平田機工
【東証プライム:6258】「機械」
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企業概要
文中における将来に関する事項の記載は、本書提出日(2025年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、「我々は勇敢に技術革新を追求し 人格を養い能力を高め社会の発展に寄与する」という創業の精神(綱領)に基づきながら、時代時代で生まれてくるお客さまの製品と同様に、当社グループも常に、新しい技術への挑戦と革新を続けることで、時代の変化に対応してきました。また、新しい市場、お客さま、製品技術に関わることで、当社グループの成長につなげるとともに、世界中での仕事を通じて個人の見聞を広げ、個人の能力を高め、世界で競争できる能力を高めてまいりました。
2022年度以降は、長期的な経営方針として、「人技幸献」というスローガンを掲げております。これは「Hirataに関わるすべての人を幸福にするとともに、社会に技術で貢献する」という意味であり、 Hirataは技術があってこそ、技術は人があってこそ、Hirataは働く社員の幸せがあってこそ存在するということを表現したものでもあります。さらに、2025年度から始まる新中期経営計画(2025-2027年度)においては、お客様の次世代製品に対応し、お客様と当社双方の利益の最大化を目指す「設備革新による利益の最大化」をスローガンとして掲げております。
このような経営方針のもと、今後もあらゆるステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを深めながら、企業の持続的な成長に向けて取組んでまいります。
(2)外部環境認識
当社グループが成長市場と位置付けている市場への設備投資は、足元の変動はありながらも拡大傾向にあります。自動車市場については、EV投資に減速感が見られるものの、各自動車メーカーの全方位的な戦略により、ICE(内燃機関)への継続的な設備投資や国内市場におけるEV向けバッテリーへの設備投資は活発化しています。半導体市場については、生成AI関連の需要が牽引し、技術の急速な進化に伴う高集積化などにより、市場の拡大が続くと見込まれます。これらの外部環境を踏まえ、自動化・省人化ソリューションに対する期待はさらに高まると認識しておりますが、米国政権によるインフレ抑制法(IRA)に基づく支出の見直しや関税政策の変更などが今後の設備投資に与える影響は不透明です。
そのような市場変化の一方で、エネルギー価格の高騰や物価上昇、為替変動の影響は、当社事業における調達品価格と人件費の上昇、人材確保に影響を及ぼしており、収益性の向上に向けた重要な事項と認識しております。持続可能な経済社会の実現に向けた対応策として、調達品価格の上昇に対してはサプライヤーさまとの共存共栄を目指し価格転嫁を受け入れるとともに、受注価格に対しては付加価値向上に見合った適正価格の実現や適正な取引関係の構築に取組んでおります。また、人件費の上昇、人材確保については、物価高騰を上回る賃金改定を実施し、事業戦略を支えるための人的資本への積極的な投資を推進しております。
(3)中期経営計画の取組み
①中期経営計画(2022年度~2024年度)の実績
中期経営計画(2022年度~2024年度)においては、当社グループとしての経営基盤を固め、既存事業で利益を出しながら、成長市場でのビジネス拡大を図る3年間と位置付け、2025年3月期の売上高1,000億円、営業利益100億円、営業利益率10%、ROE11%を数値目標に掲げてきました。本中期経営計画の数値目標に対して、当期は売上高884億83百万円、営業利益68億98百万円、営業利益率7.8%、ROE7.2%となりました。なお、加重平均資本コスト(WACC)6.0%に対して投下資本利益率(ROIC)は4.6%となり、前期に比べ、営業利益は増加し売上債権は減少したものの、資本コストを上回る改善には至りませんでした。セグメント別の実績は、次のとおりです。
2022~2024年度セグメント別の売上高・営業利益の目標と実績 (単位:億円)
| セグメント | 中計最終年度 目標 (2024年度) | 1年目実績 (2022年度) | 2年目実績 (2023年度) | 最終年度実績 (2024年度) |
売上高 | 自動車関連 | 400 | 302 | 369 | 430 |
半導体関連 | 400 | 289 | 273 | 301 | |
その他自動省力機器 | 200 | 169 | 160 | 130 | |
その他(消去含む) | 22 | 23 | 21 | ||
合計 | 1,000 | 784 | 828 | 884 | |
営業利益 (営業利益率) | 自動車関連 | 20 (5%) | 15.5 (5.1%) | 16.5 (4.5%) | 41.9 (9.7%) |
半導体関連 | 60 (15%) | 34.4 (11.9%) | 44.5 (16.2%) | 28.5 (9.5%) | |
その他自動省力機器 | 20 (10%) | 9.3 (5.5%) | 1.1 (0.7%) | △1.0 (△0.8%) | |
その他(消去含む) | △0.1 (△0.7%) | △1.7 (△7.3%) | △0.5 (△2.4%) | ||
合計 | 100 (10%) | 59.2 (7.5%) | 60.4 (7.3%) | 68.9 (7.8%) |
各セグメントの業績について、自動車関連では、EVおよびICE双方において変動する需要を取込むことで、売上高・営業利益ともに数値目標を達成しました。しかしながら、高い利益率を維持しつつ、さらなる成長を実現することが重要な課題であると認識しております。一方で、半導体関連においては、市場における需要増加に対応するための生産体制の整備が遅れた結果、十分な量産効果を得ることができませんでした。加えて、原価上昇の影響も重なり、売上高・営業利益ともに数値目標を下回る結果となりました。今後は顧客価値の最大化に向けたより一層の生産体制の強化が喫緊の課題となっております。その他自動省力機器においても、顧客による投資延期等の影響を受け、売上高・営業利益ともに目標達成には至りませんでした。これらの課題を踏まえ、短中期的に高利益体質を実現し、ビジネス領域を拡大する戦略を新中期経営計画として策定しました。
(注)当社ではこれまで投下資本利益率(ROIC)の分子を営業利益ベースで算出しておりましたが、資本効率を評価する上でNOPAT(税引後営業利益)ベースがより適切であると判断し、2025年3月期以降はNOPATベースを採用することとしました。
②新中期経営計画の策定
高利益体質の実現とビジネス領域の拡大を図り、持続的・安定的な利益創出を目的とした、2025年度を開始年度とする新中期経営計画(2025-2027年度)を策定しました。2028年3月期の営業利益100億円以上、ROE9.3%以上の達成に加え、計画期間中において売上高年平均成長率(CAGR)6~8%の実現を目指す目標を掲げております。また、事業戦略の着実な遂行に向け、人事・知財・IT/DX・ガバナンス・サステナビリティの各機能の充実を本中計期間内で図っていきます。
<本中計の位置づけ>
当社グループは「設備革新による利益の最大化」をスローガンに掲げ、お客様の次世代製品に確実に対応するための革新を推進します。自動車セグメントでは全方位的なニーズに応え、半導体セグメントでは製造技術の進化に柔軟に対応することで、お客様と当社双方の利益を最大化することに全力を尽くします。設備革新は私たちの成長の原動力であり、未来の製造業の発展に寄与するものと考えております。
新中期経営計画の実現に向けた5つの戦略の柱は以下のとおりです。
1)半導体関連事業における事業規模の拡大
中長期的な半導体需要の拡大による、お客様の生産拠点のグローバル化に追従すべく、当社グループでの営業、生産、販売、サービス体制の強化と、半導体業界の技術革新を見据えた製品開発を推進し、さらなる事業規模の拡大を図る。
半導体関連事業の基本戦略
A.需要増に応え得る高品質な量産製品の安定供給
B.既存顧客への当社設備の採用・範囲拡大に向けた営業推進
C.市場の技術進化に応じた対応領域の拡充
半導体関連事業の2027年度目標
・生産能力 50%増(各製品の台数ベース)
・海外での生産拠点 +2拠点(2024年度対比)
2)受注生産ビジネスにおける収益性の強化
培ってきた強みを活かし、地域や案件の選択と集中、エンジニアリングを重視したビジネスの展開、資本効率の改善によって、受注生産ビジネスにおいての収益性を強化する。
自動車関連事業の基本戦略
A.案件・地域の選択と集中
B.エンジニアリング中心の業務へのシフト
自動車関連事業の2027年度目標
・自動車セグメントの連結営業利益率10%以上
・CCC 20%短縮(2024年度対比)
3)収益基盤のさらなる強化
コスト構造の最適化や経営・財務基盤強化を推進し、中長期的に高いROEを実現させる。
A.経営基盤強化
利益率向上に寄与するKPIを高頻度で確認し改善を講じる。
B.財務基盤強化
営業キャッシュ・フローの改善を図ることで、成長投資確保と株主還元拡大を両立させる。
<2025-2027年度(3か年合計)のキャッシュ・アロケーション方針>
・R&D投資前営業キャッシュ・フロー150億円
・成長投資として設備投資60億円、R&D投資50億円
・連結配当性向の目安35%
さらに、持続可能な成長投資と中長期的な企業価値向上を実現するため、資本効率を意識したバランスシートを構築することを目指す。
C.コスト構造の最適化
コストダウン活動が全社として推進され、削減効果がモニタリング出来ている状態を目指す。
4)量産ビジネスの拡大
当社の技術資産を活用して、幅広い産業の顧客ニーズに応える量産製品を創出、販売することで、既存事業の高収益化と新規事業創出を目指し、これらを実現するための部門横断体制の強化を図る。
A.製品の標準化推進に向けた体制・プロセスの整備
B.量産製品の拡充に向けた開発の促進
5)新規ビジネスの事業部化
Hirataの培ってきたノウハウ・強みをベースに、M&Aや戦略的なアライアンスを選択肢の一つとし、新規ビジネスの確立を目指す。
A.2027年度までに各分野で売上高50億円以上を目指す事業として、バッテリー事業、制御盤事業、電動化部品事業
B.新規ビジネスとして育む分野として、生物遺伝資源、集束超音波(HIFU)がん治療装置
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