日本ハム
【東証プライム:2282】「食品業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「わが社は、「食べる喜び」を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。「食べる喜び」とは、「食」を通してもたらされる「おいしさの感動」と「健康の喜び」を表しており、このことは人々の幸せな生活の原点であると考えます。「食べる喜び」をお届けすることで、人々の楽しく健やかな暮らしに貢献することが私たちの使命です。また当社グループは従業員全てが生涯を託すに足る企業グループを目指しています。自分自身のため、会社のため、社会のために全力を尽くすことが、全ての従業員に幸福をもたらすとともに、ニッポンハムグループの経営の基盤となります。
2021年4月に、企業理念を追求する上でのマイルストーンとしてニッポンハムグループ「Vision2030」を策定しました。また、「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要な社会課題を、ニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」として特定しました。企業理念に掲げている「食べる喜び」をお届けするために、当社グループは事業戦略とマテリアリティの実践を通したサステナビリティ戦略を両輪で進め、事業を通した社会課題の解決に努めていきます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2024年4月1日から2027年3月31日の3年間を「中期経営計画2026」とし、事業計画を策定しました。「中期経営計画2026」最終年度となる2027年3月期において、売上高1兆3,800億円、事業利益610億円、事業利益率4.4%、ROE7.0~8.0%、ROIC5.0~6.0%を経営目標とし、達成を目指してまいります。また、「中期経営計画2026」の2年目にあたる次期の業績目標につきましては、連結売上高1兆4,000億円、事業利益540億円、事業利益率3.9%、ROE5.8%、ROIC4.9%の目標を掲げております。
(注) 1 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRS会計基準への調整及び非経常項目を除外して算出しております。
2 「中期経営計画2026」並びにその見直し・修正計画等(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性等を含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断をくだすことはお控えください。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは企業理念である「食べる喜び」をお届けし続けるために、2030年のありたい姿として定めた「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向け、新たな挑戦に取り組んでまいります。
「中期経営計画2026」は、「たんぱく質の価値を共に創る企業へ」をテーマに掲げ、「Vision2030」で示した新たなステージへ到達するため、バックキャストで特定したビジネスモデル変革に向けた課題に対し、構造改革と成長戦略、風土改革を三位一体で進め、価値創造企業に進化する3年間と位置付けております。これまでの食のインフラを担う企業としてたんぱく質を安定的にお届けすることに加え、様々なパートナーと力を掛け合わせ、たんぱく質の新たな価値創造に取り組むことで、社会課題の解決に努めてまいります。加えて、資本コストを上回るリターンの追求と株主還元の強化等の資本最適化施策の推進により企業価値の向上に努めてまいります。
<ニッポンハムグループ「Vision2030」>“たんぱく質を、もっと自由に。”
ニッポンハムグループ「Vision2030」は、これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという当社グループの想いを「2030年におけるありたい姿」として表現しております。
<全社戦略>
新たなステージに向け、挑戦と共創をキーワードに取り組む「中期経営計画2026」では、構造改革と成長戦略、風土改革を通し、環境変化への対応力を身に付け、より高い価値を生み出す力を獲得していきます。構造改革では、「最適生産体制」、「低収益事業見直し」、「商品ミックス改善」への取組みを通し、不透明な環境下を勝ち残る競争力を獲得します。成長戦略では、「ブランド強化」、「グローバル強化」、「営業横断」、「R&D強化」、「ボールパーク」への取組みを通し、価値の源泉となる無形資産の育成・強化を図ります。風土改革を通して、目指す「挑戦する組織風土の醸成」に向け、「変革型経営人財の育成・獲得」と「多様な人材の活躍推進」に取り組むことで、価値を生み出す基盤を構築してまいります。
ニッポンハムグループ 「中期経営計画2026」全体構想
<会社の対処すべき課題>
日本国内においては個人消費や設備投資が内需を牽引し経済成長を支えると見込まれていましたが、海外においてはユーロ圏経済の回復ペース鈍化に加え、米国政局動向等下振れリスクも指摘されています。特に関税政策においては中国経済への影響が大きい一方、日本から米国への輸出事業も下押し圧力を受けることが想定され、予断を許さない状況が続いています。
そのような環境の中において、2025年度より当社のバリューチェーン価値最大化を推進すべく、「海外事業本部」を廃止し、加工事業本部と食肉事業本部の二事業本部体制への組織再編を行いました。これにより、当社が保有する加工技術や人財ローテーションの国内外での連携を加速・強化し、成長戦略で掲げた「グローバル強化」に取り組んでまいります。
加工事業につきましては、前年からの構造改革を通し商品構成の改善を一層進め、シャウエッセンをはじめとする重点ブランド等お客様に求められる価値ある商品の提供に努めるとともに、新しい食シーンの創造を通した新カテゴリーと新販路の開拓を進め、収益性の改善に取り組んでまいります。北米において、当事業年度買収したLJD Holdingsグループの製販拡大、アセアンにおいては、CP Foodsとの共創を一層推進することで、海外売上拡大に取り組んでまいります。
食肉事業につきましては、国産鶏肉の増羽とブランド食肉比率向上、国産豚肉の増頭と生産性改善、輸入食肉の在庫管理強化に取り組むとともに、当社グループで生産から手掛けるブランド食肉(国産鶏肉桜姫、国産豚肉麦小町、豪州産牛肉大麦牛ANGUS)の拡販に加え、引き続き好環境が見込まれる豪州牛肉事業の生産強化に取り組んでまいります。
ボールパーク事業につきましては、引き続きボールパークの魅力をさらに高めるイベントやコンテンツづくりに取り組むとともに、中長期的な事業創造として新駅開業を見据えたボールパークを起点とする街づくりにも取り組んでまいります。
2024年度より立ち上げました成長戦略プロジェクトでは、JA全農との包括的な事業連携により畜産業の新たな価値創出と国内畜産業の持続的発展を目指すとともに、たんぱく質の可能性を最大限に引き出す全社R&D戦略により食領域と新領域で新たな価値と未来を創造します。また、当社基幹システム「Connect」導入及びAI活用によりデジタル変革・業務変革を推進してまいります。
<ニッポンハムグループのサステナビリティ戦略とマテリアリティ>
2024年4月に「中期経営計画2026」の策定に合わせて、事業活動を通じて社会課題を解決し、人々の楽しく健やかな生活に貢献し、地球環境との調和を目指すために、サステナビリティ戦略を策定しました。この戦略では、「食べる喜びの提供」、「新たな価値の創出」、「地球環境の保全」、「レジリエントな事業基盤の強化」の4つの柱を設定しました。また、当社を取り巻くビジネス環境の変化やステークホルダーからの期待に応えるため、当社グループの重要課題をマテリアリティとして特定し、サステナビリティ活動を進めていきます。
「サステナビリティ戦略」
「マテリアリティ」
たんぱく質の安定調達・供給
畜産業が抱える課題に真摯に向き合い、人が生きる上で欠かせないたんぱく質を将来にわたり安定的に提供し続けます。
課題 | 施策 | 目指す姿 |
畜肉の安定調達・供給 | 畜肉の安定した供給量の拡大 | 国内産畜肉の販売数量伸長率 2023年度比 104%(2026年度) |
疾病発生の未然防止への継続的取組み | ||
持続可能な畜産の実現 | 農家への支援・共創 ・PIG LABO®、鶏生産事業における技術 指導 | |
・スマート畜産等の新たな技術の開発 と活用 |
食を通した豊かな生活への貢献
世の中の変化を的確に捉えて、お客様の期待を超える商品やサービスを提供します。潜在的なニーズを掘り起こし、常識にとらわれない自由な発想で、新たな「食べる喜び」を創出します。
課題 | 施策 | 目指す姿 |
多様化するライフスタイルや価値観への対応 | 多様なニーズに合わせた商品の開発、提供 | ハム・ソーセージ、加工食品の主要コンシューマ商品のうち Mealin’Good対象製品を50% (2026年度)※ 海外加工品事業売上伸長率 2023年度比 200%(2026年度) |
笑顔あふれる食体験の提供 | ||
日本で培った知見を各国・地域に浸透 | ||
食課題解決への貢献 | 健やかなからだづくりに貢献する商品の開発、提供 |
※「Mealin’Good」はフィーリングッドにミールを掛け合わせ「人も地球も心地よく、より良い毎日へ。」という想いを込めた当社のブランドです。様々な倫理観や価値観に対し選択肢を増やしていくこと、今までの取組みを大切にしながら、もっと人と地球に良いものを提供することを目指しております。
持続可能な地域環境への貢献
自然の恵みや生命の恵みに感謝するとともに、将来世代に豊かな地球環境をつないでいくために、サプライチェーンを通して環境課題の解決に向けて積極的に取り組みます。
課題 | 施策 | 目指す姿 |
気候変動への対応 | 化石燃料由来のCO2削減(Scope1、Scope2) | 化石燃料由来のCO2削減(Scope1、Scope2) 国内 2013年比△ 46%(2030年度) 海外 2021年比△ 24%(2030年度) 国内 2013年比△ 29%(2026年度) 海外 2021年比△ 17%(2026年度) |
家畜由来GHGの抑制、削減、有効活用に関する研究開発 | ||
省資源の推進 | プラスチック使用量削減※ | 2013年比△ 20%(2030年度) 2013年比△ 17%(2026年度) |
※対象範囲:容器包装リサイクル法対象製品のうち、化石燃料由来の包装資材
新たな価値の創出
前例にとらわれず、様々なパートナーとともに、今までにない商品やサービス、体験等新たな価値を創出します。
課題 | 施策 | 目指す姿 |
食とスポーツによる新たな価値の提供 | 北海道ボールパークFビレッジにおける、食品事業とスポーツ事業を核とした街づくりへの取組み | Fビレッジ内の施設・サービスの充実による来場者数及び定住人口の増加(2030年度) |
たんぱく質の可能性を広げる事業の創造 | R&D強化による価値創造 | 事業立ち上げと収益化(2030年度) 商品化に向けての技術確立(2030年 度) |
様々なたんぱく質の可能性の探索 |
挑戦する組織風土の醸成
多様な従業員一人ひとりが主体性を持ち、変革に向かって挑戦し続けることのできる組織風土を醸成します。
課題 | 施策 | 目指す姿 |
変革型経営人財の育成、獲得 | 役員評価項目の見直し、経営者サクセッションプランの強化 | 変革、挑戦、従業員エンゲージメントの取り組み進捗(2030年度) |
多様な人財の活躍推進 | 一人ひとりの挑戦を促し認める仕組みの強化、浸透 | 重点管理項目の進捗(2030年度) |
多様な個が尊重され、生き生きと活躍できる環境づくり |
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