企業兼大株主日本郵政東証プライム:6178】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 下記Ⅰ~Ⅲにおいて、当社グループの事業内容、経営成績、財政状態等に関する事項のうち投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクを例示しております。ただし、当社グループの事業等のリスクは、これらに限定されるものではありません。

下記「Ⅰ. 当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク」に、当連結会計年度末現在において当社経営陣が特に重視する事項について、その他の重要なリスクは下記Ⅱ及びⅢに記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

<当社グループのリスク管理態勢>

 当社は、2024年4月より、当社のリスク管理機能をクライシスマネジメント機能に統合し、当社グループの事業に関するリスクをクライシスマネジメント統括部が一元的に管理することによって、「危機の未然防止」、「リスク顕在化の早期把握」、「影響極小化」の三位一体の取組を進めているところです。

リスク管理の取組としては、新たに新興リスク(未知のリスク)を含め、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの統制を強化することにより、グループに重大な影響を与える可能性のあるリスクの顕在化を未然に防止する仕組みの整備を行うとともに、リスク発生時の経営陣への報告の迅速化にも取り組みます。

また、リスク管理とクライシスマネジメントの統制範囲を整合させることで、リスクが顕在化した際の危機管理等へのスムーズな移行を実現します。

 さらに、グループガバナンス強化のためグループのリスク管理統括責任者として、執行役の中から「グループ・チーフ・リスク・オフィサー(グループCRO)」の選任、事業子会社のリスク管理担当役員をメンバーとする「グループリスク・コンプライアンス委員会」等を通じて、グループ各社のリスク管理の向上に向けた情報共有・協議等を実施しています。

なお、事業子会社は、自社のリスク管理を統括する部署を定め、自ら主体的に自社の事業特性に応じたリスクの特定、評価、制御、モニタリング等のリスク管理を行うとともに、当社に対し必要な報告をする等のリスク管理態勢を整備しています。

リスク管理に係る事項は「リスク・コンプライアンス委員会」で審議し、経営会議に報告しています。さらに、重要な事項は、経営会議において審議するとともに、取締役会に審議を求め、又は報告しています。

 これらの取組を行うことで、当社グループの永続的な健全経営を目指していきます。

 日本郵政グループのリスク管理態勢


<グループ重要リスク管理>

当社は、外部環境の変化や事業戦略等を踏まえ、毎年、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク(グループ重要リスク)の見直しを行っております。具体的なリスクの特定、評価については、取締役及び執行役へのアンケート(役員アンケート)を通じて行い、改善策の策定、取組状況のモニタリング等を経営陣が行うPDCAサイクルを回しております。


Ⅰ.当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク

当社は、「金融・戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分けて行った役員アンケートに基づき、グループ重要リスクのうち発生可能性と当社グループの業績への影響度の観点から特に優先度の高いものを「経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク」(以下「トップリスク」)としております。下図はトップリスクの相対的な位置づけを図示したものであります。ここに記載した各リスクの発生可能性、影響度、優先度は、有価証券報告書提出日現在における当社経営陣の認識であり、発生可能性、影響度又は優先度を「小」と記載したリスクが発生し当社グループの事業等に重大な影響を及ぼす可能性を否定するものではありません。

(金融・戦略リスク)


  (オペレーショナルリスク)


(金融・戦略リスク)

1.ユニバーサルサービス提供に関するリスク

 当社及び日本郵便は、郵政民営化法等に基づき、ユニバーサルサービス確保の責務を負っております。

 当責務については、2015年9月「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」に関する情報通信審議会の答申において、短期的には、「日本郵政及び日本郵便は自らの経営努力により現在のサービスの範囲・水準の維持が求められる」、中長期的には、「郵政事業を取り巻く環境の変化やこれに応じた国民・利用者が郵政事業に期待するサービスの範囲・水準の変化も踏まえて、ユニバーサルサービスの確保の方策やコスト負担の在り方について継続的に検討していくことが必要」とされました。こうした中、同審議会による2019年9月「郵便サービスのあり方に関する検討」に関する答申においては、郵便サービスを「あまねく、公平に」安定的に提供し続けるため、そのあり方について検討結果が取りまとめられ、郵便法改正を経て、日本郵便において土曜日配達の休止、お届け日数の繰り下げなどの見直しを行いました。

 上記見直し後も、ユニバーサルサービスの維持に当たっては、全国各地の郵便局及び配送拠点等に係る設備費、車両費、社員の人件費等が発生しております。また、最低賃金の引き上げに伴う人件費の増加や物価高騰に伴う調達コストの上昇により、ユニバーサルサービス維持のためのこれらの費用負担は増大しつつあります。

 今後、電子メールやウェブサイト等インターネットを通じた通信手段、金融サービスの普及等を背景に、郵便、貯金、保険といった郵便局で提供するサービスのご利用が減少した場合であっても、ユニバーサルサービスを維持する法的義務があることから 、収益性の低い事業又は拠点を縮小する等の対応が制限される可能性があります。

 一方、ユニバーサルサービスを維持し、全国あまねく有人店舗展開を行うことは、他社にない当社グループの強みでもあります。お客さまが対面で相談したいというニーズに今後もお応えするため、当社グループの中期経営計画のもと、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現に向けて他社や地方公共団体と連携を図りながら、物販サービス、地方公共団体事務、終活紹介サービス等、日常生活をサポートするためのサービスを充実させ、郵便局らしい温かみのあるサービスの提供を行い、郵便局の価値・魅力及び収益力の向上に取り組むとともに、業務運営のデジタル化等により業務効率化を図ってまいります。その上で、郵便サービスの安定的な提供及びお客さまへのサービス向上の実現のため、2024年6月に施行された郵便法施行規則の一部を改正する省令(令和6年総務省令第63号)を受け、2024年10月に、郵便料金の改定を実施しました。

 しかしながら、このような取組が奏功せずに公共性と収益性を両立できなかった場合、郵便局ネットワークに対するステークホルダーの支持を失う可能性や、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、ユニバーサルサービス維持のための費用負担の増大から当社グループの損益が大幅に悪化した結果、事業運営コストを賄うために収益性を過度に追求した営業や過度のリスクを伴う資金運用を行った場合、コンダクト・リスクや運用リスクが顕在化する可能性もあります。

2.郵便・物流事業に関するリスク

 物流業界においては、激しい競争が継続する中、最低賃金の引き上げに伴う人件費の増加や物価高騰に伴う調達コストの上昇に加え、2024年4月から施行されたドライバーの労働時間の改善等への対応を迫られる等、業界を取り巻く環境は極めて厳しい状況となっております。このような状況を踏まえ、競合他社においても、宅配運賃等の値上げを実施する動きがみられ、日本郵便においても、2023年10月にゆうパック運賃の改定を実施しております。郵便事業においては、デジタル化の進展に伴う郵便物数の減少に加え、物流業界同様に、最低賃金の引き上げに伴う人件費の増加や物価高騰に伴う調達コストの上昇等、取り巻く環境が引き続き厳しい状況の中で、郵便サービスの安定的な提供を維持していくため、2024年6月に施行された郵便法施行規則の一部を改正する省令(令和6年総務省令第63号)を受け、2024年10月に、郵便料金の改定を実施しております。これらの取組を実施したものの、当事業年度の郵便・物流事業は、前事業年度に続き営業損失を計上しました。郵便・物流事業において、業務効率化の努力を続けるとしても更なる運賃改定や料金改定が必要となる可能性もあります。また、EC市場やフリマ市場は成長を続けており、これらを取り込むことは日本郵便にとって急務となっています。

 このような状況に対応するため、日本郵便は、ラストワンマイルにおける自動二輪車の機動力を活かせる小型荷 物を中心とした戦略による荷物収益の拡大を目指してまいります。商品・サービスの改善及び営業体制・営業力の 強化並びに他企業連携等を通じた収益力の向上、お客さまの利便性と業務の効率化が両立する生産性の高いオペレーションの実現、機械化の推進や輸配送手段の見直し等により事業を取り巻く環境変化に対応できる強靭な輸配送ネットワークの実現を目指し、郵便・物流事業改革に着実に取り組んでまいります。

 しかしながら、これらの施策が計画どおり進まない場合や、デジタル化の進展に伴う郵便物数等の減少が想定よりも著しく進行することにより、各種料金を改定したとしても補いきれないほどの減収が日本郵便に生じた場合、他社との競争激化の中で荷物等収益の低迷が継続した場合、他社との協業が奏功しない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2025年6月5日、日本郵便は、国土交通省から一般貨物自動車運送事業の許可取消処分の聴聞の通知を受領しました。その後、同6月17日に行政処分を受け入れる旨国土交通省に報告しました。有価証券報告書提出日時点において、行政処分執行後は、日本郵便の一般貨物自動車運送事業の許可が取り消される見込みであり、日本郵便が保有する1t以上の車両(約2,500台のトラック/全国の約330局の郵便局で使用)について使用できなくなる見込みです(なお、当該許可が取り消される場合、5年間は当該許可を再取得することはできなくなります。また、軽貨物営業所となる郵便局に対する特別監査は、現時点においても継続しており、今後、監査結果を受けて、軽四輪自動車の使用停止処分が下される可能性があります。)

 日本郵便としては、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する軽四車両(約32,000台)等を使用することにより、行政処分執行後においても、郵便物及び荷物(ゆうパックなど)のサービスについては、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることがないよう、引き続き確実かつ適切に提供してまいります。

 これまで、点呼適正化に向けて、①意識改革、②ガバナンスの強化、③点呼のデジタル化、④モニタリング等の取組を実施し、点呼不備の根絶に向けて全力で取り組んできております。

 また、今回の事態に至った責任を重く受け止め、責任の所在及び度合いを勘案して責任を明確化しました。

現時点では従来と同様に郵便・物流事業を運営できる見込みですが、代替手段の実施に伴い、委託費等の費用が増加するなど、業績に影響が生じる見込みです。加えて、日本郵便の郵便・物流事業においては、前事業年度と当事業年度で2期連続の営業損失を計上しているため翌事業年度に営業損失の計上が見込まれる場合や、重大な法令違反により経営環境が著しく悪化した場合には、郵便・物流事業で使用している固定資産について、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3.金融商品の営業活動に関するリスク

 当社グループは、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指し、お客さま本位のサービスを提供するための取組を展開しております。郵便局窓口においては、より高品質なお客さまサービスを提供できるように、窓口オペレーション改革による営業活動時間の創出等を進めると同時に、地域事情に応じた窓口社員の柔軟配置、全社員の知識・スキル強化、お客さまとの良好な信頼関係構築に向けた人材育成等に取り組んでまいります。

 また、投資信託の販売においては、全国の郵便局と金融コンタクトセンター等をリモートで接続し、約2万拠点で投資信託(NISA)の受付を可能とする、リアルとデジタルを融合した当社グループの強みを活かした販売態勢の強化に取り組んでおります。

 生命保険の販売においては、お客さま一人ひとりにとって信頼できる気軽な相談相手となり、ライフステージや世代を超えて安心を提供し続けることで、お客さまから選ばれることを目指しています。また保有契約を維持・拡大するため、質と量を伴ったアフターフォローの充実により、多様なお客さまニーズを把握し、それらに応えられる商品ラインアップの拡充を図っております。

 しかしながら、このような取組が奏功せず、新商品の開発や既存商品の改定がお客さまのニーズに応えられないこと、営業方針を理解浸透できないことや社員のスキルが不足すること等により販売実績が低迷し、また、長期的な保有契約件数及びエンベディッド・バリュー(EV)の減少等につながった場合等には、当社グループの収益が大幅に減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4.新規事業・資本提携・業務提携・M&Aに関するリスク

(1) 新規ビジネス、資本・業務提携・外部委託先に関するリスク

 当社グループは、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を通じた新規ビジネスの創出に向けて、当社グループ外の企業との間で様々な資本・業務提携、外部委託を行っております。日本郵便と楽天グループ株式会社の両社が出資するJP楽天ロジスティクス株式会社においては、持続可能な発展のため、輸配送ネットワークの拡充等に取り組んでいます。また、佐川急便株式会社との取組として、「飛脚ゆうパケット便」、「飛脚グローバルポスト便」及び「不在持ち戻りとなった佐川急便の荷物を郵便局の窓口で受け取る」サービスを展開しているほか、「郵便局カタログ」商品を「飛脚クール便(冷凍)」でお届けする取組を行っております。加えて、日本郵便は、2024年5月にはセイノーグループと業務提携契約を締結し、幹線輸送の共同運行等により輸送効率を向上させる取組を行っております。また、日本郵便は、ヤマト運輸株式会社との2023年6月の合意に基づき、「クロネコゆうパケット」及び「クロネコゆうメール」の引受を開始しておりましたが、2024年10月に、ヤマト運輸側の一方的な事情で、2025年1月から当面の間「クロネコゆうパケット」の運送委託を停止させる申し入れを受けました。日本郵便はこれを受け、ヤマト運輸を相手方とする損害賠償等請求訴訟を進めております。その後、2025年1月にヤマト運輸から「クロネコゆうパケット」の運送委託は継続するものの、2025年1月31日に終了予定だったネコポス販売の継続について発表がありました。これにより、日本郵便の配送網を活用した「クロネコゆうパケット」の全国展開は当初の取扱想定個数を大幅に下回っております。

2024年3月末より、アフラック・インコーポレーテッドに対して持分法を適用することとし、2024年度から同社の利益の一部を当社グループの連結業績に反映しております。

 また、当社グループは、これらと並行して、社会課題解決と収益機会の両立に向けた新規ビジネス等をグループ横断的な体制で検討しております。

 こうした資本・業務提携、外部委託については、シナジー効果を含めたモニタリングを実施しておりますが、目標の変更や当社グループとの関係の変化等により、期待通りの効果が得られない場合、要員や設備等の必要なオペレーション基盤を整備できないことにより、業務拡大が奏功せずに多額の費用負担や投資に係る減損損失が発生した場合、提携先・投資先において違法行為・不正行為・顧客情報等の漏えい・不祥事等が発生した場合、資本提携先の業績や株価が低迷した場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新規ビジネス等による成長戦略が実現できず、ビジネスポートフォリオ転換が進まなかった場合等には、同様に、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 今後、日本郵便とヤマトホールディングス株式会社及びその子会社との関係性が悪化し協業が維持できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 他の企業の買収に関するリスク

 物流業界全体が難局にある中、強力な幹線輸送ネットワークの構築等を目的として、2025年2月末から4月にかけて、日本郵便において子会社であるJWT株式会社を通じてトナミホールディングス株式会社の株式に対する公開買付けを実施いたしました。本公開買付けにより、本公開買付けの決済日である2025年4月17日付で、議決権の所有割合は87.24%となり、当社の連結子会社となりました。同社は、5月30日に開催した臨時株主総会において株式併合の実施を決議しており、これによって効力が発生した場合には同社はJWT株式会社の完全子会社となり、JWT株式会社の商号を「JPトナミグループ株式会社」に変更する予定です。

 こうした企業の買収については、当該事業分野の競争激化や当社のノウハウ不足から業務範囲の拡大が功を奏せず、過度の人的・物的負担が生じる可能性があり、また、買収先企業を当社グループ事業と統合する上では、買収先企業の重要な顧客等との良好な関係を維持できない、買収資産の価値が毀損し損失が発生する、又は買収先企業の経営陣を含む人材流出が発生する等により、当初想定した成果をもたらさず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

5.デフレからインフレへの事業環境の変化に伴うリスク

 近年、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等による燃料価格や食品価格の急騰や、2022年以降の日米金利差の拡大に伴う円安の進行等を背景に、国内では物価上昇が続いています。2025年度も、円安の長期化等によって、物価は引き続き上昇傾向にあります。

 日本郵便の事業は労働集約型であり、全国に約2万4,000か所の郵便局を展開しており、燃料価格をはじめとする物価や人件費等の上昇等の影響を受けやすい構造になっています。

 このような状況に対応するため、地域事情等に応じた社員の柔軟な配置やDXの推進による効率化等を進めることで、コスト上昇に歯止めをかけると同時に、コストに見合う各種料金への改定等を実施・検討することにより、物価高騰による影響の最小化に向けて取り組んでおります。

 しかしながら、このような取組が奏功せず、グループ内の効率化が進まないこと、各種料金の改定により想定以上の顧客離れが生じること等によって、物価高騰の影響を低減できなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

6.金融2社の株式売却に関するリスク

当社は、郵政民営化法において、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの履行への影響等を勘案しつつ、保有する金融2社の株式をできる限り早期に処分するものとされており、当社グループの中期経営計画において、金融2社株式の保有割合を50%以下とすることを目指しております(下記「(参考)①日本国政府による当社株式の保有状況及び当社による金融2社の株式保有状況(2025年3月期末日時点)」をご参照)。

かんぽ生命の株式については2021年5月に売出しを実施し、保有割合は50.0%以下となりました。ゆうちょ銀行の株式については2025年3月に売出しを実施し、保有割合は50.0%となりました。また、2025年5月15日に公表したとおり、当社は、保有するゆうちょ銀行株式に係る株式処分信託へ拠出し、保有割合は49.9%程度となる予定です。

今後の当該株式の売却については、証券市場への影響に配慮し、時期、売出回数、規模等を慎重に検討し進めていく所存でありますが、適切な時期に適切な条件で売却できず、売却収入が当社保有の金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、当社の損益計算書に売却損失を計上する可能性があります。(下記「(参考)②金融2社株式処分の連結財務諸表への影響」をご参照)。また、想定通りに売却が進まない結果、金融2社に係る郵政民営化法上の上乗せ規制が撤廃されず金融2社の経営自由度の拡大が実現できない可能性もあります(下記「Ⅱ.当社グループ全般に関するリスク 2.法的規制・法令遵守等に関するリスク (1) 法的規制及びその変更に関するリスク ③ 当社グループ固有に適用される規制等」をご参照)。

当社グループの利益の大部分を占めるのは金融2社の利益であり(下記「(参考)③セグメント利益・資産(2025年3月末現在)」をご参照)、金融2社の株式の売却が進み、当社の持分比率が減少することで、親会社株主に帰属する当期純利益が減少することにより、当社の財務の健全性の確保ができなくなるほか、キャッシュ・フローの悪化、資金調達能力が制限される可能性があります。また、当社が金融2社から受け取る配当金が減少することにより、当社の期待する配当原資の確保ができなくなる可能性があります。

また、当社が金融2社の株式を処分しその持分が低下するのに伴い、金融2社以外の事業のウェイトが高まり、当該各事業における収益の悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に、より影響を及ぼすことになります。

さらには、金融2社の株式保有割合が低下することにより、当社の利益と金融2社の少数株主の利益が相反し、金融2社の意思決定が、当社グループの意向に沿わないなど、グループの一体的な業務運営が難しくなる可能性があります。また、顧客離れ、ブランド力低下により当社グループの収益が金融2社の持分低下の影響を超えてさらに低下する可能性もあります(下記「(参考)④議決権等議決事項(2025年3月末現在)」をご参照)。

当社としては、株式売却により得た資金を活用して、資本の効率化の観点から自己株式取得も行いつつ、コアビジネスの充実・強化に向けて、成長分野へのリソースシフトを推進します。加えて、郵便局を核としたグループ運営を徹底し、グループ各社の経営方針の整合性確保や、グループ内の人事交流、情報共有を図り、グループガバナンスを維持してまいります。しかしながら、それらが機能しなかった場合、金融2社に代わる事業基盤やグループのシナジー効果を確保できず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(オペレーショナルリスク)

1.人的リスク

2025年3月末現在、当社グループは、全国に20万人を超える従業員を配置しておりますが、少子高齢化による労働人口の減少や労働市場の逼迫に加え、給与水準が他社に劣後する等、当社グループの魅力や優位性が低下した場合、人材の確保が困難となる可能性があります。

 郵便・物流事業では、郵便物や荷物の配達・集荷等の業務において、多数の協力会社に協力をいただいていることから、協力会社とのパートナーシップ構築に向けた取組を進めております。一方、2024年4月から、自動車運転業務に係るドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されたことを受けて、トラックドライバー等の人手不足が深刻化し、適切な水準の人員の確保が困難となる可能性があります。

 加えて、DX推進に必要なIT等の高度な専門性を有する人材の確保も、競争激化から困難となる可能性があります。

 また、魅力的な労働環境を提供できなかった場合、あるいは人事処遇やハラスメント等の人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等が発生した場合には、人材の流出・不足を招く可能性があります。

 さらに昨今、国内の賃金水準が上昇しており、物価上昇及び労使交渉・労働法制の変更等を受けて給与等を増額した場合には、1人当たりは小さな増額であっても、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、かかる事態に対処するため、働きやすい職場づくり、労働条件の整備、人材育成や評価・処遇の仕組みの見直し、DE&Iの推進(女性活躍・高齢者就業・障がい者雇用・外国人雇用・性の多様性への対応等)による真の多様性の実現、人材ポートフォリオの多様化、ハラスメント相談体制の整備等を通じた社員の誇りとやりがいの向上に向けた取組と柔軟で多様性のある組織への転換を推進しておりますが、かかる施策が奏功しない場合には、人員不足、人件費の増加、競争力の低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、人的資本に関する事項は、先述の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

2.サイバー攻撃に関するリスク(セキュリティの脆弱性を含む)

 当社グループは、郵便・物流事業、銀行業、生命保険業等を運営している中で、事業運営上のシステムへの依存度が高い状況にあります。さらにリアルとデジタルをシームレスに連携し、幅広い世代・地域のお客さまへ新しい価値を提供するため、グループ一体でのDXを推進しており、今後ますますその重要性が高まることが予想されます。一方、近年増加の著しいサイバー攻撃や各種サービスの不正利用により企業・団体が保有する個人情報等の漏えいが多発しており、当社グループにおいても、サイバー攻撃の高度化、インターネットを介したお客さまとの双方向アクセス増加、在宅勤務(テレワーク)の拡大等の結果、当該リスクが高まっております。

 こうした中、当社グループのサイバーセキュリティ担当役員で構成するグループサイバーセキュリティ委員会を設置し、グループ全体でセキュリティの高度化の推進、セキュリティ専門家による点検・指導、対策推進等サイバー攻撃への対応に努めております。

 不正アクセス等のサイバー攻撃に対しては、メール受信やWeb閲覧に対するウイルス感染抑止等の入口対策、外部デバイスの接続制限や、許可された通信先以外の遮断等の出口対策を講じ、恒常的にサイバーセキュリティ対策の高度化に取り組んでおります。加えて、各種サイバーセキュリティ演習を実施し、事業継続も含めたインシデントレスポンス能力の向上などに努めております。

 しかしながら、当社グループのシステムへの攻撃、各種サービスの不正利用により、事業が大規模かつ長期間に亘り停止又は制約を受けるような事案が発生した場合、さらに、お客さま対応に不備が生じ社会的信用の低下を招いた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3.法令等違反に関するリスク

 当社グループでは、貯金払戻金窃取や郵便物等の放棄・隠匿事案等が複数件発生しており、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、法令等違反の撲滅に向けて、コンプライアンスの徹底・強化、並びにグループガバナンス及び内部統制の強化に取り組んでおります。

 また、当社グループは、2019年12月にかんぽ生命保険商品の募集品質に係る諸問題に関し、監督当局からの行政処分を受け、2020年1月に策定した業務改善計画に基づき各種施策に取り組み、外部専門家で構成されたJP改革実行委員会のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復を図ってまいりました。

 当社グループは、2023年12月26日付で、業務改善計画に基づく監督官庁への定期報告を以後不要とする旨の通知を総務省及び金融庁から受けましたが、引き続き、適切な業務運営への取組に努めてまいります。

 さらに、当社グループは、お客さまの声や内部通報制度等を通じた社員の声の収集・分析を行い、潜在的なリスクを検知して防止策を講じ、法令等遵守を徹底してまいりました。

 一方で、当事業年度に郵便局において、事前にお客さまから同意をいただかないまま、お客さまの貯金の非公開金融情報(注1)を用いて、保険募集や投資信託等の販売を目的とした来局のご案内等を行った、法令に違反する事案が確認されました。また、日本郵便及びかんぽ生命保険の社員である生命保険募集人が、2024年1月に販売を開始した一時払終身保険に関して、販売に係る保険業法上の認可を取得する前にお客さまへ勧誘を行っていた事案が確認されました。当社グループは、両事案について、2025年3月に監督当局から報告徴求命令を受領しました。当社グループでは実態把握のための調査を実施し、発生原因を分析し、その結果を踏まえた真因分析に基づく再発防止策を2025年3月18日及び5月19日に策定のうえ、着実に実行しているところです。

 また、上記の違反以外にも、2024年6月には、郵便局における委託先業者への下請法違反に対し、公正取引委員会からの行政指導を受けております。このほか、2025年3月には、法令で定められた点呼業務(注2)を実施しないまま配達業務を行った事案について全国調査を行い、2025年4月23日に調査結果及び再発防止策等について国土交通省及び総務省へ報告しました。同日、総務省から本事案の再発防止策及びユニバーサルサービスの確保等に関して報告徴求命令を受領しております。また、2025年6月5日、日本郵便は、国土交通省から一般貨物自動車運送事業の許可取消処分の聴聞の通知を受領しました。その後、同6月17日に行政処分を受け入れる旨国土交通省に報告しました。有価証券報告書提出日時点において、行政処分執行後は、日本郵便の一般貨物自動車運送事業の許可が取り消される見込みであり、日本郵便が保有する1t以上の車両(約2,500台のトラック/全国の約330局の郵便局で使用)について使用できなくなる見込みです(なお、当該許可が取り消される場合、5年間は当該許可を再取得することはできなくなります。また、軽貨物営業所となる郵便局に対する特別監査は、現時点においても継続しており、今後、監査結果を受けて、軽四輪自動車の使用停止処分が下される可能性があります。)。

 日本郵便としては、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する軽四車両(約32,000台)等を使用することにより、行政処分執行後においても、郵便物及び荷物(ゆうパックなど)のサービスについては、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることがないよう、引き続き確実かつ適切に提供してまいります。

 これまで、点呼適正化に向けて、①意識改革、②ガバナンスの強化、③点呼のデジタル化、④モニタリング等の取組を実施し、点呼不備の根絶に向けて全力で取り組んできております。

 また、今回の事態に至った責任を重く受け止め、責任の所在及び度合いを勘案して責任を明確化しました。

 現時点では従来と同様に郵便・物流事業を運営できる見込みですが、代替手段の実施に伴い、委託費等の費用が増加するなど、業績に影響が生じる見込みです。

 上記のような態勢・予防策・再発防止策を構築・実行してまいりますが、これらの態勢・予防策・再発防止策が十分な効果を発揮せず、法令等違反が発生した場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注1)非公開金融情報:お客さま対応等の中で知った、お客さまの金融取引や資産に関する、通常、本人しか知りえない情報(具体例:口座残高、引落情報、保有ファンドの状況等)

(注2)点呼業務:貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条において、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者等に対して酒気帯びの有無等の確認を行うことと定められているもの。

4.大規模災害発生時の事業継続等に関するリスク

 当社グループは、国内外で事業活動を行っており、各国・地域における地震、台風、洪水、大雪等の大規模自然災害、感染症の大流行、戦争、テロリズム等の人的災害、水道、電気、ガス、通信、金融サービス等に係る社会的インフラの重大な障害や混乱等の発生、当社グループの店舗その他の設備や施設の損壊等が生じた場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、設備やインフラの回復、お客さまの損失の補償等のために長期の時間及び多額の費用を要する可能性があります。特に、かんぽ生命保険においては、大規模災害や感染症の大流行に起因して、危険準備金を超える保険金・給付金の支払いが発生する可能性があります。

 グループ各社は、緊急事態が発生した場合に優先的に再開させる重要業務を明確にし、事業継続と復旧をスムーズに実現させるための事業継続計画(BCP)を策定し、緊急時の危機管理体制を整備しております。しかしながら、同計画による対応を適切に行ったとしても、緊急事態の規模や状況によっては、事業活動を円滑に継続、又は早期に業務が復旧できる保障はなく、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

Ⅱ.当社グループ全般に関するリスク

1.事業環境に関するリスク

(1) 経済・政治情勢その他の事業環境の変化に伴うリスク

① 郵便・物流事業等

 近年、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢が長期化し、台湾有事をはじめ東アジア情勢にも懸念が募る等、地政学リスクが高まりつつあります。加えて、2025年以降は、米政権の掲げる通商政策の進展によっては、世界的な貿易摩擦の発生や米中対立の激化につながり、ますます事業環境の不確実性が高まっていくことが危惧されています。

 これらの要因により、企業におけるサプライチェーン戦略に変化が生じた場合は、国際物流事業に影響を及ぼす可能性があります。また、エネルギー価格の高騰や世界経済の減速が生じた場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 銀行業・生命保険業

 当社グループの収益の多くは、銀行業及び生命保険業から生じる収益により占められております。

 足元では米欧の金利引き下げ・本邦の利上げの動きから金利差が縮小し円高リスクが高まる中、世界的な金融政策の変更、地政学リスクの高まり等に起因する金融・資本市場の動揺、グローバル経済の減速懸念の中で、金融2社の海外金融資産の増加を受けて、海外クレジット市場の信用スプレッド拡大、外貨の調達、通貨ベーシスの拡大によるヘッジコスト上昇の影響で、保有資産の評価損、減損損失及び売却損の計上、剰余金の処分による分配可能額の減少・消失等が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(市場リスク)

 (ⅰ)金利急上昇リスク

 今後の各国中央銀行の金融政策動向、国内外の景気変動、日本国政府の財政運営やその信認の変化、米国政権の経済政策の動向等、様々な要因により急激な金利上昇が生じ、当社グループの保有資産の価値が大幅に下落するリスクや、定額貯金(預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)等の預け替え、保険の解約が進むリスクがあります。

 ゆうちょ銀行では、数十兆円規模の海外金融資産を保有しており、海外クレジット市場の信用スプレッド拡大時にはこれら海外金融資産の価格が下落し、保有する投資信託における収益認識できない特別分配金の発生等を通じて収益が大幅に減少する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(ⅱ)金利低下リスク

 日銀の金融政策の転換により、国内の金利は上昇傾向にありますが、今後金利が低下し、再び低金利環境となった場合は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の債券運用収益が低位で推移し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ゆうちょ銀行については、保有する金融資産と貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等に差異が存在すること、金利の低下による運用収益の減少に比して相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少するリスクがあります。

 かんぽ生命保険については、保険契約者に対する債務のデュレーションが運用資産より長期であること、既に保有している保険契約の予定利率は変わらないことから、当初想定していた運用収益が確保できない、さらに逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均運用利回りが既契約の責任準備金の積立てに用いた予定利率を下回る現象)となるリスクがあります。

(ⅲ)その他の市場リスク

 直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に保有している株式(プライベートエクイティファンドを含む。)の株価が、国内外の経済状況又は市場環境の変化によって変動する場合、保有有価証券に評価損・減損損失や売却損等が生じる可能性があります。

 外貨建て資産については、その大部分は為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、大幅な為替相場の変動が発生した場合、非ヘッジ部分に係る差損が発生し、又は通貨ベーシスの拡大が発生した場合、外貨調達コストが増加すること等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(信用リスク)

 有価証券の発行体や貸出先などの債務者において、国内外の経済情勢の深刻な影響や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事、その他不測の事態による財政状態の悪化等が生じた結果、与信関係費用が増加し又は保有する有価証券等の価値が下落する可能性があります。

(市場流動性リスク・資金流動性リスク)

 金融市場の混乱等により、市場の流動性が減退した場合、市場において正常に金融商品の取引・資金決済ができなくなる場合、大量解約に伴う解約返戻金の増加、巨大災害に伴う保険金の大量支払等により資金繰りが悪化した場合には、保有する資産の価値が減少する可能性、不利な価格での取引を余儀なくされる可能性、また、資金調達コストが上昇する可能性があります。

 これらのリスクに対し、金融2社では中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、財務健全性の観点からストレス・テスト等を実施し、また、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行うことにより、リスク等を適切に管理し必要な法令上の規制比率を確保しておりますが、金融・資本市場、国内外の経済情勢その他事業環境の大幅な変動が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 他社との競合に関するリスク

 当社グループの事業はいずれも激しい競争状況に置かれており、競業他社は、AI・Fintech・テレマティクス等の技術の活用、事業環境の変化、事業戦略の変更等で、競争力の優れた商品構成、サービス、価格競争力、事業規模、シェア、ブランド価値、顧客基盤、事業拠点、ATM・物流拠点その他のインフラ・ネットワーク等を有する可能性があります。

 また、近年、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われているほか、参入規制や業務範囲等の規制緩和が行われている中で、当社グループが市場構造の変化に対応できない可能性があります。

 特に、物流事業における競争は激しく、競業他社が競争力のある価格でサービスを提供することが日本郵便のシェアに影響を与えます。また、他の物流事業者同士の提携や他の物流事業者とEC事業者の提携、主要なECプラットフォーマーによる独自の物流サービスの展開等が進んでおり、他社の提供するサービスへの乗り換えが発生する可能性があります。

 こうした中、当社グループの中期経営計画で掲げた、お客さまサービスの向上やDXの推進によるビジネスモデル等の変革に取り組んでおりますが、かかる取組が奏功しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2.法的規制・法令遵守等に関するリスク

(1) 法的規制及びその変更に関するリスク

当社グループは業務を行うにあたり、以下のような各種の法的規制等の適用を受けております。

これらの規制により、当社グループは新規事業の展開や既存事業の拡大、低収益分野からの撤退又は縮小が制約される可能性があります。

当社グループの中期経営計画で新たな成長戦略に取り組んでおりますが、当社グループに適用のある法令等の改正や新たな法的規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの法的規制については、先述の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 事業に係る主な法律関連事項」をご参照ください。

① 郵便法等に基づく規制

 郵便法上、郵便約款や業務委託の認可制、全国一律料金制度といった、本事業特有の規制又は他の事業や他社とは異なる規制を受けております。また、民間事業者による信書の送達に関する法律に基づき、一般信書便事業は一定の参入条件が課された許可制とされております。現時点において参入している民間事業者はありませんが、同法の改正等により、信書便事業の業務範囲の拡大や参入条件が変更されるなど参入規制が緩和された場合には、新規事業者の参入により競争が発生する可能性があります。

 これらの規制の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 銀行法及び保険業法に基づく規制

 金融2社は、銀行法及び保険業法等に基づき、自己資本比率規制及びソルベンシー・マージン規制を含む金融業規制を受けており、銀行持株会社・保険主要株主である当社も、銀行持株会社としての連結自己資本比率規制を含む各種規制を受けておりましたが、株式処分信託の拠出により、当社のゆうちょ銀行に対する議決権保有割合は49.9%程度となり、銀行法に基づく規制は銀行持株会社としての規制から銀行主要株主としての規制に変わることとなる予定です。

 また、銀行業におけるバーゼルⅢ規制の最終化や保険業における経済価値ベース規制等の新たな規制の導入や、国際的な監督規制として、システム上重要な銀行(SIBs)に対する規制が課せられる可能性もあります。

 一方、日本郵便は、銀行法に基づき、ゆうちょ銀行を所属銀行とする銀行代理業者として、内閣総理大臣の承認を得ない限り、法令で定められた業務以外の業務を営むことができず、また、分別管理義務、銀行代理業務を行う際のお客さまへの説明義務、断定的判断の提供等の一定の禁止行為等の規制を受けております。また、保険業法に基づき、かんぽ生命保険を所属保険会社等とする生命保険募集人として、お客さまに対する説明義務、虚偽説明等の一定の禁止行為等の規制を受けております。

 当社グループが上記規制に違反する等した場合には、規制当局から、許可、免許又は登録の取消し、業務の一部又は全部の停止、改善措置等を命ぜられる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[当社グループが受けている主な許認可等]

許認可等の名称

根拠条文

会社名

有効期限

許認可等の取消事由等

銀行持株会社の認可

銀行法第52条の17第1項

日本郵政株式会社

なし

同法第52条の34第1項

銀行主要株主の認可

銀行法第52条の9第1項

日本郵政株式会社

なし

同法第52条の15第1項

保険主要株主の認可

保険業法第271条の10第1項

日本郵政株式会社

なし

同法第271条の16第1項

銀行代理業の許可

銀行法第52条の36第1項

日本郵便株式会社

なし

同法第52条の56第1項

生命保険募集人の登録

保険業法第276条

日本郵便株式会社

なし

同法第307条第1項

銀行業の免許

銀行法第4条第1項

株式会社ゆうちょ銀行

なし

同法第26条第1項、

第27条、第28条

生命保険業の免許

保険業法第3条第4項

株式会社かんぽ生命保険

なし

同法第132条第1項、第133条、第134条

 上記許認可等が取消しとなるような事由の発生は認識しておりませんが、将来、何らかの理由により、各法が定める取消事由等に該当し、所管大臣より許認可の取消処分等を受けることとなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

※ゆうちょ銀行に対する議決権保有割合が50%以上の場合は「銀行持株会社の認可」を、50%未満の場合は「銀行主要株主の認可」を受けます。

③ 当社グループ固有に適用される規制等

 日本国政府は、郵政民営化法により、当社株式の発行済株式総数の3分の1超を保有する義務を負っていることから、引き続き当社に重要な影響を及ぼしうることになります。また、当社が将来、日本国政府の保有割合が発行済株式総数の3分の1を下回るような新株式の発行による資金調達を実施する場合、日本国政府にも一部を割り当てることが必要となるところ、その条件等について日本国政府と合意できずに、資金調達を断念せざるを得なくなる可能性があります。その他、当社グループに関する日本国政府の利益は、当社のその他の株主の利益と相反する可能性があり、また、日本国政府が、株主としての経済的利益よりも公共政策上の判断等を優先した場合等には、当社のその他の株主の利益に反する支配力又は影響力の行使がなされる可能性があります。

 当社及び日本郵便は、日本郵政株式会社法及び日本郵便株式会社法により、新規業務、株式の募集、取締役の選解任(当社のみ)、事業計画の策定等を行う場合には、総務大臣の認可(日本郵便の新規業務は届出)が必要とされております。

 金融2社は、郵政民営化法により、新規業務、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合には、内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要とされているほか、ゆうちょ銀行においては銀行を、かんぽ生命保険においては保険会社等を子会社として保有することはできません。また、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制が課される等、同業他社とは異なる規制が課されております(金融2社におけるこれらの規制を「郵政民営化法上の上乗せ規制」といいます。)。

 なお、かんぽ生命保険については、当社が株式の2分の1以上を処分した旨の総務大臣への届出を行っております。また、当社は、株式処分信託への拠出により、当社が保有するゆうちょ銀行普通株式17,993,700株を処分する予定です。処分後は、当社のゆうちょ銀行に対する議決権保有割合は49.9%程度となり、郵政民営化法第62条第2項に基づき、ゆうちょ銀行の株式の2分の1以上を処分した旨の総務大臣への届け出を行う予定です。届け出以降は上記業務について、認可は要しなくなったものの、内閣総理大臣及び総務大臣への届出は要するとともに、業務を行うに当たっては、他の生命保険会社及び銀行との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。

 こうした事業活動への一定の制約は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)による政府調達ルール

 当社、日本郵便及び金融2社は、公社を承継した機関として、WTO政府調達協定及びその他の国際協定の適用対象となる物品及びサービスを調達する場合には、国際協定に定める手続の遵守が求められます。当社及びグループ各社は、適切な調達に向けた態勢を整備しておりますが、当該手続を遵守できなかった場合には、調達行為が成立しない、あるいは遅れが発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) マネー・ローンダリング等に関するリスク

 金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策(以下「マネロン等対策」といいます。)の重要性が急速に高まっております。

 本邦においては、2021年8月の我が国のマネロン等対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査結果の公表及び本邦の行動計画の策定等を受けて、マネロン等対策の強化が課題となっております。

 当社グループの商品・サービス、従業員、提携先又は委託先企業に関連して、マネー・ローンダリング、テロ資金供与等の犯罪、銀行口座の不正使用等が発生した場合には、当社グループに対する社会的信用が低下する可能性があります。

 このため、当社グループは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、役員・従業員への研修等を通じてマネロン等対策の強化を図っております。

 しかしながら、かかる取組が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分等により、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) コンダクト・リスク

 当社グループでは、経営理念にお客さま本位のサービスを提供する旨掲げており、グループ及び各社において「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を制定・公表し、その徹底に向け、取り組んでおりますが、2019年にかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題、2020年にかんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売について、お客さま本位といえない営業が行われていた問題が発覚しました。当社グループは、信頼回復に向け、業務改善計画(上記「Ⅰ.当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスク (オペレーショナルリスク) 3.法令等違反に関するリスク」をご参照)を着実に実行し、また、お客さまや社員の声を経営改善に活用する等、改善策を実行し、お客さま本位の業務運営に取り組んでまいりました。

 当社は、お客さま本位の業務運営に反する事象(いわゆるコンダクト・リスク)を迅速に把握する態勢を整備し、グループとして一体的な対応を行うため、2021年4月にグループコンダクト統括室を設置し、また、2022年4月にグループコンダクト向上委員会を設置し、グループ行動憲章を実践していくためのグループコンダクトを向上させる取組について、外部有識者による助言をいただき、信頼回復などに取り組んでおります。

 しかしながら、郵便局において、事前にお客さまから同意をいただかないまま、お客さまの貯金の非公開金融情報を用いて、保険募集や投資信託等の販売を目的とした来局のご案内等を行った、法令に違反する事案が確認されました。また、日本郵便及びかんぽ生命の社員である生命保険募集人が、2024年1月に販売を開始した一時払終身保険に関して、販売に係る保険業法上の認可を取得する前にお客さまへ勧誘を行っていた事案が確認されました。当社グループは、両事案について、2025年3月に監督当局から報告徴求命令を受領しました。当社グループでは実態把握のための調査を実施し、発生原因を分析し、その結果を踏まえた真因分析に基づく再発防止策を2025年3月18日及び5月19日に策定のうえ、着実に実行するとともに、お客さま本位のサービス提供に努めてまいります。

 当社グループは、こうしたお客さま本位の業務運

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