協立電機
【東証スタンダード:6874】「電気機器」
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企業概要
当社グループは、FA(ファクトリーオートメーション)市場において、お客様に「One Stop Shopping」を提供することを経営の基本方針としています。お客様が抱える多様な課題や要望に対し、企画・設計から製造・設置・工事そして保守に至るまで、全ての工程を一貫してグループ全体で対応できる体制を構築し、これらの強化に取り組んでいます。これによりお客様は複数のサプライヤーとやり取りする手間を省き、より効率的かつスムーズに最適なFAシステムを導入・運用することが可能になります。私たちは、お客様の生産性向上とビジネスの発展に貢献するため、グループ間の連携を密にし、常に最適なソリューションを提供できるよう研究開発に取り組んでいます。
(1) 研究開発活動の方向性
当社の研究開発部門は、社会インフラの老朽化対策と効率的な維持管理に貢献するため、最先端技術の導入と実用化を推進しています。特に、プリント基板実装検査用フライングプローバー技術の応用展開と道路のたわみ検査車両(MWD: Mobile Wheele Deflectometer) の2つの技術に注力し、インフラ点検の安全性・効率性・精度の飛躍的な向上を目指しています。これらの技術は、従来の点検・検査方法が抱える課題を根本から解決します。作業員のリスク軽減、検査コスト削減、さらにデータに基づいた補修・改善計画の策定に貢献します。
(2) プリント基板実装検査用フライングプローバー技術の応用展開
フライングプローバーは、プリント基板の製造工程において、部品の実装状態や回路の導通を専用治具無しに検査するために開発された高精度なプロービング技術です。この技術の最大の特長は、検査対象となる基板ごとに専用の治具を作成する必要がなく、多品種少量生産におけるコストと時間を大幅に削減できる点にあります。また、高速かつ精密な位置制御により、従来の検査方式に比べて検査時間の大幅な短縮も実現しています。
① 開発の狙いと現状
治具が不要であるという特長を活かし、様々な形状や種類の基板に対し、効率的かつ柔軟な検査アプリを構築することとプリント基板検査で培われた実績とプローブの精密制御技術を組み合わせ、効率的かつ柔軟な検査工程を構築することを目指しています。
② 将来展望
プリント基板検査におけるデファクトスタンダードとなることを目指し、検査対象の拡大と検査データのリアルタイム判定機能の強化を進めます。将来的には、ファンクション検査(通電機能検査)も可能なフライングプローバーの開発も視野に入れています。
(3) 道路のたわみ検査車両 (MWD) による路面評価の高精度化
道路のたわみ検査車両 (MWD)は、走行しながら路面のたわみを高精度に測定し、舗装構造の健全性を非接触で評価する画期的なシステムです。
① 開発の狙いと現状
従来のFDM (Falling Weight Deflectometer) 等の停止型測定に比べ、交通規制を最小限に抑えながら、広範囲の道路網を効率的に調査することを可能にします。レーザー振動計や高精度GPS・慣性計測装置などを組み合わせることで、車両の速度や振動に影響されることなく、ミリメートル単位のたわみ量を正確に測定します。現在、異なる路面状況下での測定精度検証、データ解析アルゴリズムの改良及び測定データのGIS (地理情報システム) との連携強化を進めています。特に、測定データの解析から舗装の残存寿命を予測する技術の確立に注力しています。
② 将来展望
全国の道路網の効率的な維持管理に貢献するため、より高速での測定、悪路に対する測定安定性の向上を目指します。MWDで得られたデータを活用し、補修時期の最適化や将来的な舗装劣化予測モデルの構築を進め、道路管理者がより戦略的な意思決定を行えるよう支援します。
(4) 研究開発体制と投資
当社は、革新的な技術開発を加速させるため、優秀な研究者・技術者の確保と育成に積極的に投資しています。また、国内外の大学・研究機関・企業との連携を強化し、オープンイノベーションを通じて研究開発の効率性と質の向上を図っています。
当社の研究開発体制は、以下のように各部門が専門性を活かし連携しています。
・研究開発本部: エレクトロニクス分野の基礎研究と応用製品開発を推進します。
・ロボット本部: メカトロニクス設計に特化し、ロボット技術応用システムを開発します。
・第一エンジニアリング本部: ソフトウェアテクノロジーに基づいた制御アプリケーション及びネットワークアプリケーションの開発を行います。
さらに、グループの中央研究所としてカナダにKyoritsu Electric Corporation (Canada) を設立し、グローバルな研究開発体制を構築しています。同研究所は、組み込みシステムに特化した基礎研究開発に専念し、迅速な市場投入を目指します。
また、お客様への提供価値を最大化するため、品質管理部門を強化し、品質面での競争力を高めています。これによりお客様に安心してご利用いただける競争力の高い新製品の開発に邁進します。
(5) 知的財産戦略
当社は、研究開発活動で生み出された技術を保護するため、関連する特許の取得を積極的に進めます。これにより当社の技術的優位性を確保するとともに、将来的な事業展開における競争力の源泉として、知的財産を戦略的に活用します。
なお、インテリジェントFAシステム事業における当連結会計年度の研究開発費の総額は267百万円となっております。
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