小野薬品工業
【東証プライム:4528】「医薬品」
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企業概要
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、これまで克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。
現在、開発パイプラインには、オプジーボに加えて、抗体医薬品を含む抗がん剤の新薬候補をはじめ、自己免疫疾患や神経疾患などを対象とした新薬候補があり、開発を進めています。なかでも、がん領域は医療ニーズが高いことから、重要な戦略分野と位置づけ、デサイフェラ社のパイプラインも加えてさらなる充実を図っています。
創薬研究においては、医療ニーズの高いがんや免疫、神経、スペシャリティ領域を重点領域に定め、それぞれの領域でヒト疾患バイオロジーを掘り下げ、医療ニーズを満たし得る新薬の創製を目指しています。当社が得意とするオープンイノベーションを積極的に推進することで独創的な創薬シーズを見出し、最適なモダリティとデジタル技術などの先進テクノロジーを利用することで創薬力を強化しています。
重点領域において、現在、14品目(内、3品目はデサイフェラ社)の新薬候補が臨床ステージに移行しています。今後さらに創薬のスピードと成功確率を向上させるために、基礎と臨床の橋渡しを担うトランスレーショナル研究も強化しています。研究早期段階からヒトゲノム情報やヒトiPS細胞などの研究ツールとインフォマティクスを有機的に活用することで、標的分子の疾患との関連性を解析し、新薬候補のヒトにおける有効性をより正確に予測・評価できる生理学的指標(バイオマーカー)を見出せるよう努めています。
臨床開発のスピードと成功確率を向上させるために、より早い段階から研究本部と強固に連携して、最適で最良な開発戦略を立案するよう努めています。また、これまでに蓄積した多くの臨床試験データや実際に治験で得られた臨床サンプルを利用して様々な解析を行い、臨床試験結果の解像度を上げることに役立てています。新薬候補の価値を最大化するために、グローバル(日本、米国、欧州) における承認取得を最速で実現可能な開発計画・試験計画を立案するとともに、昨年、新たにグループに加わったデサイフェラ社の米欧における開発機能を最大限活用し、国際共同試験の着実な実施・遂行に努めてまいります。
また、ライセンス活動による有望な新薬候補の導入にも努め、研究開発活動の一層の強化に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果(2025年4月23日時点まで)は、以下のとおりです。
[開発品の主な進捗状況]
<がん領域>
「オプジーボ/ニボルマブ」
肝細胞がん
・昨年8月、「オプジーボ」と「ヤーボイ」との併用療法について、日本で「切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
尿路上皮がん
・昨年7月、「オプジーボ」について、韓国で「根治切除不能または転移性尿路上皮がん(一次治療における化学療法併用)」を効能・効果とした承認を取得しました。
・昨年10月、「オプジーボ」について、台湾で「根治切除不能または転移性尿路上皮がん(一次治療における化学療法併用)」を効能・効果とした承認を取得しました。
・昨年11月、「オプジーボ」と「ヤーボイ」との併用療法について、「尿路上皮がん」を対象とした国際共同試験の最終解析の結果、主要評価項目の一つであるシスプラチン不適応の集団における全生存期間(OS)において、事前に規定した統計仮説を満たすことができなかったため開発を中止しました。
・昨年12月、「オプジーボ」について、日本で「根治切除不能な尿路上皮がん(一次治療における化学療法併用)」を効能・効果とした承認を取得しました。
結腸・直腸がん
・昨年9月、「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法について、日本で「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)を有する結腸・直腸がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
ラブドイド腫瘍
・昨年7月、「オプジーボ」について、日本で「ラブドイド腫瘍」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
リヒター症候群
・本年1月、「オプジーボ」について、日本で「リヒター症候群」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
卵巣がん
・昨年6月、「オプジーボ」とPARP阻害薬「Rucaparib」との併用療法について、Pharma&社主導の「卵巣がんの初回化学療法後の維持療法」を対象とした国際共同フェーズⅢ試験に日本、韓国および台湾から参加していましたが、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を達成することができなかったため開発を中止しました。
「ビラフトビカプセル/エンコラフェニブ」および「メクトビ錠/ビニメチニブ」
・昨年5月、「ビラフトビカプセル」および「メクトビ錠」について、日本で2剤併用療法による「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がん」「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化がん」を効能・効果とした承認を取得しました。
「ビラフトビカプセル/エンコラフェニブ」
・昨年12月、「ビラフトビカプセル」について、日本で「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
「ONO-7018」
・昨年8月、MALT1阻害薬「ONO-7018」について、日本で「非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
・本年4月、MALT1阻害薬「ONO-7018」について、「非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病」を対象としたフェーズⅠ試験を実施していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-7428」
・昨年11月、抗ONCOKINE-1抗体「ONO-7428」について、日本で「固形がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「DCC-3009」
・昨年12月、Pan-KIT阻害薬「DCC-3009」について、米国で「消化管間質腫瘍」を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を開始しました。
「ONO-4578」
・本年2月、プロスタグランジン受容体(EP4)拮抗薬「ONO-4578」と「オプジーボ」との併用療法について、米国で「結腸・直腸がん」を対象とした国際共同フェーズⅡ試験を開始しました。
・本年1月、プロスタグランジン受容体(EP4)拮抗薬「ONO-4578」と「オプジーボ」との併用療法について、日本で「膵がん」を対象としたフェーズⅠ試験を実施していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-0530/Sapablursen」
・本年3月、真性多血症の治療薬としてフェーズⅡ試験を実施中の「Sapablursen」に関するライセンス契約をIonis Pharmaceuticals社と締結し全世界を対象に独占的に開発および商業化する権利を取得しました。
「ONO-7122」
・昨年4月、TGF-β阻害薬「ONO-7122」と「オプジーボ」との併用療法について、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社主導の「固形がん」を対象とした国際共同フェーズⅠ試験に日本から参加していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-7226」
・昨年4月、抗ILT4抗体「ONO-7226」と「オプジーボ」との併用療法について、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社主導の「固形がん」を対象とした国際共同フェーズⅠ試験に日本から参加していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-4482」
・本年2月、抗LAG-3抗体「ONO-4482」と「オプジーボ」との併用療法について、「肝細胞がん」を対象とした国際共同フェーズⅡ試験をブリストル・マイヤーズ スクイブ社主導で実施しておりましたが、期待した有効性が確認できなかったため開発を中止しました。
「ONO-7914」
・本年2月、STINGアゴニスト「ONO-7914」と「オプジーボ」との併用療法について、日本で「固形がん」を対象としたフェーズⅠ試験を実施していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-7475」
・本年3月、Axl/Mer阻害薬「ONO-7475」と「オプジーボ」との併用療法について、日本で「膵がん」を対象としたフェーズⅠ試験を実施していましたが、期待した有効性が確認できなかったため開発を中止しました。
<がん領域以外>
「ROMVIMZA/DCC-3014」
・昨年8月、CSF-1受容体阻害薬「DCC-3014」について、米国で「腱滑膜巨細胞腫」を効能・効果とした承認申請が優先審査の対象として受理され、本年2月、「外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状が生じる可能性のある腱滑膜巨細胞腫」を効能・効果とした承認を取得しました。
・昨年7月、CSF-1受容体阻害薬「DCC-3014」について、欧州で「腱滑膜巨細胞腫」を効能・効果とした承認申請が受理されました。
・昨年11月、CSF-1受容体阻害薬「DCC-3014」について、米国で「慢性移植片対宿主病」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
「ONO-4915」
・昨年9月、PD-1/CD19二重特異性抗体「ONO-4915」について、日本で健康成人を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-2020」
・エピジェネティクス制御薬「ONO-2020」について、昨年11月に日本で「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」を対象としたフェーズⅡ試験を、本年1月に日米で「アルツハイマー型認知症」を対象としたフェーズⅡ試験をそれぞれ開始しました。
「ONO-1110」
・内因性カンナビノイド制御薬「ONO-1110」について、日本で昨年10月に「帯状疱疹後神経痛」「うつ病」を、昨年11月に「線維筋痛症」「ハンナ型間質性膀胱炎」「社交不安症」を対象としたフェーズⅡ試験をそれぞれ開始しました。
「ONO-2910」
・昨年7月、シュワン細胞分化促進薬「ONO-2910」について、日本で「糖尿病性多発神経障害」を対象としたフェーズⅡ試験を実施していましたが、期待された有効性が確認できなかったため、「糖尿病性多発神経障害」を対象とした開発を中止しました。
・昨年12月、シュワン細胞分化促進薬「ONO-2910」について、日本で「化学療法誘発末梢神経障害」を対象としたフェーズⅡ試験を実施していましたが、期待された有効性が確認できなかったため、「化学療法誘発末梢神経障害」を対象とした開発を中止しました。
[創薬/研究提携活動の状況]
・昨年4月、株式会社PRISM BioLabと、がん領域における新薬候補の創製を目的とした創薬提携契約を締結しました。
・昨年8月、豪州Monash大学と自己免疫疾患および炎症性疾患領域における新たな抗GPCR抗体を創製するためのオプション権付研究提携契約を締結しました。
・昨年12月、カナダCongruence Therapeutics社とがん領域における新たな低分子化合物の創製に向けた創薬提携契約を締結しました。
・昨年12月、米国Jorna Therapeutics社とRNA編集技術を用いた医薬品創製に関する研究提携を開始しました。
・本年3月、株式会社リボルナバイオサイエンスと中枢神経領域におけるRNA標的低分子医薬品の創製に向けた創薬提携契約を締結しました。
[ライセンス活動の状況]
・昨年10月、韓国LigaChem Biosciences社と固形がんを対象とした抗体薬物複合体(ADC)「LCB97」に関するライセンス契約および同社のADCプラットフォームを用いた新規ADC創製に向けた創薬提携契約を締結しました。
・2022年12月に米国Equillium社と締結した抗CD6抗体「itolizumab」に係る独占的オプション権付アセット買収契約について、昨年10月、戦略上の理由によりオプション権を行使しないことを決定しました。
・本年3月、米国Ionis Pharmaceuticals社と真性多血症を対象とした治療薬「Sapablursen」について、全世界を対象に独占的に開発および商業化するライセンス契約を締結しました。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、150,007百万円であります。
なお、当社グループの事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
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