塩野義製薬
【東証プライム:4507】「医薬品」
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企業概要
2024年度は、COVID-19関連プロジェクトや注力プロジェクトを中心に積極的に研究開発活動を行い、取り組みを着実に進展させることで、それぞれのプロジェクトについてほぼ予定どおり進捗させることができました。
(1) 研究
次世代3CLプロテアーゼ阻害剤であるS-892216について、COVID-19の治療および予防を目的として、長時間作用型製剤と経口剤の2種類の製剤で開発が進行中です。2024年度は長時間作用型製剤における曝露前予防の適応について、研究を進展させるとともに、米国BARDAから開発支援として、375百万ドル(約585億円※)の助成金を受領する契約を締結しました。 ※1ドル=156円換算、契約締結時の為替レート水準
2024/2025シーズンの予防接種における推奨株であるJN.1系統に対応したCOVID-19予防ワクチンのS-268024については、今後の推奨株に対応したワクチン開発に向けて、研究を進展させ、2024年度は第3相臨床試験を開始しました。
S-567123(ユニバーサルワクチン)は、単剤で幅広い変異に対して予防効果を発揮することが期待される次世代型ワクチンです。まずは、COVID-19に対するユニバーサルワクチンの開発を目指しており、2024年度は非臨床試験や治験薬製造に向けた検討を進展させました。
S-917091は、インテグラーゼ阻害薬とは異なる作用機序の抗HIV薬候補です。インテグラーゼ阻害薬と併用することで、超長時間作用型(3ヵ月以上に1回投与)のHIV治療を可能とすることを目指し、2024年度は各種の研究を進展させました。
S-898270は、学習記憶を始めとする認知機能を向上させることが期待される認知症治療薬候補です。2025年度上期中の第1相臨床試験の開始を目指し、研究を進展させました。
(2) 開発
COVID-19の経口抗ウイルス薬エンシトレルビル(日本での製品名:ゾコーバ)については、COVID-19患者の同居家族または共同生活者を対象に実施した、グローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)にて、主要評価項目を達成しました。経口抗ウイルス薬がCOVID-19の発症抑制効果を示した世界初の臨床試験であり、この結果に基づき、日本ではCOVID-19の予防に関する効能・効果追加申請を行いました。グローバルでの申請については、本試験結果と、これまでに実施した臨床試験の結果を踏まえて、各規制当局と協議を進めています。なお、米国においては、先行してCOVID-19の予防を適応として、ローリング・サブミッション(段階的申請)を開始しました。
COVID-19予防ワクチン(起源株1価)であるコブゴーズ筋注は、これまで主に使用されてきたmRNAワクチンとは異なり、長年にわたり国内外で広く使用され、その有効性と長期的な安全性が実証された技術を基盤とする組み換えタンパクワクチンです。2024年度は、SHIONOGI初のワクチンとして、初回免疫における国内製造販売承認を取得しました。
S-337395は、経口の新規RSウイルス感染症治療薬です。現時点ではRSウイルスに対する有効な抗ウイルス薬が存在しないため、新たな治療選択肢として期待されています。2024年度は、第2相臨床試験(ヒトチャレンジ試験)において、主要評価項目を達成し、後期臨床試験の開始に向け進展させることができました。
ズラノロンは既存薬とは異なる新規の作用機序を有する抗うつ薬で、1日1回14日間の経口投与により、効果を発揮する薬剤です。2024年度は、第3相臨床試験において、プラセボ群に対して、統計学的に有意なうつ症状の改善や即効性、良好な忍容性を確認し、国内での製造販売承認申請を実施しました。
S-606001は、低分子の経口ポンペ病治療薬候補です。ポンペ病は世界での患者数が5万人ほどと推定されている希少疾患で、既存治療では満たすことができないアンメットニーズが残されていることから、本剤は、新たな治療選択肢として期待されています。2024年度は、国内第1相臨床試験を進展させました。
SASS-001は、睡眠障害に卓越した専門性を持つApnimed社と共同で開発を進める、経口の睡眠時無呼吸症候群を対象とした治療薬候補です。2024年度は第2相臨床試験を開始しました。
エンデバーライドは、小児のADHD患者を対象とした治療用アプリです。2024年度は、国内第3相臨床試験の良好な結果に基づき、国内での製造販売承認を取得しました。
こうした活動の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は108,612百万円となりました。
開発品(2025年5月12日現在)
領域 | 一般名・開発No. [製品名] | 作用機序 | 適応症 | ステージ | 起源 | 開発 |
感染症 | セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩 | 細胞壁合成阻害(注射) | グラム陰性菌感染症(小児) | フェーズⅢ | 自社 | 自社 |
グラム陰性菌感染症 | フェーズⅢ | 自社 | 自社 | |||
バロキサビル マルボキシル | キャップエンドヌクレアーゼ阻害 | インフルエンザウイルス感染症 | 申請:日本(2018年8月) | 自社 | 自社/ | |
S-268019 | ワクチン(筋注) | 新型コロナウイルス感染症の予防 | フェーズⅡ/Ⅲ | 自社 | 自社 | |
新型コロナウイルス感染症の予防 | フェーズⅠ/Ⅱ/Ⅲ | 自社 | 自社 | |||
S-268023 | ワクチン(筋注) | 新型コロナウイルス感染症の予防 | フェーズⅢ | 自社 | 自社 | |
S-268024 | ワクチン(筋注) | 新型コロナウイルス感染症の予防 | フェーズⅢ | 自社 | 自社 | |
エンシトレルビル フマル酸 | 3CLプロテアーゼ阻害剤(経口) | 新型コロナウイルス感染症の治療 | フェーズⅢ | 自社 | 日本・グローバル・台湾: | |
新型コロナウイルス感染症の治療 | フェーズⅢ | 自社 | 自社 | |||
新型コロナウイルス感染症の曝露後予防 | 申請:日本(2025年3月) | 自社 | 自社 | |||
Olorofim | ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害(経口) | 侵襲性アスペルギルス感染症 | フェーズⅢ | F2G | 自社/F2G | |
S-892216 | 3CLプロテアーゼ阻害剤(経口) | 新型コロナウイルス感染症の治療 | フェーズⅡ | 自社 | 自社 | |
3CLプロテアーゼ阻害剤(持続性注射剤) | 新型コロナウイルス感染症の曝露前予防 | フェーズⅠ | 自社 | 自社 | ||
S-337395 | RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害(経口) | RSウイルス感染症 | フェーズⅡ | 自社/UBE | 自社/UBE | |
S-743229 | 細胞壁合成阻害(経口) | 腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症 | フェーズⅠ | 自社/Qpex | 自社 | |
S-649228 | 細胞壁合成阻害(注射) | グラム陰性菌感染症 | フェーズⅠ | 自社/Qpex | 自社 | |
QOL疾患 | ナルデメジントシル酸塩 | 末梢性オピオイド受容体アンタゴニスト(経口・散剤) | オピオイド誘発性便秘症(小児) | フェーズⅠ/Ⅱ | 自社 | 自社 |
末梢性オピオイド受容体アンタゴニスト(経口) | オピオイド誘発性便秘症 | フェーズⅢ | 自社 | 自社 | ||
ズラノロン | GABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレータ(経口) | うつ病・うつ状態 | 申請:日本(2024年9月) | Sage (米国) | 自社/Sage | |
SDT-001 | 中枢作用に基づく、治療用デジタルアプリ | 小児期における注意欠如多動症 | 承認:日本(2025年2月) | Akili (米国) | 自社/Akili |
領域 | 一般名・開発No. [製品名] | 作用機序 | 適応症 | ステージ | 起源 | 開発 |
QOL疾患 | Zatolmilast | PDE4Dネガティブアロステリックモジュレータ(経口) | 脆弱X症候群 | フェーズⅡ/Ⅲ | Tetra (米国) | 自社 |
Jordan症候群 | フェーズⅡ | Tetra (米国) | 自社 | |||
アルツハイマー型認知症 | フェーズⅡ | Tetra (米国) | 自社 | |||
Resiniferatoxin | TRPV1受容体アゴニスト | 変形性膝関節症に伴う疼痛 | フェーズⅢ | Grünenthal | Grünenthal | |
S-151128 | Nav1.7阻害剤(注射) | 慢性疼痛 | フェーズⅠ | 自社 | 自社 | |
ADR-001 | ヒト他家脂肪組織由来の間葉系幹細胞(注射) | 非代償性肝硬変 | フェーズⅠ/Ⅱ | ロート | 自社/ロート | |
S-309309 | モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2阻害剤(経口) | 肥満症 | フェーズⅡ | 自社 | 自社 | |
S-588410 | がんペプチドワクチン(注射) | 食道がん | フェーズⅢ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |
膀胱がん | フェーズⅡ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |||
S-488210 | がんペプチドワクチン(注射) | 頭頸部がん | フェーズⅠ/Ⅱ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |
S-588210 | がんペプチドワクチン(注射) | 固形がん | フェーズⅠ | オンコセラピー・サイエンス (日本) | 自社 | |
S-222611 | HER2/EGFRデュアル阻害薬 | 悪性腫瘍 | フェーズⅠ/Ⅱ | 自社 | 自社 | |
SR-0379 | 肉芽形成促進作用(外用) | 皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍) | フェーズⅢ | ファンぺップ | 自社/ | |
レダセムチドトリフルオロ酢酸塩 | 間葉系幹細胞を末梢血に動員 | 脳梗塞 | フェーズⅡb | ステムリム | 自社 | |
表皮水疱症 | フェーズⅡ | ステムリム | 自社 | |||
S-531011 | 抗CCR8抗体(注射) | 固形がん | フェーズⅠb/Ⅱ | 自社 | 自社 | |
S-740792 | 新規メカニズム(経口) | 多発性硬化症に伴う歩行障害 | フェーズⅠ | 自社 | 自社 | |
SASS-001 | P2X3受容体阻害 (経口)+ | 睡眠時無呼吸症候群(中枢性) | フェーズⅡ | S-600918: 自社 | Shionogi- | |
S-606001 | グリコーゲン合成酵素(GYS1) | ポンぺ病 | フェーズⅠ | Maze | 自社 | |
SDS-881 | 会話型 認知機能検査用AIプログラム医療機器 | 認知症の認知機能 | フェーズⅢ | FRONTEO | 自社 |
<導出品>
| 一般名・開発No. [製品名] | 作用機序 (剤型) | 適応症 | ステージ | 起源 | 開発 |
| バロキサビルマルボキシル | キャップエンドヌクレアーゼ阻害 | インフルエンザウイルス感染症 | 申請:欧州(2024年6月) | 自社 | 自社/ |
| インフルエンザウイルス感染症 | 申請:米国 (2024年11月) | 自社 | 自社/ | ||
| S-723595 | アセチルCoAカルボキシラーゼ2 | 2型糖尿病 | フェーズⅡa | 自社 | OrsoBio |
| S-365598 | インテグラーゼ阻害 | HIV感染症 | フェーズⅡa | 自社 | SHIONOGI- |
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