指月電機製作所
【東証スタンダード:6994】「電気機器」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
「我々は人間性を尊重し、環境を大切にする無駄のない物づくりにより、お客様に満足を提供し、社業の発展を通して社会に貢献します」
当社グループでは、上記社是のもと、その実現に向けた活動を進めております。
活動の基軸に、当社グループ独自の統合マネジメントシステムである「∫IΣS(シムス)」を置き、企業理念とビジョンを融合させることにより、当社グループのあるべき姿を描き、その実現を目指しています。
「∫IΣS」は、NPS(※)を源流とした生産面での最大効率を追求する仕組みとなります。この活動により、QCDの不断の向上、3R(Reduce、Reuse、Recycle)活動を推進しております。
「∫IΣS」を含む全体の経営の概念としては、企業が社会の公器である上での大前提となる「企業倫理」を基盤に置き、その上で「∫IΣS」活動を推進することで、ステークホルダー各位への経済的責任を果たすと共に、「安心安全で快適な社会の実現」「持続可能な地球環境の実現」を図ってまいります。
(※)NPS(New Production System)
あらゆる無駄を排除することによって経営効率の向上を図ることを基本思想とし、市場環境の変化にも柔軟・迅速に対応して、最も効率よくモノづくりを推進するマネジメントの手法。
当社グループの経営の概念図
(2)長期経営ビジョン -10年後の指月電機グループのあるべき姿-
2018年度に、当社グループの10年後のあるべき姿を描いた長期経営ビジョンを策定、その実現に向け中期経営計画を展開しております。策定にあたっては、経営者のみならず当社グループの若手・中堅従業員で構成されたワーキングチームが中心となって創り上げたビジョンが基になっております。
長期経営ビジョンの概要
1)長期経営ビジョンの実現に向けた活動
①指月統合マネジメントシステム「∫IΣS」の効率化と進化
当社グループが長年にわたり受け継いできた経営の基本方針である「∫IΣS」の考え方を、生産体制以外の開発、営業、物流へと広げ、改善活動を実施しています。また、生産体制は顧客ニーズを基本としており、変種変量への対応や生産技術を自社保有することで、経営の効率化・進化を進め、「∫IΣS」の基本方針に掲げる、「いかなる環境の変化にも機敏に適応しうる企業体質」をより強固なものとするべく取組んでおります。
※∫IΣS基本方針:指月電機グループの限りなき存続と発展のために、各人の限りある時間と限りなき知恵を駆使して、日常業務遂行の中で創意工夫並びに改善努力を積み重ね、品質の確保と合理性を追求し、如何なる環境の変化にも機敏に適応しうる企業体質を作る。
②「知」の融合の拡大展開
長期経営ビジョンに掲げた「挑戦する社風への変革」を目指し、部門や職種の枠を超えた「知」の融合に取組んでいます。従業員一人ひとりが主体的かつ創造的に挑戦を重ね、その挑戦をこれまで以上に綿密なチームワークで支え合い、活かし合うことができるよう、柔軟で即応性の高いプロジェクトチームの立上げや、挑戦する人材を評価する人事処遇制度の運用によってその活動を支えています。
これらの活動により、グループ全体がワンチームとなり、全員主役の横断型組織を形づくることを目指しています。
2)事業領域と社会的使命
当社グループでは、「安心・安全で快適な社会の実現」「持続可能な地球環境の実現」を社会課題と認識し、その解決を図るために電気に関わる多様なシーンへの製品/システムの販売を行っております。現在の脱炭素/省エネニーズの高まりは、当社グループの目指す方向とも一致しますので、事業力の一層の強化により、社会貢献と会社の持続的成長を実現してまいります。
(3)中期経営計画
長期経営ビジョン(2019~2028年度)に基づく中期経営計画を策定し、推進しております。
第Ⅰ期(2019~2021年度)、第Ⅱ期(2022~2024年度)を通じて“成長性”については一定の成果を得ることができたと考えておりますが、収益性や企業価値の面では、達成ラインに至っていない状況にあると認識しています。
これらを踏まえ、2025年度からスタートした第Ⅲ期(2025~2028年度)では、「企業価値向上に向け 融合からシナジーへ」をテーマに掲げ、前項で述べた「知の融合」をさらに拡大展開し、全社一丸となった組織間連携、能力向上活動により、人的・物的資源の有効活用を促進し、競争力の向上と企業価値向上を目指して事業を推進してまいります。
従来は、各事業の枠組みの中で各々の業務を進めておりましたが、第Ⅲ期ではコンデンサ製品を軸にして、事業毎のメリット・デメリットを踏まえ、互いに良いところを活かし、相互に補完する運営を進めてまいります。
また、当社グループは電力系統の中でデバイスであるコンデンサと、その活用を図るパワエレ装置の技術を保有しておりますが、これまで、その連携が不十分であったと認識しており、第Ⅲ期では、コンデンサとパワエレ装置の技術の融合を図り、革新的なソリューションの構築を進め、次期中期経営計画における事業化を目指してまいります。
<中期経営計画 第Ⅲ期の基本方針>
<中期経営計画の実績と計画>
| 実績 |
| 中期経営計画 |
| 進捗状況 | ||
2018年度 | 2028年度 |
| 2019年度 |
| 2024年度 | ||
成長目標 | 売上高(億円) | 217 | 380 |
| 235 |
| 273 |
収益性 | 営業利益率 | 5.1% | 8% |
| 5.0% |
| 7.3% |
当期純利益率 | 3.2% | 6% |
| 3.0% |
| 4.4% | |
ROE | 3.1% | 8% |
| 3.1% |
| 5.2% | |
株価 | PBR | 0.9 | 1倍以上 |
| 0.66 |
| 0.45 |
株主還元 | 配当性向 | 52.1% | 30%以上 |
| 51.5% |
| 29.6% |
(4)対処すべき課題
当社グループが対処すべき課題は以下のとおりであります。
1)事業ポートフォリオ戦略
中期経営計画 第Ⅱ期まではシェアの維持・拡大を戦略の基本方針としておりましたが、これは、当社グループの対応市場においては、シェアの保有がビジネスチャンスの拡大につながるとの判断によるもので、市場規模・案件数の増大を前提とした戦略でした。
第Ⅲ期では、その後の事業環境の変化を踏まえ、あらためて当社グループの目指すべきポジションを明確にし、その達成のための課題に対して、最適な資源配分と既存資産や資源の有効活用により実現を図ることが、重要なポイントになると考えております。
xEV市場においては市場環境が混沌としてきており、第Ⅱ期後半に至っては、顧客の発注台数が当初の企画台数を大幅に下回る事態が頻発し、そのために投資回収が進まない状況が発生しております。
一方、産業市場や、電力・環境省エネ市場では、生成AI・データセンター関連や、それに伴う半導体製造関連投資の増加により電力需要自体が増加していくことで、当社グループが対応する市場領域も市場規模が拡大し、それに伴う競争の激化が想定されます。この市場の構造変化に対応するためには、技術力の向上による競争力の強化が必要となってきます。
以上を踏まえ、コンデンサ・モジュールでは、コンデンサ事業トータルでの事業効率を最大化するべく、xEV事業と産業機器事業を統合し、持続的な成長性が見込める市場へ注力することにより、収益への貢献度を高めてまいります。同時に、事業環境の変化に沿った技術の高度化を継続的に進めるとともに、製品開発に留まらず、品質向上・生産性改善も含めたモノづくり全般での対応力を強化してまいります。
また、電力機器システムでは、外部環境として脱炭素社会に向けたエネルギーミックスの変化や電力ネットワークの次世代化、次世代パワー半導体の適用が加速しています。第Ⅲ期においては、コンデンサとの機能統合を図り、エネルギーマネジメントにおける革新的なソリューションビジネスを確立し、次期中期経営計画での事業化を目指し取組んでまいります。
2)持続的成長のための体制強化
各事業における中期経営計画の達成を目指し、必要な運営体制と生産体制を確保するために、環境変化に対応可能な強靭な経営体質の構築を図ってまいります。
中期経営計画第Ⅲ期では、新規事業分野への人員確保と、生産能力の拡充が必須であり、持続的成長を目指した人材確保が必要となりますが、単なる人員確保ではなく個々人の能力向上を進めていくことが重要であり、さらに各人が持つノウハウを所属部門の枠を超えて展開することで、組織間連携をより強固なものとし、そこで生まれるシナジーが事業基盤を強化するものと考えております。
また、一方で、人員や設備増加に依存しない生産改善にも並行して取組みます。これは当社グループの経営の基本方針である∫IΣS(シムス)を拡大展開して進めてまいります。具体的には、業務効率の改善やDX化・AI導入・自働化の推進の他、ものづくり以外の業務も含めた不良の撲滅、さらに、サプライチェーンリスクへの対応に至るまで、環境変化に機敏に適応できる体制の強化を進めてまいります。
3)ROE経営の推進
業績目標については、中期経営計画第Ⅱ期で目標値の途上にある利益率、株主資本コスト上回るROEの改善が急務と認識しております。ここ数期間は、操業度の低下、部材価格の高騰等が収益力を圧迫しておりましたが、2024年度に至り、サプライチェーンにおける価格適正化や生産性改善への取組みの成果が業績値につながり始め、ROEは5.2%まで回復致しました。現状の株主資本コストは7%~8%と認識しており、これを上回る価値を創出できるよう、まずは中期経営計画第Ⅲ期の2028年度にROE8%の達成を目指し、引き続き収益改善に向けた取組を強化してまいります。
加えて、当期純利益率の改善に向けては、事業ポートフォリオの継続的な見直しと製品競争力の強化を進めてまいります。総資産回転率の向上面では、既存設備の有効活用に加え、拠点を越えた生産による設備稼働率の向上を進め、総資産の増加抑制を基本と致します。また、財務レバレッジに着目した活動として、資金効率の改善、株主様への安定配当及び配当性向30%以上を堅持しつつ、DOEを意識した配当での還元を進めてまいります。
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