支」の影響を除いた実質的な営業利益の成長
** 2020(2020年度)の値は、2020年度IFRS営業利益から、国内その他セグメントの損益や非経常損益としての「その他収支」、加えて2019~2020年度において大幅な利益増大要因となったCOVID-19影響を控除したおおよその値
① 既存事業のキャッシュ創出力強化
(ア) 海外事業
・海外事業の成長ドライバー:Global Brandingの深化
グローバルブランドと呼べるステージに到達した「CUP NOODLES」のコアバリューとエリア別の競争優位性をさらに明確化・確立し、さらなる成長のドライブコアといたします。
・高付加価値市場におけるトップカンパニーへ
ブランド戦略を各市場/事業のステージに応じたオペレーション戦略へと展開し、M&Aも活用しながらさらなる高成長を目指してまいります。
* 中国地域の戦略等は、当社が独自に設定したものであります。
(イ) 国内非即席めん事業(第2の収益の柱へ)
国内非即席めん事業については、需要・供給両面からグループシナジーを徹底追求することにより、付加価値フォーカスでの各事業の成長/収益性向上をレバレッジしてまいります。
こちらは、セグメントでいう「低温・飲料事業」、「菓子事業」を指すものであります。ポートフォリオシフトへの強い意志を込める意味で「非即席めん」として表現しております。2020年度時点では利益の面からは約10%程度の構成比でありますが、それぞれのNo.1領域を磨き続けることで着実に利益を増大させ続け、2030年には構成比約15%の柱に育て上げるのが戦略目標であります。
* 20年度以降の営業利益については、IFRS営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除した金額を記載
(ウ) 国内即席めん事業(100年ブランドカンパニーへ )
日清食品・明星食品からなる「国内即席めん事業」については、成熟市場にあっても着実な増収増益を重ね中長期的に成長し続けるために、需要開発・ブランド浸透・市場開拓・供給力強化への取り組みをさらに深化させてまいります。
* 20年度以降の営業利益については、IFRS営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除した金額を記載
② EARTH FOOD CHALLENGE 2030
当社グループは、2022年11月に、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ」に向けた活動を推進し、2050年までにCO₂の排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言いたしました。ネイチャーポジティブに向けた活動に取り組むことで、EARTH FOOD CHALLENGE 2030で掲げる資源の有効活用、そしてCO₂排出量の削減を加速させてまいります。
環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」
2030年に向けた環境目標 | 目標値 | 直近実績 | |
資源有効活用へのチャレンジ | 持続可能なパーム油の調達比率 | 100% | 37.7% (※1) |
水使用量…IFRS売上収益100万円あたり | 12.3㎥/百万円 | 10.5㎥/百万 (※1) | |
廃棄物再資源化率…日本国内 | 99.5% | 99.8% (※1) | |
販売・流通領域における廃棄物削減 …2015年度対比/日本国内 | △50.0% | △47.1% (※2) | |
気候変動問題へのチャレンジ | CO2排出削減率:Scope1+2 …2018年対比/国内外(※3) | △30.0% | △4.0% (※1) |
CO2排出削減率:Scope3 …2018年対比/国内外(※3) | △15.0% | 0.4% (※1) |
※1 2022年実績
※2 2021年度実績
※3 2023年5月にCO2排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年比)、Scope3 △ 25%(2020年比)に
上方修正。
③ 新規事業のビジョン
・背景となる社会課題と新規事業のビジョン
現代は豊かな食生活が実現した一方で、オーバーカロリーによる「肥満」、偏食や間違ったダイエット方法
による「隠れ栄養失調」、高齢者の低栄養による「フレイル」など、多くの健康問題に直面しております。
日清食品独自のフードテクノロジーにより、見た目やおいしさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質
などをコントロールし、必要な栄養素を整えた食事を実現することで、社会課題の解決を目指してまいります。
④ 「完全メシ」の展開
・「完全メシ」シリーズは、発売1年で1000万食を突破!!(※1)
2022年5月30日より、栄養とおいしさの完全バランスを実現した「完全メシ」シリーズを発売。
その後、冷凍食品やパンなどカテゴリーを拡大しております。新しいコンセプトと技術力が評価され、
多数のヒット賞を受賞いたしました。
※1 2022年5月30日~2023年4月30日の「完全メシ」シリーズ累計出荷数から算出(当社調べ)
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 持続的な利益成長の考え方
成長投資の基盤となる“既存事業”の実質的成長を示す指標「既存事業コア営業利益」を定義し、これをMid-single Digitで成長させることを経済価値ターゲットの中核といたします。
既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標であります。
本指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指すうえでの重要経営管理指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価するうえでも有用な情報であると考えております。
② 中長期的な経済価値ターゲット
持続的な利益成長に加え、効率的な資本活用、安全性ある負債活用、そして安定的な株主還元の4つをCSV経営上の中長期的経済価値ターゲットとして掲げ、非財務目標との同時実現を追求してまいります。
価値区分 | 経営指標 | 中長期的目標 | |
財務 | 成長性 | 既存事業コア営業利益(注1)CAGR | 1桁台半ば |
効率性 | ROE | 長期的に10% | |
安全性 | 純有利子負債/EBITDA倍率 | ≦2倍 | |
安定的株主還元 | 配当政策 | 累進的配当 | |
相対TSR(TOPIX食料品対比)(注2) | >1倍 | ||
非財務 (注3) | 有限資源の 有効活用 | 持続可能なパーム油の調達比率(注4) | 100% |
水使用量(IFRS売上100万円あたり) | 12.3㎥以下 | ||
流通廃棄物削減率(2015年度対比/日本国内) | △50% | ||
気候変動 インパクトの軽減 | CO₂排出削減(Scope1+2) (2018年対比)(注5) | △30% | |
CO₂排出削減(Scope3) (2018年対比)(注5) | △15% |
(注)1 IFRS上の営業利益から、積極的な先行投資を予定する「新規事業に係る損益」および非経常損益としての
「その他収支」を控除したNon-GAAPの重要経営管理指標
2 相対TSR(TOPIX食料品対比)は、以下の算定式に基づき算出
A:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均
B:当事業年度の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均
C:当事業年度を含む過去3事業年度における1株当たり配当額の累計
D:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均
E:当事業年度の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均
3 非財務目標については、2030年度の目標値
4 外部認証の活用および独自アセスメントによる
5 2023年5月にCO2排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年比)、Scope3 △25%(2020年比)に
上方修正
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