企業日水コン東証:261A】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは1959年の創立以来、上下水道を中心とした水のコンサルティング事業を展開してまいりました。現在2025年度を目標とする「中期経営計画2025」を策定しており、その基本方針を「水のインパクトカンパニー」といたしました。これは目指す世界観を表したものであり、「水に関する社会問題の解決を通して経済的成長を実現する会社を目指す」ことを意味しております。

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営においては企業価値向上を最優先に考えており、その実現に向けて重視している経営指標は、売上高営業利益率及び自己資本利益率であります。効率的な経営を目指す観点から、売上高営業利益率は10%、自己資本利益率は10%の水準を目安としております。

(3)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、地政学的なリスクの高まりに加え、資源価格の高騰やインフレの進展等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が継続しております。

 このような経営環境の中、当社グループが属する建設コンサルティング事業においては国土強靭化の必要性から公共事業関係費が安定的に推移しており、特に大規模災害対策や予防保全型インフラメンテナンス等の市場が拡大し、外部環境は堅調に推移しております。そしてPPP(Public Private Partnership)、民間資本によるインフラ開発への期待も高まっています。

 出典:厚生労働省「令和4年度全国水道関係担当者会議(令和5年3月14日)」より作成

 加えて、自治体の職員数も減少しており、担い手不足であるとともに、ノウハウの伝承も困難となっているものと考えております。

 出典:国土交通省「令和6年度全国水道主管課長会議(2024年4月22日)」より作成

(4)経営戦略等

 わが国を取り巻く水インフラ事業は、人口減少やインフラの老朽化が進む中で、災害に強く、上下水道の機能を確保するため、上下水道一体の取組みが必要とされるなど、多くの課題を抱えております(注1)。

 水道事業では高度経済成長期に布設された管路の老朽化など、施設の経年劣化が全国的に問題視されております。全国の水道の資産規模は40兆円を超え、これらの水道施設を更新していくには多大な費用と時間を要するとされています。更に人口減少に伴う給水量減少のような外部環境の変化により、現状の料金体系にあっては、必要な収入を確保することが困難な状況となってくるとされています(注2)。加えて地方公共団体職員の高齢化や担い手不足も深刻化しており、技術の承継にも支障が生じてきております(注3)。

 このような課題は水道事業以外の水インフラ事業においても同様であると考えられ、下記に水インフラ事業についてのこれまでの状況と、今後にかけての想定に関する当社グループが認識している状況を図示します。

 これまで当社グループは計画、設計等を主な業務領域としてまいりましたが、水インフラを取り巻く課題が山積している中で、今後は「官」、「民」そして「地域」のそれぞれに対して積極的にソリューションを提供するとともに事業そのものとの関わりを深め、総合的あるいは俯瞰的な視点で事業を支えていくことで、当社グループが目指している「水に関する社会問題の解決を通じて経済的成長を実現する」というサステナビリティ経営を実行してまいります。

(注1)出典:内閣官房水循環政策本部事務局 新たな水循環施策の方向性について(2024年4月2日)

(注2)出典:厚生労働省健康局 新水道ビジョン(2013年3月)

(注3)出典:国土交通省 令和6年度 全国水道主管課長会議(2024年4月22日)

(注)1.コンストラクションマネジメント(CM)とは、発注者がコンストラクションマネージャー(CMR)を設置して、工事発注を補う手法のことです。

 このうちピュア型CMとは、CMRが設計・発注・施工の各段階において、マネジメント業務を行う方式であり、最終的な判断は発注者が負います。一方でアットリスク型CMではCMRはマネジメント業務のみならず施工に関する事業者との契約を担い、施工に関するリスクを負います。事業に関する最終的な判断や決定についての責任は発注者が負います。

2.ウォーターPPPとは、上水道、工業用水道、下水道について、内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」期間の10年間において、コンセッションに段階的に移行するための官民連携方式(管理・更新一体マネジメント方式)のことです。

3.コンセッションとは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式です。公的主体が所有する公共施設等について、民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することができるとされています。

 この実現に向けて当社グループは、「第1 企業の概況 3事業の内容 (2)当社グループの強み(競争優位性」に記載した強み(競争優位性)を発揮し、「第1 企業の概況 3事業の内容 (1)事業概要」に記載のような様々な社会課題へのソリューションを提供します。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 前記わが国水インフラ事業が抱える課題に対して当社グループが積極的に解決に取組むためには、継続的な付加価値の提供を実施することが優先的に対処すべき事業上の課題であると認識しております。

 そのため当社グループは2021年からスタートさせた「中期経営計画2025」において、「壁を超える」、「地域に根差す」、そして「足元を固める」を三本柱として掲げ、対処していくこととしております。

 なお当社グループは、金融機関からの借入に大きく依存せず、自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした財務基盤を維持しておりますが、今後は成長投資と財務基盤の維持のバランスに配慮することが優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。具体的には経営戦略に基づいた投資機会を見計らうとともに、安定的な配当と自己株式取得に対応してまいります。

① 「壁を超える」

 国内外で社会システムの改革が推進される中、これまでの官からの業務委託を基本としたビジネス構造も変化していきます。官民の壁、業務領域の壁、事業領域の壁、さらには国内外の壁などの既成概念にとらわれることなく、新たなビジネスを生み出す発想が求められます。総合的かつ複合的に事業の展開可能性を探るという意識を持ち、水ビジネスに関する可能性を追求してまいります。

② 「地域に根差す」

 当社グループの事業対象である「水」は、河川や湖沼など、その土地から切り離せないものであります。水道や下水道も地域に密着した社会インフラであり、水需要の大小は、地域の地理的特性のみならず、経済活性化度合いや人口動態と切り離すことはできません。多発する自然災害や財政難に対して、官民連携して検討を進め社会経済的にサステナブルな解決策を探ってまいります。市民や企業とともに課題解決を進める中で、中長期的な経営視点を持った水関連事業を実施してまいります。

③ 「足元を固める」

 当社グループは、「中期経営計画2025」期間中を「人と組織が成長するステージ」と位置付けております。少子高齢化が進展する中、業務の担い手確保は重要な課題となっており、採用活動の強化とともに成長機会の提供を図っていく必要があります。また当社グループが壁を超え、地域に根差し、新たなビジネスを創り上げていくためには、企業としての認知度を高め、社会から信頼される必要があります。そのためにも、社内におけるガバナンスの高度化と企業価値の向上に取組んでまいります。

 この三本柱をベースに、「水のインパクトカンパニー」として成長すべく、社会課題の解決に向けた具体的な取組みを以下に様に推進しています。

① コア事業の受注拡大・収益性の向上

 国が掲げる「国土強靭化」では、防災・減災の取組みは国家のリスクマネジメントであり、強くてしなやかな国をつくること、とされています。「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」や、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法の一部を改正する法律」(改正国土強靭化基本法)の制定により中長期的な見通しの下、計画的かつ着実に国土強靭化施策が推進されていきます。

 わが国の水インフラを取り巻く現状は、自治体の人員不足や施設の老朽化等が進展しており、その対応策として、自治体から発注される案件を広域化、工程の統合発注、複数年度契約等の手法により大型化している傾向にあると考えられます。

 当社グループではこれら国の方針や地方自治体が抱える課題を受け、公共事業の安定的な業務量確保に注力し、時間管理の徹底や採算性の高い案件・大型案件を中心に受注し、収益力を向上させます。

② 官民連携(PPP事業)の推進

 民間資金等活用事業推進会議(PFI推進会議)において、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改訂版)」が決定され、コンセッション方式やこれに準じた維持管理と更新が一体となった長期契約型の官民連携方式を「ウォーターPPP」と総称して具体化することとなっており、多様な官民連携方式の導入等により、水道・下水道などの案件形成の裾野拡大と加速化を強力に推進することとされています。

 このウォーターPPP事業の民間事業者のメリットとしては、自治体と長期契約することで安定的な業務の受託を期待できること、自治体との関係性が強化され水インフラのみならず付帯事業の受託も期待できること、契約内容によってはコスト削減分を官民でシェアし成果に見合った収入増が期待できることなどが挙げられます。

 当社グループは、このウォーターPPPへの参画を通じてPPP案件の受注を伸ばしていきます。なおウォーターPPPについての政府の実現ターゲット(2031年3月末)までに、水道100件、下水道100件、工業用水道25件の合計225件を実現することとされています。

③ 産業インフラ事業の国内外での加速

 国内では、様々な産業分野で生産拠点の整備に向けた投資が進み、複雑な水ニーズや高度な処理工程に対するソリューションへの期待が高まっています。また、海外でも、環境規制の強化やカーボンニュートラル、省エネ指向による既存工場の排水設備改善ニーズが高まっています。

 当社グループは、これらのニーズに対して、環境負荷の低減と効率的な水利用ソリューションを提供して、産業インフラ事業の拡大を図ります。

④ 「水×地域」をテーマとしたESG・SDGsの取組み

 持続可能で強靭な社会の実現に向けて、水の重要性が高まっています。省エネ・創エネ分野や農業分野においても、「水」を起点とした持続可能な活動が展開されています。

 当社グループでは、小水力発電(例:マイクロ水力発電)や下水汚泥を活用した地域資源循環型農業(例:下水道資源の利活用検討)等、「水×地域」をテーマとした新たな領域へ踏み出し、事業化を推進します。

より抜粋
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