企業兼大株主日本酸素ホールディングス東証プライム:4091】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

 技術開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、エレクトロニクス、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、環境、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取り組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。

 当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は4,946百万円であり、各セグメントの内訳は、日本で4,078百万円、米国で729百万円、欧州で105百万円、サーモスで32百万円となっております。主な技術開発活動の概要は次のとおりです。

〔日本〕

 日本セグメントにおいては、大陽日酸株式会社(以下、「大陽日酸」という。)つくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター、メディカル・テクニカル・サービスセンター及び京浜事業所の5拠点が連携して技術開発を実施しています。事業部門と開発部門の連携を強化し、工業ガスビジネス、エレクトロニクスガスビジネス、プラントビジネス、メディカルビジネス、新規事業開発に向けた基盤事業を支える技術開発を推進しています。カーボンニュートラルについてはグループ共通の重点課題として取り組んでいます。

カーボンニュートラルに向けた取組み

 当社グループが所有する酸素燃焼技術をベースに、カーボンフリー燃料を利用する新たな酸素燃焼技術を開発しカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

・カーボンフリー燃料である水素ガスに注目し、工業炉分野でのCO2排出削減への貢献に取り組んでいます。大陽日酸の酸素バーナのラインナップである高速酸素バーナランス「SCOPE-JET」、超低NOx酸素バーナ「Innova-Jet」、自励振動型酸素バーナ「Innova-JetSwing」について、水素を燃料として利用することを可能にしました。

・新型ガラスカレット熔解炉に使用する水素混焼酸素富化バーナを光学ガラスメーカーと共同で開発しました。今回の開発により、GHG排出量は従来の空気バーナに比べて、最大62%削減が可能になります。

・また欧州事業会社のNippon Gases Euro-Holding S.L.U.と、欧州の顧客の生産設備に導入したガラス製造プロセス向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」で実証試験を実施し、CO2排出量が65%削減されることを実証しました。

・半導体封止材料の充填剤(フィラー)の製造工程に用いられる、純酸素燃焼を用いた粉体溶融・球状化システム「CERAMELT」に水素燃焼技術を組み合わせる技術を開発しました。燃焼工程におけるCO2排出量の削減とともに、カーボン不純物を低減させた高品質な球状粒子の製造に貢献することができます。

・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。当連結会計年度も引き続きAGC株式会社横浜テクニカルセンターのガラス溶融炉で、アンモニア-酸素燃焼技術の実証試験を継続し、技術実装の可能性検証を実施しております。

・石灰製造炉などの高濃度CO2排出源をターゲットとして、10t/日規模のCO2回収装置(回収CO2濃度98%)を開発・商品化しました。中小規模排出源(排ガス量1,000Nm3/hクラス)向けの装置であり、ユニット化して導入・設置が容易に行えます。また当連結会計年度において、適用可能な原料CO2濃度範囲を20~60%まで拡大し、幅広いCO2排出源からのCO2回収を可能にいたしました。原料CO2濃度が20%未満である排出源からの回収についても、現在、本回収装置の適用を可能にすべく技術開発に取り組んでいます。

・アンモニアから燃料電池自動車(FCV)の水素燃料に求められる品質仕様(ISO14687:2019 Grade D)を満たす水素の製造実証に成功しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」に参画し、大型の水素精製装置の開発を進めています。

工業ガス分野

 産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しています。

<溶接技術>

・配管の自動溶接に関する市場ニーズに対応し、グループ会社の日酸TANAKA株式会社と溶接状態を可視化するカメラ「サンアークアイ」シリーズを共同で開発し、2019年4月より販売しています。更に溶接状態を可視化するカメラ「サンアークアイ」シリーズの新モデルとして、現行タイプに比べて性能を維持しながら約40%の小型化・軽量化を実現した「サンアークアイSMART」を開発し、商品化しました。

<低温利用技術>

・液体冷媒を液化窒素で冷却・循環・供給するクールマイスターシリーズ(低温反応制御システム)に、新たに「クールマイスターAC」を商品化しました。窒素やヘリウムなどの不活性ガスを液化窒素で冷却し、-180~
-60℃の任意温度の極低温不活性ガスを供給することで、材料試験や機器の環境試験における極低温環境形成に貢献します。

・産業用、自動車部品ゴムのバリ取りの自動化に対応し、大陽日酸独自の振動篩機構を搭載するとともに、コンパクト化と低価格化を両立した高精度な液化窒素式バリ取り装置「ソフトブラスターSCS-CB-BS20」を開発しました。2025年4月より同装置をラインナップに加えて販売を開始します。

エレクトロニクス分野

 社会のデジタル化の加速的な普及、カーボンニュートラルな社会を支えるエレクトロニクス産業の発展に貢献するために、電子材料ガスや関連機器の販売やサービスのグローバルな提供とともに、技術開発を強化しています。

・大陽日酸とRasirc, Inc.は共同でALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。当連結会計年度は前年に開発した、有機溶媒と混合させることで安全性を高めた無水ヒドラジン供給ソース(Rasirc, Inc.製BRUTE-Hydrazine)を供給源とする高純度ヒドラジンガス供給システムの顧客での評価を継続しております。

・当社グループが製造しているジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)など幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料です。日本、韓国、中国での製造能力を順次増強するため、製造システムを進化(深化)させています。

・大陽日酸が開発したインテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)は、IoTやRPAを活用したデジタル革新技術と、長年蓄積した大陽日酸のガスハンドリング・ノウハウを融合した次世代ガス供給システムです。人とロボットが共に働く協働社会の実現、新たなサービスの付加提供によって、お客様の業務効率化、省力化に貢献するべく、改良改善を進めています。

・導電性ペースト・インク用途向け表面改質銅ナノ粒子を開発しました。銅ナノ粒子が有機溶媒中に均一に分散するため、小型電子部品の電極薄膜やセラミック基板の微細配線を実現するための銅ペーストの製造に有効です。

・半導体産業における、高反応性を有する種々のガスの不純物濃度をインラインで高精度かつ高感度で連続監視する、真空深紫外光によるガス濃度モニタの開発に取り組んでいます。

プラント分野

 深冷空気分離プラントについては当社グループのコア技術の深化(高性能・高品質・低コスト)に取り組むとともに、プラント製作、工場操業、ロジスティックスに革新を起こすため、DXを推進しています。

・DX推進によって保安や品質管理、生産性の向上に努め、遠隔監視システムやプラント運転条件制御システムを深化させました。

・半導体工場向けに超高純度酸素とアルゴンを効率的に安定して併産可能な窒素製造装置(NGU)を開発しています。

メディカル分野

 高品質の医療用ガスの安定供給を行うとともに、在宅酸素療法のためのさまざまな機器の開発・製造、機器の定期点検や遠隔監視システム、医療用ガスの24時間体制の緊急配送など、トータルサポートに貢献しています。さらに、当社グループの持つガステクノロジーを応用し、生体試料の凍結保存をはじめとするバイオ分野、SI(Stable Isotope 安定同位体)や混合ガス等を利用した高度診断・治療分野にも取り組んでいます。

・医療ガス供給設備の容器(O2、N2、Air)内ガス残量などを遠隔地で監視するシステムの最新版となる次世代医療ガス監視システムTerm-3を開発し、展開しております。通信規格をLTE(4G)とし、サーバ機能をクラウド化することで、手持ちの端末による監視データの閲覧を可能にしました。信頼性の向上、ガス安定供給の強化、異常発生時の重大事故回避に貢献しています。

新規事業分野

 当社グループでは、自社開発技術やオープンイノベーションにより獲得した製品・技術の事業化を加速しています。アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業、化合物半導体製造装置やSI(Stable Isotope 安定同位体)をはじめ、今後市場の発展が見込まれる分野の事業拡大を推進しています。

・アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業では、技術の開発と造形物品質安定化に寄与するソリューションの拡充に注力しています。当連結会計年度においては、高い品質が求められる日本市場に向けて、米国のPhase3D社が開発した金属AM用造形品質モニタリングシステム「Fringe Inspection」の国内販売に向けた契約を締結しました。また、大陽日酸の独自技術である回転TIG溶接技術による金属AM向けの専用トーチ(3DPro RotoTIG)を開発いたしました。これにより無欠陥・酸化レスの高品位な溶接技術を金属AMで実現できます。

・半導体関連事業では、大陽日酸ATI株式会社とともに、半導体関連装置の研究開発を推進するため、北九州学術研究都市内に、「TNSCイノベーションセンターひびきの」を開設しました。大陽日酸の取り扱う先端製品を設置し、半導体関連装置の使用最適化をはじめ、各研究機関との共同開発による装置の研究開発に取り組みます。また、ロジックやDRAM等の先端半導体分野向け特殊材料として、Rasirc, Inc.の過酸化水素供給ソース「BRUTE Peroxide」の販売を日本で開始しました。低温での成膜や膜質改善の効果が見込める過酸化水素(H2O2)ガスを研究開発用途又は少量生産工程に供給してまいります。

・化合物半導体製造装置事業では、MOCVD装置及びHVPE装置の製造・販売するとともに、用途拡大、改良改善のための開発に取り組んでいます。当連結会計年度においては、深紫外線ライトを使った除菌装置の開発・販売を手掛けているLit Thinking社より、大陽日酸製MOCVD(SR2000HT-RR)を受注しました。本装置はUVオプトエレクトロニクスのデバイス及びパワーエレクトロニクスの開発促進に必須となる高品質なアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)の安定的な製造に用いられます。また、大陽日酸当社製MOCVD装置(型式:SR4000HT)がサウスカロライナ大学に採用されました。本装置はパワーエレクトロニクスやその他のワイドバンドギャップ半導体製造に用いられ、窒化物半導体の開発に貢献することが期待されます。大陽日酸は同大学と協力し、先進的な窒化物半導体デバイスの研究開発を支援することで、大陽日酸製MOCVD装置のグローバル市場に対する優位性が促進されると期待しています。さらに、ワイドバンドギャップ半導体において世界的に著名なオハイオ州立大学に対し、高性能な化合物半導体デバイスの製造に不可欠な窒化物用MOCVD装置(SR4000HT-RR-LV)と酸化物用HVPE装置を納入いたします。

・SI事業では、世界初の酸素蒸留による酸素安定同位体(17O、18O)濃縮技術を開発し、水や酸素ガス、それらを使用した同位体標識化合物を製造・販売しています。

・新規事業として無細胞タンパク質合成技術を活かし、クロマトグラフィー技術に強みを有する株式会社ワイエムシィと共同で、バイオ医薬分野で需要が見込まれる難発現タンパク質の合成から精製までの一貫した開発に取り組んでいます。当連結会計年度においては、無細胞タンパク質合成技術のスケールアップ並びに応用研究開発を推進するため、公益財団法人 木原記念横浜生命科学振興財団の管理する木原横浜バイオ産業センター内に、開発拠点を開設しました。新しい開発拠点では、無細胞タンパク質合成技術を活用し、細胞成長因子や酵素などの機能性タンパク質の生産を目指した技術開発に取り組みます。

・大陽日酸は無細胞タンパク質合成技術を活かし、クロマトグラフィー技術に強みを有する株式会社ワイエムシィと共同で、バイオ医薬分野で需要が見込まれる難発現タンパク質の合成から精製までの一貫した開発に取り組んでいます。

〔米国〕

 米国セグメントにおける研究開発活動は、コロラド州ロングモントに所在するMatheson Advanced Technology Centerにて行われています。ここでは、技術力の向上、顧客サービスの強化、及び既存市場やエレクトロニクス分野の拡大に向けてリソースを投入しています。

R&Dセンターでは、既存製品の支援や、それに関連する技術課題の診断・トラブルシューティング、分析機能の強化などを通じて、事業支援に積極的に取り組んできました。また、新製品の開発にも注力しており、各種分子や混合ガスの高純度化、及び半導体チップ製造における微量汚染・不純物の制御と最小化に関する取組みを進めています。

Matheson Tri-Gas, Inc.(以下、「Matheson Tri-Gas」という。)は、大陽日酸の研究開発部門との連携も積極的に進めており、当社グループ内でより効果的なR&Dを推進しています。Matheson Tri-Gasと大陽日酸は、ガスの分析・合成・精製に関してそれぞれの強みを持っており、相互の能力と経験を活かすことで技術や製品の開発を加速させています。この活動は開発活動における重複の削減にもつながり、研究開発リソースの有効活用にも貢献しています。

 新製品の開発においては、Matheson Tri-Gasは新しい精製器や材料の開発を進めています。最近では、半導体デバイス製造において、集積回路が製造された後に行われる各種試験や特性評価の段階で発生し得る汚染を防止・除去するための新型精製器を開発しました。これらの試験中に、不純物がウエハーへ拡散・移動し、汚染の原因となることが知られています。Matheson Tri-Gasの新精製器は、このような汚染源を除去又は最小化することを目的に開発され、現在は実際の生産環境における性能評価試験が開始されています。

 また、半導体業界においてより高純度なガスを求めるニーズが高まっていることから、従来型の精製器の改良も積極的に行っています。たとえば、Extreme Clean Dry Air(XCDA)の分野では、従来は1ppb以下の除去性能が標準とされていましたが、近年ではさらに低濃度までの除去が求められています。こうした要請を受けて、大陽日酸との協業を開始しました。

Matheson Tri-Gasはまた、分子量の高低を問わず、有機物や炭化水素系不純物の除去に向けた精製材料の開発と特性評価も進めています。これらの除去性能を正確に評価するため、超微量レベルでの分析手法を開発し、精製性能の測定精度を確保しました。その結果、ppq(parts per quadrillion:1京分の1)レベルでの炭化水素除去が可能な精製材料の開発に成功しました。

 さらに、Matheson Tri-Gasは半導体ガスの除害装置分野においても、新しい材料、容器、装置の開発を進めており、特に水素化物系及びフッ素系ガスに対する動作効率、寿命、容器設計の改善に注力しています。新製品では、顧客の厳しい要求仕様を満たすために、物理的及び化学的条件が考慮されており、従来品と比べて5~10倍の寿命向上が実現されています。また、容器や装置設計の改良も施されており、これらのガスを使用する半導体顧客に対して、製品性能全体の向上に貢献しています。

 金属のサンプリングや分析の分野でも、Matheson Tri-Gasは活発な活動を展開しています。装置の検出限界を低下させ、分析データのばらつきを抑制して再現性・信頼性の高い結果を安定的に提供するため、環境由来の汚染を最小限に抑えることに取り組んでいます。さらに、装置の基本的な検出限界を向上させる改良も進行中です。最後に、サンプル間のばらつきと汚染を低減するため、オートメーション化も積極的に行っています。

〔欧州〕

 欧州セグメントにおける研究開発活動は、カーボンニュートラル及びガスアプリケーションに重点を置き、地域産業に対して高品質なガスソリューションを提供することを目的としています。

 研究開発の中核拠点は、スペイン・エルナニにあるHernani Centerに設置されており、同拠点では廃水処理技術、バイオガス(バイオメタン、バイオCO2)、及びデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する技術開発を進めています。また、北欧の研究開発センターでは、水産養殖に関連する技術開発が行われています。さらに、イタリアの持分法適用関連会社であるHysytech S.r.l.との連携のもと、カーボンニュートラルを中心とした技術開発プロジェクトを推進しています。

 その他の欧州各国においても、燃焼技術、食品冷凍、金属加工、水産養殖、金属の積層造形(3Dプリンティング)など、ガスアプリケーションに関わる顧客ニーズに対応した技術・製品開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度においては、イタリアのプラントエンジニアリング企業Polaris S.r.l.への戦略的投資を実施しました。本パートナーシップにより、ガス分離及びカーボンニュートラル関連プロジェクトにおける技術開発力の強化が図られています。

 また、在宅呼吸療法サービスの強化を目的として、Esteve Teijin Healthcare, S.L.(ETH)の買収について合意しました。ETHが有する呼吸療法に関する豊富な知見と、当社グループのガス技術に関する専門性を融合させることで、当該分野での存在感を一層高めてまいります。

 さらに、都市廃棄物の再利用と価値化を専門とするIET Ecology, S.L.への戦略的投資を行いました。本パートナーシップを通じて、脱炭素化ソリューションを強化するとともに、e-フューエル(合成燃料)製造技術へのアクセスも得ることになります。

 なお、Hysytech S.r.l.では当連結会計年度に新本社を開設しており、エンジニアリング機能及び製造能力の拡充に加え、先進的な研究開発ラボも整備されました。これにより、バイオガス生成を含むグリーンケミストリー分野での技術開発がさらに加速しています。

 こうした活動を通じて、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取組みが高く評価され、EcoVadis SASより2年連続でプラチナメダルを受賞しました。

 加えて、欧州地域におけるニーズに対応するため、ベルギーの一貫製鉄所を対象としたCO2からCOへの触媒転換リアクターに関する研究開発プロジェクトを、他の主要な化学メーカー及び鉄鋼メーカーと共同で進めています。Hysytech S.r.l.はこのプロジェクトにおけるEPC(設計・調達・建設)業務を担っており、日本及びベルギーでの地域助成金取得を目指しています。

 これらの取組みを通じて、欧州地域の産業ニーズに対応した技術開発を推進するとともに、前述の技術分野における当社グループの技術力強化を図っています。

〔サーモス〕

 サーモスセグメントにおいては「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という理念に従い、「利便性」と「環境保護」を両立させることを使命と考え、保有する断熱技術をはじめとした様々な技術と創造力で省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現する新しい価値を提供できるような商品開発を推進しております。

 当連結会計年度においては、サーモスブランド120周年に合わせてプロモーション活動を行うとともに、主力商品である携帯用まほうびんに新商品を投入しました。また、キッチンアイテムの商品拡充、アパレル分野への新商品投入を実現しました。

 携帯用まほうびんシリーズとして、累計出荷本数3,000万本を突破した真空断熱ケータイマグをリニューアルした、『JNL-Sシリーズ』を開発しました。『JNL-Sシリーズ』は中栓の構造と材料に加えて、本体の塗装を改良して耐熱性を向上させ、全パーツ食洗機対応の洗浄性を高めたモデルとなっております。飲み口は新分解構造で利便性も向上し、形状についてもより唇にフィットするように改良しました。『JOYシリーズ』において、飲み口に新構造となる「フルイドテック構造」を採用しました。大容量サイズの水筒でも、一度に多くの飲料が流れ出てこないようスムーズに飲める新しい飲み口の開発に着手し、「フルイドテック構造」を開発しました。水筒を傾けた際の流出量を抑えることで、温冷問わず滑らかな飲み心地を実現しました。

 フライパンシリーズや調理器具からなるキッチンプラスシリーズにおいて、『取っ手のとれるフライパンセット』をリニューアルしました。取っ手の取り外しは可動ボタンをスライド式にしたことで、取り外し時の誤操作を防ぐことができます。また、サーモス株式会社で初めてセラミックコーティングを採用したマルチポット『KNCシリーズ』を開発しました。高い硬度で傷がつきにくく耐久性が高い「セラプロテクトコート」を採用しております。

 同じくキッチンプラスシリーズにおいて、サーモス株式会社初となる包丁シリーズ『KKA/KKBシリーズ』を開発しました。これにより切るという調理の工程を提供することができるようになりました。使い勝手については、刃と柄の部分のつなぎ目も一体構造として洗浄性を向上させたうえで、最適な重心位置・重量を設計し、スリムな刃幅で小回りが利き、料理に苦手意識がある方にも使いやすい包丁としています。

 アパレル小物を展開する新サブブランド「&ONDO(アンドオンド)」から12アイテムを開発して発売しました。サーモス株式会社が提供してきた温度による心地よさの観点から、温度にまつわるストレスのひとつである「冷え」に着目し、「サーモス=保温、温かい」とイメージからくる期待に応えられるような商品開発により、温かさや心地よさをしっかり体感していただける仕様としています。『起毛であったかルームソックス』では独自の極起毛を採用、長い極起毛が空気層を作ることで、足先の体温をキャッチして保温します。『手首あったかビーズウォーマー』『あったかビーズクッション』にはチタンコートあったかビーズを採用し、ビーズ内側の空洞とビーズ同士の空洞が作る空気層が魔法びんのような保温効果をもたらします。

 このように引き続き積極的に新商品を投入し、お客様に快適なライフスタイルを提案しております。

PR
検索