広栄化学
【東証スタンダード:4367】「化学」
へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、長年培ってきた含窒素有機化合物群におけるコアテクノロジーをさらに進化させるほか、新たなコアテクノロジーの確立を図ることにより、新しい柱としての基幹化合物、機能製品、気相製品を創出し、高付加価値高機能製品を提供してまいります。これらを通じて社会の発展に貢献するとともに、株主の皆様のために公正な収益活動を営み、併せて地域社会と協調し、あらゆる取引先等の信頼と期待に応え、また従業員にとりまして働きがい、生きがいの感じられる企業を目指します。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
当社を取り巻く環境
今後の見通しにつきましては、米国の政策転換、不安定な為替相場や長引く紛争、地政学リスクの顕在化など、今後も不透明な経営環境が続くものと予想されます。
このような状況の中、当社製品の需要は、触媒関連製品について徐々に回復していくことを見込んでおります。当社は引き続き売価改定や拡販に取り組み収益の確保を図り、中期経営計画に掲げたスローガン『変革への挑戦』KX2027のもと、「収益力強化」「事業成長加速」「経営基盤強化」に取り組むことでイノベーションを加速し、企業価値向上に繋げてまいります。
前中期経営計画(2022年度-2024年度)振り返り
前中期経営計画における当社の事業環境は、医農薬中間体ビジネスが堅調に推移しましたものの有機金属触媒関連製品や電子材料関連製品の一部分野において需要回復の遅れなどもあり、前述の通り当初計画した利益水準を達成することが出来ませんでした。その結果、経営目標であるROICは8%達成を目標としてまいりましたが、2024年度実績は1%に止まり大幅未達となりました。各種のアクションプランは一定の成果を上げることができました。
前中期経営計画業績推移
※EBITDA:金利・税金・償却前利益
(Earnings before interest, taxes, depreciation and amortization)
経営指標推移
※ROIC :投下資本利益率 (Return on invested capital)
※CCC :現金循環化日数(Cash conversion cycle)
前中期経営計画アクションプラン
中期経営計画(2025年度-2027年度)
本中期経営計画は、(1)収益力強化、(2)事業成長加速、(3)経営基盤強化を基本方針として全社一丸となって推進しROIC8%達成を再チャレンジしてまいります。
業績目標は、医農薬中間体ビジネスの継続受注に加えて有機金属触媒関連製品の需要回復や住友化学グループシナジー(光学材料製品)の拡大を見込んでおり、2027年度は売上高247億円、営業利益33億円を計画しています。また、新製品売上高比率は現状程度の30%維持を目指し、製品ポートフォリオの充実を図ってまいります
KOEI Vision 2030の達成に向けて、カーボンニュートラル関連製品や住友化学グループシナジーにおける医薬中間体の伸長、イオン液体製品の用途拡大も期待していますが、その効果は2028年度以降に大きくなるものとみております。
業績目標
<基本方針>
(1)収益力強化
収益力強化は、採算是正・コスト合理化の基本的な取り組みをベースに機能製品/新規事業拡大、基盤事業再構築及び製品ポートフォリオ見直しを重点課題として取り組んでまいります。
また、当社の独創的技術に一層の磨きをかけ自社開発品や高付加価値製品創出にチャレンジしてまいります。
① マルチプラント生産品目拡販
当社マルチプラント群(CMⅠ~Ⅳ,パイロットプラント)は、それぞれに多彩な特徴があり複雑な工程でも各プラントを有機的に組み合わせることにより、効率的且つ柔軟な供給体制を提供することができ、有機金属触媒関連製品及び光学材料製品等の拡販を目指してまいります。
② アミン事業競争力強化
当社アミンプラント再構築及び国内外メーカーとの協業強化により生産体制の最適化に向け取り組みを推進しております。当社アミンプラント再構築は2017年に検討を開始して以来計画的に実施しており2027年に概ね完了の見込みです。
一方、アミンビジネスは、既存製品の抜本的な採算性改善、新規受託案件の獲得及びCO2吸収アミンの拡販に向け取り組みを加速しております。
③ 気相プラント将来計画
当社の得意な気相/アミン生産技術を融合させることでCO2吸収アミンの量産化を鋭意検討しております。将来的には既存製品をCO2吸収アミンへ置き換える等、製品ポートフォリオ見直しを積極的に推進しております。
一方、これら気相プラントは他プラントに比べCO2排出量が非常に多く、収益性のみならずCO2排出量削減の観点も踏まえ、中長期的な課題として最適生産体制を検討してまいります。
(2)事業成長加速
事業成長加速は、有機金属触媒関連製品の事業拡大とカーボンニュートラル関連製品(CO2吸収アミン)の受託ビジネス拡大及び自社製品開発を、当社の中長期成長ドライバーとして位置付け一層の経営資源の投入を図ってまいります。また、住友化学グループとのシナジーによる新製品開発も加速してまいります。
① 有機金属触媒関連製品
足元では主要石油化学メーカーの需要回復が遅れていますが、世界市場規模では今後増加していくと予想しております。当社は高い技術力とサプライヤーとしての信頼が厚く新規開発品目の要望も増加しており、2025年度以降の当社業績に寄与するものと期待しています。
② カーボンニュートラル関連製品
当社はアミン化合物の製造・開発力に強みがあり、CO2吸収アミンの供給を通じて2050年のカーボンニュートラル実現に貢献したいと考えています。また、自社製品開発を加速する為に、2024年に千葉研究所にCO2吸脱着評価システムを導入致しました。当社が有する100種類を超えるアミン化合物ライブラリーや独自開発したアミン化合物の評価を実施し、特にDAC(Direct Air Capture)用に性能の高いアミン化合物を顧客に提案していく取り組みをスタートさせています。現時点では研究開発段階の案件が多く2028年度以降にビジネスが急拡大する見込みです。
(3)経営基盤強化
本中期経営計画は、①社員エンゲージメント向上(EX)、②デジタル革新(DX)、③サステナビリティ革新(SX)を重点的に取り組むと共に、前中期経営計画で基盤を構築したマネジメント革新(MX)及びガバナンス革新(GX)を継続実施することで企業価値向上を目指してまいります。
① 社員エンゲージメント向上(EX)
事業を推進するのはヒトであり、社員エンゲージメント向上なくしてKOEI Vision 2030の目標達成はあり得ないと考えております。本中期経営計画では、当社独自に社員エンゲージメント指標(2027年度:4.0以上)を設定し、毎年モニタリングすることで向上策を検討・実施し社員エンゲージメント向上を図ってまいります。
※社員エンゲージメント指標:従業員意識調査の総合指標10項目の平均値
② デジタル革新(DX)
生産性向上及び競争力強化を図るべくPlant, R&D, SCM, Officeの4領域に分けデ ジタル革新を推進しております。本中期経営計画ではこれまでの取り組みをさらに深化させ「One KOEI Platformの拡充と高度活用」、「AIを活用した生産性の向上」、「デジタル人材の育成」を中心に進めてまいります。
※One KOEI Platform:全社情報共有基盤
③ サステナビリティ革新(SX)
当社は、住友化学グループの一員として、持続的な価値創造のための重要課題であるマテリアリティを共有しており、経済価値・社会価値を一体的に創出し持続的な成長とサステナブルな社会の実現により企業価値向上を目指してまいります。
その取り組み状況の進捗管理と開示、改善、加速に繋げていくことを目的に、主要取り組み指標「KPI」を設定しておりますが、本中期経営計画の策定に際して、当社のサステナビリティ活動強化やその反映のためにより相応しいKPI項目の見直しと新設を行いました。
また、TCFD提言の枠組みに沿った情報開示について、現時点で当社(スタンダード市場上場)は、義務化の対象外でありますが先行して対応することでプレゼンスの維持・向上を図ってまいります。
※TCFD: 気候関連財務情報開示タスクフォース
- 検索
- 業種別業績ランキング