企業兼大株主帝人東証プライム:3401】「繊維製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 帝人グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において帝人グループが判断したものです。

(1) 帝人グループが目指す姿

 帝人グループは、2024年4月に、帝人グループのパーパス(存在意義)を明確化し、実行力を高めることを目的に、帝人グループのパーパス「Pioneering solutions together for a healthy planet」を策定しました。このパーパスは、帝人グループの過去や現在、未来について全社を挙げて議論を重ねた結果洗い出された、帝人グループが大切にしてきた価値観そのものであり、美しい地球に人々がいつまでも暮らし続けるためのソリューションの提供に挑戦する会社でありたいという社員の想いが強く反映されています。

[パーパスに込めた想い]

Pioneering

帝人グループが100年以上の歴史の中で常にパイオニアであり続け、行動的で、先見性があり、イノベーションを生んできたことを誇りに思い、今後もそのアントレプレナーシップを引き継いでいきたいという想いが込められています。

Solutions

市場のニーズを満たす製品やサービスだけでなく、帝人の持つ科学の力を使って、社会課題に対する解決策(=ソリューション)も提供するという意気込みが表現されています。

Together

互いの違いや多様性を尊重して社員が力を合わせ、社外のパートナーと協力し、顧客を含む社外のさまざまなステークホルダーから共感され続ける存在でありたいという想いが込められています。

Healthy Planet

地球環境と、そこに住む人々やあらゆる生命に寄り添い、その健康や安全を願う想いが込められています。

 帝人グループでは、このパーパスに併せて、3つのバリュー「①すべての挑戦をリスペクトします、②多様な仲間と専門性を活かして成長します、③地球とあらゆる生命に寄り添い、守ります」を設定しています。パーパスを軸に、バリューを重視することで、帝人グループの長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」(モビリティ、インフラ&インダストリアル領域:「地球の健康を優先し、環境を守り、循環型社会を支える会社」、ヘルスケア領域:「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」)を目指していきます。

(2) 中期経営計画

 当社は、2024年5月に「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」を公表し、当社の対処すべき課題として、①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復、②事業ポートフォリオ変革、③グローバル経営基盤の強化、の3つを掲げ、成長軌道に回帰するため、これらの課題に対して強い決意を持って取り組んでいます。

①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復

 2024年度は、2023年度から進める収益性改善の完遂による基礎収益力の回復に向けて、以下の施策に重点的に取り組み、複合成形材料の北米事業における労働生産性の改善や価格改定効果の発現、アラミド事業における安定供給体制の確立やヘルスケア事業における固定費削減効果の前倒し発現、国内での「ネクストキャリア支援制度」(早期退職優遇制度)を含む固定費削減の実行等、一定の成果を上げました。

 一方、欧州や中国を中心としたグローバルでの景気減速による需要低迷や市場競争環境の激化影響を受けたアラミド事業や炭素繊維事業に加え、薬価改定や後発品の浸透加速の影響を受けたヘルスケア事業は基礎収益力を十分に回復することができず、その収益力改善が2025年度の新たな課題として残りました。

 [主な施策と進捗状況]

2024-2025年度 主な施策

進捗状況

(複合成形材料事業)

■生産安定化を含む更なる改善

■労働生産性の改善や価格改定による収益性改善

■高採算新規プログラムの安定立上げに伴う販売増

■北米事業の業績大幅改善と事業売却の決定

(アラミド事業)

 ■確立した安定供給体制によりマーケットシェアを奪回

 ■設備・運転・保全面でのコーポレート支援継続

■安定供給体制の確立

 ■光ファイバー用途では競合影響を受けるも、タイヤ用途・防弾防護用途では高いシェアを維持

■サステナビリティ施策は順調に推進中

■コーポレート支援による設備管理体制の強化

(ヘルスケア事業)

 ■希少疾患3製品の国内早期上市に向けた準備

 ■固定費削減目標(2025年度:50億円)の確実な達成

■希少疾患3製品の開発は何れも着実に進捗

 ■在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした成長戦略「希少疾患治療+在宅医療」に最適な組織への転換を推進

 ■固定費削減は前倒しで進捗・発現しており、2025年度に効果がフル発現し、効果は目標の50億円を上回る見通し

(固定費削減)

 ■国内での「ネクストキャリア支援制度(早期退職優遇制度:150人)」を含む固定費削減目標(2025年度:40億円)の確実な達成

 ■国内での「ネクストキャリア支援制度」を実行。2025年度に削減効果がフル発現し、40億円の目標を達成する見通し

 [対処すべき課題]

収益性改善のための施策

(アラミド事業)

 ■欧州、中国を中心とする景気低迷や光ファイバー用途での厳しい競争環境により一時的に低迷。厳しい環境下でも十分に「稼ぐ」力を発揮できる最適生産体制への移行及びコスト削減

(炭素繊維事業)

■航空機用途以外での厳しい競争環境を前提とした最適生産体制への移行及びコスト削減

■収益性を軸としたビジネスの取捨選択を徹底

(ヘルスケア事業)

■KPI徹底による主要4製品(HOT、CPAP、糖尿病治療剤、「オスタバロ」)の収益極大化

■固定費削減目標(2025年度:50億円)の確実な達成と更なる削減の追求

②事業ポートフォリオ変革

 2026年度以降の次期中期経営計画期間において、変革後の事業ポートフォリオによる成長を実現していくために、今中期経営計画においては、不採算事業・非注力事業の戦略的オプションを実行し、運営する事業を絞るとともに、重要産業セクターとして設定したモビリティ、インフラ&インダストリアル、ヘルスケアの領域での成長に向けた取り組みを推進しています。具体的には、素材や製品単体を提供する事業から、繊維・製品事業が持つ先端素材開発から生産・販売まで垂直統合した強固なサプライチェーンや在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした顧客に寄り添った提供価値主体の事業へと変革を進めています。2024年度は、不採算事業や非注力事業の事業売却等を強力に推進しました。2024年10月には電子コミックを手掛けるインフォコム株式会社の売却を完了させるとともに、近年業績が低迷していた複合成形材料の北米事業に関しても、2025年3月にTeijin Automotive Technologies NA Holdings Corp.の株式譲渡契約を締結し、譲渡完了に向けた対応を進めています。加えて、コーポレート新事業でもビオリエ・ニュートラシューティカルビジネスからの撤退や帝人ナカシマメディカル株式会社の株式譲渡を決定し、事業の絞り込みを進めています。また、持続的に成長戦略を推進するためにはそれを支える既存事業の収益力の維持・拡大が必要であり、他社との提携を含む様々な選択肢を検討しています。

2025年度は、2026年度以降に大きく羽ばたくための準備期間として、絞り込んだ事業を中心に今後、どの様に成長していくかの具体的な方策を追求していきます。

 [対処すべき課題]

成長戦略の具現化のための施策

 ■既存事業における収益拡大を目指し、業界再編や川中・川下領域への展開を含む他社との提携を模索。また、スペシャリティ製品の競争優位性を確保しつつ、製品がコモディティ化しても勝てる事業にもなるべく事業構造の転換を模索

 ■マテリアル事業領域や繊維・製品事業を中心とした事業間シナジーを追求し、価値提供を軸とする事業展開を模索

■重要産業セクターにおけるM&Aの具体化に向けた検討

③グローバル経営基盤の強化

 事業ポートフォリオ変革に併せて、グローバル経営基盤を強化し、パーパスを軸とした実行力の向上を目指すため、今中期経営計画においては特に、ガバナンス面で「グローバル企業・多角化企業に最適化されたガバナンス体制の確立」、生産・製造技術面で「国内外の知見・技術の融合による設備・運転・保全レベルの進化」、人的資本の面で「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」の課題に取り組んでいます。

2024年度は、パーパスやバリューをただの標語とせず、社員一人ひとりの具体的な行動に落とし込む「マイアクション」活動を推進しました。全社員へ浸透させることで、パーパスやバリューを確実に体現する体制や組織風土を醸成し、帝人グループならではの価値を社会に提供していきます。ガバナンス体制の強化策としては、意思決定の迅速化や取締役会における経営上の重要課題の議論の一層の充実化を目的に、監査等委員会設置会社への移行を決定しました。また、技術戦略管掌やデジタル・情報システム管掌を新規に設置するなど、経営課題に対応した管掌機能を再編することで、グローバル経営体制の強化を図っています。人的資本戦略としては、グローバルでの「適所適材」の実現のため、海外拠点への異動も可能とする社内公募制度「グローバルジョブポスティング制度」の導入や職務に基づく処遇を実現するため、経営管理職に対するジョブ型制度を導入するなど、計画した施策を着実に実行しました。そのほか、生産・製造技術の向上やサステナビリティへの取り組みも順調に進めております。

2025年度は、2024年度に実施した戦略的オプションや次期中期計画を踏まえた組織体制の最適化をより一層、進めていきます。

 [対処すべき課題]

グローバル経営基盤の強化に向けた施策

 ■2024年度に実施した戦略的オプションや、次期中期経営計画を踏まえた最適な組織体制の検討(グループ横断的な横串機能の最適化等)

 2024年度は複数の戦略的オプションの実行による事業ポートフォリオ変革や機関設計の変更決定などを力強く推し進め、将来の成長に向けた基盤を整備した1年となりました。2025年度も引き続き、マテリアル事業領域では、アラミド事業や炭素繊維事業などで最適生産体制の整備を進め、状況の変化にレジリエントに対応していくとともに、構造改革を進めます。また、ヘルスケア事業では、在宅医療事業の基盤を活かした成長戦略の中で、2023年11月に導入した希少疾患製品(ホルモン治療薬 3剤)を、早期に市場投入できるよう着実に準備を進めます。

 2025年度の業績予想は、事業利益350億円、税後事業利益ROIC3%、ROE3% (IFRSベース)となる見込みです。今中期経営計画の目標である2025年度ROE6%以上を下回りますが、2026年度から始まる次期中期経営計画期間における成長、発展のための1年と位置付け、成長基盤整備および施策の完遂を目指します。

 また、2025年度は、次期中期経営計画を策定する年となります。基礎収益力の拡大を図るのは自明のこととして、先端素材など、スペシャリティ製品の「品質」を武器に勝負するメーカーから、顧客の課題を深く理解した価値やサービスの提供ができる、「素材やヘルスケア製品の枠を超えた課題解決のパートナー」にもなるべく成長を図り、どの様な製品でも「稼ぐ力」を備える会社へと移行するための計画を策定する予定です。また、我々帝人グループには変革に対するスピードが必要であることを認識しています。計画策定途上であっても我々の目的に合致した戦略については、慎重な判断のもとスピード感を持って実行していきます。

 帝人グループは、投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応えられる持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、早期にROE10%以上、PBR1倍以上の達成を目指していきます。

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