企業兼大株主島津製作所東証プライム:7701】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活かし、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供、それを基にした社会課題解決の仕組み作りを行い、ステークホルダーからの信頼の獲得と、企業価値の向上に努めています。

 また、社是・経営理念に基づく事業活動を通してサステナブルな社会を実現するために、「島津グループサステナビリティ憲章」を制定しました。グループ全体で、「地球環境とグローバル社会の持続可能性」、「島津グループの事業活動の持続と成長」、「従業員の健康とエンゲージメントの向上」を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。

 これからも、地球・社会・人との調和を図りながら、“事業を通じた社会課題の解決”と“社会の一員としての責任ある活動”の両輪で企業活動を行い、明るい未来を創造します。

(2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題

1) 経営環境および中期的な成長戦略

 世界的な物価高と金融引き締めによる景気下振れリスクの拡大や、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、米中対立の激化などにより依然事業環境は厳しい状況にあります。

 世界では新型コロナウイルスとの戦いを経て人の命と健康への意識が高まり、また、気候変動の影響を社会課題として捉え対策を行う動きが加速しています。当社は、これらの課題解決に貢献すべく、「人と地球の健康」の追求を掲げ、事業活動を強化します。

 今年度から開始した新中期経営計画において、「人の命と健康への貢献」、「地球の健康への貢献」、「産業の発展、安心・安全な社会の実現への貢献」を当社のミッションとし、そのミッションを果たす事業領域をヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーと定め、当社の技術開発力と社会実装力の両輪で課題解決に貢献し、持続的な成長を目指します。

2) 2023-2025 中期経営計画の取り組み

 新中期経営計画では、お客様中心の課題解決型企業への変革を進めるとともに、事業と社員の成長を目指します。世界のお客様の目指すところに耳を傾け、課題を先取りし、実現のための課題を解決するための体制を築くべく、「世界のパートナーと共に社会課題を解決するイノベーティブカンパニーへ」を新中期経営計画のコンセプトとしています。そして技術開発力と社会実装力を両輪とし、お客様にトータルソリューションを提供することで、持続的な成長を目指すことを基本方針として取り組みます。具体的には、以下の5つの事業戦略と7つの経営基盤強化策を実行します。

3) 5つの事業戦略

① 重点事業の強化

 ヘルスケア領域では、液体クロマトグラフ(LC)、質量分析システム(MS)で、トータルソリューション提供を目指します。基幹製品の競争力を強化するとともに、お客様が行われる分析プロセス全体の自動化、AIの活用、インフォマティクスとの融合による効率化を追求し、求められるデータを提供する体制を構築します。

 グリーン領域では、バイオモノづくり、水素の社会実装、代替エネルギー、CO2利活用分野で高速分析を実現し、計測トータルソリューションの提供に貢献します。

 マテリアル領域では、試験機等の計測機器の自動化とインフォマティクスを用いた複合計測・解析により革新素材開発・製造へ貢献します。

 また、これらの領域では、お客様の要望をもとに製品開発に取り組み、開発段階から標準化を指向していきます。産学官連携を通じて、特に海外市場においてお客様と協働して市場拡大を目指します。

 インダストリー領域では、半導体分野でターボ分子ポンプのトップシェアを維持し、油圧機器は電動化技術と組み合わせ、周辺機器を合せて生産プロセスの効率向上に貢献する新たな価値を提供します。

② メドテック事業の強化

 健康長寿に向け、健康管理、検査、診断、治療、予後管理において、成分分析や画像解析技術等を用いたソリューションの提供をメドテック事業と位置づけます。メドテック事業では、AI、IoTによるX線画像解析技術のトランスフォメーションと、メカトロニクス技術で医療への更なる貢献を目指します。質量分析システム、培地関連技術、微生物検査技術を強化し幅広い商品とサービスを臨床検査領域に提供していきます。分析技術の向上により超早期検査を実現し、病気の可能性がある場合にはX線技術を使って診断することを可能としていきます。これらを臨床プラットフォームとして、さらに試薬等の商品を拡大しトータルソリューションの提供を目指していきます。

③ 海外事業の拡大

 最重要地域として北米を中心に、世界各地で事業拡大を図ります。北米では、LC、MSの先進技術を有する重要顧客との共同研究・開発の推進を目的に北米R&Dセンターを開設します。さらに米国東西に開発センターを設置し、製薬分野等のお客様と協働してメソッド開発を行う機能を拡充します。またアプリケーション開発力、サービス対応力も強化して成長を図ります。

 その他の地域では、市場特性に応じて、拡大する事業に対応した最適なトータルサポートを提供できる体制を整備します。

④ リカーリングビジネスの強化、拡大

 保守部品・メンテナンスと、試薬・消耗品の両輪でビジネスを拡大します。DX、IoTを使ったリモートモニタリング機能や、ソフトウェアを定額で提供するサブスクリプションサービスで、顧客のメリットを訴求していきます。また、試薬、培地、カラムなどの消耗品ビジネスの拡大も目指します。グループ会社と連携し、試薬と消耗品の開発力を強化していきます。またサービス体制の強化と、検査機関等とのパートナーシップにより社会実装を進めていきます。

⑤ 新事業・将来事業の創出

 臨床検査プラットフォームや自律型実験システム、がん治療支援、銅加工技術、感性計測システム等でオンリーワン技術、ナンバーワンソリューションをお客様と開発し新技術・新事業の創出を目指します。長期視点では、量子技術や光技術を用いた新たな計測、インフォマティクスとの融合による材料開発支援などで将来事業の創出に取り組みます。

4) 7つの経営基盤強化策

 事業戦略の実現を支える経営基盤の強化策として「ガバナンスの強化」、「開発スピード強化」、「国際標準化・規制対応力の強化」、「グローバル製造の拡大」、「DX推進」、「人財戦略:島津人の育成」、「攻めの財務戦略」の7つの施策を実施します。

 ガバナンス強化を経営における最重要課題と位置付け、「コンプライアンスは全てに優先する」を基本として、グループガバナンスの強化を進めます。グループマネジメント基本規定をベースに内部統制・リスクマネジメント・モニタリングを強化します。

 開発スピード強化では、アジャイル開発手法を導入するとともに、公的機関との連携を通して標準化・規制対応の強化も図っていきます。グローバル製造拡大によるBCM(事業継続管理)強靭化、DXによるプロセス改革の実施、そして全ての事業活動を支える人財の育成を強化します。また、戦略投資、成長投資計画を立て、攻めの財務戦略を展開していきます。

5) 環境経営と健康経営

 環境経営では、環境問題の解決を通じた事業活動と企業価値の拡大を目指して「気候変動対応」、「循環型社会の形成」、「地球環境保全に配慮した製品開発」、「生物多様性の保全」、「社員ひとり一人による環境保全活動の推進」の5項目に重点を置いて取り組みを進めます。

 健康経営の取り組みとして、業界を超えたアライアンスを組み、ヘルスケアデータを活用し、社員の生活習慣病由来の脳・心血管疾患や腎疾患、メンタル不調といった重症化の予測ができる疾病リスクの対処に取り組みます(健康経営アライアンス)。成功事例は、アライアンス外にも展開し、アカデミアや省庁とも連携しながら社会実装や海外展開を目指します。

 事業別の対処すべき課題として中長期で目指すこと、および中期経営計画の中で実施する主な取り組みテーマは、以下の通りです。

・計測機器事業

 ヘルスケア領域では、製薬やフードテック市場向けにLC、MSを主軸に、IT技術を活用してトータルソリューションを提供します。臨床市場では、臨床診断・微生物検査・細胞関連に注力して事業を展開します。また、北米を最注力地域としてR&Dセンター設立など事業拡大を図ります。

 グリーン(GX)領域では、バイオものづくり、水素の社会実装など、新たな産業創出へ貢献するために、新たな規制を含めた分析方法の標準化をグローバルで進めていきます。

・医用機器事業

 当社が強みとするイメージング技術(画像処理、画像転送、画像認識技術)とメカトロニクス技術を活用し、X線撮影による医療への更なる貢献を目指す「イメージングトランスフォーメーション」を展開します。また、地域特性に対応したシニアヘルスケア事業の拡大、アフターマーケット事業を推進し、収益基盤の拡大を目指します。

・産業機器事業

 半導体製造分野では主力のターボ分子ポンプに加え、モニタリング技術を展開し業容拡大を目指します。xEV分野、エネルギー分野では関連部品の製造、高精度測定・検査の効率化に貢献する製品を提供します。また、高品質・高付加価値サービスの持続的提供により顧客満足度を向上させサービス事業を拡大します。油圧機器分野ではコア製品の収益力向上と電動化に対応して事業を強化します。

・航空機器事業

 前中期経営計画からの「選択と集中」の基本方針のもと、収益改善の取り組みを継続することで、長期に安定した成長・収益が確保できる事業を目指します。また、保有技術を活かし、主にモビリティと社会インフラ分野で新たな事業を創出し、「安心・安全な社会の実現に貢献する事業」となることを目指します。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、3ヵ年の中期経営計画において、連結売上高5,500億円以上、営業利益800億円以上、営業利益率14.5%以上、株主利益重視の観点から自己資本利益率12.5%以上を、最終年度である2026年3月期の目標数値としています。

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