日本ヒューム
【東証プライム:5262】「ガラス・土石製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
〔経営方針〕
① 企業理念
当社は以下の企業理念を掲げております。
わが社は、社会基盤の整備に参加し、豊かな人間環境づくりに貢献します。
わが社は、人の和をはかり、常に従業員の幸福と生き甲斐を求めていきます。
わが社は、未来を見つめ、たゆまぬ技術開発により、強い会社を目指します。
② 中期経営計画『23-27計画R』
1)基本方針
「継承と新化」―多様性と相互信頼で成長軌道を描く―
当社は、2025年に会社創立100周年を迎えますが、2025年を通過点とする当5か年において「継承と新化」をミッションに今後予想される事業環境の変化に対応し、200年企業に向けた成長軌道をつくるべく改革の期間と位置づけ「23-27計画R」を実施してまいります。
2)基本戦略
「事業セグメント別戦略の推進」、「技術開発の強化」、「人財力の強化」といった構想や取組みをさらに発展させた基本3戦略「事業戦略」「財務戦略」「ESG戦略」に基づき、事業環境の変化、社会の変化等の急激な市場構造変化に対応した事業構造改革を推進し、会社創立100周年とその先200年企業へ向けての基盤を構築することを基本戦略としております。
《事業戦略》
① 主力事業の振興軌道強化
② 戦略事業の強化
③ 200年企業への基盤構築
主力事業である基礎事業では、環境に優しい中掘工法の販売強化、ICT施工管理推進による施工効率向上、摩擦杭対応力強化を推進し、下水道関連事業では、トータルソリューションの増強、耐震化事業、メンテナンス事業の領域拡大、シェアのダントツ化に注力してまいります。
戦略事業であるプレキャスト事業では、当社オリジナル基礎製品であるPCウェルの販売強化、高速道路更新事業向け壁高欄の拡販、設計営業力の強化に注力してまいります。また、持続的成長を実現するために、成長事業への投資や探索事業を強化してまいります。さらには、事業戦略の速やかな推進と市場変化に対応するため、5つの部門の構造改革を進めてまいります。変化の時代に、変化を武器に、変化を恐れず挑戦するマインドセットへの改革を進めてまいります。
《財務戦略》
① 積極的な成長投資(人財 設備 開発 M&A)
② 株主還元(安定向上)
成長投資として、「プレキャスト製造投資、e-CON事業投資、カーボンニュートラル設備投資、デジタル化、効率化、省力化、設備投資機能向上、生産基盤整備」を実施してまいります。
株主還元では、営業利益追求の積極的投資と安定的配当の向上を図り、バランスある株主還元策を実施してまいります。
《ESG戦略》
① 2030年に向けたCO2削減
② e-CON事業立ち上げによる脱炭素社会実現への貢献
事業活動である「社会基盤整備への貢献を通じて持続可能な社会の実現を目指す」を基本方針として、コンクリートテクノロジーをもって安全・安心な社会、脱炭素社会に貢献してまいります。
3) 中期経営計画『23-27計画R』目標値
| 2026年3月期目標 | 2028年3月期目標 |
連結売上高 | 365億円 | 400億円 |
連結営業利益 | 17億円 | 22億円 |
注)業績目標は、開示時に当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて策定したものであり、実際の業績等は今後さまざまな要因によって記載内容と異なる可能性があります。
〔経営環境及び対処すべき課題〕
(1)今後の見通し
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善を背景に景気の緩やかな回復が今後も継続すると期待される一方で、更なる物価上昇やアメリカの通商政策の動向等により、わが国経済は依然として不透明な状況が続いていくと予想しております。
このような経営環境下、当社グループは2023年度において中期経営計画「23-27計画R」を策定し、着実に推進してまいりました。2年目で収益目標を超過達成したことにより、3年目にあたる2025年度は前倒しで最終年度の経営目標値を達成すべく邁進してまいります。
(2)サステナビリティの実現
サステナビリティは単に環境への配慮にとどまらず、環境・社会・経済の調和、そして将来世代への責任を含む包括的な考え方です。当社ではこれらを軸に、SDGsと整合した具体的な取り組みを展開しています。
① 環境への配慮:自然環境の保全・資源の有効利用・気候変動対策
[CO2削減と資源循環]
当社は、セメントを使用しないセメントレスコンクリート「e-CON®」を東京都下水道サービス(株)と共同開発し、2025年1月には普及と技術連携のため「e-CON協会」を設立しました。e-CON®は、製造時のCO2排出量を大幅に削減するだけでなく、耐久性にも優れており、製品寿命の延伸によってライフサイクル全体での環境負荷を低減することができます。
さらに当社では、自社からのCO2排出削減にも取り組んでおり、ガスボイラーの計画的な導入をはじめとした対策を通じて、2030年および2050年の温室効果ガス削減目標に向けた取り組みを進めています。
[施工工程での環境負荷低減]
新たに開発した「CP-X工法®」は、発生残土が少なく、工期短縮にもつながるコンクリート杭の施工法で、施工時のCO2排出量削減に貢献しています。設計・材料・施工すべての段階で、環境に配慮した製品開発を進めています。
② 社会への貢献:人・働き方・公共性の向上
[労働人口減少への対応と働き方の進化]
当社は、3Dプリンティング技術を活用したプレキャスト製品の製造に取り組んでいます。これにより、ロボットによる自動生産ラインの構築や型枠不要による作業の省力化に取り組んでいます。また、従来は難しかった自由形状の製品もプレキャスト化できるようになります。これらは製造工場における重筋作業の軽減にもつながり、より安全で柔軟な働き方への転換にも寄与しています。
[インフラを支える社会的責任]
下水道インフラに関しては、老朽化が進む中で、当社が供給してきたヒューム管の補修・更生・更新への対応を強化。
更新においては100年ヒューム管による次世代の社会インフラの提案を行っていきたいと考えています。点検から補修・更新までをワンストップで提供する体制を強化し、住民の安心と公共の衛生基盤を長期にわたって守り続ける企業でありたいと考えています。
③ 経済的価値の創出:成長と効率性の両立
[生産性の向上と競争力強化]
設計、製造、施工の各フェーズにおいてデジタル化を推進。特に、杭工事のICT施工管理ツール「Pile-ViMSys®」や施工記録の効率化を図る「ViMCam®」などにより、施工の「見える化」やトレーサビリティ、品質向上を実現しています。
これらは単なるコスト削減ではなく、高品質で安定したインフラ供給による信頼性の確保と、地域経済や関連産業の活性化に貢献するものです。
④ 将来世代への責任:100年先を見据えたインフラづくり
当社は、短期的な供給ではなく、100年先の社会インフラを見据えた価値創造を基本方針としています。従来の「50年〜80年寿命」とされていた下水道インフラを、100年以上のスパンで持続可能に運用する仕組みを提供し、将来世代の生活基盤を守ることを目指しています。
(3)次の100年に向けた目標と取り組み
私たちは今、「インフラをつくる会社」から「インフラを未来につなぐ会社」へと進化することを掲げています。そのために、以下の4つの重点分野に注力しています。
① 脱炭素・環境貢献への挑戦
② 100年インフラを支える維持管理サービスの提供
③ デジタルとロボティクスによる構造改革
④ 次世代を担う人づくりと共創型組織への転換
100年支えてきた企業が、100年先のインフラを構想する
それが、これからの日本ヒュームのビジョンと考えています。社会や時代がどう変わろうとも、地に足をつけて社会を支え続ける企業でありたいと願っています。
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